最終更新:ID:6tSBoyPOJQ 2016年05月01日(日) 10:42:28履歴
「ド畜生がァ――――ッ!!」
とある地下鉄の駅ホーム、そこで一人の男が怒り狂っていた。
男の名はヴァニラ・アイス。DIOという吸血鬼に仕えるスタンド使いだ。
男は怒りの余り周りの物に当たり散らす。
椅子は壊れ、柱の一部は欠け、電光掲示板は地上に落ちていた。
「あの小僧……、ふざけた事を……」
流石にこれ以上暴れるのは得策ではないと思い、落ち着こうとするもののヴァニラの心は未だ荒れ狂っていた。
ヴァニラ・アイスはとにかく腹立たしかった。
別に人殺しを強要されることについてではない。そもそもヴァニラにとって人殺しなどどうという事もない。
彼に殺せない存在など主のDIO位のものだ。
彼が怒る理由は。
「なんてタイミングの悪い小僧だ、私はDIO様に生き血を捧げようとしていたというのに」
呼び出されたタイミングが致命的に悪かったのだ。
彼は主のDIOの為に自らの首をはね、生き血を捧げようとする直前にあの体育館のような場所に呼ばれたのだ。
もし後一瞬でも遅かったら彼はあの体育館で自殺することになっていただろう。
死ぬのは良い。DIO様の為に死ぬのならむしろ望むところだ。
だが無為に死ぬのは嫌だ。DIO様のお役にたてないのは嫌だ。
しかもそれがまるで無関係の小僧によって引き起こされたとなれば怒りが向くのは必然だ。
そうでも無ければ、たとえ怒り狂っていたとしてもここまで物に当たり散らすことは無かっただろう。
「随分と騒がしい召喚士だな」
そんな事を考えていたヴァニラは前触れもなく後ろから声を掛けられた。
ヴァニラが振り返ると、そこには紅い帽子被り紅いコートを着た青年が居た。
さっきまで人の気配など無かったにも拘わらず居る青年に警戒しつつ、ヴァニラは問いかける。
「何だ貴様は」
「お前に支給された悪魔だ。最初にあの忌々しい魔神皇が説明していただろう」
「ああ、そういえばそうだったな」
ヴァニラは魔神皇の説明を話半分にしか聞いていなかった。
率直に言えばどうでも良かったからだ。
悪魔だろうと何だろうとDIOの元に帰る邪魔をするのならば殺すのみだから。
「ふん、何でもいいがこのヴァニラ・アイスの邪魔だけはするなよ」
「邪魔をするつもりはないが、お前がどうしたいかによるな」
そう言えばこちらの意志を示していなかった。
別にわざわざ話す義理は無いが、DIO様の元へ帰る手伝いをしてくれるやもしれん存在を手放す道理はない。
よってヴァニラは自分の意志を嘘偽りなく話す事にした。
「あの魔神皇を殺す。その為に必要なら他の参加者全てを殺してもだ」
「……ほう?」
ヴァニラの発言に興味を示す悪魔。
それに気づかずヴァニラの話は続く。
「奴に叶えてほしい願いなど無い。そして私が忠誠を誓うのはDIO様だけだ
断じてあんな小僧ではない。DIO様がそう命じるのであれば別だがな」
「同感だ」
「そして何より、奴は私をこの場に無理やり連れてきた。これから主の敵を葬らなければならないのにだ。
こんな所で手をこまねいていたらDIO様のお手を煩わせることになってしまう」
「大した忠誠心だ」
感心したように頷く悪魔。
ヴァニラはそんな悪魔に対してこう問いかける。
「それでお前はどうするのだ? まさか殺し合いの為に支給された化物が戦えないというつもりはないだろう」
「そうだ、私は悪魔で化物だ。そしてここは闘争の場だ。ならば戦わないなどという事はありえん。
あの人間をやめた小僧の思うままに行くのは癪だがな。私を打ち滅ぼすのは人間でなければならない、悪魔では駄目だ」
悪魔の言い分に疑問を覚えるヴァニラ。
人間でなければならないとはどういう意味なのか。
そう悪魔に聞く。
「簡単だ。私のように人間でいられなかったか弱い化物は人間に倒されなければならない。この場に居る悪魔と化した紛い物ではなく人間でなれけばならない」
「……気に入らんな」
悪魔の言い分がヴァニラにとっては気に食わない。
人間を侮るつもりはない。ジョースター一行を低く見るという事は、それを倒すべき敵だというDIOを低く見る事と同義になってしまう。
だが人間をやめた存在を弱いとという言い分は、ヴァニラにとって理解しがたい。
ヌケサクのような存在を知っているから、人間をやめればそれだけで強くなるとは思っていないが。
