第一話 [#u41650f6]

その一 [#bcebac7d]

「そうそう、そこ……うん、まあまあね…」
その夜も、僕は主人であるパチュリー様の肩を揉んでいた。
彼女はこの薄暗くカビ臭い大図書館に暮らす生粋の魔女で、趣味の合間に人生をやっている。
その趣味が読書や執筆作業のため、しょっちゅう揉まねばならないほど肩が凝る。
酷い時は半日かけて揉まされることもあるくらいだ。
「まあいいじゃない。司書の仕事では無能な貴方でも、肩揉みという取り柄はあったわけだし」
活字を目で追いながら、才覚を見出した私に感謝しろ、と言わんばかりの口ぶりで言われた。
ここに置いてくれていることには感謝するが、そういう露骨な嫌味は結構傷つくのでやめてほしいと思う。
「……でも、服の上からだと今いち効かないわね。ちょっと脱がせてもらえる?」
相変わらず活字に目を落としたまま、彼女は片手で実に無造作にタイを解いた。

その二 [#w895fc39]

パチュリー様の服は色々な意味で特別製だ。総じて軽く、薄手でありながらふっくらしている。
構造は下に袖のない繋ぎ…ワンピースとか言っただろうか。
この上から袖の長い二重回しの外套を羽織っているような格好だが、現在これの襟を留めていたタイが外されて肩が露出している。
「…どうしたの? 手を止めることを許可した覚えはないわよ」
言われて僕は慌てて不健康に白い肩を掴んだ。
…すべすべで、柔らかくて、指に吸いつくような感触だ。
「うん、思った通りこっちの方が効くわね。次からはこれでいこうかしら」
本を閉じて膝に置く。これは肩揉みが効いている証拠だ。こうなると、このまま寝入ることもある。
「……少し眠るわ。起きるまで手を止めないようにね」
快活に返事しながらも、僕の視線は彼女の襟元から覗く、丸みを帯びた深い谷間に釘付けだった。

その三 [#i0937956]

二重回しに隠れて目立たなかったが、こうして見ると結構な谷間の深さだ。
それが肩を揉む僕の手に合わせて小刻みに、不規則に、ぷるぷると揺れ動く。さらしなどを巻いている様子はない。
むしろ、あの服の下から自己主張している双丘の上の、つんとした膨らみは…?
横から顔を覗き込む。眉間に皺を寄せ、哲学者のような顔で肘掛けに頬杖をついて寝入っている。
――今なら触っても大丈夫だ。
僕の耳元で小さな悪魔がそう囁いた…ような気がした。
そういえば胸が大きいと肩が凝ると、かつて寺子屋の先生が言っていたように思う。
となると、あれをどうにかしない限り、彼女の肩凝りは根治しないのではないだろうか。
だが、医学的に考えられるような頭脳は持っていないし、そもそも僕には女性経験がない。
ようするに手の打ちようがないわけだ。
なので、僕はとりあえず触ってみることにした。

その四 [#y0d1ddee]

パチュリー様は普段、睡眠を必要としないが、それだけに一度眠るとなかなか目を覚まさない。
最初は指先だけで触れていた僕だが、それを思い出すと次第に大胆に揉みしだくようになっていった。
下からすくい上げ、正面から押し潰し、丸みに沿って掌を滑らせる。
衣服の上からとはいえ僕の両掌にはほのかな体温と言葉に出来ない弾力が浸透し、これだけで卒倒しそうなほど幸せな心地だった。
「……ん、ぅ…」
一瞬で両手を引っ込める。むしろ万歳するような格好になる。
そのまましばし待って、それから再び顔を覗き込む。
…何やら口元が緩んで、そこから一筋の白玉が流れ落ちている。どうやら熟睡中のようだ。
僕は思い余って、襟元から両手を滑り込ませていた。
服の上からとは比較にならない柔らかな、かつ滑らかな手触りに、尖った乳首の感触。
たっぷり、もっちりとした手ごたえ。
僕の手は今、絶頂せんばかりの至福を味わっていた。

その五 [#m4843b78]

椅子に座ったまま眠るパチュリー様。その背後から伸ばした手でおっぱいを揉む僕。
これだけ派手に揉んでは、傍目にも肩揉みには見えないだろう。
誰かに見つかれば、どんな責め苦が待っているのか知れたものじゃないだろう。
しかし、とうに理性を失った僕は、もう止まれなかった。
勃起しきったちんぽを露出し、背もたれに押し当て、腰を上下させ擦りつけながら、
欲望の赴くままに揉んでこねてさすって、そのまま射精を――
「ふふ、見ちゃいましたよ♪」
――手と、発射しかけた精が止まった。否、止められたのだ。
後ろからちんぽを握った何者かによって。
「そう、あなたの先輩の小悪魔ですよ。まあ、細かい話は後にして……ほら、揉みながらイッちゃいなさい♪」
掌の中の至福と、強烈にしごかれる股間の快楽。
後ろから小悪魔さんに抱きつかれた僕は、半ばパチュリー様にしがみつくような恰好のまま、背もたれに大量の精を噴き出していた。

その六 [#h979fa09]

「……というわけで、これを熟読しておいて下さいね。パチュリー様のご命令ですよ」
その後、本棚の拭き掃除に励む僕に小悪魔さんが差し出した本の表紙には『サルにもわかる按摩講座』とあった。
「昨夜の肩揉み、たいそう評価されたんですよ。血行がよくなって肩が軽くなったって」
心臓が跳ねる。小悪魔さんが腕を組んできたのだ。まるで蛇が這うようなじれったい動きで。
「それを読んで一層の上達をせよ、とのことです。…ああ、もちろん昨夜のことは言っていませんから」
腕を抱かれる。かっちりと着込まれた洋装の上から、彼女の谷間に腕がうずまっていく。
「ふふ…私も結構自信あるんですよ。パチュリー様や美鈴さんには一歩譲りますけど」
声が出せない。今ここで変な音を立てれば、棚の向こうのパチュリー様に気付かれるかも知れないのだ。
やがて股間に手が伸びてくる。僕は書架に背を預けたまま、小悪魔さんのなすがままになっていた…。

第二話 [#f9e4efea]

その一 [#yc1eabee]

「小悪魔に渡した本、少しは目を通したようね。昨日よりいい感じよ」
パチュリー様は例によって活字を追いながら、やや早口な小声で按摩の上達を褒めてくれた。
あの本には筋肉の構造と、どのあたりにツボがあるのかなどが子細に書いてあった。
流石に全部は読めなかったが、どうにか首肩回りのツボはばっちり把握した。
力加減は手で覚えるしかないが、偏屈者のパチュリー様が褒めるくらいだから問題はないと思ってもいいのだろう。
「…じゃあ、今夜は脚も揉んでもらおうかしら?」
ぴた、と手が止まる。彼女の言葉が僕の理解を超えたからだ。
そこはまだ予習していないと言おうとして
「ほら、寒いんだから早くなさい」
太ももが露出するまでスカートの裾をたくし上げられると、僕は最高の返事とともに彼女の前に跪いた。

