最終更新:ID:PcaMvOXMag 2016年05月21日(土) 17:31:14履歴
世界の何処かにある、紅魔の館。
その地下には膨大な魔導書の数々があるという。
それは、たった一人のとある魔女によって管理されている。
その魔女の名は――パチュリー・ノーレッジといった。
*
「魔神皇――とか、言ったかしら。私をこんな事に巻き込むなんていい度胸じゃない」
パチュリーは少し前の出来事を振り返り、怒りを顕にしていた。
自分は間違いなく世界最高峰の魔法使いだという自負はあるし、紅魔館にだって何重にも結界を張っていた。
それなのに、自分は拉致された。
――それも抵抗するどころか全く気づかない内に、だ。
その上、未知の首輪にメギドの光。パチュリーをしてまだ彼の実力を測り切れてはいなかった。
弱い者ほど大層な名を名乗りたがる物だが、『魔神皇』という名を名乗る程の実力はあるのかも知れない。
「COMPねぇ……なら、こっちはどうかしら」
パチュリーは空中に向かって指を振るった。
何も持っていない筈のパチュリーの指先から魔力の光が溢れ、軌跡を紡ぐ。
その光は空中で留まり、一瞬の内に同じ動作を数回繰り返すと、あっという間に空中に魔法陣が描かれた。
「小悪魔召喚」
小さく開かれたパチュリーの口先から短く呪文が紡がれる。
それは召喚魔法の呪文であった。
選んだのは小悪魔。
最も召喚し慣れており、普段は自身が管理する図書館の司書としても使っている悪魔だ。
「……はぁ。まさかとは思ってたけど、やっぱり何かされてるわね」
結果は――失敗。
術の発動を妨害されたというよりも、まるで元から”存在しない魔法”を行使した様な感覚だった。
さも、魔法を覚えたての子供が『こんな魔法があったらいいな』とデタラメに使った魔法とでもいうのか。
日々の研鑽を否定するかのような制限にパチュリーはさらに怒りを燃やす。
「あくまで自分の用意したシステムしか認めないってわけね」
「……いいわ、乗ってやろうじゃない。そっちの土台で叩き潰してあげるわ」
パチュリーは魔神皇打倒を決意し、道具袋を開く。
基本支給品には目もくれず、魔女の直感で一冊の本を取り出した。
「これね」
グリモワール型COMP。それがパチュリー・ノーレッジに支給された悪魔召喚の道具だった。
中をパラパラと捲ると、地図や悪魔辞典の欄が目に入ってくる。
魔術で描かれているのだろうか、ご丁寧に紙面でもリアルタイムに動き続ける時計やコンパスまで載っている。
そして――目当ての悪魔召喚プログラムのページに行き着いた。
「さて、もしチンケな悪魔だったら納得しないわよ――悪魔召喚!」
パチュリーはCOMPに描かれた魔法陣に手を当て、悪魔を呼び出した。
グリモアから眩い光が溢れだし、悪魔の召喚がなされる。
「わたしを呼び出したのは君かい?」
燃え盛る頭部を持ち、赤と紫黒色の鎧で全身を包んだ長身の悪魔が、フワリと空中に浮いていた。
悪魔然とした外見に関わらず、口調だけはきわめて紳士的である。
炎の奥では余裕を感じさせる記号的な笑みを浮かべ、表情から思考を読み取ることは難しい。
遺憾な事にパチュリーにはその力の片鱗さえ推し測ることは敵わず、これまで出会ったいかなる悪魔よりも強大な存在であった。
「そうよ、宛てがわれた悪魔に頼るのは納得いかないけど……あのいけ好かない男をぶちのめすために協力して貰うわ」
「ハハハ、まんぞくに力も使えない身でよく言ったものだね」
悪魔はパチュリーの魔法が制限されていることを見破り、計画を笑う。
しかし、その笑いに嘲りの感情はなく、純粋に面白がっている様であった。
「うるさいわね。正直科学に明るくないのは認めるわ……でも、解析さえ済めばこっちのものよ」
「ほう、どうしてだい?」
「まだ測りきれていない部分も多いけど、魔法に関して言えば私に一日の長がある。あいつの使った魔法にも覚えがあるし……魔法使いとしてなら勝てない相手じゃないわ」
