一話

1

絵のリクエストがあったらおっしゃってください
これはもう何度目かの事で…この百数十年程の間に彼女が幾度も目にした光景だった
山の中に口減らしに捨てられていく人間の幼子たち
多くは物の怪や狼の群れなどに食い殺されてしまっているのだが稀に生きて無事な子供に遭遇する時がある
心優しいネムノさんはそんな子供を保護しては15になるまで大事に育て上げ
里に送り出しては自立に成功させ続けていた
「おお…おめ…おどごのわらしだが?山に投げられでぐわらしどもは働手になんねオナゴばっがでよ…珍しいべ」
風呂場で汚れにまみれた男の子を洗いながら外傷チェックとメンタルケアを行う様は手慣れたもの
子供は年の頃5つか6つか…話を聞く所迷い子ではないようで稚拙ながら坊が語る話の内容から捨て子である事が伺い知れた
「今日からうちがおめのおっがぁの代わりになってやるべ!大人になるまで面倒見てやるだでなんも心配いらねぇからな」
坊はとしあきと名乗りました
ときには厳しくそれはそれは大切に
のびのびと健やかに育てられ
それは醜く肥え太り
醜悪な風貌へと性徴していきました…

2

坊はとても甘えん坊で頻繁に出もしないネムノのお乳を要求しては乳首をしゃぶって精神安定を図っておりました
しかしそれが5年も続くと流石のネムノもどうにか乳離れできないものかとあれこれ考えを巡らせ始めます
困った事に最近坊のお乳の吸い方が妙にねちっこくなってきており
空いた片側の乳も求める様に揉みしだいては指で執拗に乳首を転がして来るのです
口内の乳首は吸われる時間よりも激しく舌で転がされる時間の方が明らかに多くなっており
すっかりエロ乳首に開発されたネムノは今日も乳首を長く固く勃たせながら
「やめ…やめるべ…もう…たくさんだべ?」
と身をよじりながらやめるよう懇願します
坊の股ぐらを見やると一物が苦しそうに腫れ上がり腰をカクつかせており
この変化には気づいてはいたもののどう対処して良いのかわからずネムノはほとほと困り果てておりました
ネムノ宅には幾度も子供の世話をしてきた経緯からか学問の本や遊具の類が幾つも備わってあり
その中には性教育の本も…
山姫の類の山姥は年若い姿の美しい女性であり20歳前後にしか見えないネムノもその系統で
思春期に入った坊の欲望がネムノさんに向いても無理がありません

3

ある夜ネムノは身体を揺り動かす振動で目を覚ます
坊が身体に覆い被さりいつものようなねちっこい乳首しゃぶりと乳首転がしに性を出していました
吸い方がおかしくなる前にも何度かこういう甘えた行動があったので当初は今夜もそれなのかと思うも…すぐに違和感に気づき
「っ…おめ!何してるべ!…コラッああっあ!!!」
坊は鼻息荒くネムノの乳をしゃぶりながら硬くなった男根を激しく膣内に打ち付けていた
「お…おおっほ!?おオおッ!!!」
普段の乳首責めで散々股布を濡らしては行き場のない昂ぶった情欲が自然に収まるのを待つといった生活を送っていたネムノ
寝てる間に身体はほぐされ起きてみればフルスロットル状態
急な快楽の波に一瞬判断が遅れ
坊が汚い雄叫びを上げたと思った瞬間大量の精を注ぎ込まれてしまっていた
「な…何て事してくれたんだべ…!う…うちややこは産みたぐねえよぅッ!!」
坊を脇にどけ慌てて股を大きく開き驚愕する
寝てる間に綺麗に剃毛されて大事な所が丸見えにされてしまっているのだ
「と…とんでもねえエロガキだべ!!」
坊は執念深くネムノの乳に吸い付いたままねっとりと全身を巻きつける様に絡みつき邪悪な笑みを湛えていた

4

一度坊に寝込みを襲われてからというもの
ネムノは度々身体を求められては渋々ながら坊に身体を許してしまうようになっていました
坊は兎に角膣内射精をしたがり
ネムノは必死にそれを阻止するよう動く射精時の小競り合いが続き
1年が経ち2年が経ち――坊の風貌が益々醜く悍ましくなるにつれ
とうとうその日がやって来てしまいます
「おめ…今日で15だべ…里に下りる支度さしろ」
生きていくのに必要な学と知恵を与え働き口が見つかり易い地区の紹介は済んでいる
何度目かの卒業生送り出しの日である
しかし坊は完全にネムノの身体に溺れていた為にこれを拒否した
薄っぺらな愛を語りニチャニチャした気色の悪い笑みを浮かべネムノに組み付く
「そうか…なら好きなだけここに居ると良いべ…」
諦め半分呆れ半分に感情無く答え黙って抱かれるネムノ
ネムノの暗い感情を伺い知る所か考えもしない坊の身勝手な性欲が今日もネムノを叩きつける――
遠近法で立ちバック演出してたブサガキをもっと大きくした感じの竿がネムノの片膝に腕を入れて股をガバっと開かせた背面側位で脇の下から顔だして巨乳に吸い付きながら中出しをキメる絵をお願いします!

5

逃げられない様ホールドした抜かずの10連発膣内射精を決めると流石のとしあきも精魂尽き果て萎えしぼんだ陰茎をずるりと膣内から引き抜いた
「…もう満足したべか?」
「したんやなw今日もネムノママーの身体は最高なんやなw絶対にママになってもらうんやなw」
ネムノの腹をいやらしい手つきでさするとしあきを一瞥し
「ああ…そうだか…」
暗い表情で愛想なく返事をするネムノ――今日は膣内射精に対し全くの無抵抗だった
「じゃあ…これでもう終わりにするべ」
背を向けネムノの服を使い汚れたちんこをフキフキしているとしあきの後ろでネムノさんの右手に妖気が漲る
肘から先の腕が2周り大きくなり爪も伸び
力強さを増したその手には愛用の大鉈
「そうやなw明日のおせっくすに備えて今日はもう終わりにしておくんや゛な゛ッ゛――!?!1!1?」
大鉈はとしあきの頭に振り下ろされていた
「うちが大目に見るのはわらしだけだべ…最後に良い思いしたんだ…本望だべ?」
これは残る事を選択した者の末路
子供好きではあるがその期間が終われば良く育った食肉用の豚と見なしてしまう妖怪の一面である

6

「今だから言うべ…おめ…ちょっと…いんや…かなり気持ち悪すぎだったべ…」
頭に大鉈が刺さったままとしあきは白目をむいて気色の悪い笑みを湛えながら直立でビクンビクンとのたうち
最後っ屁とでも言わんばかりにフニャチンからビュルビュルとまた射精をしています
「せめてもの弔いだべ…肉も骨も残さずに喰らってやるからな…」
ネムノさんは暗い瞳で精肉解体を始めました
複雑そうな心境を察するに余りある程その顔は怒りとも悲しみとも取れぬ形に歪んでいます
そして
この時ネムノさんの胎内では
とても邪悪な生命が胎動を始めておりました――

To be continued

足柄山っぽい山の股カリ担いだキンタロンミw編
ライコーさんと鬼退治編
に続きます

二話

1

最初は食べ過ぎなのかと思っていました
妙にお腹が空くのです
保存食用に天日干しにするつもりでいたとしあき肉80kg
それに加え骨や臓器や血液類20kgに至る食料をものの10日で全て平らげてしまった所でようやく気づきます
「どうしたらいいんだべ…うち…あれのややこさ孕んでるべ…」
大きなお腹を抱えて涙目ネムノさんはどうにかこれを処分できないものかと頭を悩ませました
しかし今から堕ろすのは母体が危険すぎるので中身の処遇は取り敢えず産んでから決めるしかありません
産まれ出て来ようとしているそれは過剰に栄養を求め
異常な事に通常の赤子と比較して30倍の速度で成長している様子でした
そもそも食べた物が殆ど排出もされず…むしろ目に見えて体重が減り少し痩せてしまったネムノさん
今にも産まれ出て来ようと腹の中で蠢くそれは間違いなく妖の血を色濃く受け継いでいます
「ま…まだ悲観するのは早いべ…もしかしたら可愛い女の子が産まれるかもしれねぇべ!」
希望を胸に気合と根性で独りお産に励むも…種が悪かったのか食べた物が悪かったのか…
ひり出されたそれは目を背けたくなる程に醜悪で悍ましく…助平そうな顔をした男の子でありました

2

それは産まれた瞬間から目を開いていました
産声すら上げずニチャニチャと気持ちの悪い邪悪な笑みを湛えながら通常呼吸を開始しています
明らかに既に視力を備えるそれに目で姿を追われ激しく嫌悪感を覚えるネムノさん
「産まれたばっかで…なんておぞましい妖気だべ…これ…これ…生かしておいたら駄目なやつじゃねえべか?」
今まで目の当たりにしてきたどの妖怪よりも強い妖気を放つそれのプレッシャーに気圧され
この瞬間幻想郷全ての生物の強さのランクが1つ下がったような気がしたような気のせいのような
なんとも言えぬそれの存在感から念波の様な物を受けた錯覚さえ覚えます
(俺を育てるんやなッッw)
真っ平御免でした
幸いそれはまだ思うように動けない様子だったので
ネムノさんは迷う事無く愛用の大鉈を振りかぶり一切躊躇せず
殺意を込めてありったけの力で首を跳ねようと刃を振り下ろしましたが――刃は通らず刃が潰れ
その攻撃は強い反作用を受け腕を痛めただけに終わってしまいました
それはまるで攻撃を意に介している様子もなく
ニチャアァァ…とより邪悪な笑みを湛え半泣きネムノさんの青ざめた絶望顔を楽しんでいるかの様でありました