その二 [#c185c8d9]

「椅子に座り通しだから、脚も血の巡りが悪くなるのよ。入念にね」
肩もそうだが、爪先まで不健康に色が白い。小さな足の指に、子どもの肌のように柔らかな踵。
きっと普段から地に足をつけていないからだろう。空が飛べるとこんなところに弊害が出るものらしい。
「んぅ…っ!」
早速足の裏を揉んだところ、短くも鋭い呻きが漏れた。強く押しすぎたのだろう。僕は握力を弱めた。
「……足の裏は要勉強ね。とりあえず次、ふくらはぎを揉みなさい」
やはり本を読んだまま、細い脚を投げ出してくる。細いがむっちりとした、すべすべの脚に掌を当てる。
「ん、温かいわね…。いいわ、そのまま続けて」
よく見ると結構形のいい、生白いふくらはぎを、探るように揉みながら、僕は湧き上がり出した情動を必死に抑えていた。

その三 [#n54c811e]

悪戦苦闘の末にふくらはぎを両方揉み終わった頃、僕はすっかり疲労困憊していた。
しかし、この後にはさらに太ももを揉む作業が控えているのだ。
僕は次の作業に移るため、もう少し浅く座るよう申請する。
「もう、しょうがないわね…」
椅子の上で身じろぎし、結構ぎりぎり浅さに座るパチュリー様。
再開しようとして、その手が止まった。
「……ほら、休むことは許可していないわよ。休みたいなら早く終わらせなさい」
太ももの感触は、おっぱいにも比肩するほどだ。
すべすべで、もっちりで、しっとりで、掌に吸いつく。つまり、触れている方が絶頂してしまいそうな感触ということだ。
というより、彼女の両膝に挟まれている僕には――女の子の秘境が現在、丸見えになっているのだが。
「少し…冷えてきたわ。揉むついでに、太ももを掌でこすって温めるようにね」
薄紫のスカートの向こう、白い秘境に釘付けになりながら、僕は太ももを揉んだりこすったりし始めた。

その四 [#qec4851a]

「ご苦労様。太ももはもういいわよ」
四半刻をかけて両方の太ももを揉み終えた時、僕は性欲を抑え込んだ疲労で心身ともにクタクタだった。
「ふう…さすがに体が熱いわね。下半身に力が入らないわ」
浅く腰かけたまま上体を倒すパチュリー様。
背もたれに後頭部を押し付けるような状態になり、両脚をだらしなく投げ出している。
按摩で癒されたのだと言えば聞こえはいいが、実にはしたない格好だ。
「それじゃ、よく頑張ってくれたご褒美にいいこと教えてあげる。耳を貸して」
彼女に体を起こす気がなさそうなので、傍らに屈んで耳を突き出すと、ちゅ、と頬に柔らかな感触。
「教えてあげるから……いいこと、しましょ?」
耳元で囁かれながら、耳を疑う。
慌てて彼女の顔を見ようとした瞬間、僕はすでに唇を奪われていた。

その五 [#k8cd8db1]

「んむ、ちゅっ……ふふ、キスは初めてかしら?」
口付けのことだろうか。僕は関節の壊れた人形のようにがくがくと頷く。
思考回路が熱暴走して、心臓が必要以上に速く鼓動する。
「それは嬉しいわね。ほら、こっちも触る? 許可なく触ると寿命が縮むけど、今ならいいわよ…」
今度こそ、僕の心臓は止まりそうになった。…昨日のことがバレている。
それが何故かを考えるより早く、僕はあの感触だけで絶頂もののおっぱいに顔面から飛び込んでいた。
「ん……んあああぁぁ!!」
驚くほど大きな喘ぎ声だった。よほど敏感なようだが、もしや昨夜は声を我慢していたんだろうか。
あんなに丹念に愛撫したのに耐え抜いたのか。…そう思うと、僕はどうしても彼女をもっと大きな声で喘がせたくなった。

その六 [#u0e1f463]

「あら、もうガチガチね。少し焦らし過ぎたかしら?」
露出したちんぽの裏筋を指先で撫で上げながら、パチュリー様は妖しく濡れた瞳で見上げてくる。
「知っているかしら? 精液には特殊な魔力が宿るのよ。平たく言えば本人の活力がね」
嫌な予感がする。一刻も早く逃げるべきだと本能が告げていた。
なのに、指で作った輪にしごかれるちんぽから全身に広がる快感が、僕の警鐘をそこか遠くへ置き去りにしていった。
「ペニスが震えてる。もうすぐ射精するのね……かぷっ」
その瞬間を見越したように、彼女はちんぽを口に含んだ。急に湿った粘膜に包まれ、一度に精が昇って
「んっ! ……じゅ、じゅるる……ごくん、ごくっ…ふう。ごちそうさま」
ご馳走様と言いながら、パチュリー様はちんぽを離さず、結局もう二回飲み干された。

第三話 [#o343bfdf]

その一 [#k6656e19]

書架の埃を拭き取っていると、視界の隅で何かが小刻みに動くのが見えた。
見れば、小悪魔さんの手招きだ。
「今日もご苦労様です。ところで、パチュリー様とはうまくいってますか?」
率直過ぎる問いにぎくりとする。
昨夜は誰にも見られていなかったと思っていたが、彼女の存在を失念していた。
「見てなくても分かりますよ。今日のパチュリー様、いつもより魔力に満ちてますから」
魔力――それが昨夜、彼女に吸い出され飲み込まれた僕の精液によるものであることは疑う余地がない。
パチュリー様自身も精液が魔力になるようなことを言っていたからだ。
「ときにモノは相談なんですが……私にも魔力、いただけません?」
僕の胸板に指が這う。後ずさるが後ろは本棚。声を出そうにも、どういうわけか喉が凍って声が出ない。
そんな僕の混乱を知ってか知らずか、小悪魔さんは妖しく微笑みながら僕の股間にも指を這わせた。

その二 [#b8428723]

