俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

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    その日、世界は消滅した。




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人間界より遥か高く、人智を超越した世界――神々が暮らす天上の楽園。
来るべき決戦《ラグナロク》に備えるべくアース神族の最高神たるオーディンは戦乙女へ命ずる。

人間界に趣き、英雄たる魂を回収せよ。

高貴なる戦士の魂魄――エインフェリアを集めるために人間界へと降り立った戦乙女。
彼女の使命はオーディンの命令通りだ。
神々の決戦を制するべく、尖兵となる駒を集めることこそが、世界を安寧へと導く方程式であった。

数々の魂に触れ、時には人間の感情や業の深さに、己を省みる戦乙女。
その人間の中に、一人だけ異質を放つ男が存在していた。

彼は狂っていた。

戦乙女の美貌に心を奪われた彼は彼女に恋心を、いや、独占欲により上塗られた淡い心は狂気だ。
自分だけの物にするべく彼は――ホムンクルスの肉体として彼女を収めようと考えた。
人体錬成、それも器に入れる魂は人間を超越した神々の、謂わば神体とも呼べる存在であり、本来ならば人間の手には負えない。

けれど、彼は天才だった。

言ってしまえば簡単である。
魔術師と錬金術師を極める彼にとって、失われた文明や、人間には扱えない高度な魔術は関係ない。
何事をも熟し、彼の計画は戦乙女自身に止められるまでは、完璧であった。

一度の敗北を体験しようとも彼は諦めることは無く、そもそも選択肢として存在していたかも怪しい。

多少の経緯があり、戦乙女が肉体を失ったことで彼は動いた。

敵対した身でありつつもエインフェリア――戦乙女が集めた戦士の魂に接触し肉体を提供した。
彼が唯一守り抜いた幼き器《ホムンクルス》に一時的ではあるが、戦乙女の魂を憑着させ、一命を取り留める。

その後、戦乙女の別個体と対峙することになるも、彼が望んだ戦乙女は再び人間界に舞い降りた。

彼女は神々の決戦と仕組まれた全ての因縁や思惑を精算するために神界へ戻る。

ここで彼の役目は終わりを迎えることになった。



本来ならば、彼の物語はここで終わるはずだった。



戦乙女とヴァン神族の決戦は一度、全ての世界を消滅させ、新たな世界を構築した。


それにより全ての文明と生物が滅び、転生した。


この時に、唯の人間で唯一、生き延びた男――彼は生きていた。


それは賢者の石と呼ばれる錬金術師達が望む至宝であり、全ての知恵が籠められた奇跡を代償に彼は崩壞から免れた。


終末の炎に魂を焦がされなかった彼は、一つの希望を、絶対的な確信を持つこととなる。


実験は成功した――人間でありながら神に支配されない唯一の人間となった彼は過去の世界へ――跳ぶのが本来としての歴史である。


歴史とは常に曖昧であり、物語特有の着色がなされた劇である。


一説――彼が跳んだ先はミッドガルドではなく、東京と呼ばれる東洋の小さな島国であった。


錬金術も魔術も姿を消してしまった科学が基盤を成す都市。


全くの刺激が存在しない世界で彼は、知識だけを取り込んでいた。


いずれ戦乙女を己の物にするために。


世界を跳ぶ前に、より目的を達成するために、準備を進めていた。


そして魔神皇の声が響き――これは彼に纏わる一つの異説である……。







「願いを一つ叶える。
 まるで神の力を得ているような言い振りだが、全く……」



魔神皇の発言の中で目立つ点が複数ある。全てが奇抜な単語で構成されているがまずは願い。
「あの男に出来るなど誰が信じるのか……それに魔神皇、か。
 人間を超えた力を持っているのは間違いないが、到底神には及ばないだろう」
神々を体感した彼だからこそ、その力を知っており、魔神皇が同格であるとは思えない。

「魔力はミッドガルドの人間と比較しても尋常ではないかもしれない。
 しかしそれは世界が違う故に曖昧な判断でしか無い。基準など世界の枠を超えれば役には立ちません」

「悪魔を使役するようですが……それが魔神皇の力なのでしょう。
 なんとも低級な……いや、悪魔だからこそ人間の力を引き出そうとしているのでしょうか」

「彼の右腕……などになるつもりはありません。そのような茶番に付き合う義理も利用も必要もない。
 この儀式の目的さえ興味もありませんが、大方自分一人の力では覆せない現実に抵抗するための駒として選別するのでしょう」

「そこにはエインフェリアの足元に及ばない……魂に対する一切の礼や感情を感じない」

「首輪など何の意味も持たないでしょう。
 爆発されればこの世界の理に則り私は絶命する。
 ならばその前に解析を行い外せばいい……魔神皇の爪が甘ければの話ですが」




「ここまで話した中で貴方は何を思うのですか……悪魔よ」





悪魔。
彼に支給された賢者の石型COMPCから呼ばれた悪魔を見つめる。
けれど――その幼い悪魔は喋らない。



「おかあ……さ……ん」



「ハハハハハハハハ!!!
 何を言うかと思うとえば母親とは……ホムンクルスが情を求めるなど何の笑い話ですか。
 いや……不完全だからこそ、何かを求めるのかもしれませんね」



ホムンクルスの悪魔は多くを語らない。
幼き姿が求めるは母。そして彼が求めるは女神。

殺し合いの中で、魔術師が――レザード・ヴァレスはただ一人、何かを見据えて嗤っていた。

【?????/1日目/朝】



【レザード・ヴァレス@ヴァルキリープロファイル】
[状態]:健康
[装備]:賢者の石型COMP
[道具]:基本支給品、確認済み支給品
[思考・状況]
基本:魔神皇を倒してヴァルキリーを己のものにする。
0:魔神皇の目的には然程興味は無い。
1:帰る。
※原作終了→誤って現世に転移する(東京)→殺し合いに巻きこれました。

[COMP]
1:ラース@鋼の錬金術師
[状態]:健康
[種族]:ホムンクルス
0:???
※言語が不自由です

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