最終更新:ID:GsIdXvdGog 2016年05月21日(土) 22:58:15履歴
深い森の中――木が生い茂り、周囲の様子が全く把握できない程の大森林。
僅かに朝日が差し込むばかりの薄暗い空間で、少女は目を覚ました。
少女の名は――キャロ・ル・ルシエ。
彼女はかつて機動六課という部隊で活躍していた竜召喚士であった。
「あれは……? 夢……だったのかな?」
ぼんやりとだけ覚えている広い空間での記憶を、少しずつ辿っていく。
白ランの少年の事も少女達の死も、どこか現実離れしていた。
現在は自然保護隊に所属している事も手伝って、彼女には森は馴染みの深い場所である。
その為かここは現実で、任務中に寝てしまったのかと勘違いしてしまった。
「フリード……は、エリオ君のところだっけ」
いつも一緒にいた白竜を呼ぶが、機動六課解散後は別の同僚を手伝っている事を思い出す。
つまり、それはこの場にはキャロ一人しかいないということの証明であった。
「とりあえず、ここがどこだか確認しないと……」
魔法を使い、上空から調査しようとキャロはその場で立ち上がろうとする。
するとその時――ズシリと肩に違和感がのしかかった。
肩を見ると、薄いベージュのショルダーポーチが下がっていた。
横になっている時は気付かなかったが、立つことによって確かな重量を感じることができたのだ。
「あれ? 私こんなポーチ下げてたっけ?」
少し疑問を抱いたが、今は荷物の確認よりも現在地の確認を優先したかった。
そのため、キャロはポーチを特に気に留めずに空を飛ぶ準備を始めた。
しかし――
「あれ!?」
いつも待機状態で左手首に巻いてあるはずの、ブーストデバイス『ケリュケイオン』が無くなっていることに気がついた。
慌てて足元や周囲を探してみても、それらしき物は見当たらない。
誰かに盗まれたのだろうか――焦燥感がキャロを襲い、いつの間にか大声を上げていた。
「ケリュケイオン! 聞こえてたら返事して!」
『……こです……ター』
「ケリュケイオン!?」
まさかとは思ったが慣れ親しんだブーストデバイスの声は、さっき後回しにしたポーチの中から聞こえてきた。
とっさにポーチを開き、ケリュケイオンを取り出す。
すぐさま求めるように両手に履くと、いつもの感覚に少し緊張が和らいでいくのがわかった。
「ケリュケイオン、今の状況ってわかる?」
『はい、マスター。我々は魔神皇によって殺し合いを強制されている立場にあります。また、私自身も彼らによって悪魔を呼び出す機能の付与など、様々な改造が施されています』
「え!?……あれって夢じゃなかったんだ」
ケリュケイオンが告げたのは、悪夢のような光景が夢ではないことに留まらず、デバイスが改造されているという悲劇だった。
そうなれば当然機能を追加しただけではなく、魔法や召喚術にも手が加えられていると見ていいだろう。
上方修正されているなどと思うほどキャロは楽天的ではない、恐らく制限されていると見るべきだろう。
魔神皇と名乗る青年は、口ぶりから察するに悪魔を使って戦わせたいはずなのだから。
『マスター、悪魔召喚プログラムを起動しますか?』
キャロの思考を読み取ったかのように、ケリュケイオンが悪魔召喚を促してくる。
「うん、お願い、ケリュケイオン」
キャロは迷わなかった。
いざとなれば少しくらいは魔法も使えるだろうし、危ない悪魔ならケリュケイオンが戻してくれるはずだからだ。
魔法を使用する際のように、キャロの周囲が光り輝く。
そして、悪魔の召喚は成された。
「私を召喚したのは貴様か、小娘?」
やはりと言うべきか、キャロが召喚したのはどこからどう見てもドラゴンであった。
2〜3メートルはあるであろう身体は、キャロが見上げないと顔を見ることすら叶わない。
しかし、フリードリヒやヴォルテールが完全体になった時よりは大分小さい。
竜という種族に慣れていることもあってか、キャロは恐れずに話しかけることができた。
「はい、私は竜召喚士のキャロ・ル・ルシエと申します。貴方は?」
竜の悪魔はキャロを見た瞬間奇妙な感覚を覚えたが、名乗りを聞いて得心がいったようだ。
竜とともに暮らす民族『ル・ルシエ』の巫女であるキャロは、竜に好かれる類稀なる才能があるのだ。
その悪魔は竜でありながら竜という種族を超越し、一般に“竜の弱点”とされている物が一切効かない正真正銘の化物だ。
しかし、キャロの“それ”は竜を打倒するための力ではなく、むしろ好かれるための物である。
神々さえ恐れ、近づくことがない自分に対して気安く――しかし敬意を持って接するキャロの姿は、悪魔にとって新鮮なものだった。
「ふん、くだらない人間だったら殺してしまおうかと思っていたが……気が変わった」
故に、悪魔はキャロを認めた。
自分の名を聞き、一時的ではあるが共に歩む事を許すことにした。
「よく聞け、我の名を。そして畏れ敬え、我が名は――ブラッドヴェイン!!」
神スルトでさえも耳をふさぐ魔竜『ブラッドヴェイン』の名を、キャロはしっかりと胸に刻みこんだ。
殺伐とした殺し合いの中で、お互い頼っていく大切な相棒なのだから。
機動六課の名に泥を塗らぬよう、弱きを助け悪を挫く為に。
少女は――前に進むのだ。
【?????/1日目/朝】
【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:ケリュケイオン(COMP機能付き)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:生き残り、無事に帰る。
[備考]:機動六課は地球上に存在する魔導師部隊です。
[COMP]
1:ブラッドヴェイン@ヴァルキリープロファイル