3心臓に釘を打とうとすると釘は折れ

焼こうとすると無限に湧き出す尿で火を消化され
増水し黒く濁った氾濫する急流へ地蔵に括りつけ沈めても
それは川の水を全て飲み干し体の彼方此方から泥水をピューピュー噴出させてはニチャ笑みを続けます
「困ったべ…うちの力じゃ殺せねぇべ!」
自我が芽生える前に攻撃をやめないとそろそろ手痛い反撃を受けるかもしれません
日を追う毎にそれの大きさは異常な成長速度でみるみる膨張してきています
殺すのを諦め隣山に捨てて来た日もありました
翌朝目覚めると布団の中にそれがいて
あれとよく似た授乳に見せかけた乳首舐め転がしと空いた乳の揉みしだき乳首転がしを血走った目で顔を覗き込まれながらされていた時には戦慄し息を飲み気絶した程に
ネムノさんは手詰まり状態
育児放棄をしていましたがそれは腹が減ると四足で外に出ていき雑菌だらけの鼠や毒虫を食べている様でした
「病気になって死んでくれねぇべか?」
淡い希望も露と消え…1ヶ月もすると二足で歩き出し…半年もすると狩りの対象も熊に変わり…身体から眼鏡を生やし…
どうやっても死にそうもなく呼ぶ時にも困るのでそれには金時と名が付けられたそうな

4

2年が経ち
それの成長速度は産まれ落ちてからは人の10倍程でありましたがそれでも肉体は早々と成人しそこからの加齢は酷く遅いものへと移行しました
それは20歳の肉体とは思えぬ程の老け顔で全身の体毛も小汚くまるで40のおっさんの様な風貌でした
知らない人がネムノさんの父親と聞いたら信じてしまいそうな程の醜悪さです
それは妖怪の強みである肉体の強固さに加え半分人である特性から精神攻撃による調伏も不可能な様子で…
「だぁあ…だァあぶぅう…まんまんま」
しかしそれの中身は人間同様2歳児だったものですから
傍から見れば重度の発達障害にしか見えない程とても悲惨な時期を迎えており
ネムノさんは目を伏せ青ざめながらそれから顔を背ける事しかできません
日々膨張を続けるそれに服を着せてもすぐ破れてしまうので
当初は金隠しの意味合いも兼ね金マークの赤い前掛けをかけていたものの
今ではそれが赤子のよだれ掛けの様に胸元に垂れ下がり
全裸の方が幾分マシな風体と化しておりました
それの睾丸は何かの病気かと見紛う程大きく膨れ常にピクピクしており
今日まで未精通のそれはとても危険な均衡の下最初の獲物を求めている様でもありました

5

天狗のメスガキあやちゃんは無敵でした
子供の頃から大人顔負けの俊足と戦闘能力を備えていた為にチョーシこきまくりの怖いもの知らずで文字通りテングになってました
今日は禁域である山姥の縄張りへ遊びで侵入しています
もし山姥が居たらおちょくって逃げてやろう
そんな軽い気持ちで足を踏み入れた木々が生茂る傾斜の中
それに出くわしてしまいます
「ハァーイ!バァーブゥ…チャーン!!!」
それはまだ頭の中が2歳児なので上手く喋れはしませんでしたが
初めて見るネムノ以外の人型妖怪に胸を高鳴らせ
友達になりたくて勇気を出し精一杯声を上げ訴えました――しかし
「――ひっ…ひはっきひゃはははははッ!!あああッはああっはははははは!!!」
開口一番あやちゃんはそれの風体を見るやいなや
「なにコレッ…なんなんですかコレッ…きゃぁあっハハハハ!!!」
心の底から嘲り笑い声を上げました
「だぁあ…?あぶぅう?」

6

そこに居たのは口から涎をダラダラと流す酷く太った全裸で眼鏡の足が短いテカテカ全身が脂ぎった異様に金玉のでかい醜悪な毛深いおっさんで
赤ちゃんみたいなよだれ掛けをつけているかと思うとそれは幼児用の前掛けで
全裸で居たほうがまだ幾分マシな様にも思え
頭の中身がどうやらアレな様で
「あぁあッ…はははは!!く…苦しっ…ひはっ!笑い死んッ…あはははは!」
両手を前に出しフラフラ近づいてくるそれと一定距離を保ちながらあやちゃんは只管笑い続け
得意技である鎌鼬や石礫を浴びせかけながらおちょくり続けます
髪の毛を狙った鎌鼬でそれの頭の頂点が禿げ上がったり…顔面に幾度も巨石が投じられては眼鏡がひしゃげ割れ落ちますが…
ものの数秒で髪が生え揃い身体からまた眼鏡が生えてくるのでそれがまたあやちゃんの笑いのツボに入ってしまい
それに全くダメージが入っていない事にすぐ気づくべきでしたが
面白すぎて笑いが止まらず思考がそこに至りません
それは次第に…本能的に自分が嘲り罵られている事を理解し…
「アヴッ…ヴァヴヴヴ…!」
顔を真っ赤にしながら歯を食いしばりビキビキと青筋を立て始めます
肌の赤みは肩にまで及ぶ程でした

7

「ああっはははは!!!ようやく怒りまちたかぁ〜!?そうでちゅよ〜?バカにされてるんでちゅよぉお〜〜〜???あは!あははっ――」
「…ダブダァアッ!!!!11!」
「――あばッ!?」
あやちゃんはそれの突っ込んでくる姿勢を見て笑いながら余裕で躱すつもりでした
意識とは関係なく反射的に身体が反応してくれたのでギリギリ受けた衝撃を幾分殺す事に成功しましたが
それのぶちかましに被弾し近くの大木に弾き飛ばされ強く全身を叩きつけられてしまいます
何が起きたのか理解するのに数瞬かかり
あやちゃんに湧いた感情はまず激しい怒りでした
「このゴミカスが…舐めた事すると殺してしまいますよっ!?」
逃げる余力がある内に尻尾を巻いておけば或いは助かったのかもしれません
「あがっ!?」
あやちゃんの怒りの声が苦悶に変わり
「このくそやろッ――ぎゃあっ!!!」
苦悶の声が悲鳴に変わるまで然程時間は掛かりませんでした
「あああああああ!!!!御免なさい御免なさい御免なさい!!!謝りますからどうかだずげッ…あぎっ…痛いいッ折れッ…やめええてえええ゛え゛!!!」

8

それの怒りが収まった頃
既に意識を失い痙攣するあやちゃんがそれの足元に半裸で横たわっておりました
強い妖怪だったので致命傷も無く数カ所骨にヒビ程度で骨折も免れたあやちゃんですが
体中痣だらけで頭も強く打った為に暫く目覚める事も動く事も出来そうにありません
「daaaaaa!1!!」
勝利の雄叫びを上げるそれの目に…捲れ上がったスカートの中にある丸出しの可愛いらしい烏プリントがついた綿の女児パンツが映り込み…
「…daaッ?!…?………!」
それは何かこみ上げるものに導かれる様に彼方此方破れたあやちゃんの衣服を通販の開封みたいな勢いでビリビリと毟り破ると
膨らみかけてツンと尖った横から見ないと判り難い程の小さな乳房がぷるんと露わになり
片足を持ち上げずりずりそっと下着を脱がし眼前で大きく股を開かせると
「…daaッ…だ…だぁぶぅあ…ハァッハッ…ハァッ!」
それの息遣いが荒くなり股間の一物がビキビキと膨れ上がりました
腿の付け根近くに垂れ残された女児パンツの内側がめくれ晒され
黄ばんだクロッチ部分から強いメスガキ臭が立ち上がると
それはあやちゃんの両乳首を人差し指て転がしながら股の間に顔をうずめたのでした

9

その夜帰宅したそれの姿を見てネムノは戦慄する
朝出ていった時は西瓜程もあったそれの金玉が葡萄粒程に萎んでおり
恍惚とした表情で暫くぼけぇ…っとしたかと思うと強烈な睡魔に襲われた様に深い眠りに落ちたのだ
「性の喜びを知りやがって!」
悪態をつきネムノは暫く身を隠そうと身支度をして小屋から逃げ去りました
これまで何度か遠くの山まで逃げた事はありましたが
気がつくと(主に寝起き)それが横でニチャ笑みをして佇んではネムノの心臓を止めに来るので逃げても無駄ではありますが
逃げずにはいられません
「うう嫌だべ嫌だべ…いやだべええ!!!」
山中に響くそんな悲鳴にピクリと反応しあやちゃんは目を開きます
全身痛くて身体が動かし難いもののなんとか五体無事で助かった様子でしたが
あれに何をされたのか理解すると震えて嗚咽し…今日の行いを激しく後悔しましたそうな
歯を食いしばり青ざめ顔を半目でぐしゃらせ嗚咽するロリ射命丸が片腿に黄ばんだクロッチの女児パンツ引っ掛けた全裸状態で全身どころか周囲にも飛び散った精液の海の中大股開いてロリマンコパクつかせながらケツの下に吐き出し終えた巨大な水たまり作ってる絵をお願いします

