最終更新:ID:D7mAgB4hFg 2016年05月20日(金) 17:28:15履歴
閑静な朝の空気の中。
突如響き渡る不協和音。掻き鳴らされる真紅のエレキギター。
ジャングルジムのてっぺんにふんぞり返り、白衣の男は一際激しく弦を弾く、そのままピックを持った右手を頭上へと高く突き上げて――
「ドクタァァァァァァァ・ウェェェェストォォォォッッッ!!!!!」
――最大限のドヤ顔で叫んだ。
キマった。
恍惚とした表情の男の髪のてっぺんの毛がピョインとハートを形作る。
アホ毛だ。それも、動く部類の。なぜか。
この『超天才ドクター・ウェスト魅惑のスーパーモーニングライブ〜ジャパニーズ・リサイタル編〜』を、ただ一人聞いている(聞かされている)者がいた。
「(どうしてこのような目に……)」
ジャングルジムの上でポーズを決めたまま動かない男を見上げ、またすぐ俯き足元を見、パラケルススは青い顔をしていた。
真名、ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス。
本来ならば聖杯戦争において召喚される存在。
だが、今回の彼が現界して初めて聞いたのは自らを呼ぶ呪文ではなく、爆音で響き渡るギター――このエレキギターが男のCOMPであった――の音色だった。
(音色と表現するのもはばかられるほどの酷い不協和音でパラケルススは少しげんなりした)
真名を名乗る暇もなく相手が演奏を再開し、今に至る。
しかしこのままでも困るので、パラケルススは再びジャングルジムを見上げ、自分のマスターに声をかけることにした。
「あの、マ」
「ノォォーーーーーーーーッッ!!!!!我輩の名は超絶大・天・才ドクタァァァ・ウェェェェストッッッ!それ以外の呼び名で呼ぶなど失礼極まりないのである!じゃないと我輩悲しくて困っちゃう、嗚呼なんて可哀想な我輩。悲劇のヒロイン……もといヒーロー。天才であるが故に人に理解されずそれでも吾輩は未来へと進んでいくのだなあ。それが吾輩なんだなあ……みつを。んもう、涙チョチョ切れちゃう」
涙を拭う真似をするウェスト。パラケルススの顔色は更に悪くなった。
そんなパラケルススに向けてウェストはビシィ!と指を突き付けた。
「それに何をしているであるか!?せっかくこの我輩がギターソロライブを魅せてやったのである、普段なら黄色い悲鳴とラブコールの嵐が沸き起こりまくりのこの貴重で素晴らしい我輩の演奏に対して拍手の一つもないとは呆れてものも言えないのである。1(ワン)、2(ツー)、123ッヘイコォォォル!!ド・ク・ターッ・ウェ・ス・トッ!ド・ク・ターッ・ウェ・ス・トッ!」
「……」
パラケルススはぱちぱちと手を叩いた。満足げなウェスト。
「それにしても驚いたのである。どう見たってここはアーカムシティなどではないのである……おまけに我輩の最高傑作のエルザもスーパーウェスト無敵ロボ28號も影も形もないのである……」
ウェストは顎に手を当て、うむむと考え込む素振りを見せる。
パラケルススは嫌な予感がした。
「だがしっかーし!!この程度の問題など我輩には痛くも痒くもないのであーる!なぜなら我輩は天才だから!こんな天才が生まれて来てよかったのかしら。吾輩が天才すぎてごめんなさい。(ぺこりとお辞儀をするウェスト)はぁ才能ってコワイ……我輩自分の才能がコ・ワ・イ・わ……♡」
ハイなテンションでまくし立て、にまりと笑いながら自分で自分を抱きしめてくねくねしているウェストをパラケルススは呆然と見ていた。
アベレージ・ワン。エレメンタルの魔術師。彼もまた(ウェストが本当に天才であるとして)天才といわれた存在ではある。
……が、目の前の生き物はパラケルススの理解の範疇をはるかに超えていた。
「ないのならば作ればいいのであーーーーる!!我輩天才だもんできないことなんてないもん、なのである!一度発明したものを作り直すなんて朝飯前チョチョイのチョイなのであーる!だって我輩は世紀の大天才ドクタァァァウェェストッッ!!そこで我輩を見上げている貴様、貴様も我輩の作品に加えてやってもいいのであ〜る。まずはそうね、両腕をドリルにするところから初めてみちゃったり」
「お断りします」
嫌な予感は本物だった。
