俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

野咲春花は始まってすぐ、一軒の民家に隠れていた。
リビングでひとり、膝を抱えて座っている春花の表情は冴えない。

春花の視界には、会場に招かれるまでに見た情景が過っている。
半年前に引っ越してきた大津馬村の景色、自分をいじめるクラスメイト達の顔、猛火に包まれた我が家、全身に火傷を負ったしょーちゃん・・・。
そこで春花の視界が霞んだ。

「―――っ」

春花はきつく目を閉じるが瞼の隙間から涙が滲み、やがて頬を伝う。息は荒くなり、徐々に嗚咽が混じる。

「・・・・・・っふ・・・ふぅうう」

流れ落ちる雫は勢いを増していき、嗚咽は慟哭に変わった。

「・・・う゛あ゛あ゛あ゛っ゛――!!」

2か月耐えれば全て終わるはずだった。
春になったら・・・・・・。

「あ゛あ゛あ゛っ゛――!!」

―夢なら覚めて!!

―なんでこうなったんだろう?

―お父さん・・・!お母さん・・・!

様々な思考が浮かんでは消える。悲嘆の濁流の中で春花は悶えていた。




死ぬわけにはいかない。
村には妹と祖父がいる。クラスメイト達に両親を焼き殺された。彼らに復讐するまでは死ねない。
生きて脱出する。
優勝して、家族を取り戻す。

ひとしきり泣いて、冷静な思考が戻った春花は吸い寄せられるようにデイパックに手を伸ばす。
支給品の携帯電話を手に取り、強い悪魔が出る事を祈りながら春花は召喚プログラムを起動させた。





プログラムを起動させた春花の前に、悪魔が姿を現す。
白いワンピースを着た長髪の少女だ。背格好は春花と変わらない。

「初めまして、サマナー。・・・ってまだ子供じゃない」

悪魔は対面するなり、つまらなそうな表情で言った。
目の前で座り込んだ悪魔と目が合い、春花は思わず顔を逸らしてしまう。
悪魔は不服そうに顔を顰めたが、そのまま会話を続ける。

「一応聞くけど貴方、優勝狙い?」

「うん・・・」

問いに力強く頷く。しかし表情は曇っている。
その答えに一瞬、目を見開くと悪魔は春花との距離を縮め、彼女の顔を覗き込む。
視線が交わると、どこか納得したように悪魔は薄く笑んだ。

「ふぅん・・・いいよ。手伝ってあげる」

悪魔は距離を取り、春花に声をかけた。

「・・・・・・ありがとう」

春花は小さく一礼する。

「じゃ、さっさとここから出ましょ。・・・このへん何もいないみたいだし」

悪魔は立ち上がり、ちらりとあらぬ方向を見た。
春花が荷物を持った事を確認すると、ゆっくりとした足取りでリビングから出ていく。
玄関の引き戸を開けた時、何かに気づいたように悪魔が声を上げた。

「そうだ、名前を聞いてないわね。名前を教えてくれる、サマナー?」

「・・・・・・野咲 春花」

「ハルカ。あたしはリフル、よろしくね」

そういって、リフルは花が咲くように微笑んだ。



【?????/1日目/朝】
【野咲 春花@ミスミソウ】
[状態]:軽度の疲労、強い悲しみと憎悪
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:優勝する。


[COMP]
1:リフル@CLAYMORE
[種族]:妖魔
[状態]:健康

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