三話

1

募集は10分間で締め切ります
相も変わらずそれはぶくぶくと肥え太り全裸で眼鏡で短足で全身小汚い体毛まみれで赤ちゃんのよだれ掛けのように金マークの前掛けを胸元に垂らしていた
それが5歳になった頃からだろうか
友達と遊んでくるような事を言っては朝早くから金玉を小振りな西瓜程の大きさに膨らませては何処かへ出かけ
夜になると体中を血と精液と愛液にまみれさせ
萎んだ金玉を弾ませながら帰ってくる様になった
何かのはらわたを口に咥え咀嚼しながら帰って来る事も少なくない
それが女を犯しては犯した後にそのまま女を喰らいだしたのは明らかで
そしてその喰らっている対象が河童や天狗である事は奪ったであろう蒐集品から容易に予測がついた
ネムノさんは日々それの力が増大しては度を越した蛮行に及ぶのを黙って見ている事しかできなかった
それは倫理観の欠片も無く
度々遊び足りなかったと言ってはネムノをオモチャのように扱い犯し抜いた
それは日中性欲の大半を発散して帰って来るために数回程度の行為回数で開放はされるものの
積み重なる行為の繰り返しにより
ネムノさんの精神状態はそれはそれは酷い有様で限界を迎えておりました

2

今日もそれは妖怪の山にニチャ笑みで踏み込んでは
悲鳴を上げて逃げ惑う河童の女の子や天狗のおねいさんを追いかけ回し
捕らえた先から激しく犯し出す
天狗の場合は日に一人で済むものの食いでの無い河童の場合だと二人は被害に遭う凄惨さで
犯し食い荒らされた女の子の残骸と交戦した雄天狗の死体が山のそこかしこに散らばり続け
それの狩場は次第に広がっていき被害は拡大し続けた
そんなある日の事
日中それが出払った頃合いを見てかネムノ邸の屋内に手紙付きの矢文が飛び込んで来る
妖怪の山の手の者から呼び出しがかかり
報復を覚悟して半ば自暴自棄に応じたものの
持ちかけられた話の内容は思いもよらない衝撃的なものだった
「オタクの化け物を利用して山に巣食う邪魔な鬼を排除したい」
天狗と河童はそれが妖怪の山に被害を齎すはるか以前より鬼に虐げられ続けて来たため
それに対する憎しみよりも鬼とぶつけて最悪どちらかだけでも排除したいと目論んでいたのだ
バケモンにはバケモンをぶつけんだよ作戦である

3

「それにしても…」
使いの雄天狗達は囲んだネムノの風体を見て怪訝な顔を見合わせた
呼び出しに応じて参上したのは河童程の大きさの女の子で不相応にやや胸が大きめだったが10歳程にしか見えない
代理の娘かと問うもそれは紛れもなくネムノで
「あ…あいつ最近…う…うちを抱きながら言うんだべ…妹…ほしいって…」
光のない淀んだ目で言葉を綴る
「か…河童娘の…締まりの良い穴…いつでも…使える…穴…家でも…ほし…って…」
ここで俯きポタポタと涙を流し始める
「こ…まま…だとっ…えぐッ…あれの妹だが…娘だが…良ぐわがら…んもん…産まされっ…思ったら…」
そして下手をすればもう一匹あれが増えるとも限らない
ネムノの中で何かが壊れ精神が多少退行したのか
ある朝目覚めると彼女の外見年齢が半分程に縮んでいたのだ
初潮前の身体に退化する事は妊娠の恐怖に対する防衛になったものの
「これはこ…れでッ…都合…良い…って…あいつ…アイツ!前より!!沢山ッ!うちを…抱ぐんだべえええ…うああああ!!!」
泣き叫びその場にうずくまるネムノちゃんに雄天狗達は全員怒りを表しつつも――半数は前屈みになった

4

天狗の勢力が手引きし用意した人間の退治屋が現れたのはその日の夜の事
それの知能がまだ足りない内に利用した方が良いとして善を急いだのだ
天狗と何らかの取引が行われたのだろうか
鬼退治の一行に何の益があるのかは知る所では無いがネムノちゃんは客人を招き入れるに当たりそれが人間を攻撃しないよう仲介に努める
既に準備は整えてあったのかと感心するネムノちゃんでしたがどうやってこれを鬼退治の一行に加えるのかと気を揉みます
「妖怪の山の奥深くにはよ!どびっきり可愛くて手篭めにし甲斐があるこおにが居るんだ!どうだ?案内するから一緒に遊びにいかないか」
とんでもない口説き文句でしたがこおにの全身の人相書きとやらである酔蝶華萃香を見せるや否や
萎んでいたそれの金玉が急速に膨らみ粗末なモノをいきり勃たせ
呼吸も荒く顔を高調させ激しく先走り汁を流し始める
勧誘は一応成功した様子だった
はたして鬼はこれを殺せるだろうか?退治を失敗してこれが死ぬであろうか?ネムノちゃんには全くそんなイメージが湧かないのである
酷く暗い表情のままそれでも鬼退治の一行とそれの仲を取り持つしかなかった

5

作戦は至って単純なもので
鬼とそれが交戦中の間は人間は露払いと称し天狗と戦うフリをして勝負の行方を見守る手筈になっている
鬼とそれが共倒れになる展開が一番望ましく
どちらか生き残った場合は止めを刺せそうなら天狗と人間が結託し残った方を襲う算段で
鬼が完勝場合には速やかに人間は撤退し天狗はそれを追撃するふりをして逃がす
それが勝った場合は他の鬼を掃討しつつこおにだけはそれに献上する名目で連れ帰らせる
どう転んでも天狗が得をする仕組みに出来ているもののネムノちゃんは鬼にもすがる思いでそれの死を切に願った
顛末が気になるので人間に扮し甲冑を着込み一行の最後尾に加わったのだ
妖怪の山の警備は意図的に宴会を行った上で杜撰なものにされており簡単に山の最深部まで入り込めてしまう
鬼に対して何やら山から排除するだの正々堂々勝負だの人間が口上を立てると戦いが始まり
遠目に様子を伺っているとかの有名な星熊童子の三歩必殺がそれにまともに叩き込まれるも
それの全身の贅肉が激しく波打った後に張り手一発で星熊は吹き飛びこおにの前で白目をむいてのびてしまった
余りにも拍子抜けしたネムノちゃんはその瞬間全てを諦めた

6

それは両手の親指と人差し指を眼前で高速に擦り合わせながら舌先をレロレロさせこおにを眺めじりじりと歩み寄る
一物を勃て上下にピコピコとさせるそれの意図を察するとこおにはうっと顔をしかめ青ざめたが戦意は喪失しておらず
むしろ不敵な笑みを浮かべた
「くっくっくっ…これは面白いじゃないか!オイッ出番だぞ化け物!!あの糞豚を薙ぎ払え!!!……おいッ?早く出てこい?…化け物ォ!?」
こおには迫りくるそれから後退りしながら声を裏返らせ大声で叫ぶと
「ばけものじゃありません!せんにんです!」
こおにの前に何やらずんぐりむっくりした小さな桃色の物体が歩み出た
その瞬間明らかに天狗達に緊張が走り場の空気が凍ったのを見ると
どうやら討伐対象の本命はあれの様子だった
天狗の何人かは仇でも見るかの様な形相で桃色デブを睨みつけている
それは妖怪の山で最も天狗や河童を食事目的で殺傷し続けてきた災厄の化け物
もぐねん童子
友達と呼ぶ河童さんをもぐねんアパートに招待すると言いながら丸呑みにしては食い殺し
天狗さんにご飯を貰いますと言っては天狗も丸呑みにして食い殺す
まるで何処かの誰かの様な価値観で命を軽く扱い踏みにじる悪鬼である

7

周りの鬼達が偉いねぇ凄いねぇと囃し立てるが顔が引きつっているのを見ると喰われたくない一心からの接待なのだろう
何やらチャンスだとでも言わんばかりのこおにはそれに対してもぐねん童子をけしかけた様でもある
異様な雰囲気を纏う桃色デブの圧を前にそれは緊張感を抱き
本気で戦う戦闘体勢「ファビョりの相」で頭の先から皮膚の色を赤く変化させだし迎え撃つ体勢だ
いつの間にか行事の河童が軍配を手に掲げ現れ勢い良くはっきよいと開始の合図をした瞬間
地面が胎動し衝撃波が周囲の人妖をなぎ倒した
頭の3割を陥没させた食欲の化け物と顔面を潰され中央から割れた眼鏡が内側に食い込む性欲の化け物が足を震わせ
衝撃の中心地で思いもよらなかった自身のダメージに困惑している様子を見せる
「「い…いいぞ!そのまま殺せ!」」
いつの間にか隣り合わせになっていたネムノとこおにが同じ言葉を口にし顔を見合わせるも
直ぐに戦いの方へ視線を戻す
二匹の化け物は暫く前がみえねぇとフラフラした後で拳や蹴りを応酬しだし
二匹の姿が高速で動き出すと空間の彼方此方で音速を超えた衝撃波と何かの衝突音やそれによる余波が地上空中問わず無数に巻き起こりだした

