俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

「ったく、何だってこんなことに巻き込まれなきゃならねぇんだ」

 青いバンダナの壮年の男、バドラックは悪態をつきながら、自動販売機に蹴りを入れる。
 一度ならず二度、三度と蹴りを入れたところで、自動販売機から吐き出された煙草を拾う。
 ふんっ、と怒りを交えたため息をついた後、手に入れた煙草に火を付けて、状況を振り返る。
 天罰、だとしたらなんて横暴な神なのだろうか。
 確かに、自分は悪党だ。
 治安の悪いあの国では、盗みに誘拐なんて日常茶飯事、それで手にした金で酒と女に溺れる。
 そんな毎日を送っていたとは言え、突然命を握られて、殺しあえというのはあんまりではないか。

「いや、あんな青臭いガキが神な訳がねぇ」

 そこまで考えて、ふと我に返る。
 魔神皇だかなんだか知らないが、あの子供はそう名乗っていた。
 ぱっと見は只の子供だ、まかり間違ってもありがたそうな存在には見えない。
 大人数の誘拐なんて、何ら不可能な話ではない。
 人一人の首を吹き飛ばすだけの首輪型爆弾なんて、このご時世珍しくも無いだろう。
 だが一つだけ、たった一つだけ、信じられない出来事があった。
 それは、あの少年から放たれた紫色の炎だ。
 よく出来た作り物、だと思えればどんなに楽だっただろうか。
 あれに包まれた一人の子供が炭になっていく途中、そこで嗅ぎつけたのは、確かに"人の肉が焼ける匂い"だった。
 噂には聞いていたが、流石に本物の"魔法"を見るのは初めてだった。

「クソ……何が魔神皇だ」

 気に食わないが、今はあの少年に命を握られている。
 あれの機嫌を損なえばどうなるかは、もう十二分に見せつけられている。
 ならば、手当たりしだいに殺して回るのか?
 答えはノー、長年の経験があるとは言え、多くの人間を相手に正面からやり合えるほど、もう若くもない。
 ならば、誰かとつるんで反旗を翻す? いや、冗談じゃない。
 誰が好き好んで、他人と手をつないで仲良くやらなくてはならないのか。
 ならば、ならば、ならば。

「……死んでたまるかってんだ」

 ぼそりと呟いた本音が、コンクリートに吸い込まれていく。
 命あっての物種、なんて言葉を聞いたことがある。
 そうだ、死んでしまっては、元も子もない。
 今大事なのは、カッコつけることでも、頭をイカれさせることでもない、生き残ることだ。
 じゃあ、具体的にどうするかと言われれば、それはそれで困るのだが。

「クソったれ……」

 再度悪態をつきながら、配られた袋から電子機器を取り出す。
 魔神皇曰く、この機械で悪魔を呼び出せるらしい。
 なんとも眉唾な話だ、と思いながら、あまり馴染みのない電子機器を、おぼつかない手で操作していく。

「さあ出てきやがれ、俺様を助けてくれるような、うんと強ぇ奴!!」

 願わくば、全てを掌握せんとする力を。
 そんなことを願いながら、彼は光を見つめ。

「なッ……」

 そして、驚愕する。

「やっほー! おじさんがお友達? あたし、ちょこだよ!」

 現れたのは、可愛らしい服に身を包み、黄色いリボンでツインテールを結った、年端も行かない少女であった。

「ガ、ガキじゃねぇか……」

 バドラックは、見たままの正直の感想を告げる。
 しかし、彼は気づいていない。
 自分の願いが叶ったこと……そう、目の前の少女が"力"を持つものであるということに。

【?????/1日目/朝】
【バドラック@ヴァルキリープロファイル】
[状態]:健康
[装備]:COMP(型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:とにかく死なない、生き残る。
[COMP]
1:ちょこ@アーク・ザ・ラッド2
[種族]:人間……?
[状態]:健康

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