東京、それは、教科書でしか知らない街。
新型爆弾――――もとい、"アキラ"によって破壊された、日本で唯一の都市。
それから生まれた都市、ネオ東京。
少年、甲斐はその街に住む……もとい、住んでいた一人だ。
壊滅状態のネオ東京で「大東京帝国」を謳い、全てに宣戦布告をする男、島鉄雄を止めるべく日々策を練っていた。
その矢先に、彼はここに呼び寄せられた。
「殺し合い、だってよ……何だって、そんなことしなきゃいけねェんだ」
頭をかきむしりながら、甲斐は思わず愚痴をこぼす。
超能力、人知を超えた力、そういうモノに魅入られたものは、こうも"狂って"しまうものなのか。
先ほどの場所でいとも簡単に、二人の命を殺してみせた少年の目も、やはり狂っていた。
ともかく、巻き込まれた以上は、この状況をなんとかしなくてはいけない。
人殺しを積極的に行うつもりはないが、表立って反逆の意志を示すわけにもいかない。
自分の命を握っている首輪、これへの対処が、何よりも先決だ。
焦ってはいけない、来るべき時を待つことは、もう慣れきっている。
そうと決めたところで、甲斐は傍にあった袋を確認し始める。
せめて、工具の類でもあれば良かったのだが、中に入っていたのは食料と拳銃、それにゴーグルだ。
はぁ、とため息をついた後、なんとなしにゴーグルを手早く装着してみる。
その時、それが只のゴーグルではないことが分かった。
浮かび上がる無数の文字、進んでいく処理、そして放たれる光。
これはコンピュータだったのか、と甲斐は驚嘆していた。
「お前か?」
「え?」
すると、突然背後から声をかけられる。
振り向くと、そこには蛍光色のきついピンクのドレスに身を纏った、怪しい姿の緑髪の女性が立っていた。
幻か? と思いゴーグルを外し、目を擦ってみるが、女性は幻でも何でも無く、そこにはっきりと立っていた。
「私を呼び出したのは、お前かと聞いている」
「あ、はい。そうです、僕です」
少し苛立った声で、女性は甲斐へと問いかけ、甲斐もそれに間を置かずに答えていく。
全身から溢れ出る気品さは、まるで貴族のようであった。
しかし、甲斐はその裏に隠されている、"何か"を感じ取りつつあった。
「ふん……矮小な人間に呼び出されるとは、な……あの魔神皇とやら、随分とナメた真似をしてくれるじゃないか」
「えっと、あのー……?」
「私の名はアセルス。妖魔の王として、そして何れは全ての王として君臨する者だ」
明らかに機嫌の悪そうな声で、現れた女性、アセルスはそう名乗った。
思えば、始めからずっと高圧的な態度で自分のことを見ている。
ああ、これが"悪魔"という存在なのだろうか。
どうにも協力は望めそうにないか、と落胆しかけていた時だった。
「おい、人間」
「は、はいッ」
「名を聞かせろ、それくらいは覚えてやる」
「あ、はいッ。俺ッ、甲斐って言います!」
慌てて名前を答えながら、甲斐はアセルスをじっと見つめる。
見てくれは人間のそれに近いが、ところどころ人間とは違う箇所が見られる。
そして、わざわざ"人間"と呼ぶあたり、露骨に"下"に見ているのか感じ取れる。
こういう高圧的なタイプは疲れるが、上手くいけば"乗せ"やすい。
あとは、自分が上手くやるだけだ。
「フン、下賤の民らしい名だな……まあいい、このアセルスが全てを蹴散らしてくれよう。お前は私の姿を黙って見ていればいい」
まずは"間違えない"事。
それを意識の隅に置きながら、甲斐はアセルスの姿を、じっと見つめていた。
【?????/1日目/朝】
【甲斐@AKIRA】
[状態]:健康
[装備]:COMP(ゴーグル型)、ハンドガン
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:機を待つ、首輪の情報を集める。
[備考]
※3巻以降、金田合流前
[COMP]
1:アセルス@サ・ガ フロンティア
[種族]:妖魔
[状態]:健康
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