8

馬鹿馬鹿しくなったのか二匹以外の者は既に戦いの手を止めていた
どう転んでも勝った陣営の化け物次第で片方の陣営は全員殺されるので最早有象無象の小競り合いなど無意味に等しいのだ
もぐねんとそれのど突き合いは半刻程も続き
再生した端から壊されるそれの眼鏡がいい加減邪魔になる程に散乱し始めた頃
開始位置に化け物達が一度降り立ち睨み合った
それはファビョりすぎて肩どころか足の爪先まで全身皮膚の色を真っ赤に染め上げ半泣きでグズりながら怒りの形相でもぐねんを睨みつけており
体中に拳や蹴りの陥没痕を無数に作り傍目にもダメージは深そうだ
もぐねんの方も全身ボコボコに身体を凹ませたり単瘤をこさえながら足がフラフラし始めている
もぐねんとそれの形相のおかしさから嘲笑が起こったりとにかく気持ちが悪いだの周囲から非難の声が上がり始める
「いたいです!もうゆるしません!」
もぐねん童子はこのいつ終わるとも判らない泥仕合はもうたくさんだとばかりに右手に妖力を凝縮し始める
体内の殆どの妖力を圧縮したもぐねんパンチを受ければどうなるか…死のイメージからかそれの巨大な金玉がしぼみだし一物がバグったのか激しく勃起をし始めた

9

腕をブン回しながらスペシャルDXもぐねんパンチがそれを粉微塵にしようと繰り出されたその時
それの一物から超圧縮された白い何かがもぐねんの右上腕部を一閃し――
それの側頭部を掠め逸れた右腕が遥か彼方へと飛んで行くと大結界をもぶち破り何処かへと消え去ってしまう
「いたいです!うでがありません!いたいです!いたい!」
力の殆どを右腕に乗せたままそれと分断させられてしまったもぐねんは
「ひどいです!もうかえります!にどときません!」
そのまま慌てて逃げ去ってしまいます
それは偶発的に出せた超射精カッターの反動で股間を抑え蹲り痙攣しており追撃どころではなさそうだった
「おいまて化け物!?逃げるな!死ぬまで戦え!!……いや?まて…」
こおにはもぐねんを咎めるも直様考えを巡らせる
今まで邪魔で邪魔で仕方のなかったもぐねんはこの戦いで9割以上の力を失った様子だった
一人では無理でもあの弱体化した状態ならば星熊あたりと組めば十分勝利の目が見えるのである
あとは潔く負けを受け入れ山から消えれば万事解決なのであるが…
痛みから回復したそれが再び金玉を膨らませはじめ
一物をいきり立たせながらこおにににじり寄りだしていた

10

「みっ…見事だ人間達よっ…この戦は我らの負けだ!ひっ…我々は…うわっ…あああああお前ら全員にげろおおお!!!」
掴みかかってくるそれの手をひらりひらりと躱しながらこおにが叫ぶと鬼たちは全員一目散に山から逃げ出した
こおにはそれに捕まる瞬間霧になって逃亡を試みるも――
こおにの能力は既に天狗から筒抜けになっていたために対策済みにされてしまっていた
瞬間それが大きく息を吸い込みだすと周囲の大気が震え風船の様に大きく身体を膨らませる
その風船の中でこおにのようなシルエットが肉の牢獄を打ち破ろうと殴る蹴る体当たりをするなど必死に暴れ始める
ニチャ笑みを浮かべながらゆっくりと鼻から大気を抜きながらそれの身体がしぼんでいくと
「くっっさあああ!!…ヴォェッェエ!…臭い!臭いいいいい!!」
それが開いた大口から痰まみれのこおにが悲鳴を上げて這い出してくる
天狗も人間たちもその悍ましい光景を前に青ざめ目を逸らす
ドチャリと地面に吐き出されたこおには顔面蒼白でガタガタと震えだしにじりよるそれに
「もっ…もう逃げない!逃げないよ!!だからもう!吸い込むのだけはやめて!やめてえええっ!」
情けなく半泣きで懇願した

11

ネムノちゃんはこれから起こる凄惨なショーを予感し耳と目を塞いで物陰へと逃げ込んだ
この場から走って逃げようにも見ていただけで精魂尽き果てるほど疲弊してしまっており
見えた光明から再び地獄に落とされたような精神的ショックも大きくしばらく動けそうもない
天狗も形式上は敗残兵であるためにこおにの目が届く場所からそそくさと撤退し
人間たちも鬼が残した宝を手早くかき集め撤収の準備に入ろうとしている
悲鳴を上げるこおには見て見ぬ振りをするしかない
奇しくも巨悪もぐねんの蛮行の責を取らされる形になったこおに
今宵ついに
天狗や河童に化け物の矛先を向けさせ傘下の妖怪を犠牲にし続けたツケの清算が執り行われる
「あああああいやだあああああああああ!!!」
性欲の化け物に覆いかぶさられたこおにの悲鳴が妖怪の山中に響き渡った

キモ顔の肥えた例の竿の人が萃香ちゃんの両乳首を親指と人差し指で根本からつまんでコリコリ擦りながら血走った目でクリトリスを凝視しながら舌先で激しくクリをレロレロしているえっち絵をお願いします!

12

「とりあえずスッキリしたんやなw」
キンタロンミはこおにを休ませること無く一晩中犯し続けておりました
これで一段落ついたと言わんばかりに精液まみれで痙攣するこおにを一旦地面に置き
人間がくれた拘束用の退魔布と鎖でこおにを簀巻きにしてしまいます
「気に入ったんやなwお前は喰わずにお嫁さんにしてやるんやなw」
意気揚々と帰路につこうとしたキンタロンミでしたが…足元の空間が突如歪み
連日の徹夜と射精疲れからくる眠気に苛まれていた為にその不意打ちは躱すことができず
目玉がギョロギョロしている空間の裂け目の中に落っこちてしまいます
静まり返った山道の中に簀巻きにされた痙攣するこおにだけが取り残され
「流石にあれを野放しにし続けたら楽園が滅んでしまいますわ…」
スケベな身体をした絶世の金髪美女が物憂げな面持ちでため息混じりに呟き現れ
こおにを連れて空間の裂け目へとかき消える
全てを受け入れるにしても限度があったのか…ついに楽園から追放されてしまったキンタロンミ…彼は一体何処へ消えてしまったのでありましょう…

四話

1

絵のリクエストがあったらおっしゃってください
華やかな月の都の外縁部は奴隷階級である玉兎の住処
その中でも番号で呼ばれるまだ名も無き訓練兵や先の大戦で重症を負い戦線に立てなくなった者などは奴隷の中でも更に待遇が悪くなり
都の中心地から遠く離れ打ち捨てられた廃墟に近い建造物が立ち並ぶ地区で侘しい生活を送る者も多い
最初の犠牲者は彼女達だった
逃げようにも上手く身体が動かせず簡単に捕まっては
それに手ひどく犯される
それは空腹時には雌を犯しながら喰らうので欠損部位の有無など犯す上で些細な問題のようで
ニチャニチャと気持ちの悪い笑みを浮かべながら大量の兎肉を踊り食いし続けた
その妖怪はぶくぶくと肥え太りほぼ全裸で眼鏡で短足で全身小汚い体毛まみれで赤ちゃんのよだれ掛けのような金マークの前掛けを胸元に垂らしている
中には月面戦争時妖怪に捕まり酷い輪姦を受けた玉兎もおり
彼女らはトラウマから生きの良い反応を見せては更にそれを喜ばせた
それは何処から来たのか
どこから湧いて出たのか
突如急襲されだした玉兎の悲鳴が連日に渡り静かの海にまで響き届いた

2

謎の空間の裂け目に落ちたそれは月の世界を彷徨い歩いた
女と食料を求め彷徨い歩くと程なく月の都へと辿り着く
それが手始めに行ったのは両足を失ったグラマラスな元エリート玉兎邸への押し込み強姦だった
そこは景色の良い静かな場所で海が見える都の外れも外れ
小さな窓が開いていたのでそこからそれは直立で窓枠より大きな脂ぎった身体をヌチャヌチャと変形させながらヌルリと入り込み
満足に動けない兎さんを車椅子から蹴落としオナホ扱いでその身体を貪り尽くした
悲鳴を聞きつけフラフラと駆けつけた盲目の隣人も犯して喰らった
性欲と食欲が満たされると玉兎の家で寝泊まりしては
また新たな獲物を探して徘徊を始める
閑静な住宅や廃墟群には戦争で兵士の大半を失ったためか玉兎の数は少なく
それの蛮行が知れ渡るまで数日を要した