そう、パチュリーには100年生きた経験とその間勉強し続けたことで身についた膨大な知識がある。
強大な敵にとっさの対応をすることは不得手だが、しっかりと準備を進められれば敵はいないと言えるほどの実力を持っていた。
魔神皇は機械の首輪を使っている――逆を読めば魔法だけでは自分を縛る実力がないと言っている様なものである。
そんなパチュリーの推測はあたっているのかいないのか、ともかくその回答に悪魔は満足したようだった。
「分霊の身体でもキミ達を消し飛ばすのは簡単な事だが、少し興味が湧いた。追い詰められた人間がショボい魔法でどう挽回するのか、地球を手に入れる時の参考にさせてもらうよ」
「――はぁ、そんな時が来たら私があんたを退治してやるわ」
不遜な態度を崩すこと無く、魔神皇までザコだと称する悪魔にパチュリーは呆れるしか無かった。
しかし、彼の言葉は決して誇張などしておらず、事実別の平行世界では何度か彼に地球を支配されているのだが、パチュリーがそんなことを知るはずもない。
パチュリーの態度を了承と受け取ったのか、悪魔は機嫌を良くしたようだ。
「ハッハッハッ、じゃあ決まりだね。魔神皇の元までキミを導いてあげよう――このドーマムゥがね!」
パチュリーは身体が弱いという欠点はあるが、魔法使いとしての実力は高い。
しかし、ドーマムゥはそれを遥かに上回る、全世界――否、全次元最強の魔術師である。
種族も考え方もまるで異なる2人の魔術師は、この先理解を深めることが出来るのか。
早くも疲れ気味のパチュリーに対し、ドーマムゥの笑みが崩れる事は無かった。
【?????/1日目/朝】
【パチュリー・ノーレッジ@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:COMP(グリモア型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇をぶちのめす。
[COMP]
1:ドーマムゥ@MARVELコミックス
[種族]:ファルティナ
[状態]:健康
その地下には膨大な魔導書の数々があるという。
それは、たった一人のとある魔女によって管理されている。
その魔女の名は――パチュリー・ノーレッジといった。
*
「魔神皇――とか、言ったかしら。私をこんな事に巻き込むなんていい度胸じゃない」
パチュリーは少し前の出来事を振り返り、怒りを顕にしていた。
自分は間違いなく世界最高峰の魔法使いだという自負はあるし、紅魔館にだって何重にも結界を張っていた。
それなのに、自分は拉致された。
――それも抵抗するどころか全く気づかない内に、だ。
その上、未知の首輪にメギドの光。パチュリーをしてまだ彼の実力を測り切れてはいなかった。
弱い者ほど大層な名を名乗りたがる物だが、『魔神皇』という名を名乗る程の実力はあるのかも知れない。
「COMPねぇ……なら、こっちはどうかしら」
パチュリーは空中に向かって指を振るった。
何も持っていない筈のパチュリーの指先から魔力の光が溢れ、軌跡を紡ぐ。
その光は空中で留まり、一瞬の内に同じ動作を数回繰り返すと、あっという間に空中に魔法陣が描かれた。
「小悪魔召喚」
小さく開かれたパチュリーの口先から短く呪文が紡がれる。
それは召喚魔法の呪文であった。
選んだのは小悪魔。
最も召喚し慣れており、普段は自身が管理する図書館の司書としても使っている悪魔だ。
「……はぁ。まさかとは思ってたけど、やっぱり何かされてるわね」
結果は――失敗。
術の発動を妨害されたというよりも、まるで元から”存在しない魔法”を行使した様な感覚だった。
さも、魔法を覚えたての子供が『こんな魔法があったらいいな』とデタラメに使った魔法とでもいうのか。
日々の研鑽を否定するかのような制限にパチュリーはさらに怒りを燃やす。
「あくまで自分の用意したシステムしか認めないってわけね」
「……いいわ、乗ってやろうじゃない。そっちの土台で叩き潰してあげるわ」