間髪を容れず断ったパラケルススにウェストはショックを受けたようだ、ワナワナと震えている。
「な、な、な、なんとッッ!?貴様……この我輩の天才的な提案を断るであるか!?なんという……なんという愚かな……」
「わ、私はサーヴァント、キャスター。そんなことをせずとも、戦う術は持ちあわせております、マスター」
「ノ〜〜ンノンノン。“うわさの超天才ドクター・ウェスト様”である、ふんっ」
「………………うわさの……」
「ふんっ」
「超、天才……」
「ふんっ」
「……ドクター・ウェスト、様」
「……ま、よかろうなのである」
ウェストが意外にもすんなりと機嫌を直したので、パラケルススはほっとした。
「……そ、それでですね、私は貴方に喚ばれた訳ですが、先程申し上げた通り私はキャスター、名をパラケ――」
「ぬぁにぃぃ??貴様、キャスター――魔術師、魔術師と申すのであるかぁ??これはなんという悲劇!もとい喜劇!プー!魔術など笑止千万!!時代は科学であーる!!我輩の発明を見よ!!(ギュイーーンとギターを鳴らすウェスト)パラとかポラとかなんとか知らないけどダメダメダ〜メ、ムリムリム〜リ〜!なのであーる!」
自らを天才と豪語するウェストだが、その知識は確かに本物、むしろ人並み以上。だから、ウェストもパラケルススの名は必ず知っているに違いないのだが。
ハイになったウェストはパラケルススに自己紹介を完遂させることも許さない。
いよいよ先行きが不安になってきていた。
頭がくらくらするのを感じながら、パラケルススは悲しい顔をした。
【?????/1日目/朝】
【ドクター・ウェスト@デモンベインシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(エレキギター型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:破壊ロボを作成する
[COMP]
1ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス:@Fate/GrandOrder
[状態]:健康
突如響き渡る不協和音。掻き鳴らされる真紅のエレキギター。
ジャングルジムのてっぺんにふんぞり返り、白衣の男は一際激しく弦を弾く、そのままピックを持った右手を頭上へと高く突き上げて――
「ドクタァァァァァァァ・ウェェェェストォォォォッッッ!!!!!」
――最大限のドヤ顔で叫んだ。
キマった。
恍惚とした表情の男の髪のてっぺんの毛がピョインとハートを形作る。
アホ毛だ。それも、動く部類の。なぜか。
この『超天才ドクター・ウェスト魅惑のスーパーモーニングライブ〜ジャパニーズ・リサイタル編〜』を、ただ一人聞いている(聞かされている)者がいた。
「(どうしてこのような目に……)」
ジャングルジムの上でポーズを決めたまま動かない男を見上げ、またすぐ俯き足元を見、パラケルススは青い顔をしていた。
真名、ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス。
本来ならば聖杯戦争において召喚される存在。
だが、今回の彼が現界して初めて聞いたのは自らを呼ぶ呪文ではなく、爆音で響き渡るギター――このエレキギターが男のCOMPであった――の音色だった。
(音色と表現するのもはばかられるほどの酷い不協和音でパラケルススは少しげんなりした)
真名を名乗る暇もなく相手が演奏を再開し、今に至る。
しかしこのままでも困るので、パラケルススは再びジャングルジムを見上げ、自分のマスターに声をかけることにした。
「あの、マ」
「ノォォーーーーーーーーッッ!!!!!我輩の名は超絶大・天・才ドクタァァァ・ウェェェェストッッッ!それ以外の呼び名で呼ぶなど失礼極まりないのである!じゃないと我輩悲しくて困っちゃう、嗚呼なんて可哀想な我輩。悲劇のヒロイン……もといヒーロー。天才であるが故に人に理解されずそれでも吾輩は未来へと進んでいくのだなあ。それが吾輩なんだなあ……みつを。んもう、涙チョチョ切れちゃう」
涙を拭う真似をするウェスト。パラケルススの顔色は更に悪くなった。
そんなパラケルススに向けてウェストはビシィ!と指を突き付けた。