3

騒ぎが大きくなる直前の事
名も無きちび玉兎の訓練兵である零型仟号は自宅宿舎の帰路へつく途中信じ難いものを見た
仲良しで同期の友達が悲鳴を上げながら道の真ん中で何かに覆い被さられて手足をバタバタさせている
彼女の制服は細かく引き裂かれ周囲に散らばり
覆い被さり全身の贅肉を激しく波立たせながら前後上下に激しく動くそれの股ぐらにある棒のようなモノが
彼女の股ぐらに突き立てられ出たり入ったりしている
零仟号はあれが何で今何が起きているのかを考えるより先に訓練で使用する肩にかけていた光線銃を構え
それ目掛け背後から発砲した
月人の光学兵器はそれが初めて体験する代物で
物理耐久を無視した光がそれの背中から胸元を貫通した
宙に舞う金マークのよだれ掛けの中心に大穴があき一瞬で燃え朽ち
身体に子供の腕が通りそうな程の大穴を開けられたそれは何が起きたのか理解するまで数瞬置くと
吐血しながら鬼の様な形相で振り返り零仟号を睨みつけた
余りにも醜悪なそれの形相に零仟号は怯み足を震わせ
追撃で発砲する事もできず逃げ出してしまった

4

零仟号は逃げながら後ろを振り返ると
それは直前まで犯していた小さな玉兎を勢い良く頭から喰らいだし
身体に開いた大穴の傷口を蠢かせながらヨロヨロと立ち上がろうとしている
零仟号は恐怖が大きすぎて悲鳴を上げる事もできず
死ぬ気で脱兎し自宅の巣穴へと飛び込んだ
零仟号のおうちは物置小屋の様なプレハブで頼りない佇まいをしていました
しかし月人の建造物には神々の加護やあれやこれやの科学技術の粋が集まっていたり
外壁部分への時間停止処理等により戸締まりさえしていれば何があっても破壊だけは不可能な程の堅牢さを備えています
大戦時にはセーフティーゾーンとして活用され市街地戦では地上妖怪を歯噛みさせた程の代物でした
零仟号はガタガタ震えながら暗くなった外の様子を伺おうとそっと窓の外を覗き込むと
薄い硝子一枚隔てた先に
歯をギリギリ食いしばり青筋を立て鬼の様な形相でプルプル痙攣したそれが
睨みつける様にプレハブ小屋を覗き込んでいた為に至近距離で目が合ってしまい
ひゅっと息を飲みカーテンを閉じると零仟号は布団を被りガタガタ震え
睡魔より過ぎた恐怖からくる気絶によりその夜は意識を落とし深い眠りについた

5

翌朝零仟号が意識を取り戻すと
いつもと変わりのない静かで殺風景な自室の風景
頭だけは酷くどんよりとして憂鬱ではあるものの今日も身体に異常は無く
昨日の出来事はたちの悪い悪夢だったのではと思えてきてしまう
隙間から光が差し込むカーテンを開けばいつもの閑静な住宅街を
近所の玉兎達が行き交う風景が広がっている筈なのだ
カーテンを開いた先には
歯をギリギリ食いしばり青筋を立て鬼の様な形相でプルプル痙攣したそれが
昨晩とは違い顔面の皮膚の色を赤く変色させながら五割増しの気持ち悪さでいまだ此方を睨みつけ佇んでいる
それの背後には通行途中だった玉兎らしい食い荒らされた死体が1つ
たった今犯し倒されたばかりと見られる全裸で痙攣する白濁液にまみれた玉兎が一匹
「いやあああああああああああああああああ!!!」
青ざめ叫ぶ零仟号の周囲では喧騒が広がりだし
武装した玉兎兵が集まり始めている所だった

6

「これが一ヶ月前の映像です」
「強い…これは地上の妖怪なのですか?」
モニター室では無数の画面に定点カメラと小型ドローンカメラの記録が垂れ流されている
綿月依姫と眼鏡を掛けたオペレーター玉兎の前には思わず目を背けたくなる様な凄惨な映像ばかりが繰り広げられ続けた
「あのプレハブ兎はどうなりました?助かったのですか?」
「助かりましたが…あまりの恐怖体験からか暫く戦いの訓練ができないとの事で今は餅つき兎になりました」
「あの執着は完全に全裸にされた事への怒り?…手傷を負わされた恨み?執念深くて気持ちが悪い」
映像の中にはそれが無数に飛び交う光線をヌルヌルとした動きで掻い潜り
玉兎兵の脇を抜けざま腕や頭を食いちぎり咀嚼しては
贅肉を激しく波立たせ高速で移動しながら戦場から姿を消す――といった記録が無数に残されている
消える際にそれは集まった玉兎少女の品定めしているのか
小脇に一匹玉兎を抱えながら時折それを投げ捨てては他の玉兎を捕まえ入れ替えながらニチャ笑みをカメラ目線で浮かべ
舐め腐った態度でその日の肉欲をぶつける相手を連れ去って消えるのである
「くっ…穢らわしい!一刻も早く討滅してくれる!!」

7

なぜこんなになるまで報告が遅れたのか
依姫は映像記録を追いながら経緯を聞くと
表向きは単騎のはぐれ妖怪相手に兵や指揮系統をボロボロにされたと知れれば衛兵のメンツが立たないからなどという物ではあったが
真相は小型ドローンで撮影される迫真の玉兎少女強姦映像記録が月人の権力者や衛兵の男共に好評で高値で取引されていた為であった
凄惨なそれの食事シーンも好事家には更に高値で売れ
娯楽の一環として捉え全く危機感すら抱いていない様子だったとの事で
衛兵は戦いもせず上の要望通り消耗品として無謀な戦いを玉兎少女に強い続けたのだ
「戦争で兵士の数がかなり減ったというのに…なんてことを!」
映像を眺めていると十日目を堺に連れ去られる玉兎少女にある法則性が生まれ始めることに気づく
「これは…まさか…!?」
「気付かれましたか?そうです」
それは眼鏡を掛けた玉兎少女に欲情するようになったのか
眼鏡っ娘ばかり捕らえ連れ去るようになりだしていた
眼鏡っ娘性癖を開眼したのである
「ええいッ!輪をかけて気持ち悪いわッ!!」

8

眼鏡娘が狙われる事に気づかれてからというもの
戦場では兵士全員が裸眼で臨んで来るようになった為に
それは激しく怒り狂いある妖術を生み出した
それの掛けている眼鏡がぐにゃぐにゃと歪み蠢きだし形を変えると
勢い良くそれの顔面から無数に射出され玉兎たちの顔面に飛来したのである
玉兎兵の顔面に寄生したそれはその少女に似合いそうな形の眼鏡に変化する
そして開眼を許さない程の強烈な度数で視力を奪われては
立ちくらみから武器を落としバタバタと倒れ眼鏡を食らった兵士が次々と無力化されていってしまう
「なんですかあれは?外れないのですか!?」
「外れません…一見ただの眼鏡ですが有機生命体で…その…耳裏と鼻パッド裏部分が皮膚と同化して神経に根を張るようで…血管も繋がって…」
玉兎を性奴隷にしているとある心無い衛兵が愚劣奥義「眼鏡邪魔」を使用した際に大変な事になったのだという
「くだらない事にリソースを割いているようで――随分と理に適ってるのが実に腹立たしい!」
「絶対にアレは食らわないで下さいね」
記録映像の概要はここで終了する
それの野蛮さや蛇の様な執念深さと狡猾さから依姫はそれに妖怪蛮巳と名前をつけた

9

腐敗した月人男の間で今日も娯楽と称し危険な映像の取引が行われる
依姫命名!妖怪バンミVS眼鏡少女シリーズ第12弾
「やめて!私はあなたのママじゃない!」のタイトルと兎耳ロゴと
凄惨な強制バブみックス!完全無修正実録本物レイプ!
の煽り文がついた怪しいディスクを売る衛兵が路地裏を小遣い稼ぎに闊歩する
凄惨な食事風景は裏物の更に裏で悪趣味な権力者や神々の間で取引されている
カメラドローンは小さな羽虫の形で飛び回りエグいアングルで撮影をするので毎回非常に好評で
常に異臭を纏うバンミは山で過ごしていた頃よく蝿にたかられていた為に
羽虫が額に止まろうとも気にもとめないので都合良く撮影が可能だった
バンミ視点のVR主観映像と様々な角度から撮影された4K画質の映像を前に
今宵も自称浄土人の邪な欲望が発散される

例の汚い竿の人に眼鏡のモブ玉兎ちゃんが慎まやかなおっぱいに吸い付かれながら対面座位で激しくパンパン突き上げられているスケベ絵をお願いします
頭5歳児だけど性欲は絶倫中年の竿の人が「ママ…ママ…」とかブツブツ言ってるのに対して玉兎ちゃんが顔面蒼白で「いやあああ!気持ち悪いッ!!」って泣き叫んでると嬉しいです

