1

「君もここで道の教えを学び始めて、とうとう4年目になりましたね。おめでとう」
「中々飲み込みが早くて、教えがいがありましたな!…が、これからも気を抜かずに修行に励むのだぞ?」
神子様の言葉も、布都様の言葉も、僕にはとても嬉しかった。
でも、一番言葉を貰いたい人がいるのに、その人からはまだ声すらも。
「おや屠自古?どうしました、貴女もこちらに…」
神子様に声を掛けられても、屠自古さんはぷいっと空ばかり眺めている。
一瞥もしてくれないのは、なにか理由があるのだろうか。
「…ははーん、屠自古のやつ、我々がこいつを独占しているのを見て嫉妬しておりますぞ♪」
「ふふっ、別に君の事が気に入らなくなったりした訳じゃないさ。安心しなよ」
「祝いたいなら素直におめでとうと言えばいいだろうに…屠自古は本当に面倒な奴じゃあ♪」
「…てめっ…」
小声のまま布都様に向けた拳をびたりと止め、ゆっくりと、僕の手首へ進めていく。
「ちょっと…お前、来いって…」
そのまま強引に掴まれ、ずるずる何処かへ連れて行かれてしまう。
真っ赤な表情で俯く彼女からは何を考えているのかまるで分からなかった。

2

連れて行かれた場所は、彼女の居室。
掴まれた手首ごとベッドに放られ、そのままぼふりと柔らかい弾力に飛び込んでしまう。
仰向けになった僕に、彼女が覆いかぶさる。潤んだ瞳と真っ赤な顔が、今にも崩れそうだ。
「…わたしはっ、人前で面と向かっておめでとうとか言うの、ニガテなんだよっ…」
…屠自古さんは僕の面倒をよく見てくれた。
神子様や布都様が他の道士の面倒で忙しくても、僕をかまってくれていた。
道術の練習で失敗しても、励ましてくれた。
そんな彼女から、こんな言葉を貰えたことが嬉しくて。
だから僕は、小さく、ありがとうございますと呟いた。
「〜〜〜〜っ!!」
…それほどまでに恥ずかしいのだろうか、真っ赤だった顔がもっと赤く染まっていく。
それでもなんとか落ち着こうと、すっと一呼吸。
覚悟を決めた表情の彼女に合わせて瞼を閉じると、少しして、厚くて熱い感触が唇に触れた。

3

「っ…恥ずかしいけど、ここ、使ってくれるか…?」
白い足の根元に見える、ぱっくりと割れたピンクの中身。
初めて見た女性のものは、思わずため息が漏れてしまいそうなほど綺麗な色だった。
「久々だから…キモチよくなかったら、ごめんなぁっ…はっぁぁっ…」
僕の上に跨がり、ゆっくり腰を下ろす屠自古さん。
僕のおちんちんがピンク色の肉をぐにりと押し込んでいくと、連動して彼女が甲高い声を上げる。
「んふっ、ふぅぅううっ」
余りにもその声が大きくて、なんだか苦しそうにも見えて、多分無粋なのだろうけど、大丈夫ですかと言ってしまう。
あまりの様子に彼女の表情を直視できなかったけど、ぽたりと頬に落ちた液体が、その表情を伝えてくれた。
「…ははっ、お前が神子様や布都と喋ってるのだって嫌だったんだ…それが今、誰よりいっちばん近いんだ…大丈夫に決まってんだろぉっ…♥」
それはつまり、布都様の言っていた嫉妬は事実だということで、それで何も言ってくれなかったなんて、やっぱり屠自古さんは可愛いなと思えてしまう。
僕は彼女の嫉妬の理由を、彼女が口にはしなかった思いを、僕の口から伝えた。
好きです、と。

4

「…私から言えなくて、ごめんなっ…」
彼女の涙が、どんどん僕の胸に落ちてくる。
「でもっ…ほんと嬉しい…嬉しいよぉっ…♥」
ぼたぼたと、大粒の熱い涙が、無数に。
これほどまでに慕われていたなんて思わなかったけど、それが嫌なんて訳もない。
その思いになんとか応えたい一心で、そのまま腰をくっと突き上げた。
「…あくっ♥こらっ♥お前のお祝いなのにっ♥私がお前を気持よくしてあげなきゃいけないのにっ♥お前が私を気持よくしちゃ意味ないだろぉぉっ…♥」
彼女の中がぎゅっと締まる。同時にぬるぬるのひだが、愛おしそうに絡んでくるのが分かった。
腰の往復に合わせて、彼女の喘ぎが大きくなっていく。
「だめぇっ♥わたし、わたしぃっ…♥ひぅっ♥ひゃああっ♥」
中のぬるぬるが、とうとう腿まで溢れてきた。
生暖かいおちんちんの気持ちよさも、徐々に加速していく。

5

僕の上で揺れる彼女に、もっと気持ちよくなってもらいたい。
どうしようかと考えた結果、腰の動きで揺れる胸を、きゅうっと掴むことにした。
「あっ♥くふぅぅううっ♥おっぱい触んなっ…♥そこ、弱ぁぁぁっ♥」
乳首を掴んだり、全体を無理やり揉みあげたり。
どうすればいいのか分からないけど、ただただ必死にもみくちゃに触っていく。
すると唐突に、中のうねりがきゅんきゅんと蠢いてきた。
「イくイくっ♥だいすきぃぃっ♥おまえの好きって気持ち、全部びゅーってしてぇぇえっ♥」
乱れた彼女のおねだりと同時に、僕も絶頂する。
痙攣する体に足を回され、そのまま僕の液体を彼女の中に吐き出した。
射精の脈動と、膣のひくつきがきゅっきゅと重なって、一滴一滴を搾り取られていく。
その甘い吐精の感触に、いつまでも浸っていたい気分だった。
「はぁっ♥はぁぁっ…私、らしく、ないだろっ♥…でもっ、お前のこと好きでしょうがないんだ、許してくれよっ…♥」
僕は返事代わりに、彼女にちゅっと口付けする。
少しの間の後、僕たちは互いの気持ちを確認しあうように、くすくすと笑い合っていた。

6

「改めて、4年もよく頑張ったな、おめでとう。私は道術は教えられないけど、これからもお前を見守ってやるよ」
吹っ切れたのか、ちゃんと正面からおめでとうと言ってくれる彼女。
直接、それもふたりきりで、祝いの言葉を貰うことが出来た。
一番欲しかった言葉を、一番欲しい人から貰えた。
…それに、言葉以外も。
「…でさ、えーとその…」
首をかしげる僕に、悩みに悩んだ末に問いかける。
「…お前とはもう、そういう関係ってことで、いいんだよな?」
はい、と声を出そうとしたけれど、ふと思い立って、返事のつもりで瞼を閉じて唇を寄せる。
唇にはまたすぐに、温かい感触が触れていた。
――――
道教の教えの末に何があるかはわからないけれど、今はただ屠自古さんと一緒にいるために、頑張りたい。
道教徒歴4年目境の、冬の入りのことだった。

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