1

ちんぽとあらば虎視眈々と狙われどこへ行っても安心できないソドム幻想郷。
だがたとえ妖怪であっても各々に個性があり、一般的なイメージとは違う者もいる。
彼女は妖怪とは思えないほど温和でおとなしい性格で、誰に対しても分け隔てなく話す。
一部の妖怪や妖精や、信仰されるべき神までも、
人間などミルクサーバーだと思っているような連中が多いこの場所にあって
一目見て化生とわかるその出で立ちから、
そして何より彼女自身のあまり積極的ではない性格と、行動範囲の狭さから
知る人のほとんどいない、しかし非常に珍しい人畜無害な妖怪、
わかさぎ姫というその人魚は広い湖に住み
あまり多い方ではない知人たちと共に暮らしていた。

2

里で八百屋を営む私は、時折この湖に魚釣りに来る。
八百屋といっても野菜だけでなく、扱う品は魚類や駄菓子や、ちょっとした文具など数多い。
あまり華美な生活に関心がなく、飯に困らなければいいという程度の動機付けではあったが
一応商売はまじめにやっている。品揃えの多さは大きな武器なのだ。
海の無いこの場所で魚と言えば淡水魚になる。
野菜の仕入れは懇意の農家があるが、魚は自分で釣ってきたものを店に出す。
というわけでよくこの湖で釣りをしているのだが、
私が彼女と出会ったのもこの湖だった。
ある日糸を垂らしていると、視界の端に視線を感じた。
こちらを見ている。湖の水面から、上半身を出して。
妖怪だ。
半ば偏見であるが、水に関係する妖怪は厄介で、執念深く、そして危険な者が多い。
こういう時、目を合わせてはいけない。
悟られぬよう、釣りに飽きたという風を装い、そそくさと片付けて桟橋を後にする。

3

ざぶんと大きな水音が背後でした。
腰の短刀に手をかけながら振り返ると
最初に聞こえてきたのは害意の無い声だった。
「あのっ…」

最初に友好を装って後で本性を現す奴も多い。
だが彼女と会話していくうちに、警戒心は少しずつ緩まっていった。
彼女はわかさぎ姫といった。
湖に住む人魚。
こちらに接触してきたのは珍しく勇気を振り絞っての事だったらしい。
こうして男と話す機会など殆どない。
友人たちが話すのを興味深くいつも聞いていたが。
自分はあまり行動範囲が広くなく、人見知りだったから。
ともかく、それが彼女との最初の出会いだった。

4

(中略)
釣りを以前より頻繁にするようになった。
お姫と会いたいからだ。お姫も私と話すのを楽しみにしてくれているようだった。
妖怪と対等に話す…というのは普通なかなかできない経験である。
いつしかお姫に会うのは日課となり、私は妖怪であるはずの彼女に
もはや全くの警戒心も抱かない様になっていた。

しかし…その時私はまだ気が付いていなかった。
彼女は普段そんなそぶりを全く見せないから。
罠に嵌めるための演技でなく、確かに本心から心を開いていてくれたから。

5

実はお姫も妖怪の性で定期的に発情が来てしまっていた。
唯一と言っていい親交のある男性。
その男と会うたび、楽しく会話するたび、相手に対する劣情が確かに
お姫の中にふつふつと沸きあがっていた。
だけど彼女はそんなこと、親しい相手であっても言い出せなかった。

おとなしいお姫は発情期もこっちをもどかしそうにちらちら見てるだけで何もしてこない。
しかし、日常の中で相手に対する抑えがたい生殖の欲求だけは日々膨れ上がっていて
相手との子作りの妄想をしながら性器を濡らすたび、
そんな下卑た欲求を抑えられない自分をはしたない女と思うし、
人魚である自分に言い寄られても相手は迷惑だろうという気持ちもあって
妄想と現実の残酷さの狭間で人知れず葛藤の日々を送っていた。

6

ある日仕事が休みなので釣りでもしようと湖畔にある自分の小屋に行くと
干そうと思って忘れてしまっていた肌着が無くなっているのに気付く。
妖精あたりが面白半分で湖にでも放り込んでしまったのか、
まあどうせ安物だし別に対して困らないけどと思っていると
桟橋の方でパシャパシャと変わった水音がするのに気づく。
まさか不用意な盗人はまだ犯行現場で遊んでいるのか。
少々懲らしめてやろうと行ってみる…と、
…お姫だ。こっちには気づいてない。
こちらに背を向けて…もぞもぞと…何をしている…?
声をかけてやろうと近づき、気づく。
お姫が顔に押し当て匂いを嗅いでいるもの。
間違いない、盗まれた肌着だ。
左手でそれを顔に押し当てながら、
右手は下半身の方に伸びている。
これは……

7

後ずさりする足にわきに置いてあったバケツがぶつかり、
ガランと音を立てて回転する。
こちらに気付いた姫は跳ね上がるほど驚いてばっとこちらを振り向き
見る見るうちに顔が青ざめていく。
「え…嘘…そんな…今日はまだ来ないはずって…」
雨が降った。品が痛むんで早めに店を閉めたんだ。
「……ぅぅ……」
泣き出してしまう。
なんだかこちらが悪いことをしてしまったみたいな気持ちになる。
「私は…妖怪なんです…どんなに取り繕ったって…
 貴方を見てるとずっと…襲いたいって…ずっと我慢して…
 ……
 もう会いません……ごめんなさい…っ…」