五話

1

妖怪の山で恐怖をばら撒き続けたあの化け物は月送りで処刑されたそうだ
いくら地上において強かろうとも月の民は地上妖怪とは強さの次元が違う
確実に死んだと思っていいとの事でネムノちゃんは賢者様から安心を促され元の生活を取り戻していた
「あいつ…ちゃんと死んでくれたべかな?」
こうこうと輝く満月のお月さまを見上げて家路を目指し帰宅する
最近は付近に放置された天狗や河童の亡骸に墓を作り供養して回る日々を送っていた
そんな折の事
「あぎゃんおおおおおおお!!あぎゃんおおおおおおお!!」
変な叫び声を耳にし恐る恐る声の下へ赴くと
「なんだべ…変な鳴き声がするかと思ったら赤子でねえか」
ネムノちゃんは山の中で何かキラキラと光る薄布に絡まって泣き叫ぶ赤ん坊を発見する
痛い目を見たばかりなので育児はもう懲り懲りではあったものの
取り敢えず性別だけを確認してみた所女の子だったので胸を撫で下ろし…もはや性分ともいえる性質から保護することにしてしまう
「不思議だべ…なんだか他人のような気がしねえべ…連れ帰ってやるべ」

2

しっかりと戸締まりをして安全だった筈の自室の中で
ぶくぶくと肥え太り全裸で眼鏡で短足で全身小汚い体毛まみれの怪物に覆いかぶさられ
とある玉兎が泣き叫びながら激しく犯され続けている
依姫様が指揮を引き継いでからというもの無茶な出撃も無くなり
暫くは建物の中で籠城せよとの司令も下り
玉兎が自宅待機生活を送ればバンミは性欲を持て余しながら飢えて弱るだろうという見解も出ていた
しかし月人の間で広まった野蛮な蛇の名は畏怖の念から産まれる信仰にも似た厄介な作用を引き起こし
飢えに耐えかねた妖怪バンミに更なる力を齎し始めていた
「コンバンミw」
捻った蛇口の先から突然ニュルリとでかい頭が飛び出しそれは兎に語りかけた
首の根本はどうなっているのか…それは細い蛇口の中に向かう程に細まりつつも繋がっていて
頭の次は肩…出っ張った腹…腰とでかいケツ…と更に小さな穴の中を通りそうもない部位を通し巨体が密室の中にヌチャリと這いずり出てきたのだ
流し台で蛇口を撚ると水が出ない
そんな時は全力でその建物から脱兎せよ
最近はこんな注意奮起が促されるようになりだし始めていた

3

「便座の蓋をあけた時にも出てくるらしいよ!すッごい臭くて全身茶ばんでるんだって!!排泄中にクンニしてくるとか」
「やだぁ…こわいよぉ!」
そんな道行く玉兎達の噂話が耳に入り
バンミが酷い頭痛の種になってしまった依姫は顔をしかめさせ豊姫と広場のベンチで街頭ディスプレイを眺めていた
そこには速報で流れる新たな犠牲者
都の内部は強い結界で守られているのであの妖怪は入り込めずにいるようだが
都の外側でアレは今も自由気ままに蛮行に及んでいる
「でもねぇ…ここも安全じゃないかもって話があるのよ」
両手に幾つも桃を抱えその果肉を常に口の中に含みながら姉が切り出した
「今更あなたになんとかしろって命令が来たのも…此方側で被害者が出たのが要因になってるかららしいの」
反論しようにも最近アレは水道管や下水管の中を自由に通り抜け移動するようになりだしている
どこからか都の中心部に潜り込めるルートがあるのかもしれない
「でね!その被害に遭ったっていうお方がね!…噂によるとサグメ様らしいのよ!!」
「お姉様ッ?!滅多な事を言うものではありません!」
この姉もまだどこか緊張感に欠けていて依姫は更に気分を重くさせられていた

4

依姫の耳に掛けてある小柄インカムに連絡が入る
「ではお姉様!私はこれで!これから玉兎と打ち合わせが…」
「時間つぶしはお終いなのね…確か新しい装備があるんでしょう?見たいわ!付いていきたいわ」
「構いませんが…」
姉を同伴させ依姫は兵器開発部との会議の席へ向かう
「でね!サグメ様なんだけどね」
「その話まだ続くんですか!?」
噂によると
やれ強姦されている間に翼を片方喰われただの
やれ途中で助けが来たは良いものの酷く塞ぎ込み10日程自室に籠もって出てこなかっただの
やれ異常な速さで化け物の子供が胎内で育ち堕ろす間も無く小さな角が生えた前髪紅白メッシュの黒髪妖怪が産まれただの
やれその子供を殺処分するにも痕跡が残るので月の羽衣で雁字搦めに括ってハンマー投げの要領でもの凄い遠心力でぶん回して地上目がけ投げ捨てただの
「そんな噂があるのよォ〜」
「それ…噂話にしては具体的すぎませんか…?」
何にせよ都内部で被害が広がる前にアレを倒すより他にないのである

5

バンミは交戦を重ねる毎に明らかにその強さを増している
どうやらヒトとの混じり物らしく普通の妖怪とは違い成長するという特性を備えている様子だった
最近では光学兵器への耐性をつけ始め例え命中しても軽い火傷しか負わせられないとの事らしい
「神降ろしの力と剣で戦う姫様としては扱いたくないかもしれませんが…サブウェポンとしてご活用下さい」
依姫に出されたのはハンドガンサイズの小型光線銃とサブマシンガン型光線銃
取説にはオメガフォトンブラスターという仰々しい名前がついている
一発一発が玉兎一体から限界まで霊力を提供されて作られた弾丸を用い光子と霊子の混合弾を放つ代物で
実弾を要するものの通常兵器とは比較にならない威力の光が射出されるとの事だ
「弾数に限りがありますし…何より霊力提供の個体差から弾の威力にムラがありますが」
「最初に命中した時の様に当たれば貫通する威力がありそうですね」
そして交戦時バンミを逃さないよう用意された結界の展開装置も受け取る
起動時に周囲半径100メートルの円形範囲を都を包む神々の結界よりも強力な封印術が包み
戦いのフィールドが形成される
「効果時間は2時間です!ご武運を!」

6

遭遇したい時ほど目当ての化け物は姿を現さない
というよりも最近は排水管を伝って個人の襲撃をするような動きをし始めている
玉兎も疎らな郊外の廃墟や住宅地を巡回しながら依姫は思案に暮れる
「地下の糞尿汚水に潜むアレをどうやって引きずり出したものか…」
浄水施設を経由し水道管に潜んでいる時もある
インカムからは度々新たな犠牲者の発生場所や空き部屋に出現したような水回りの痕跡の報告が上がるものの
バンミの出現場所に法則性が見られず補足できずにいるのだ
効果的な罠も思いつかず気がつくとあたりが暗くなり始め街頭に明かりが灯る
最近ろくに寝ていない事を思い出し
ひとまず休息を取り一眠りしてから行動を再開することにする
「最新の出現場所はこことは見当違いのようだし…空き部屋で休みましょうか」
ポニーテールを解き外したインカムを枕元に放り
服装もそのままにベッドに飛び込み仰向けに天井を眺めていると
程なく強烈な睡魔に見舞われ依姫は重い瞼を閉じた
「ウガヤくん…良い子で…お留守番…できてるかしら…」

7

「んン…ウガヤ…くん?」
半分夢の中でまどろみながら依姫は重い瞼を開けずにうめいた
寝ている時に誰かが自身に覆いかぶさり身体をまさぐっている
「駄目よ…お姉ちゃんね…すごく…疲れてるのよ…あっ…」
綿月依姫の家においてこれは「日常にある行いの1つ」であり特に動揺する様子も見せず
口では何か言いつつもなすがままになり下がっている
「フゴォオオ!フゴォオ!」
服のボタンを外され上下の下着を剥ぎ取られると覆い被さる影が鼻息荒く乳房に激しく吸い付いてきた
吸い付くというよりも貪りつく様な激しさで舌先を激しく動かし乳首を転がしながら吸い付いてくる
空いた乳房も求めるように激しく揉みしだいては指で執拗に乳首を転がされ意識を無理やり覚醒されか
「う…今日は凄いね…寂しかった?ごめんね…」
「フゴォオオ!!!マ…ママァ!!!」
「くすくす…早くにお姉様から引き剥がして…ごめんなさいね…まだ甘えたい年頃だったよね?…まさか…お姉様としたいなんて?…それは…だめよぉ…」
ぼやけた意識の中目を開くとまだ深夜のようで部屋は真っ暗だった
無理やり変に覚醒させられた為か金縛り気味で身体が動かない不快さに依姫は眉をひそめた

8

「ウガヤくん…?なんか…?くさ…くさくない?…お風呂…入ってる?」
「フゴォオ!フゴォオ!!」
覚醒寄りとはいえまだ意識は混濁して焦点も定まらぬまま依姫は不意にそのまま陰茎を挿入された
「うっ…!重…い?ウガヤくん…太った?」
「フゴオオオー!!!」
パンパンパンパンと部屋に音が鳴り響き激しい腰つきで腟内をかき回される毎に意識がハッキリし始める
「なんか…いつもよりアレが…小さいような…?」
そういえばここは自宅であっただろうか
そもそも厳戒体制中の都外縁の空き部屋で仮眠をしたのではなかっただろうか?
瞬間背筋が凍り意識がハッキリと覚醒すると目の焦点が定まった
「フゴオオオオオ!!」
目の前に繰り広げられた光景は
全身所々茶ばんだ激しい異臭を放つずぶ濡れのそれが
依姫の乳房に吸い付きながら膣内に大量の穢れを解き放っている瞬間だった
床の水汚れは最悪な事にトイレの方向から続いていた