「それに何をしているであるか!?せっかくこの我輩がギターソロライブを魅せてやったのである、普段なら黄色い悲鳴とラブコールの嵐が沸き起こりまくりのこの貴重で素晴らしい我輩の演奏に対して拍手の一つもないとは呆れてものも言えないのである。1(ワン)、2(ツー)、123ッヘイコォォォル!!ド・ク・ターッ・ウェ・ス・トッ!ド・ク・ターッ・ウェ・ス・トッ!」
「……」
パラケルススはぱちぱちと手を叩いた。満足げなウェスト。
「それにしても驚いたのである。どう見たってここはアーカムシティなどではないのである……おまけに我輩の最高傑作のエルザもスーパーウェスト無敵ロボ28號も影も形もないのである……」
ウェストは顎に手を当て、うむむと考え込む素振りを見せる。
パラケルススは嫌な予感がした。
「だがしっかーし!!この程度の問題など我輩には痛くも痒くもないのであーる!なぜなら我輩は天才だから!こんな天才が生まれて来てよかったのかしら。吾輩が天才すぎてごめんなさい。(ぺこりとお辞儀をするウェスト)はぁ才能ってコワイ……我輩自分の才能がコ・ワ・イ・わ……♡」
ハイなテンションでまくし立て、にまりと笑いながら自分で自分を抱きしめてくねくねしているウェストをパラケルススは呆然と見ていた。
アベレージ・ワン。エレメンタルの魔術師。彼もまた(ウェストが本当に天才であるとして)天才といわれた存在ではある。
……が、目の前の生き物はパラケルススの理解の範疇をはるかに超えていた。
「ないのならば作ればいいのであーーーーる!!我輩天才だもんできないことなんてないもん、なのである!一度発明したものを作り直すなんて朝飯前チョチョイのチョイなのであーる!だって我輩は世紀の大天才ドクタァァァウェェストッッ!!そこで我輩を見上げている貴様、貴様も我輩の作品に加えてやってもいいのであ〜る。まずはそうね、両腕をドリルにするところから初めてみちゃったり」
「お断りします」
嫌な予感は本物だった。
間髪を容れず断ったパラケルススにウェストはショックを受けたようだ、ワナワナと震えている。
「な、な、な、なんとッッ!?貴様……この我輩の天才的な提案を断るであるか!?なんという……なんという愚かな……」
「わ、私はサーヴァント、キャスター。そんなことをせずとも、戦う術は持ちあわせております、マスター」
「ノ〜〜ンノンノン。“うわさの超天才ドクター・ウェスト様”である、ふんっ」
「………………うわさの……」
「ふんっ」
「超、天才……」
「ふんっ」
「……ドクター・ウェスト、様」
「……ま、よかろうなのである」
ウェストが意外にもすんなりと機嫌を直したので、パラケルススはほっとした。
「……そ、それでですね、私は貴方に喚ばれた訳ですが、先程申し上げた通り私はキャスター、名をパラケ――」
「ぬぁにぃぃ??貴様、キャスター――魔術師、魔術師と申すのであるかぁ??これはなんという悲劇!もとい喜劇!プー!魔術など笑止千万!!時代は科学であーる!!我輩の発明を見よ!!(ギュイーーンとギターを鳴らすウェスト)パラとかポラとかなんとか知らないけどダメダメダ〜メ、ムリムリム〜リ〜!なのであーる!」
自らを天才と豪語するウェストだが、その知識は確かに本物、むしろ人並み以上。だから、ウェストもパラケルススの名は必ず知っているに違いないのだが。
ハイになったウェストはパラケルススに自己紹介を完遂させることも許さない。
いよいよ先行きが不安になってきていた。
頭がくらくらするのを感じながら、パラケルススは悲しい顔をした。
【?????/1日目/朝】
【ドクター・ウェスト@デモンベインシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:COMP(エレキギター型)
[道具]:基本支給品、未確認支給品
[思考・状況]
基本:破壊ロボを作成する
[COMP]
1ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス:@Fate/GrandOrder
[状態]:健康
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