8

湖に飛び込もうとするお姫をとっさに呼び止めた。

"自分もお姫が好きだ。ずっとしたいと思ってたけど、
妖怪と人間だしで躊躇していた。嫌われるんじゃないかと。
童貞だから自信がなかったし、ていうか実はお姫で抜いたことも
数えきれないぐらいある、昨日もそうだ"
ただお姫と会えなくなるのが嫌でとっさに言ったことだった。
よくもまあこんな恥ずかしい事をペラペラと、感心するほど
ポンポンと羞恥の言葉を放ちながら
お姫の手を掴むと……

今だ涙を浮かべながらお姫が振り向き、呟く。
「じゃあ……そんなに言うなら…本当に…襲っちゃうからね……」
そう言うとお姫が突然に、腕を掴み、押し倒してきた。

9

動けない。一瞬で相手との力量差を悟る。
妖怪だ。人間の膂力ではとても振りほどけない。
だが恐怖はない。
お姫だ。
毎日のように話していた、楽しそうに話をしてくれたお姫だ。
「はぁ……はぁ……ぁ…ん…」
お姫はとろんとした顔でこちらを見ると、何も言わず唇を奪ってくる。
ここ最近お姫の様子が妙だった理由が今ならわかる。
定期的に起こるその変化。今日はその発情のど真ん中。
舌が絡み合う。気持ちいい。口付けとはこれほどの威力があるものかと思う。
接吻だけで達してしまいそうになる。
キスだけでガチガチに勃起した陰茎の膨らみを確認し、お姫が服を一気にはぎ取る。
お姫もまた、来ていた衣服を脱ぎ去って、互いに裸になる。
何度妄想したか、着物の下の、泳ぎに不便じゃないかと思うほどの
豊満な乳房がぶるんと揺れ、鼻先をお姫の乳頭がかすめる。

10

「ちゅっ……ぱ…ぁ…は…ぁ…」
お姫が唇を開放すると、二人の唾液が橋となって糸を引く。
童貞だった自分にはあまりに刺激の強い経験。
「は…ぁ…早い…けど…もう準備できてますからね……」
眼下にお姫の女性器が見える。
先ほどまで自慰に耽っていたためか、水とは明らかに違う、
ぬめぬめと粘度の高い液体に覆われ、今もそれを垂れ流している。
「初めて……なんですよね……」
「私もです……ぁ…ん…一緒に…初めてしちゃいましょうね……ふふっ……」
陰茎を性器の入り口にあてがうと、一気に腰を下ろしてきた。

11

ぬじゅり……
「はぁ……あ…ん…入った……入っちゃいました……よぉっ……♥」
想像を超えたあまりの快楽に腰がしびれる。
陰茎に全神経を集中させる。それしか考えられない。
生暖かい体内に、ぬらぬらと蠕動し、
初めての、待ちに待った想い人のペニスを受け入れ歓喜する膣が
早速子種を搾り取ろうとぎゅむぎゅむと収縮する。
ふと目の前のお姫に意識を向ける。
いまお姫とまぐわっているのだ。
湖に毎日のように通いたくなったのはお姫と話がしたかったからだ。
お姫もこちらに気付いて笑う。
「え…へへ……気持ちいい…?ああ…ついに……しちゃった……ね……」
今度はこちらから唇を奪った。

12

再び接吻の快楽を味わう。
とろけた目のお姫と舌を絡ませ合いながら……
早くも射精が始まろうとしていた。
「抜いちゃだめ、中にっ出してっ…♥」
上に乗ったお姫が射精に合わせてぐいっと体重をかけてくる
お姫の膣は狂ったように収縮し、咥え込んだ陰茎を
中へ中へと引きずり込む。
その最奥で、亀頭を一番奥に押し付けながら、射精した。
どくんっ……どくんっ……どくんっ……
お姫の腰をがっしりを足で掴みながら、
自慰では有り得ぬ量の射精を注ぎ込む。
もはや種族の壁など関係ない、
思い焦がれた相手に子種を注ぐ途方もない快楽と多幸感に
体をがくがくと震わせながら呆然とした。

13

とくんっ…とくんっ……
長い射精が終わり、お姫の胎内に精液が注がれ尽くしたのを感じる。
「出……た…ぁ……♥いっぱぁ…ぃ…♥どくどくって…震えて……♥」
「ちゃんとイってくれたんだ……嬉しい…私も……」
息も絶え絶えにお姫が嬉しそうに言う。
「ちょっと…疲れちゃったねぇ…少し…休みましょうね……♥」
お姫が膣から陰茎を開放すると
溢れ出した精液がこぷりと漏れてくる。
それはお姫との一線を越えてしまった証であった。

14

湖畔の小屋の中、肩を抱き寄せ合いながらお姫とくっつく。
お姫が尾ひれを器用に巻き付けてくるのに足を絡めながら、
昨日までは考えられなかった距離でお話をする。
こんな風にお姫を意識したのは初めてかもしれない。
先ほどの情事を思い出すとまた陰茎が膨らみはじめ、
それをみたお姫が
もう我慢する必要も無いのが嬉しいとばかりに
「じゃあ……早速二回目しましょ……?♥」
今日は少し夜更かししてしみそうだ。

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