「ちょっとの間ですが声を奪う魔法をかけました。…うふふ、図書館では静粛に願います♪」
恐らく胸板に触れた瞬間だろう。この抜け目のなさは、さすが小さくとも悪魔というところだろうか。
「個人的には喘ぎ声も楽しみたいんですが、それでパチュリー様に見つかっては一緒に大目玉ですからね」
あれよあれよという間に衣服をはだけさせられる。
未だ慣れない洋装のボタンもベルトも外され、今の僕は肝心な部分だけが露出した、実にみっともない姿だ。
そして勃起したちんぽが、ゆっくりと握られる。
「ふふ…物陰で脱がされて興奮しちゃいました? 私も……ほら、発情しちゃいました♪」
スカートを持ち上げる。…驚いたことに下着をつけておらず、女陰は傍目にもわかるほど濡れていた。
「もう、飲まないと収まりがつかないんです。…大丈夫ですよ、ちゃんと気持ちよくしてあげますから」
彼女は僕の前に跪くと、ねっとりと唾液に濡れた舌を、ゆるゆると裏筋に這わせ始めた。

その三 [#g67d37ef]

薄暗い中、唾液で艶めかしく光る赤い舌が、ゆっくりと時間をかけてちんぽを嬲り物にしていく。
「んふ、おいしいですよ……ちゅ、ちゅる…はむ、じゅぷ、じゅ、くぷ……」
小さな唇に亀頭が呑まれる快感に、膝の力が抜ける。
完全に書架に背を預け尻餅をついた僕の股間に、四つん這いの小悪魔さんが、のそりと顔を埋めてくる。
ちんぽの先が、次第に彼女の喉の奥まで呑まれていく…。
「んぅ、んっ、じゅぷ、ぢゅる…」
唇が、舌が、喉の中が蠢き、粘膜が生き物のように吸いついてくる。
ぷりぷりの頬の裏とざらついた舌がカリ首を刺激するたびに、股間で渦を巻く熱い白濁が急速にせり上がって、
我慢しようと思った時にはもう遅く――
「んんっ! …ん…んふ♪ んー、こく…ごくっ、こくんっ……♪」
喉の奥にぶちまけられた欲望を飲み干しながら、小悪魔さんは潤んだ目を妖しく細めて微笑んだ。

第四話 [#pb546ed3]

その一 [#tfd7b124]

「最近、ずいぶん小悪魔と仲がいいようね」
取ってくるよう言われた本を手渡すと、パチュリー様は返礼代わりに僕を睨みつけてきた。
彼女は小柄な上に着席しているため、どうしても僕を見上げる格好になる。
ただでさえじっとりと陰鬱な目つきをしているのに、これで三白眼など作られると結構な迫力がある。
僕は思わずたじろいでいた。
「……。まあ、貴方が誰とイチャつこうが私には関係ないことだわ。けど、貴方の主人は誰かしら?」
その視線に身の危険を感じた僕は、襟を正し、背筋を伸ばして、パチュリー様です――そう答えた。
「そうよ、貴方の主人は私。紆余曲折を経てここに転がり込んだ貴方を保護したのは、この私よ」
棘のある声音で言いながら彼女は立ち上がり、ぱらぱらと本を開く。次の一言に、僕は耳を疑った。
「えぇーと、節操のない恩知らずの駄犬を消極的に去勢するには――」

その二 [#u33531f1]

「ふむふむ、射精出来ないようベルトで締め上げるか、女性にしてしまえばいい…と。参考になるわね」
小声で早口で聞き取りにくいが、とてつもなく不吉な内容の書物だということだけは察知できた。
そうなると、後の行動は早かった。
気付かれないようそっと距離を取り、一気に駆け出して、――転んだ。
「ああ、さっき小悪魔に掃除させてたのよ。足元のバケツに注意しなさい……って、もう遅いわね」
…冷たい。置きっぱなしの雑巾を踏みつけて仰向けに倒れ、ひっくり返ったバケツの水を全身にまんべんなく被ってしまった。
いくら僕が学のない馬鹿でも、このままでは間違いなく風邪をひく。
「ほら見なさい。忘恩の輩には必ず罰が当たるのよ。ついでに風のスペルで涼ませてあげましょうか?」
僕は濡れた絨毯に何度も額を打ちつけ、土下座で許しを請う。なりふりなど構っている場合ではない。
「…まあ、今回はこれくらいで勘弁してあげるわ。雑巾臭いから早くシャワーを浴びてきなさい」
しっしっと追い払われる。どこまでも犬扱いだった。

その三 [#ud34f6ed]

あまり知られていないことだが、実は大図書館には浴室が隣接している。
よく知らないが、外の世界のゆにっと何とかという代物だそうだ。
脱衣所に積まれた本が、ここが普段どう使われているかを物語っている。
「…ちょっといい?」
浴槽で体を洗っていると、仕切りの向こうに人影が見えた。
声でわかる。パチュリー様がいるのだ。
「その…着替えとタオル、持ってきたから」
そういえばあの洋装は僕の一張羅だった。あれだけずぶ濡れでは当分は着られないだろう。
僕は全身の泡を洗い流しながら、わざわざ申し訳ないと礼を述べた。
「体は綺麗になった? じゃあ早く上がって服を着なさい。私に奉仕するお仕事に戻るためにね」
まあ、仕方ないだろう。手拭いで体を拭き、仕切りを開けて、
――そこに、全裸のパチュリー様がいた。

その四 [#tf0ae1e5]

かくして、僕はパチュリー様の髪を洗うこととなった。
いかなる色素の働きか、紫色の髪は思いの外に美しく、手入れも行き届いている。
てっきり本に夢中になって手入れを怠っていると思っていたが
「何のことはないわ。小悪魔にやらせていただけよ」
泡だらけの浴槽で本を読みながらパチュリー様が言う。とても納得できる理由だった。
普段は帽子に隠れている頭頂部の髪も光沢が綺麗で、いい匂いがする。
パチュリー様がどこぞから召喚した使い魔だと聞いているが、司書以外の仕事もずいぶんと丁寧なようだ。
「……いいのよ、小悪魔のことなんか考えなくて」
首に巻いてあるタイを引っ張られる。
頭が下がる。同時に…濡れた柔らかい唇で、唇を奪われた。
「貴方は今、私に奉仕しているのよ。だから…私だけを見て、私のことだけ考えなさいよ…」
もう一度…今度は舌が入ってくる。顔が熱い。頭が熱い。
そんな僕の頭は、あっさりと細い腕に抱き寄せられた。

その五 [#a0b2ea7f]

「……小悪魔とは、どこまでいったの?」
考えるなと言った舌の根も乾かぬうちに、パチュリー様はじろりと僕を睨む。
隠し立てをすれば命がなさそうだが、返答次第ではやはり命がなさそうで、僕の脳内は千々に乱れた。
「じゃあ質問を変えましょう。…あの子とはもう子作りしたの?」
そういうことなら否だ。喉で搾られはしたが本番までは……あ。
「なるほど。つまり貴方はまだギリギリで童貞なのね?」
僕は苦笑いしながら頷いた。
女の子があまりそういう言葉を明け透けに言わないで欲しい。
「童貞の精液は含有する魔力が極めて多いのよ。…ここまで言えば、後はわかるわよね?」
何か釈然としないものがあるが、ちんぽを露出させる。
泡まみれの手が、ゆっくりと竿を擦り始めた。