パチュリーは魔神皇打倒を決意し、道具袋を開く。
基本支給品には目もくれず、魔女の直感で一冊の本を取り出した。
「これね」
グリモワール型COMP。それがパチュリー・ノーレッジに支給された悪魔召喚の道具だった。
中をパラパラと捲ると、地図や悪魔辞典の欄が目に入ってくる。
魔術で描かれているのだろうか、ご丁寧に紙面でもリアルタイムに動き続ける時計やコンパスまで載っている。
そして――目当ての悪魔召喚プログラムのページに行き着いた。
「さて、もしチンケな悪魔だったら納得しないわよ――悪魔召喚!」
パチュリーはCOMPに描かれた魔法陣に手を当て、悪魔を呼び出した。
グリモアから眩い光が溢れだし、悪魔の召喚がなされる。
「わたしを呼び出したのは君かい?」
燃え盛る頭部を持ち、赤と紫黒色の鎧で全身を包んだ長身の悪魔が、フワリと空中に浮いていた。
悪魔然とした外見に関わらず、口調だけはきわめて紳士的である。
炎の奥では余裕を感じさせる記号的な笑みを浮かべ、表情から思考を読み取ることは難しい。
遺憾な事にパチュリーにはその力の片鱗さえ推し測ることは敵わず、これまで出会ったいかなる悪魔よりも強大な存在であった。
「そうよ、宛てがわれた悪魔に頼るのは納得いかないけど……あのいけ好かない男をぶちのめすために協力して貰うわ」
「ハハハ、まんぞくに力も使えない身でよく言ったものだね」
悪魔はパチュリーの魔法が制限されていることを見破り、計画を笑う。
しかし、その笑いに嘲りの感情はなく、純粋に面白がっている様であった。
「うるさいわね。正直科学に明るくないのは認めるわ……でも、解析さえ済めばこっちのものよ」
「ほう、どうしてだい?」
「まだ測りきれていない部分も多いけど、魔法に関して言えば私に一日の長がある。あいつの使った魔法にも覚えがあるし……魔法使いとしてなら勝てない相手じゃないわ」
そう、パチュリーには100年生きた経験とその間勉強し続けたことで身についた膨大な知識がある。
強大な敵にとっさの対応をすることは不得手だが、しっかりと準備を進められれば敵はいないと言えるほどの実力を持っていた。
魔神皇は機械の首輪を使っている――逆を読めば魔法だけでは自分を縛る実力がないと言っている様なものである。
そんなパチュリーの推測はあたっているのかいないのか、ともかくその回答に悪魔は満足したようだった。
「分霊の身体でもキミ達を消し飛ばすのは簡単な事だが、少し興味が湧いた。追い詰められた人間がショボい魔法でどう挽回するのか、地球を手に入れる時の参考にさせてもらうよ」
「――はぁ、そんな時が来たら私があんたを退治してやるわ」
不遜な態度を崩すこと無く、魔神皇までザコだと称する悪魔にパチュリーは呆れるしか無かった。
しかし、彼の言葉は決して誇張などしておらず、事実別の平行世界では何度か彼に地球を支配されているのだが、パチュリーがそんなことを知るはずもない。
パチュリーの態度を了承と受け取ったのか、悪魔は機嫌を良くしたようだ。
「ハッハッハッ、じゃあ決まりだね。魔神皇の元までキミを導いてあげよう――このドーマムゥがね!」
パチュリーは身体が弱いという欠点はあるが、魔法使いとしての実力は高い。
しかし、ドーマムゥはそれを遥かに上回る、全世界――否、全次元最強の魔術師である。
種族も考え方もまるで異なる2人の魔術師は、この先理解を深めることが出来るのか。
早くも疲れ気味のパチュリーに対し、ドーマムゥの笑みが崩れる事は無かった。
【?????/1日目/朝】
【パチュリー・ノーレッジ@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:COMP(グリモア型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇をぶちのめす。
[COMP]
1:ドーマムゥ@MARVELコミックス
[種族]:ファルティナ
[状態]:健康
コメントをかく