9

建物の内側から激しい爆風が起き扉を吹き飛ばしながら顔面を殴られ頭を火だるまにされたバンミが路上に転がり激しくのたうち回る
「フゥーッ!フゥーッ!!よくも…よくもォオオオ!!!」
依姫は般若の面の様な形相で愛宕様の炎を纏った右腕を一振りし一旦炎を収め
服装を手早く整え髪を縛りインカムを装着する
「武装転送!!!」
叫ぶと依姫の居る座標に愛刀と重火器が転送され腰や背中に装着される
結界装置を空目がけ投げると周囲に何人も脱出が不可能な籠が展開される
「オペレーター!今この内部に兵士は何人居ますか!?」
「タグ付きの正規兵が4名居ます…グループで繋ぎました」
バンミは逆立ちしながら己の顔面に尿を浴びせ顔面の消火を試みている…通常消せない炎が鎮火しつつある
「兵士たち!狙撃棟に向かえる者は手を貸して下さい!これから例の化け物と交戦します!!」
「こちらC地区2号棟鈴瑚…ここのが安全そうだから狙撃棟で寝てたのに…ツいてないなぁ」
「こちらC地区6号棟清蘭だよー!ここから姫様が見えるよー!」
「援護射撃願います!巻き込んでしまいましたね!」
刀を抜いて悍ましい形相のバンミに切っ先を向けながら依姫は祇園様を降ろした

六話

1

間合いが悪く依姫は一度屋内に戻り窓から脇の通りに躍り出て顔面を燻ぶらせながら歯ぎしりしているバンミから少し間合いを取った
中心から光源が発生して視界が通る籠の中では途轍もなく広い屋内に居るような感覚を覚える
「狙撃塔の兎!特殊弾の装備はありますか!?」
『清蘭達には自前で作った弾が2発ずつあるよー』
『私らには一昨日装備が回って来たばかりなので虎の子の2発です』
「ここぞと思った時には遠慮なくぶち抜いて!」
依姫の持つ装備に使われている弾丸は殆どが餅つき兎や内勤の兎製の弾丸だった
正規兵製の弾丸や狙撃ライフル兵装の方にこそ威力が期待できそうなのだ
顔面を燃やされ怒りの形相のバンミは脇道から現れた路上先の依姫に奇声を上げ飛びかかった
文字通り目にも止まらぬ速さで動くそれは目で追いきれるものでも無かったが
路上に両手で刀を突き立て祇園様の剣でバンミを攻撃する
目で追えなくともバンミの真下から刀身を幾つも出現させ
通常ならばこれで対象を足元から串刺しにして殺害も可能な攻撃なのだが
「――刺さらない!」
祇園様の刃はその場にバンミを縫い止めたものの肉に食い込んだ刀身は皮膚を裂くことが叶わずにいた

2

無数の刃に肉を食い込ませその場に引っかかり手足をジタバタさせるバンミ
ぶくぶく肥え太り全裸で眼鏡で短足で全身小汚い体毛まみれのそれには愛宕様の炎すら効果が薄かった
上司に配慮してかサブウェポンなどと形容されはしていたが――
「結局これ頼りじゃないのッ!」
依姫は左手を刀の柄に残し右手で腰からハンドガンを抜きバンミの眉間目がけて発砲した
薬莢が弾け発射された弾丸は銃口を抜けると瞬時に光の中で蒸発しながら霊子を光子に絡ませ文字通り光速で
かすりもせずにバンミの側頭部脇を抜けて行った
2射――3射――胴を狙っても股ぐらで邪魔そうに揺れる巨大な金玉を狙おうとも
「くそ!避けられる!」
バンミは刀剣の合間を肉を蠢かせながらすり抜け再び飛びかかってくるだろう
これでは両手を火器でフルアタックしても当たるかは怪しい
咄嗟に刀を抜き様に後方へ跳躍し刀の森を抜けかけたバンミへ再度刀身を突き立てる
動きは止められるものの正面からの攻撃はくねくねと蠢かれ全てかわされる
スナイパーの射線が通る場所へ誘導しようにも上手く行かない
バンミは射撃の瞬間すでに回避行動に入り銃口から射線を見切っているようだった

3

「お…おのれ……あ…あたりさえすれば…あ…あなたなんか」
想像以上の怪物だったバンミを前に
次第に恐怖心が生まれ始めた依姫はやや怯みながら思わずそんな言葉を口についた
バンミはニチャ笑みを浮かべ依姫を完全に舐めだし始めている
「あててみるんやなw」
おちょくりながら依姫に尻を向け左右に特大の尻を振り肉を波立たせる
時折獲物から完全に視線を外し猫が鼠を弄ぶかの様な捕食遊戯の図式にも似た振る舞いを見せる
「な…なにを〜〜〜〜…!?ふ…ふざけてッ!!!――後悔しなさいッ!!!!」
完全に油断していたのか当たっても火傷程度で済むと思っていたのだろう
「――や゛な゛ッ!!11!!?」
依姫の放った正確な射撃が後頭部から額にかけてバンミの頭を貫通した
「…え!?あ?…当たりましたッ!」
ぐらぐらと身体を左右にふらつかせ…バンミがうつ伏せに倒れ伏す
「や!やりました!!ば…馬鹿ですね!まさかこんな間抜けな奴だったなんて!!!」
半泣きになりかけていた顔を綻ばせ依姫は思わず無邪気に捲し立てた

4

『姫様!?追撃を!』
インカムから指示を受ける間の十数秒で
ハッとした時には既に遅く
気がつくとそれは脳天に開いた傷口を蠢かせ既に立ち上がろうとしていた
のそりと立ち上がり振り返ったそれの形相に依姫は思わず息を呑み数歩後退りする
青筋を立て歯を食いしばり鬼の様な形相でプルプル痙攣しながらそれの皮膚の色が脳天から赤く変色し
気持ち悪さと戦力を大幅に引き上げたバンミが無言の真顔で再度突撃をかけてくる
刀を地面に突き刺すも――地面から突き出た刀剣がバンミ肉に食い込んだ瞬間全て折れ砕け――
勢いを殺したものの瞬きする間に懐へ飛び込んできたバンミが拳を突き出してくる
依姫の周囲に浮かぶ透明な五枚の霊力で生成されたシールドが反射的に全て拳の前に重ねて誘導配置されるも
無造作に繰り出されたバンミパンチは五枚のシールドを一撃で全て粉砕した
自動術式で霊力を供給して生成するそれに緊急事態だとシールド再構成の霊力を急激に吸い上げられ
数瞬身体が硬直し転倒しかけながら必死に重心を保ち踏ん張る依姫の視界に
今度はバンミの短い足から繰り出される前蹴りが捉えられ
脳裏に胴と下半身が泣き別れにされる光景が浮かぶ

5

「霊撃ッ!!」
依姫が左手の指に挟んでいた保険の霊撃札を起動するとバンミが途轍もない勢いの縦回転で弾け飛び宙に舞い上がった
己の力から受けた反作用からかその勢いは凄まじくバンミの姿が建物の高さを越え
その瞬間――特大の霊子混合弾がバンミの土手っ腹を貫き大人の頭が通りそうな程の風穴を開けた
吐血するバンミと鈴瑚がスコープ越しに一瞬目が合うも…墜落して建物の影に消えるバンミの姿が再び見えなくなる
『おい清蘭!なんで撃たない!?』
相棒に文句を言いながらもの凄い怖気の中で狙撃塔から飛び出し建物の屋根と同じ色のフード付きマントを纏い狙撃位置を変える鈴瑚
『あんなの合わせられないんだよー!鈴瑚が凄すぎるんだよー!』
路地を駆けながらもしも此方を狙い追いかけてきているならアレと遭遇しないよう祈り射線が通りそうな屋根の上を目指す
『姫様!追撃して下さい!!』
鈴瑚の声は聞こえているものの依姫は動けず地に両の膝と手をつきひゅうひゅうと細い呼吸で瞳孔を泳がせていた
バンミの短い足が腹部に届き…浅かったものの有効打を受けてしまっていた
あれの足があと数センチほど長かったらどうなっていたか解らない

6

激痛と共に大量膣内射精されたバンミ汁が足の間に全て逆流排出されてしまっている
そして依姫は気づかなければよかったものの股の間に蠢く小さな影を見てしまった
股の間で蠢いた小さなそれは
異形の形をした成長途中の胎児だった
胎児は既に備わっている小さな目をギョロギョロと蠢かせ小さくも奇形の手足を動かし依姫の頭の方に近づいてくる
姉が語ったサグメ様の噂話が脳内で再生され
それと目が合ってしまい背骨に氷を入れられたようなおぞましさに襲われ
バンミの短足キックから受けた衝撃から生まれ堪えていたそれを堪えきれず…依姫は激しく嘔吐した
異形の胎児は精液の中を這いずり依姫の吐瀉物に辿りつくと
「マ゛…マ゛…マ゛マ゛…」
吐瀉物を喰らいながら語りかけてきた
「――ッひぃゃ…いッ…い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
立ち上がりそれを踏みつけるも――ゴムの塊の様な弾力で潰れない!刀も刺さらない!
「あ゛あ゛あ゛ッあ゛あ゛あ゛ーーーッ!!!!!」
背中に装備していたサブマシンガンを手に取り地面に向けて乱射し――貴重な特殊弾丸を消費する事でそれはこの世から消滅した