その六 [#s1b0f8fe]

細く、生白く、柔らかい指。大胆に五本の指でしごきながら、パチュリー様は息を荒げ始める。
普通ならば痛みさえ伴いそうな力がこもっている。
だが、泡にまみれた指はつるりぬるりと滑りながら、未だ刺激に慣れないちんぽをこれでもかと刺激する。
「ん、ふぅ…はあ、ぁん……ど、どう?」
感じる。だが、それは直接的な刺激だけではない。
素肌をほんのり染めて、長い髪と豊かな胸を揺さぶりながら、拙い手つきで奮闘する彼女の姿に、僕は心身ともに昂って――
「ああ、出るのね…? 出して、たくさん……全部飲むから、口の中に……んぅっ!!」
浴槽に浸かり、僕の腰に抱きついて、真っ赤に膨れたペニスを呑み込む。
締め付ける粘膜に刺激され限界を超えたちんぽの先から弾けた欲望を、パチュリー様は喉を鳴らして受け止めた。

第五話 [#a9e74788]

その一 [#na1aa9ba]

「何だかいい香りがしますね」
先に立って大図書館の中を案内してくれていた小悪魔さんが不意に踵を返し、僕の懐に入る。
いい匂いのするさらさらの赤髪と、頭の横でぱたぱたと動く蝙蝠っぽい翼が目と鼻の先に来て、どきりとする。
「あ、石鹸の…。そっか、お風呂に入ったんですね」
胸板に鼻を押し付けられる。吐息がくすぐったい。
胸の高鳴りがばれやしないか、一抹の不安がよぎる。
「んー、いい香り…♪」
僕の心配をよそに、小悪魔さんは躊躇なく僕に抱きついた。まるで新品の枕でも抱くように。
「……。おやぁ? 私のお腹に、何か当たってますよ?」
必要以上の密着と、体の匂いを嗅がれるという不慣れな事態は、思いの外に僕を興奮させていた。

その二 [#ge1c3aeb]

「ふふ、こんなにガチガチ…。そんなに興奮しましたか?」
書架に両手をつき、体をくの字に曲げる。
後ろから抱きついた小悪魔さんが、甘ったるい声でくすくすと笑いながら、屹立した僕のペニスをしごいてくる。
握り加減も擦り方も絶妙で、早くも果てそうだ。
「我慢ですよ、がまん。そのまま出したら本にかかって、パチュリー様に殺されちゃいますよ?」
それだけは避けたい。僕は無意識に尻に力を入れた。
昇り詰めてきていた射精感が、わずか遠のく。
「あらら、頑張りますね。じゃあ、こういうのはどうですか?」
下に穿いていたものを全部床までずり下ろされ、――直後、未知の感覚が、肛門を這い回った。
「ちゅ、ちゅぅぅ…。うふふ…我慢ですよ、がまん♪」
粘ついた舌先が菊座を錐のようにほじり回す。
怖気にも似た甘い痺れが、熱となって腰にわだかまり、じりじりと背筋を舐め上げてくる。
僕は頬の内側や舌や唇を噛みながら、必至で射精感に抗った。

その三 [#fab5c95a]

「ふふ、凄い量の我慢汁…。今にも射精しちゃいそうですね」
ぽたぽたと亀頭の先が涙を流すのを僕の股越しに眺め、小悪魔さんが子どものような声で笑う。
「でも大丈夫ですよ。しっかり握っておいてあげますから」
根元をがっちりと握られたちんぽは、強引に射精を塞き止められている影響だろう、赤いのを通り越して赤黒くなっている。
心なしか大きさも、ことに太さが普段よりもひと回りほど上に見えるほどの充血だ。
「ああ…おっきい…。それに真っ赤に膨らんで、とってもおいしそう。いただきまぁす……ぱくっ」
正面に回り込み、跪いた小悪魔さんが、僕のモノを喉まで呑み込むと同時に、ふやけた肛門に指を挿す。
「んんんっ! んーっ!! …っぷあっ! はーっ、はーっ……。あああ、凄い量ぉ……♪」
幾度も我慢に我慢を重ねた射精は、ついに小悪魔さんにも飲めない量に達した。
彼女は喉に絡まる精に咳き込むも、さらに噴き出す精を浴びると恍惚と舌で受け止めた。

その四 [#u492247e]

「…ふう。ごちそうさまでした」
お行儀よく両手を合わせる小悪魔さん。
あれだけ派手に降りかかったはずの精液も、今や跡形もない。何故と云うに、全て彼女が舐め取ってしまったからだ。
特にペニスにこびりついた残りかすを舐め取る時は、そのあまりに丹念な舌使いに再び勃起しそうになったほどだ。
「うーん、回数をこなせないのは痛いですね。まあ、体質の問題なんかもあるんでしょうけど…」
柳眉をひそめて小悪魔さんは腕を組む。
…この人は一体、何回搾り取るつもりでいたんだろうか。
「もちろん二回や三回じゃないですよ? 童貞の精液は貴重なご馳走です。一度に十回は飲みたいです」
何だか聞いているだけで睾丸が痛くなってくる。
それでもちんぽは興奮してくるから現金なものだ。
「まあ、次はもっと気持ちよくなってもらいますから。それまで精々、精をつけておいて下さいね?」
どこか釈然としないまま、彼女お得意の小悪魔スマイルをきっかけに、僕らは仕事に戻るのだった。

第六話 [#wd28097e]

その一 [#qdaeeb9f]

「……。今の生活に疑問がある、ですって?」
僕の言葉を小声で復唱すると、パチュリー様は黒目だけを動かして僕の顔を鋭く睨みつけた。
その迫力にたじろぎつつも、どうにか彼女の機嫌を損ねないよう低姿勢に最近の生活について改めて問いただす。
「精液を搾られれば気持ちいいと思ってたんだけれど、違うの?」
そこは違わないのだが、何と言うかこう、僕の疑問はそこではないのだ。
こういうことはもっとこう……恋人同士というか、好き合った者同士ですることであって、今の僕らがしていることは――
「なるほど。健全な関係ではないと、貴方はこう言いたいわけね」
そういうことになるだろう。ここに置いてくれることは感謝しているが、もっと他にやりようがあっても
「馬鹿じゃないの?」
初めての僕からの抗議は、その一言で一蹴された。

