俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

静かな水面を視界の端に捉えて、田村玲子は考える。
彼女は警官隊に銃撃されている時点で、この会場に連れてこられた。
あの衆人環視の状況から如何なる手段によって拉致されたのか、未だに答えが見つからない。

逃走経路の多い公園に潜んで、支給品の確認をしていると香ばしい臭いが漂ってきた。
玲子が足を向けると、召喚した悪魔が焚き火の前に座っている。

「おう、サマナー。丁度 飯が出来たぞ」

声を上げたのは、だらしない風体の男。癖毛を伸ばし放題にして、小汚い服装に身を包んだ姿は浮浪者の様だ。
瓶底眼鏡で目元が隠れているが、顔の輪郭は整っている。身ぎれいにすれば見違えるのではないか。

名をティキ・ミックと言い、横では黒豚が無惨な姿をさらしていた。
会場内をこれほど大型の動物が闊歩しているとも思えないので、玲子は魔神皇が放った悪魔だろうと見当をつけた。
串に刺された豚肉が火で炙られており、周囲には煙と臭いが充満している。

「これは?」

玲子はゆっくりと口を開いた。

「・・・豚?そのへんにいたんで捕まえたんだよ」

ティキは首を傾げつつ、大通りの方を指差す。

「・・・・・・お前、この状況で火を使う意味が分かっているのか」

冷えた金属を思わせる声で玲子が聞いた。

「あぁ、だから早いとこ食おうぜ。味は悪くないしさ」

「・・・・・・」

ティキはこんがりと焼けた豚串を手に取り、玲子にも一本差しだす。
蟻を見る目つきで見下ろす玲子だったが、何も言わず豚串を手に取り、焚き火の前に座った。
豚の肉焼きを挟んで、2人は向かい合う。
手に取った豚串を美味そうに頬張るティキをちらと見て、玲子も食事に取りかかる。
これまで食べた豚肉と概ね変わらないが、どこか言い難い風味がした。



「んで、これからどうするサマナー」

満足した様子のティキは一息つく。
彼は串焼きを7本平らげたが、玲子は最初の一本だけで止めた。
火は既に消えている。

「首輪を調べましょう。これを外さない限り、脱出への道は開けないわ」

玲子は指で示して、ティキに応じる。
首輪は寄生部分の動作を制限するらしく、宿主の胴体から分離することが出来なくなっている。
頭部を変形させる事はできたが、顔を変えることが出来なかった。

魔神皇の目的は不明だが、玲子も黙って殺されるつもりはない。
首輪を解析する場合、他の参加者と協力するのが上策だが、正体を明かすリスクを考えるとそれは避けたかった。
人間相手の殺し合いには乗らない参加者でも、パラサイト相手なら参加者も躊躇しないのではないか――という懸念が拭えない。
ティキには初見で看破された為、自身の正体について大まかに話してあった。

「そっか、オレは学が無いんでね。そっちはサマナーに任せる」

肩を竦めたティキは大儀そうに立ち上がる。それを気の無い様子で見ていた玲子は口を開いた。

「任せるって簡単に言うけど。貴方・・・役に立つの?」

「こっちの方は期待してくれて良いぜ?サマナー」

曲げた右腕を軽く叩いたティキが眼鏡を外し、ウェーブヘアーを後ろに撫でつけると同時に肌が灰色に染まった。額には十字架を思わせる聖痕が現れている。
玲子の想像通り、彼は若さに溢れる美しい目鼻立ちをしていた。

相変わらず小汚いシャツを纏っていたが、この端麗な容姿なら野性味として誤認させる事もできよう。
着飾って舞踏会に出れば、幾人もの貴婦人が気を惹こうと試みるはずだ。
とはいえパラサイトである玲子からすればティキの容姿も興味を引くものではなく、デイパックを背負うと、優雅に佇む彼を尻目に探索を開始した。


【?????/1日目/朝】
【田村玲子@寄生獣】
[状態]:健康
[装備]:COMP(携帯電話型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:脱出する。
※擬態能力が制限されています。
※首輪を外さない限り、宿主から分離できません。

[COMP]
1:ティキ・ミック@D.Gray-man
[種族]:魔人
[状態]:健康

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