[種族]:魔竜
[状態]:健康
僅かに朝日が差し込むばかりの薄暗い空間で、少女は目を覚ました。
少女の名は――キャロ・ル・ルシエ。
彼女はかつて機動六課という部隊で活躍していた竜召喚士であった。
「あれは……? 夢……だったのかな?」
ぼんやりとだけ覚えている広い空間での記憶を、少しずつ辿っていく。
白ランの少年の事も少女達の死も、どこか現実離れしていた。
現在は自然保護隊に所属している事も手伝って、彼女には森は馴染みの深い場所である。
その為かここは現実で、任務中に寝てしまったのかと勘違いしてしまった。
「フリード……は、エリオ君のところだっけ」
いつも一緒にいた白竜を呼ぶが、機動六課解散後は別の同僚を手伝っている事を思い出す。
つまり、それはこの場にはキャロ一人しかいないということの証明であった。
「とりあえず、ここがどこだか確認しないと……」
魔法を使い、上空から調査しようとキャロはその場で立ち上がろうとする。
するとその時――ズシリと肩に違和感がのしかかった。
肩を見ると、薄いベージュのショルダーポーチが下がっていた。
横になっている時は気付かなかったが、立つことによって確かな重量を感じることができたのだ。
「あれ? 私こんなポーチ下げてたっけ?」
少し疑問を抱いたが、今は荷物の確認よりも現在地の確認を優先したかった。
そのため、キャロはポーチを特に気に留めずに空を飛ぶ準備を始めた。
しかし――
「あれ!?」
いつも待機状態で左手首に巻いてあるはずの、ブーストデバイス『ケリュケイオン』が無くなっていることに気がついた。
慌てて足元や周囲を探してみても、それらしき物は見当たらない。
誰かに盗まれたのだろうか――焦燥感がキャロを襲い、いつの間にか大声を上げていた。
「ケリュケイオン! 聞こえてたら返事して!」
『……こです……ター』
「ケリュケイオン!?」
まさかとは思ったが慣れ親しんだブーストデバイスの声は、さっき後回しにしたポーチの中から聞こえてきた。
とっさにポーチを開き、ケリュケイオンを取り出す。
すぐさま求めるように両手に履くと、いつもの感覚に少し緊張が和らいでいくのがわかった。
「ケリュケイオン、今の状況ってわかる?」
『はい、マスター。我々は魔神皇によって殺し合いを強制されている立場にあります。また、私自身も彼らによって悪魔を呼び出す機能の付与など、様々な改造が施されています』
「え!?……あれって夢じゃなかったんだ」
ケリュケイオンが告げたのは、悪夢のような光景が夢ではないことに留まらず、デバイスが改造されているという悲劇だった。
そうなれば当然機能を追加しただけではなく、魔法や召喚術にも手が加えられていると見ていいだろう。
上方修正されているなどと思うほどキャロは楽天的ではない、恐らく制限されていると見るべきだろう。
魔神皇と名乗る青年は、口ぶりから察するに悪魔を使って戦わせたいはずなのだから。
『マスター、悪魔召喚プログラムを起動しますか?』
キャロの思考を読み取ったかのように、ケリュケイオンが悪魔召喚を促してくる。
「うん、お願い、ケリュケイオン」
キャロは迷わなかった。
いざとなれば少しくらいは魔法も使えるだろうし、危ない悪魔ならケリュケイオンが戻してくれるはずだからだ。
魔法を使用する際のように、キャロの周囲が光り輝く。
そして、悪魔の召喚は成された。
「私を召喚したのは貴様か、小娘?」
やはりと言うべきか、キャロが召喚したのはどこからどう見てもドラゴンであった。
2〜3メートルはあるであろう身体は、キャロが見上げないと顔を見ることすら叶わない。
しかし、フリードリヒやヴォルテールが完全体になった時よりは大分小さい。
竜という種族に慣れていることもあってか、キャロは恐れずに話しかけることができた。
「はい、私は竜召喚士のキャロ・ル・ルシエと申します。貴方は?」
竜の悪魔はキャロを見た瞬間奇妙な感覚を覚えたが、名乗りを聞いて得心がいったようだ。
竜とともに暮らす民族『ル・ルシエ』の巫女であるキャロは、竜に好かれる類稀なる才能があるのだ。
その悪魔は竜でありながら竜という種族を超越し、一般に“竜の弱点”とされている物が一切効かない正真正銘の化物だ。
しかし、キャロの“それ”は竜を打倒するための力ではなく、むしろ好かれるための物である。
神々さえ恐れ、近づくことがない自分に対して気安く――しかし敬意を持って接するキャロの姿は、悪魔にとって新鮮なものだった。
「ふん、くだらない人間だったら殺してしまおうかと思っていたが……気が変わった」
故に、悪魔はキャロを認めた。
自分の名を聞き、一時的ではあるが共に歩む事を許すことにした。
「よく聞け、我の名を。そして畏れ敬え、我が名は――ブラッドヴェイン!!」
神スルトでさえも耳をふさぐ魔竜『ブラッドヴェイン』の名を、キャロはしっかりと胸に刻みこんだ。
殺伐とした殺し合いの中で、お互い頼っていく大切な相棒なのだから。
機動六課の名に泥を塗らぬよう、弱きを助け悪を挫く為に。
少女は――前に進むのだ。
【?????/1日目/朝】
【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:ケリュケイオン(COMP機能付き)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:生き残り、無事に帰る。
[備考]:機動六課は地球上に存在する魔導師部隊です。
[COMP]
1:ブラッドヴェイン@ヴァルキリープロファイル
[種族]:魔竜
[状態]:健康
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