その二 [#dfecbc10]

「私は生粋の魔女よ。魔道を究めるためなら何でもするし、その手段は決して問わない」
やはり小声で言いながら椅子から立ち上がる。
僕との身長差は頭ひとつ分。いつ見ても小柄だった。
「貴方を手元に置いたのだって、魔力供給のため以外の何物でもない」
――。うすうすわかってはいたが、やはり胸が張り裂けんばかりに痛む。本当のことを言われただけなのに。
快楽を与えられるまま精を提供する。
司書の務まらない愚鈍な僕には、それしか出来ないのだ。
そこに疑問など抱いたのでは、もはや自らの存在意義を否定するに等しいのではないか――
「……。まったく、面倒臭い子ね…」
ふわふわの帽子越しにがりがりと頭を掻き毟ると、パチュリー様は
「……嘘よ」
僕の胸に飛び込んで、両手を腰に回すように抱きついてきた。

その三 [#p22b5561]

「近くに小悪魔もいないようだし、本当のことを言うわよ。…私だって、その……」
きゅ、と両腕に力が込められる。
薄手の衣服越しに、彼女の柔らかさと温もりを感じる。いい香りだ。
「貴方のこと、憎からず想ってる…わよ。初めて会った時から、ずっとね……」
それは――両想いということでいいんだろうか。
「えっ? いや……だって貴方、私が好きなんて素振り、一度も見せたことないじゃない」
…どれほど邪険に扱われても犬のように従っていたのは、パチュリー様に懸想したからこそなのだが。
精液の搾取も惚れた弱みにつけこんでのものだと思い、それが辛くなったからこそ抗議したのだが…。
「…やっぱり馬鹿だわ、貴方」
手を離し、呆れ顔で溜息を吐く。今度の『馬鹿』は、不思議と胸に心地好かった。

その四 [#u26e57b3]

「…ちょっとそこに座りなさい」
指差されたのは、普段パチュリー様が座っている椅子だ。
彼女の体がぴったり収まる天鵞絨張りの立派な椅子は、何でも外の世界ではソファーと呼ばれている代物らしい。
「じっとしているのよ。今から大切な実験を始めるんだから」
実験、と鸚鵡返しをする僕に緊張で真っ赤になった顔を近づけると、パチュリー様は僕の頬をそっと両手で挟む。
「私と貴方が本当に両想いなのかどうか。それを確かめるための実験よ」
音もなく、接吻。何日かぶりの柔らかな感触。
その隙間から這い出す舌が、僕の意識を舌ごと犯す。
「ちゅ、ちゅる……。気持ちいいのね…すごく勃起してる。私も……ほら」
するすると片手で長い下衣の裾を持ち上げていく。
いつか見た生白い太ももに、白い下着から溢れた幾筋もの愛液が伝っていた。

その五 [#o224e153]

「どう? 私が貴方のこと……に、憎からず想ってるって…これで信じてくれた?」
はい――と言いたいところだが、やはりそういう気持ちはきちんと言葉にして欲しい。
童貞小僧の幻想と蔑まれてもいい。大切な気持ちを伝え合い、そこから事に及ぶべきなのだ。そう思う。
「あ、あのねぇ…! そんな、そういうのを口にするなんて…。こ、恋の魔法なんて私の柄じゃないのに…」
魔法というのは的を射た表現だと思う。
率直な言葉ひとつが、万の修飾語に打ち勝つ。
魔女である彼女はそれをよく知っているからこそ、自分の気持ちを口にすることはなかったのだろう。
「………。好き……よ…」
それだけに――彼女の囁きは僕の胸を満たした。
具体的には、服を着たまま射精してしまうほどに。
「こ、こっちは死ぬほど恥ずかしかったっていうのに………こうなったら、いつもの倍は飲ませてもらうわよ」
下を脱がされる。
射精したばかりの萎れたモノが、容赦なくパチュリー様の小さな口に呑み込まれた。

その六 [#zadfce65]

唾液と精液が混じってぬかるんだパチュリー様の口腔の粘膜は温かく、柔らかく、しっとりと吸いついてきて、
萎れていたはずのちんぽは痺れるような快楽とともに容易く固さを取り戻していく。
「…好き合った相手にしゃぶられると、やっぱり気持ちいいの?」
僕はぶんぶんと首を縦に振る。
実際もう下腹の奥で熱いものが渦を巻き、噴き出す機を窺っているのだ。
「じゃあ、精神的に満足したところで射精しなさい。今夜は枯れるまで吸い出すわよ」
射精の瞬間を見計らうように頭が持ち上がる。
浅く咥えたまま両手で陰茎を固定し、ぐいぐいと扱き上げながら射精を口で受け入れるパチュリー様。
「んーっ! ぢゅううう、ぢゅるるるるっ! ちゅ、ちゅうぅぅ……。ん、ごく、こくん……っ」
どくどくと溢れる精に合わせた激烈な吸引がもたらす快感は、やがて僕の視界を真っ白に塗り潰した。

第七話 [#f0a15c2f]

その一 [#je879ecb]

「――あなたは、愛についてどう思います?」
例によって本棚を拭いていると、傍らで僕を監督していた小悪魔さんが唐突すぎるほど唐突な問いを投げかけてきた。
脚立の上で目を丸くしている僕を見上げると、至って真面目な顔で彼女は続ける。
「私はですね、やはり心だと思いますよ。相手と理解し合い、心が通じ合う。これこそ愛です」
話が長くなりそうなので、僕はさっさと床に降りて脚立を囲み、そっと彼女の横をすり抜けて次の本棚へ
「ちょっと、聞いてるんですか! っていうか聞きなさい!」
瞬時に奥襟を掴まれた。いわゆる猫掴みで宙吊りにされた後、そのまま床に正座させらされる。
「お二人のこと、これでも本気で応援してるんですから」
向かい合わせで正座した小悪魔さんは、真っ直ぐに僕を見ていた。まるで、心まで見透かすような目で。

その二 [#m05c1831]

……何と言うか、色々と意外だった。
曲がりなりにも魔族である彼女の口から愛だの心だのが飛び出したのもさることながら、僕とパチュリー様の仲を応援していたというのも意外な…
……うん?
「気付きましたね。…何で知ってるんだ、っていう顔をしてるので説明させてもらいしょうか」
その説明をまとめると、彼女は魔術的契約によってパチュリー様と繋がっているため、主人に魔力の動きがあれば感覚的にわかるらしい。
彼女は主人から魔力をもらうことでこの世に存在しているからだ。
「だから、パチュリー様も全部ご存じなんですよ。私が何度、どれだけあなたの精液を搾り取ったのか」
とりあえず僕の命が非常にまずいことになっていることは理解できた。
だが、それが一体どうしたと…
「ですから応援してるんですってば。あなたとパチュリー様が結ばれるように。悪魔どころか恋の天使ですよ?」
言いながら小悪魔さんはブラウスのボタンを外し、タイトスカートをめくり上げる。わけが分からない。
ただ、分からないなりに分かることと言えば、まかり間違っても今の彼女が天使ではないことくらいだった。

