俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです


「ーーというわけです。わかりましたか? サマナーさん」

「サマナー? 何故あんたは俺のことをそう呼んでいるんです? そしてここはどこで、どうして俺はここにいるんですか?」
 

「だーかーらー……はぁ、わかりました。もう一回説明しますよ」

 

「あなたは魔神皇という少年の管理下で、殺し合いに参加させられています。
私は貴方がサマナーとして召喚したリッチーで、名前はウィズと申します。
私は貴方をできる限り手助けしたいと思っています」

「殺し合いだって? なんだそれは? どういうことなんだーー」

 途中で男が硬直する

「……サマナーさん?」

 ウィズは「まさか……」と思いつつ、恐る恐る問いかける
 男はウィズの言葉に、はっとしたように目を見開くと、妙なものを見るような視線を彼女に向ける。

「ーーサマナー? 何故あんたは俺のことをそう呼んでいるんです? そしてここはどこで、どうして俺はここにいるんですか?」

 ウィズは頭を抱えた
 もうこのやり取りは4回目だった。

 悪魔として召喚されたことは、まだわかる。だが、いったいこのサマナーは何なのか?

 どうやらこの男性は、何らかの障害を患っているのか、長時間記憶をとどめておくことができないらしい。
 こうやって何度も状況を説明しても、数秒後にはすべて忘れてしまう
 それでも、アンデッドにしては人の良いウィズは、男を見捨てることに気が引けた。   

「……貴方は、その、殺し合いに……」

 もう一度説明するために、重い口を開く。

「殺し合い? どういうーー」

 もう限界だった。

「他のことを試してみましょう。
 貴方、私の言ったことをそれに書き留めてくれますか?」

 ウィズは男の持っている手帳型COMPを指差した。その口調には精神的疲労が滲んでいる

「あ、ああ」

 男は空気を察したのか、慌てて所持していた筆を手に取る

「ーー良いですか? 『あなたは魔神皇という少年の管理下で、殺し合いに参加させられています。
私は貴方がサマナーとして貴方が召喚したリッチーで、名前はウィズと申します』」

 男は言われた通りに、一言一句を聞き逃さずに、手帳に書き込んだ


「……え? あの、あなたは誰ですか?」

 呆けたような声で訪ねたのは、男ではなくウィズの方だった
 
「え? えーっと、俺はあんたを召喚したサマナーだろ? 憶えてないのかよ?」

 男の方はしっかりと覚えているらしい。困惑した様子で答えた

「えっ?」

 ウィズは不安げに周囲を見渡している

「だから、あんた憶えてないのか?」

「いえ……あの、ここはどこなんですか? この場所は何なんですか!?」

 錯乱したように叫び、彼女はへたりこんだ

 ーー思い出せない! 
 ーーここはどこなの?
 ーーあなたはだれ?

「私はーー私は『誰』なの!?」

 その質問に答えるものは、居なかった

【?????/1日目/朝】 
【SCP-909 ミスター・わすれっぽい@SCP Foundation】
[状態]:健康
[装備]:COMP(手帳型)、ポールペン
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気はない
※魔神皇なる人物によって、殺し合いに巻き込まれていることは理解しました
※ウィズのことも『自身が召喚した悪魔』として理解しています
※SCP-909の特異性の有効範囲はいくらか制限されています
[COMP]
1:ウィズ@この素晴らしい世界に祝福を!
[種族]リッチー
[状態]:混乱、記憶の喪失
[備考]
※『自分の名前』、『種族』、『魔神皇によって殺し合いが開催されている』、『自身がその参加者に悪魔として召喚された』という記憶をすべて喪っています
【捕捉】
クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0に従い、
SCP Foundationにおいて創作されたSCP-909のキャラクターを二次使用させて頂きました

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