作品名 | 作者名 | カップリング | 作品発表日 | 作品保管日 |
無題 | 337氏(36スレ目) | リッド×ファラ | 2010/09/04 | 2013/2/27 |
セイファートリング崩壊から2年、最果ての村ラシュアンではいつもと代わらない日々が続いていた。
「よしっ、今日はこんなもんか。」
彼は手早くベアの加工を済ませ、慣れた手つきで今日の獲物を纏めあげる。
「ふぅ」
激動の少年を越えて再び日常を手に入れた青年リッド・ハーシェルは二つの悩みを抱えていた。
一つは最近彼同年代の村仲間が次々と結婚していること
ちなみに友人であり戦友であるキールと空の上から落ちて来た少女メルディの二人は半年前、セレスティアにいった際正式な交際を聞かされた。
一年前から交際はスタートしていたようだ。泣き虫キールに先を越されるとは思っても見なかった。
「あーあ、キールのやつ。」
羨ましいかな、いやいやそんなことはないと一人空を見上げ幸せそうな二人を思い出した。
………
……
…
彼らがアイメンに訪れた夜の会話である
「キール、パジャマどこか〜?」
「右から2段目のタンスの中だろう、自分の衣服の場所ぐらい把握しておけ」
「ありがとなー今日はどんな服がいいかなーこんなのどかな〜」
ごそごそと物色を続けるメルディ。
「こんなのでましたー」
「ぶっ!」
「めめめめめメルディ!」
メイド服を広げるメルディ。
「キールぅ、今日はこれでよいか?」
撫で声でキールに尋ねるメルディ。
「ばばばかっ!リッドがいるんだぞぉ」
真っ青になるキールを見て、ケラケラと笑うメルディ。唖然と見つめるリッド。
「じょうだんだょう、キールはこれ着ると乱ぼ」
「うああああ!寝る!寝ようリッドっ!寝室は向かいの部屋だ!」
………
……
…
「その日の夜はちゃっかりと部屋抜け出してんだよなぁ……」
一人森のど真ん中でクスッと笑うリッド。
「ふう」
最近自分でもため息が多いと青年は思い始めた。
帰路をたどり家についた彼はひとりドアを開ける
「ただいま」
リッドは誰もいないはずの部屋に落とすようにつぶやいた。
「おかえりっ〜」
ベッドに転がりながら足をパタパタさせ、満面の笑みをこちらに投げかける少女…いや女性ファラ・エルスデット。青年リッドの悩みの種二つ目はこの女性である。
「なにやってんだ、ファラ」
「ん〜特になんにも。」
うりうりと枕を抱きしめるながら答える。
「で、今日は大量かな?」
「別に、今日食べる分をしかとって来てねーよ」
ファラは微笑む。相変わらずだなぁ、とでもいいたそうである。
リッドは独り苦悩する。ファラのいまいるベッドで毎日寝るのだがここ最近は毎日のように狩りから帰ればベッドにいる、昔はなにも思わなかったが、今では睡眠時にファラの匂いやその日のベッドでの行動を思い出してしまう。
さらにここ半年、急に色っぽくなった、服装もゆったりしたものから衣服が密着するようなものを着用するようになり、ただでさえ大きな胸と尻はまさに悶絶ものであった。自分は彼女が好きである、しかし親友としてなのか、それとも恋愛対象なのか…それが彼の悩みであった。
「あっ、いま失礼なこと考えてたでしょ」
「いや、んなことねーよ」
冷静に、あくまで冷静に返そうとするリッド。
「そ」
返事をすると少し残念そうに部屋を出ようとしていた。
静寂
最近は会話につまることが多い。別に会話に困っているわけではないが、何となくどちらとなく話しかけづらい。その理由をリッドは知っている。知っていて知らないフリをしていた。
「あ、あしたはオムレツ作ってくるね、ピクニックでもしようか!」
切り出すように気まずい空気を掻き乱す。
リッドの両手に力が篭る、喉からうねるような声でつぶやく
「ファラ」
「あ、明日は晴れるといいなぁ、ね、たまごはいくつ使おうかっ!」
「ファラ」
気がついている。お互いに。
「……………ねぇ、リッド。なにも変わらないのが一番…何でしょ?」
これは拒絶なのか、と一瞬リッドは、絶望に片足を突っ込みかけた。一言、いわなければと真っ白になった頭で言葉を紡いだ
「私は嫌、前にすすみ」
「す……き…だ」
彼女の言葉を遮り、再び静寂は訪れた。
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