その三 [#q001290b]

「ですから応援ですよ。私が知る限り、パチュリー様は男性と心を通わせたことはありません」
彼女の大きな瞳に魅入られるように、全身が痺れて動かなくなる。
目から術でも叩き込まれたのだろうか。
「あ、流石に分かったようですね。ちょっとの間だけ金縛りにかかってて下さい。…で、続きですが」
そっと胸板を撫でられ、そのまま音もなく押し倒されて、あれよあれよという間に全裸に剥かれていく。
「あの人は普通に説得しても意固地になる一方なので、搦め手を使ってその気にさせるんです」
確かに心理の脆い点を突く搦め手は悪魔の十八番だろう。
だが、それとこの現状にどう関係があるのか。
「私とパチュリー様は感覚的に繋がっています。私の快楽は、そのままあの人のものになるんですよ」
やわやわと揉まれたちんぽが馬鹿正直に反応する。
それを倒して、裏筋を秘芯で挟むように跨って。
「挿入はしません。こうして素股の快楽を与え続け、嫌でも挿入されたくなるよう仕向けるんです♪」
ぬるぬるの割れ目が前後に動き始める。
遠隔的な快楽に悶える彼女を想像しながら、僕も粘膜の感触に酔った。

その四 [#w37a88da]

「ふふ、三発目♪ 今日も元気いっぱいですねぇ…♪」
あまりの快感に射精の勢いも上がっている。
腹も胸板も顎の裏も、白濁ですっかり汚れてしまっていた。
「じゃあ、ここらで休憩しましょうか。ちょっと失礼して……ちゅる、ちゅ、れろ…」
精液と愛液でべとつく陰茎を、カリ首を、亀頭を、鈴口を、丁寧に舐め、しゃぶり、残らず啜り上げる。
その快楽が、否応なしに休憩中のちんぽを固く蘇生させていく。
「あらら、まだ休憩中ですよ。全部舐めるまで待ってて下さいね♪」
先端に口付けてからおもむろに僕に覆い被さると、小悪魔さんは下腹から丁寧に精液を舐め取り始める。
舌先ですくい、唇で吸いつき、口の中で咀嚼した精液を喉を鳴らして嚥下する。
そして恍惚と溜息をつき、今度は腹を、次は胸を、乳首、首筋――
そして顎の裏まで舐められた時、僕は四度目の射精をした。

その五 [#we15f373]

「あらあら、流石に限界みたいですね…」
揉んでも吸ってもねぶっても反応のない僕のちんぽに、小悪魔さんは実に残念そうに嘆息を漏らす。
「ああ、そうそう。私がお二人にどう気を遣っていたか、言い忘れてましたね」
主人を素直にさせることという話をしたような――そう言いかけた唇が、唇に塞がれた。
「……ふふ、あなたと交わす、最初で最後のキスですよ」
一瞬で僕の唇を奪い、そして微笑んだ小悪魔さんの目は、少しだけ潤んで見えた。
「もう、こんな時ばっかり目敏いんですから…。でも、もうダメですよ。今のは事故みたいなものです」
彼女は立ち上がり、脱ぎ散らかしていた服を一枚ずつ拾うと、僕に背を向けてきぱきと身に着けていく。
「……。あなたの唇は、パチュリー様のものなんですから」
足早に去っていく小悪魔さんの背中の翼は、とても小さく萎れて見えた――。

第八話 [#l5fb3024]

その一 [#oa0cdcbf]

パチュリー様はいつもの机ではなく、図書館に併設された寝室にいた。
そもそも睡眠を必要としない彼女がこうして洋風な寝台に腰かけているのは、
「……何をぼさっとしているの。早くこっちに来なさい」
恐らくは先日の小悪魔さんによる策――パチュリー様を素直にさせる作戦が功を奏したことを意味していた。
遠慮がちに寝台の端に腰を下ろすと、そこだけ腰ごと大きく沈む。とてつもない弾力だった。
「そんな端っこに座らないの。いいからここに座りなさい」
隣をぽんぽんと叩きながらパチュリー様は僕を睨む。
相変わらず陰鬱かつ険のある目つきだが、その瞳は小刻みに潤み、その視線は僕を捉えたまま一向に動かない。
「じゃ…じゃあ、今日は按摩の試験よ。しっかりと……気持ちよくさせなさいね」
頷いて、タイをほどく。
ケープが滑り落ちた華奢な肩を引き寄せると、どちらからともなく唇を重ねた。

その二 [#w1112ce0]

「ん、ん……ちゅる、くちゅ…むちゅ、ちゅ……」
柔らかい。小さな唇はぷっくりとしていて、舌は滑るように絡みついてくる。
唇を味わい、舌を味わい、口腔を味わう頃には、無意識にパチュリー様を押し倒して、
それでも僕は唇を離さない。離せない。
「んっ…! んん、んんーっ!」
もはや按摩など関係なかった。左手で彼女の頭を抱き、右手を懐に潜り込ませる。
ふっくらと、もっちりとした胸の谷間に手を差し、無理矢理に片方を揉みしだけば、ぷっくりと尖った乳首が物欲しそうに掌をつついて。
「んんんっ! んふ、んー! んんんんーっ!!」
人差し指と中指の間に挿し挟んでこね回した瞬間、猫背気味な彼女の背がびくりと震えて硬直した。

その三 [#n9953d2a]

頭の中が白く霞みがかっている。
視界はぐらぐらと乱れて、パチュリー様以外のものが何も見えない。
顔を真っ赤にして僕の舌をなよやかに舌で受け止める彼女が、
乳首を刺激されて軽い絶頂に見舞われる彼女が、
僕の首を細く生白い腕で抱き締める彼女が、たまらなく愛おしい。
腹の底から、魂の奥から
――愛しています、パチュリー様。
堰を切ったかのように、彼女への気持ちが溢れた。
喉を絞り、声の限りに、息が続くまで愛を叫んで、ひたすらに小さな体を掻き抱いた。
「……。待ちくたびれたわよ、馬鹿」
相変わらずの小声。蚊の鳴くような囁きが鼓膜をくすぐる。
「でも……やっぱり大好き…」
それだけで僕は胸の中が満たされて――身も心も甘く蕩けてしまいそうな歓喜に打ち震えた。

その四 [#k17f49d1]

