俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

住宅街を疾走する一人の男。後ろに続くは世のイメージを覆す、爆走するゾンビの群れ。
捕まれば食われる。傍目から見ればそうとしか思えないが、正面から男の顔を見ればまた別の結果を思い浮かべるだろう。
身に纏った黒いスーツよりもなお黒い黒髪を風に靡かせ、夜闇を思わせる深い黒瞳は、全力疾走の中にあっても必死さというものを感じさせない。
驚くべきなのはかなりの距離を走り抜いて、曙光の中にあっても自ら光を放つかの様な美貌にわずかな汗も浮かんでいないことだろう。
男の身体能力は常人と比してかなり高いものらしかった。

かなりの健脚でゾンビとの距離を保ち続ける男だが、こののままでは捕まるのは時間の問題であった。
相手は死体、疲労を知らぬのだ。このままではやがて男は心身共に疲労し、動きが鈍り、捕まることだろう。

「全く…針の一本も無いとはね。風早君と違って素手では如何ともし難いのだが」

走りながら呟くと、支給品のCOMPを取り出す。アームターミナル型のそれを走りながら左腕に装着し、マニュアルを読むと、右の人差し指で、ポチポチと打ち込み出した。

むう。と唸りながら打ち込む姿に先程までの余裕は無い。

「これで良し」

自信満々で最後の一押し……何も起こらない。

「は……?」

どうやら打ち間違えたらしい事に気付き、再チャレンジ。

「出来た」

眩い光がアームターミナルから放たれる。中に入っている悪魔を確認する余裕など無かったが、この事態をどうにか出来そうな悪魔で有って欲しい。

「友か……」

魔神皇とやらの言葉を思い出す。友などと呼べる魔性など生憎と知らない、敵になりそうなのは掃いて捨てるほどいるが。

「紅虫なんぞが出て来たら面倒なことになりそうだ」

蜘蛛の化身である平安貴族を思い出し、嫌そうな顔になった。
戦力という点では申し分無いが、あの男は面倒臭いのだ。
そんな事を考えながら走っていたせいか、気がつけば三方を壁に囲まれた行き止まりになっていた。

「これはいかんな」

すぐ後ろにはゾンビの群れ、逃げ道を無くした男が呑み込まれるのは時間の問題かと思われたその時。

「伏せといた方が良いよ」

頭上からの声に僅かに遅れて紅蓮の炎がゾンビ達を焼き払った。

「大したものだ」

「どういたしまして」

低い、落ち着いた声は、まだ十代と思しき少女のものだった。

「君が私に宛てがわれた悪魔かな」

緩やかな動きで頭上を仰ぎ見る。
そこにいたのは白いカッターシャツに赤い袴をサスペンダーで吊った、腰まで伸びた銀髪と、白地に赤いラインの入ったリボンが特徴的な少女だった。

「悪魔ねえ…わたしは竹林に住む人間なんだけどね」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


手近な公園のベンチに座って、休憩がてら自己紹介をしあう。

「私は大摩という。鍼鍼師をやっている者だ。肩こりから内蔵疾患まで、大抵の症状は治せるが。尤も今は針が無いから診るだけしかできんが」

「私は藤原妹紅。健康マニアの焼き鳥屋だ。まあ、アンタの世話になることは無いだろうけれど」

「藤原…?」

「何か?」

怪訝な顔をする妹紅、どうやら笑ってしまったらしい。

「いやなに、同じ藤原性の男を知っていてね」

「どんな人?」

「腐れ縁という奴さ、顔を合わせれば殺し合う仲だよ」

「……………………」

「どうしたのかね」

どんな気難しい患者にも心を開かせて来た微笑を浮かべて、むっつりと押し黙った妹紅に尋ねてみる。
神域の才を持つ画家が描いた天使の如き笑顔に、妹紅の頬が赤く染まり、たちまち不機嫌な顔になった。

「アンタみたいな見た目の女を知っていてね」

「私の様な外見と言うなら、きっと良いお人柄なのだろうな」

発言者を知っている者が聞けば仰け反りそうな事を平喘と言い放った。

「腐れ縁さ、顔を合わせれば殺し合う仲だよ」

「………………………それはまた奇縁だな」




【?????/1日目/朝】
【大摩@魔殺ノート 退魔針】
[状態]:健康
[装備]:COMP:アームターミナル型
[道具]:基本支給品、ランダム支給品
[思考・状況]
基本:
1.殺し合いからの脱出後
[COMP]
1:藤原妹紅@東方Project
[種族]:幻魔
[状態]:健康

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