「それは人間を越え、吸血鬼となった我が主への侮辱だ。取り消せ!」
だからこそ、この発言はヴァニラにとっての必然だ。
ヴァニラは主を、DIOを侮辱するような物言いは許さない。
だがそんな思いは悪魔には届かない。
悪魔はまるで失望したかのようにこう言った。
「貴様もか」
「何?」
「貴様も永遠が欲しいのか。吸血鬼に忠誠を誓い、不老不死を望むのか。
あの薄汚い狗の餌と同じ願いを持つのか。
永遠などこの世には存在しないというのに」
「見くびるな」
それは侮辱だ。
ヴァニラ・アイスという己の全てを主に捧げてきた人間への侮辱だ。
だがさっきとは違い主に対する侮辱ではない。
だからこそヴァニラはさっきよりは冷静に返答する。
「DIO様が私を不老不死の吸血鬼にして下さるというのであれば喜んで受け取ろう。
だがもし人間のままでいろとDIO様がおっしゃるのであれば私は一向に構わん。
命を捧げろと言うのであれば喜んで捧げよう。
死など私にとって恐れるに足りん。
恐ろしいのはDIO様に見捨てられることだけだ」
「……まるでアンデルセンだな、お前は」
「誰だ?」
「私の愛しい宿敵さ。そして訂正しよう、お前は素晴らしい人間だ。
吸血鬼を主にしているところだけは気に入らんが、お前は気に入った。
私に命じろ召喚士。お前の殺意で私に敵を滅ぼせと宣言しろ」
「いいだろう悪魔。ならば命じる、私がDIO様の元へ帰還する障害となるものはすべて打ち滅ぼせ」
「了解した、マスター。それと」
そこで悪魔はヴァニラにへ向かいこう告げる。
「私の名はアーカードだ、いつまでも悪魔では呼び辛いだろう」
「……さっさと行け」
【?????/1日目/朝】
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、棺桶型COMP
[所持マッカ]:三万
[思考・状況]
基本:魔神皇を含め皆殺し
[備考]
※参戦時期は「お受け取りください!」と言って自ら首を刎ねようとする直前
[COMP]
1:アーカード@HELLSING
[種族]:吸血鬼
[状態]:健康
とある地下鉄の駅ホーム、そこで一人の男が怒り狂っていた。
男の名はヴァニラ・アイス。DIOという吸血鬼に仕えるスタンド使いだ。
男は怒りの余り周りの物に当たり散らす。
椅子は壊れ、柱の一部は欠け、電光掲示板は地上に落ちていた。
「あの小僧……、ふざけた事を……」
流石にこれ以上暴れるのは得策ではないと思い、落ち着こうとするもののヴァニラの心は未だ荒れ狂っていた。
ヴァニラ・アイスはとにかく腹立たしかった。
別に人殺しを強要されることについてではない。そもそもヴァニラにとって人殺しなどどうという事もない。
彼に殺せない存在など主のDIO位のものだ。
彼が怒る理由は。
「なんてタイミングの悪い小僧だ、私はDIO様に生き血を捧げようとしていたというのに」
呼び出されたタイミングが致命的に悪かったのだ。
彼は主のDIOの為に自らの首をはね、生き血を捧げようとする直前にあの体育館のような場所に呼ばれたのだ。
もし後一瞬でも遅かったら彼はあの体育館で自殺することになっていただろう。
死ぬのは良い。DIO様の為に死ぬのならむしろ望むところだ。
だが無為に死ぬのは嫌だ。DIO様のお役にたてないのは嫌だ。
しかもそれがまるで無関係の小僧によって引き起こされたとなれば怒りが向くのは必然だ。
そうでも無ければ、たとえ怒り狂っていたとしてもここまで物に当たり散らすことは無かっただろう。
「随分と騒がしい召喚士だな」
そんな事を考えていたヴァニラは前触れもなく後ろから声を掛けられた。
ヴァニラが振り返ると、そこには紅い帽子被り紅いコートを着た青年が居た。
さっきまで人の気配など無かったにも拘わらず居る青年に警戒しつつ、ヴァニラは問いかける。
「何だ貴様は」
「お前に支給された悪魔だ。最初にあの忌々しい魔神皇が説明していただろう」
「ああ、そういえばそうだったな」
ヴァニラは魔神皇の説明を話半分にしか聞いていなかった。
率直に言えばどうでも良かったからだ。
悪魔だろうと何だろうとDIOの元に帰る邪魔をするのならば殺すのみだから。
「ふん、何でもいいがこのヴァニラ・アイスの邪魔だけはするなよ」