「そ、それじゃあ…えっと……する、のよね……?」
今にもはち切れそうなペニスをまじまじと見てから、パチュリー様は上目遣いに僕を見る。
ちくりと、胸が痛んだ。
この状況が、もし小悪魔さんの策略でもたらされたものなら、僕は…
「……。今、小悪魔のこと考えたわね?」
僕が返答するより早く、僕は押し倒されていた。背中が布団の弾力の中に沈む。
腰に、柔らかくすべらかな太ももの感触。顔を起こすと、彼女はすでに僕に跨っていた。
「心配しなくても、これは私の意思ですることよ。だって、私は――」
彼女の股間に、視線が釘付けになる。
ぷくりと丸みを帯びた陰唇に、色付き花開いた粘膜に、先端が触れ
「……最初から、ずっとこうしたかったんだから」
その言葉に魂もろとも、彼女の中に吸い込まれた。

その五 [#i858e382]

……しばらくは何も考えられなかった。
ただ、自分の腰以外が溶けてなくなったような心持ちになって、その腰だけを振りたくり、本能のままに快楽を貪って
――その先の記憶はない。
「……ふふ、可愛い寝顔ね。童貞卒業、おめでとう」
唇についばむような接吻。それで意識が覚醒した。
どうも僕は眠って…というより気絶していたらしい。
「言ったでしょう、ちゃんと気持ちよくしなさいって」
そう、それが僕の使命だった。今なら納得できる。僕はパチュリー様にお仕えすべく生まれたのだ。
「違うわよ」
久しぶりの一蹴でがくりと来た瞬間、締め付けが強くなり息を呑む。
「貴方はね、私と愛し合うために生まれたのよ…」
体を預けられる。僕はたっぷりとしたお尻を両手で掴み、腰を動かしながら、彼女の唇を受け止めた。

第九話 [#n69daed8]

その一 [#q163d93d]

「昨夜はうまくいったようですね。卒業、おめでとうございます♪」
書架にもたれて按摩の指南書を読んでいると、物陰から小悪魔さんが悪戯っぽい笑顔を覗かせた。
僕は本に目を戻す。何を卒業したのか言わないあたり、優しいのか、いやらしいのか。…恐らく後者だ。
「でも、ちょっぴり寂しいですねえ。あの魔力に満ち満ちた精液はもう飲めないんですよね…」
と言うより僕はもう身も心もパチュリー様に捧げたのだからして、小悪魔さんとの肉体的干渉は――
「まあ、質が落ちたなら量で補えばいいですよね?」
――しまった。驚愕のあまり迂闊にも顔を上げてしまい、同時に彼女と目を合わせてしまった。
「大丈夫ですよ。どれだけパチュリー様に夢中でも関係ないほど、気持ちよくしてあげますから♪」
ひとつ、またひとつ。
金縛りにかかって動けない僕の上着のボタンを外した手が、そのままゆっくりと股間のファスナーを下ろし始めた。

その二 [#q03858c5]

「ご心配なく。これは浮気じゃないんですよ」
下半身だけ丸裸になった僕の前にひざまずくと、小悪魔さんは薄く笑って玉袋を両手でそっと包み込む。
明らかに異質な感覚に腰が震え、同時に温もりの中で睾丸がうねるように動いたのがわかった。
「私はあなたにキスもしませんし、あなたのペニスを膣内に挿入もしません。要は身体だけの関係です」
普通はそれを浮気と言うと思うのだが、小悪魔さんにとってはそうでもないようだ。
いや、そもそも彼女は仮にも悪魔なのだからして、いつ何時に前言を翻さないとも限らない。
「もー、疑り深いですねえ。大丈夫ですよ、悪魔は人間と違って嘘をつきませんから」
そう言うと、彼女は唇だけで玉袋の薄皮を甘く噛み、睾丸の輪郭をなぞるようにぬるぬるの舌を這わせて
「うふふふふ…いつまで我慢出来ますかねえ…?」
あろうことか睾丸を片方だけ口に含み、唇と頬の粘膜で圧迫しながら飴玉のようにしゃぶり始めた。

その三 [#x485c3ad]

「んふふ……ひもひいいへひょう?」
声帯から直接伝わる振動が睾丸を小刻みに刺激する。
正直言ってそれだけでも射精に届かんばかりに気持ちいいのだが、彼女は何を思ったのか玉袋を持ち上げ、
その裏――女性で言う膣のあたりを舐めてくる。
「ほら、この会陰には精管が通ってるんですよ。いっぱい舐めてあげますね♪」
立ったまま股間を舐められる屈辱感もかなりのものだが、快感は明らかにそれを上回る。
先ほどしゃぶられて睾丸が活性化しているのか、股間がいつも以上に熱く大きく脈動している気がしてならない。
「むう、頑張りますね…。パチュリー様にそこまで義理立てするなんて…ちょっと妬けちゃいます」
歯を食い縛り射精を堪える僕の股間を潜り抜け、後ろから竿を強く掴まれる。前にもされた射精封じだ。
「でも、お尻の穴をふやけるまで舐められても、まだ我慢が出来るかどうか……見ものですね♪」
舌先が菊座の皺を一本一本、丹念に舐めていく。僕はパチュリー様を想い、ただ全身を強張らせた。

その四 [#zb4ee428]

ぐるぐると、ぬるぬると、その軌跡は螺旋を描きながら少しずつ、しかし着実に、僕の純潔の結界に亀裂を入れて突き崩していく。
括約筋のすぼまりを舌でくすぐられるたび、気が狂いそうになる。
獣のように浅ましい、声にならない甲高い喘ぎが、喉の奥からとめどなく溢れ出す。
昨夜の契りを、あの愛しいパチュリー様とのひとときを思い出せ。
ここで耐えなければパチュリー様に顔向け出来ない……
「ふう…よくここまで頑張りましたね。普通ここまでされたら二、三回は射精してるんですが」
やがて小悪魔さんが舌を離し、立ち上がった。ようやく諦めてくれたのだろう。
僕は心底安堵し、
「少し魔力が勿体ないですが……最後の切り札です。逃げてもいいですよ? 動けるものなら…ね♪」
ずりゅ、と生々しい音を立てて、彼女の股間から凶猛な肉棒が姿を現すとともに、目の前が真っ暗になった。
金縛りは未だ解けず。その熱く膨れた先端は、ゆっくりと僕の直腸を蹂躙し始めた。

その五 [#tf0575a5]

