俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。 サマナーズ・バトルロワイアルのまとめWikiです

 四方八方、ビルが立ち並ぶ街、東京。
 見慣れたその光景の中で、一人震える少年が居た。
 青い学生服に身を包み、頭には白の鉢巻を巻いている彼の名は、矢吹真吾。
 かのTHE KING OF FIGHTERSにも何度も出場した、今では立派な格闘家の一人だ。
 憧れの人を追う内に謎の組織と戦いを繰り広げたり、三神器の力を狙う妙な連中に巻き込まれたり。
 挙句の果てに暴走しかけた怖い男に殺されかけたりもしたことがある。
 しかし、そんな幾多もの格闘経験がある彼ですら、怖くて仕方がなかった。
 そう、"誰かを殺せ"と命じられることなんて、今まで一度たりともなかったのだから。
 無理もない、彼だって元々はどこにでもいる高校生の一人だ。
 誰かの命を奪わなければ、生き残れない。
 そうでなければ、今度こそ自分は死んでしまう。
 やらなければ、やられる。
 そんな状況に、ただの高校生が追い詰められて、どうして怯えずに居られようか?

「草薙さん……」

 憧れの人の名前を、ぼそりとつぶやく。
 けれど、その人は今の自分を助けてくれるわけではない。
 いや、ひょっとしたら彼も巻き込まれているのかもしれない。
 今まで経験してきたことを考えれば、それは十分に考えられることだった。
 自分の身は、自分でなんとかするしか無い。
 単純なこと、それは分かりきっているけれど。
 誰かの命を奪ってしまう、ただそれだけが、どうしても怖くて、動けない。

「俺、俺……」

 ふと気がつけば、袋から端末を取り出していた。
 それは、魔神皇の手によって配られた、一つの力。
 俗に"悪魔"と呼ばれる存在を、呼び出せるたったひとつの手段。
 この状況を、少しでも変えてくれるだろうか。
 そう頭によぎってからは、行動は驚くほど早かった。

「うわっ!?」

 突然光を放った端末を、思わず放り投げてしまう。
 誰しもに馴染みがあるわけではない、悪魔召喚。
 音はなく、ただ光だけがそれを成している。
 そんなことを知ることもなく、彼はずっと目をそむけ続けていた。
 そして、少しの時間が経った時。

「お前が、サマナーか?」

 ふと、彼に呼びかけるのは、一つの声。
 恐る恐る目を開くと、そこには一人の男が立っていた。
 いや、確かにそれは男だったのだが、ただの男ではなかった。
 橙色に輝く、大きな両腕。刺々しく伸びる羽のような赤い何か、そして、仮面を被っているかのような顔。
 たしかにそれは、"悪魔"と呼ぶにふさわしかった。

「えっ、あ、はい、そうです、俺、真吾って言います。矢吹真吾」
「そうかい真吾、俺から問うのは一つ。テメェは、これからどうするつもりだ」

 驚きが続き、もはや何がなんだか分かっていない真吾に対し、現れた男は一つの問いかけを投げる。
 質問を投げられたことに気づかなかったのか、少し遅れて、真吾は悩み始める。
 問いかけに対する答え、それは先程からずっと悩んでいる事。

「分からないんです……俺、怖くて。誰かを殺すなんて、絶対に出来っこないから。
 でも、死にたくないんです。けれど、俺は今……」

 だから、今の気持ちをそのまま伝える。
 自分がどうすべきかなんて、自分が分かっていないのだから。

「はっ、それがお前の"弱い考え"か」

 そんな真吾の答えを、悪魔は笑い飛ばした。
 えっ、と思わず言葉を漏らす真吾に対し、悪魔は話を続ける。

「いいか真吾、反逆しろ。お前のその弱い考えにな」
「反……逆?」
「そうだ」

 続いたのは、思ってもいない言葉だった。

「お前があの魔神皇より弱いなんて、誰が決めた? やりもしないうちから、そうだと決めてるだけじゃないのか?
 まずはやってみせろ、アイツより弱いと思ってる、お前自身に反逆すんだよッ!!」

 とても乱暴で、ガサツで、身も蓋もない言葉。
 けれど、真吾はその男の姿に、自分の憧れの人の姿を見た気がした。
 ああきっと、あの人でも同じようなことを言うのだろう。

「……分かりました、俺、どこまでやれるかわかんないけど、やってみます!」
「ああ、そう来なくっちゃなァ! 行こうぜ真吾、俺達の反逆の始まりだ!!」

 ひとまずの迷いは消えた。進むべき道も決まった。自分のやれること、それをやりつくすだけだ。

 そうして真吾は、反逆の一歩を踏み出した。

【?????/1日目/朝】
【矢吹真吾@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:COMP(スマートフォン型)
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本:
[COMP]
1:蒼乃カズマ@スクライド(漫画版)
[種族]:反逆者
[状態]:健康

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