「邪魔をするつもりはないが、お前がどうしたいかによるな」
そう言えばこちらの意志を示していなかった。
別にわざわざ話す義理は無いが、DIO様の元へ帰る手伝いをしてくれるやもしれん存在を手放す道理はない。
よってヴァニラは自分の意志を嘘偽りなく話す事にした。
「あの魔神皇を殺す。その為に必要なら他の参加者全てを殺してもだ」
「……ほう?」
ヴァニラの発言に興味を示す悪魔。
それに気づかずヴァニラの話は続く。
「奴に叶えてほしい願いなど無い。そして私が忠誠を誓うのはDIO様だけだ
断じてあんな小僧ではない。DIO様がそう命じるのであれば別だがな」
「同感だ」
「そして何より、奴は私をこの場に無理やり連れてきた。これから主の敵を葬らなければならないのにだ。
こんな所で手をこまねいていたらDIO様のお手を煩わせることになってしまう」
「大した忠誠心だ」
感心したように頷く悪魔。
ヴァニラはそんな悪魔に対してこう問いかける。
「それでお前はどうするのだ? まさか殺し合いの為に支給された化物が戦えないというつもりはないだろう」
「そうだ、私は悪魔で化物だ。そしてここは闘争の場だ。ならば戦わないなどという事はありえん。
あの人間をやめた小僧の思うままに行くのは癪だがな。私を打ち滅ぼすのは人間でなければならない、悪魔では駄目だ」
悪魔の言い分に疑問を覚えるヴァニラ。
人間でなければならないとはどういう意味なのか。
そう悪魔に聞く。
「簡単だ。私のように人間でいられなかったか弱い化物は人間に倒されなければならない。この場に居る悪魔と化した紛い物ではなく人間でなれけばならない」
「……気に入らんな」
悪魔の言い分がヴァニラにとっては気に食わない。
人間を侮るつもりはない。ジョースター一行を低く見るという事は、それを倒すべき敵だというDIOを低く見る事と同義になってしまう。
だが人間をやめた存在を弱いとという言い分は、ヴァニラにとって理解しがたい。
ヌケサクのような存在を知っているから、人間をやめればそれだけで強くなるとは思っていないが。
「それは人間を越え、吸血鬼となった我が主への侮辱だ。取り消せ!」
だからこそ、この発言はヴァニラにとっての必然だ。
ヴァニラは主を、DIOを侮辱するような物言いは許さない。
だがそんな思いは悪魔には届かない。
悪魔はまるで失望したかのようにこう言った。
「貴様もか」
「何?」
「貴様も永遠が欲しいのか。吸血鬼に忠誠を誓い、不老不死を望むのか。
あの薄汚い狗の餌と同じ願いを持つのか。
永遠などこの世には存在しないというのに」
「見くびるな」
それは侮辱だ。
ヴァニラ・アイスという己の全てを主に捧げてきた人間への侮辱だ。
だがさっきとは違い主に対する侮辱ではない。
だからこそヴァニラはさっきよりは冷静に返答する。
「DIO様が私を不老不死の吸血鬼にして下さるというのであれば喜んで受け取ろう。
だがもし人間のままでいろとDIO様がおっしゃるのであれば私は一向に構わん。
命を捧げろと言うのであれば喜んで捧げよう。
死など私にとって恐れるに足りん。
恐ろしいのはDIO様に見捨てられることだけだ」
「……まるでアンデルセンだな、お前は」
「誰だ?」
「私の愛しい宿敵さ。そして訂正しよう、お前は素晴らしい人間だ。
吸血鬼を主にしているところだけは気に入らんが、お前は気に入った。
私に命じろ召喚士。お前の殺意で私に敵を滅ぼせと宣言しろ」
「いいだろう悪魔。ならば命じる、私がDIO様の元へ帰還する障害となるものはすべて打ち滅ぼせ」
「了解した、マスター。それと」
そこで悪魔はヴァニラにへ向かいこう告げる。
「私の名はアーカードだ、いつまでも悪魔では呼び辛いだろう」
「……さっさと行け」
【?????/1日目/朝】
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、確認済み支給品、棺桶型COMP
[所持マッカ]:三万
[思考・状況]
基本:魔神皇を含め皆殺し
[備考]
※参戦時期は「お受け取りください!」と言って自ら首を刎ねようとする直前
[COMP]
1:アーカード@HELLSING
[種族]:吸血鬼
[状態]:健康
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