「ああ……熱くて、狭くて、ねっとり濡れて…気持ちいですよ、あなたの中……」
信じられない。小悪魔さんに男根が生えたことは百歩譲っていいとしても、
それにお尻の穴を無理矢理に犯されているというこの現状が信じられない。というより信じたくない。
「パチュリー様はあれでたいそう純情ですから、こんなことはしてくれないですよ…ねっ!」
どすん、と鈍い衝撃が背筋を走る。腸の内壁を叩かれるたびに息が詰まる。
そして――恐ろしく甘い痺れが腰のあたりにわだかまり、更なる衝撃に乗じて四肢の先まで喜悦に満たす。
「ふふ、可愛い声が出ちゃってますよ…♪ 私も限界ですし、一緒に……お願い、一緒にぃ……ッ!!」
突き方が力任せになってくる。みっちりと竿を締め付ける括約筋が、射精寸前のペニスを感じてわななき
「あああああっ! 好きっ! 好きぃぃいいっ!! ふぁ、んぅあああああっ!!」
背中から抱きつかれ、鼓膜を溶かすような甘い声に限界以上まで痺れた理性は、ペニスの先から白濁に溶けて盛大に噴き出した――。

最終話 [#oe81b280]

その一 [#rab7fa7f]

「別に、貴方が小悪魔と抜き挿ししようがされようが、私には関係ないことよ」
先日の一件について伏して謝罪する僕に一瞥もくれず、パチュリー様は冷たい声で言い捨てる。
目の前が真っ暗になった。パチュリー様に見捨てられたら、僕はどうすればいいのだろう。
身も心も魂もパチュリー様に捧げた僕は、もはや彼女の隣以外で生きていけない。
捨てられるくらいなら死んだ方がましだった。
「……まったく、つくづく鈍いわね。気にしてないって言ってるの」
読んでいた本を閉じて机に置くと、パチュリー様はようやくこちらを見て、何と、笑いかけてくれる。
「貴方は私のもので、私はあなたのもの。その大原則を忘れてないようだから…許してあげるわ」
僕が泣いて喜ぶと、今度は困ったように眉をひそめて苦笑いする。そんな表情の些細な変化も愛おしい。
「そんなことはどうでもいいの。本読んでたら凝ってきちゃったから……また揉んでくれる?」
快活に返事をして立ち上がり――固まる。
椅子の上のパチュリー様は、肩どころか胸まで露出していた。

その二 [#sdc56ee9]

「最近、肩凝りがひどいのよ…。貴方が胸ばっかり…んっ、揉むから…ぁ、はぁ……」
そう言われても、男はおっぱいに弱い生き物なのだからして仕方がない。
特にパチュリー様のおっぱいは大きさも柔らかさも手触りも極上だし、何より愛する人のおっぱいならば揉まざるを得ないではないか。
「あん……く、口ばっかり上手くなって……ん…ふぅ、んんんんっ!!」
尖った乳首を指に挟みながら揉んだ途端、パチュリー様が全身を強張らせる。
一瞬だが、達したようだ。
「ふぅ、ふうっ……ふあ、あぁぁ……ねえ、もっと体の中からほぐして……」
パチュリー様は両手を広げ、椅子の上で僕を迎え入れる。
誘われるまま唇を重ね、舌を吸い、舐めほぐし
「んん…んっ、ふぅ、むちゅ……ちゅ、ちゅるる……はあぁ、いいわよ……こっちも…お願い……」
両脚を投げ出し、太ももまでが露わになる。
白い下着はすでに下着として機能しておらず、薄い布地越しに触れた真っ赤な秘芯は、ほぐそうとする僕の指先を布ごと貪欲に呑み込んでいった。

その三 [#f327e893]

「あふ…ん……。ふぁあ……太くって…熱いぃ……」
結局は指でほぐす必要もないほど濡れていたため、急かされるままに勃起済みのペニスを挿し込んだ。
熱くほぐれた肉襞が柔らかく吸いついて、カリ首に引っかかるたびに甘やかな痺れが腰を、背中を突き抜ける。
「あっ、あああ…! 動いて、もっと動いて……私の体の真ん中、ダメになるまでほぐしてぇ……っ!」
パチュリー様の小さな唇から卑猥な言葉が漏れ出るたび、僕はいけない興奮を覚えてしまう。
このまま彼女をほぐし尽くして、一番奥に押しつけながら果てたい衝動がペニスの奥から湧き出して――
「それなら、私がたくさん出るようお手伝いしましょう」
――いつの間にか、僕の背後には小悪魔さんが立っていた。
彼女は先日魔法で生やしたペニスに唾液を垂らすと、真っ赤になって荒ぶる怒張を僕の菊座にゆっくりと押し当て
「えいっ♪」
何の前戯もなしに突き込まれたそれを、僕の身体は喜悦の叫びとともに受け入れた。

その四 [#w5aa2804]

「こ、小悪魔……いったい、い…いつの間に…?」
僕が馬鹿面を晒して喘いでいるのを無視して、パチュリー様は息も絶え絶えに小悪魔さんを睨みつける。
「ああ、ごめんなさいパチュリー様…。わたし、もうこれ以上自分を欺けないんです……」
「……まあ、分からなくもないわ。使い魔の趣味は往々にして主人に似てくるものだし」
わからない。二人が何を話しているのかわからない。
ふたつの異質な快楽に髄まで溶けた僕の脳には、もはや考える力はおろか、身体を支えるよう四肢に命令する力さえ残ってはいないのだ。
「彼がいけないんです。気持ちよくなると、本当に可愛い顔するんですから。喘ぎ声も最高ですし」
「そうね、やっぱりそうよね! 小悪魔、二人でこのまま彼を絶頂させるわよ。…朝まで、何度でもね」
「イエース、マイマスター♪」
二人の腰の律動が大きく早くなっていく。
ちんぽを呑み込み、ちんぽを呑み込まれて、むせ返るような雌の香りの中、僕は半ば狂ったように吠え喚きながら絶頂した。
挿しつ挿されつするだけの肉人形となり果てたことに、至福の快楽を覚えながら――。

その五 [#o6ca78e2]

――それから、僕は図書館ではなく、紅魔館に暮らすこととなった。自室もベッドも与えられた。
居候以下の身分から、正式な客分に格上げということらしい。
あわよくばパチュリー様の側仕えとして…などと思いもしたが、実質的にはそうなのだから、この際身分など何だってよかった。
「…ほら、握力が落ちてるわよ。私がいいと言うまで気を抜かないの」
そして、勤務時間。僕は今日も今日とて椅子の後ろに立ち、座って本を読むパチュリー様の肩を揉む。
「んーっ♪ ん…こく、こくっ……」
腰に抱きついた小悪魔さんに、舌と喉の動きでねっとりと精を搾り取られながら。

だだっ広くて黴臭い大図書館の片隅で、今日も僕は幸せに飼われている。


<終>

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