焼かれた少年、爆発する首輪、頂点に立つもの・魔神皇。
命令、殺し合い、殺人、生き残れるのは、ただ一人のみ。
握られた命、用意された武器、悪魔という"力"。
必要なピースをそれぞれ並べながら、黒い帽子の少女、クレア・アンドリュースは思考する。
齢16にして飛び級で大学に入学し、考古学を通じて様々な謎や怪奇現象に向き合ってきた。
そんな彼女でも、このパターンは流石に初めてだ。
「古代遺跡から戻ってきたら、これか……」
考えても仕方がないところに辿り着いたところで、ため息混じりに腰を下ろす。
最低限の自衛ができる程度に、腕には自信がある。
しかし、恐怖に煽られた人々が、いかなる手段を用いてくるかは、予想不能だ。
今でこそ落ち着いていられるが、今ここで脳天を撃ちぬかれたとしても、何ら不思議な話ではない。
ましてや"悪魔"なんているのだから、意志の弱い人間がそそのかされてもおかしくはない。
生きることは難しいことだとはよく言うけれど、この場においては別の意味を持つだろう。
ともかく、自分がするべきことはある程度固まっている。
自分の命を握っている首輪、"作られた東京"、そして、魔神皇の目的。
その全ての謎を解明し、この殺し合いを脱出することだ。
敬愛する教授は側に居ないが、一人でもやれるところまではやるべきだ。
そこまで考えが辿り着いたところで、一つ深呼吸を挟んで、頬をばちばちと叩く。
「ま、気張りすぎても仕方がないよね。気楽に行こう」
緊張をほぐしながら、体をぐるぐると動かす。
そうさ、悩んで立ち止まるなんて、自分らしくないのだから。
動いて動いて、ぶつかった時にまた悩めばいい。
今までだって、そうしてきたんだから。
そうと決めてからの行動は早く、配られた物資の確認を進める。
食料は長く見積もって3日分、栄養バランスは少し偏ってしまうが、細かいことを言っている場合ではない。
武器らしきものを探すと、自分の得物である1セットのヒートソードが入っていた。
ツイている、と素直に喜ぶべきか、それとも殺しを迫られていると、怒るべきか。
ともかく、そのヒートソードを腰に携えようとした時、ふと気がつく。
それは只のヒートソードではなく、魔神皇が言っていたCOMPを兼ねていた。
刀身のところにうっすらと映る画面を見ながら、持ち手のところで操作を進めていく。
淡々と操作を進めていくと、ふわっとした光が刀身から漏れだし、一点に集まって、何かをかたどっていく。
悪魔、それを使役する召喚士の存在は、噂には聞いていたが、現物を見るのは初めてだ。
よもや自分がその召喚士になるとは思いもしなかったが。
そんなことを思いながら、彼女は光の中から現れる者を待った。
「貴方が召喚士? 私は忍者、シノよ。よろしくね」
現れたのは、すらっとした長身、真っ赤な目、白のマフラーと紫の忍装束。
そして、黒の長い髪で結われたポニーテールが特徴的な、一人の少女だった。
ほっ、と安心する。
とても意思疎通の図れそうのない魔物――――例えばタコとか、そういうのが出てきたらどうしようかと思っていた。
人型の、しかも自分とそう年の変わらなさそうな存在が出てきたのは、ありがたい話だ。
「私、クレア・アンドリュースよ。よろしくね、忍者さん」
「ふふっ、元気が良くて助かるわ」
笑顔で差し出した手に答えるように、シノも笑顔で応えて手を握り返す。
これから先、どうなるかはわからないが、ひとまず安心できそうで何よりだ。
「しかし、世界は残酷ね……」
握手の後、ふとシノがそうつぶやく。
意味がよく分からなかったので、クレアはそれを問い詰めることをしなかった。
その答えはシノの目線、それがクレアの豊満な胸に向いていたことを告げれば、理解してもらえるだろうか。
【?????/1日目/朝】
【クレア・アンドリュース@エアガイツ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ヒートソード型)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:謎を解明しつつ、殺し合いからの脱出
[COMP]
1:シノ@降魔霊符伝イヅナ
[種族]:忍者
[状態]:健康
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