7

依姫はその場に女の子座りで尻もちをつき幼子の様にぐずりだした
『姫様の様子がおかしいよー!…あ!あいつが射線に入ったよー!』
眉間をピクピクさせ怒り笑いをしたバンミが既に小さくなった腹の穴を蠢かせながら依姫に歩み寄っていた
『清蘭…撃つよー!』
清蘭のポンコツ射撃がバンミの頭目掛け放たれ
難なく仰け反ったバンミに回避される
『外れちゃったよー!』
そして射撃位置を変える事も無く2射目…初撃でバンミに位置を把握されているそれは勿論回避された
『当たらないよー!…もう弾が無いよ―!』
『バッ…!?馬鹿か!?清蘭?なんでそうホイホイ撃つんだ!あああそれと撃ったらすぐ動け馬鹿!そこに!居たらッ!…あぁ…』
鈴瑚のスコープ越しに赤達磨の肉塊が清蘭の居る狙撃塔の窓に張り付いて居るのが見えた
開いている窓から腕を突っ込んだバンミに耳を捕まれ清蘭が引きずり出される
一時錯乱していた依姫は半泣きではあるが既に正気を取り戻して居るようだが
何かの神を降ろし大きく跳躍移動して清蘭を狙ったバンミを追ったもののヘルプが間に合わなかった様子だ
サブマシンガンの銃口をバンミに向け苦虫を噛んだ様な表情で建物の上から塔を見上げている

8

「その子を放しなさい!」
銃口を向けられるものの一向に撃とうとしない依姫と清蘭を交互に見比べると
バンミはニチャァァ…と邪悪な笑みを浮かべながら盾にかざした清蘭の頬をベロリとひと舐めしてみせる
「ぴ…ぴぃ!」
バンミは徐に清蘭の履いているドロワーズの股部分の布を一部毟り取ると
股間の一物をムクムクと巨大化させ清蘭の腟口に充てがった
「だッ!だめだよーッ――ぴ!?…ぴぃいいい!!!」
訴え虚しく容赦なく挿入され破瓜の痛みに清蘭は悲鳴を上げた
人質の固定を兼ねた性欲処理だとでもいうのだろう
「くっ…よくも!…他にも兵士が居るはずでしょう!?何をしているの!配置について連絡なさい!」
『この期に及んで応答すらしないのを見ると…新装備が無くてどこかで震えて隠れてるんですよ』
鈴瑚が言うには新型装備が玉兎全員に行き渡っている訳でもなく
現状効果的なダメージを与えられる兵装が無ければ無為に餌にされ回復の糧を与えてしまいかねないとの事だ
バンミの汚い雄叫びと同時に清蘭の小さな子宮に大量の精液が流し込まれる
悲痛な叫び「だめだよー!」と「ぴぃ!」を繰り返す清蘭はバンミのオモチャに成り下がってしまっていた

9

「鈴瑚!そこからあの子をよけてアレを狙撃できますか?」
『ああも密着されてると無理です…張り切って団子食べて霊力を込めたんで弾の威力が凄くなりすぎてるんで確実に巻き込みます』
それにと続く
あれは異常に勘が鋭く例え死角から撃ったとしても避けられる可能性が高く
向けられた銃口を超感覚で察知しているのかスコープで覗くと周囲に注意を払い警戒態勢に入る様なのだ
「油断を誘い意識の外から狙えという事ね!…行きますよ?あの子をあれから離すのでいつでも撃てるよう構えなさい」
依姫は両手に火器を構え塔の上に居るバンミの方へ特殊弾を乱射した
それら全てがバンミの頭上や両脇を抜け後方へ消え去ってゆく
「ヘッタクソなんやなwww脅しにもならんのやなwww」
嘲り笑うバンミの肉を――瞬間背面から無数の光が貫く
脳天…膝…足首…両肩…両肘…喉…
「や゛な゛ッ!?や゛な゛な゛な゛な゛…ゴブォアッ!?」
「石凝姥命」
バンミの後方に無数に浮かぶ反射鏡が正確な反射角でバンミの肉だけを貫きバンミは清蘭を取り落してしまう
瞬間空いた胸元を再び鈴瑚の正確な射撃が貫き――口と喉の傷口から吐血したバンミは白目を向いて塔から落下した

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「お見事」
『姫様凄い!大逆転だ!!』
互いを称え合いながら依姫と鈴瑚は落下したバンミの下へ駆ける
『動け清蘭!依姫様を手伝え!!』
『う…ううう〜〜!』
塔を飛び降りてきた清蘭と依姫が同時に全身穴だらけで痙攣するバンミの前に辿り着く
依姫は清蘭にハンドガンを放り――二人はバンミ目がけて特殊弾を乱射した
圧倒的な耐久力と再生力を持ち合わせつつもバンミは不要な被弾は避け消耗すると食料を摂取していた
妖怪ではあるが生身の生物に近いバンミはヒトの特性上物理ダメージが致命傷に至ると思われる
再生不可能なほどの損傷を与えれば殺せる筈なのだ
残弾を撃ち尽くすと遠隔転送で弾倉が交換される
殆どの弾は質が悪くバンミの肉を貫通できず肉を焼き抜ける途中で光が収縮して消えていく
或いは既に混合弾にまで耐性をつけ始めていたのかもしれない
それでもバンミの肉は細かく挽き肉にされていき
全ての特殊弾が撃ち尽くされた頃には痙攣する肉塊1つ無くなっていた

11

鈴瑚が駆けつけた頃には辺り一面血の海の挽き肉祭り
穴だらけのバンミの鼻から上の頭部と尻が片方の他はどの部位か解らない程の惨状だ
異形の胎児に無駄撃ちさえしなければ忌々しいあの残った頭部もかき消せたではあろうが…
「いやーこりゃまた凄いね!清蘭の処女1つで勝てたなら安いもんだ」
「跳弾を仕掛けられる場面が無かったので動きを止めてもらえて助かりました」
「うう…ふたりともひどいよー!」
それにしても…と鈴瑚が続く
「どうして清蘭ごと撃てではなく…避けてだったんです?私達玉兎はせいぜい消耗品ですよ」
「姫様が危なくなったらだめだよー!今度から清蘭ごとやっつけていいよー!」
「…私に玉兎は撃てません…昔飼ってた子をおも…いえ…何でも無いわ」
言いかけて依姫はふと残ったバンミの頭の方に再び視線を送ると――バンミの頭の一部がその場から消えている
清蘭の足元に何か…ゲームの中で見たような顔のついたスライムのようなそれが…ニチャ笑みで蠢いていて
背筋に悪寒が走り息を呑んだ事で声を上げられず
依姫はそのバンミスライムが清蘭の股の間に飛び込んで消えるのを見ている事しか出来ない

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膣内から入り込んだそれは清蘭の子宮内に潜り込み…清蘭のお腹が妊婦の様に膨れあがる
「ぴぃっ!?」
腹の中で蠢くそれのママ…という呟きが骨振動で清蘭にだけ認識でき
清蘭は余りの恐ろしさに泣きながらガタガタ震え…青ざめる依姫と鈴瑚を交互に見る
「だっ!?だめ!だ…よよよ!よ…おお…おおおお!!!」
次の瞬間全身のガタガタ震えが大きくなりだし立ったままで鼻血を流し吐血し…白目を向いて目や耳からも血を流しだす清蘭
清蘭の手足や腹や頬がブクブクと膨れだし…内側の肥大化に伴い皮膚が裂けだす
内側から異臭が吹き出ると同時に清蘭の服と皮膚を全て弾き飛ばすと
妖怪蛮巳がニチャ笑みでゲフゥと大きなゲップと共に出現した
「な…何で…?死ん…死んだ筈じゃ」
腰が抜けその場にへたり込んだ鈴瑚が気絶を堪えながら声を絞り出す
「俺の頭の中には小さな塊があるんやなwそれが破壊されない限りこのカラダは再生され続ける事ができるんやなw」
依姫は刀を構えるも泣き出しそうな表情には一切の覇気も無く…完全に死を覚悟していたが
『そこから飛び退きなさい』
インカムに声が入った瞬間腰を抜かした鈴瑚の首根っこを引っ掴み後方へ飛び退いていた

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この瞬間――バンミの真横から何かの衝撃派が突き抜け
バンミの腰から上が消し飛び消滅した
下半身が仰向けに倒れ残った巨大な金玉を痙攣させ粗末なモノが無様な射精を繰り返し始める
「ならば消し飛ばしてしまいましょう」
「お姉様ッ!?」
何やら見慣れぬ扇子を携えた綿月豊姫がニコニコと横の路地から現れる
その後ろには荷物持ちと見られるリュック一杯の桃を背負った玉兎兵
「いいでしょ〜これ!まだ試作段階の未完成品だから一回使うと壊れちゃうらしいんだけど…素粒子扇子とでも言おうかしら?私も新兵器持ち出してきちゃった」
「は…あはは…他にあった兵士二人の反応は…お姉様達ですか?」
「通信タグを借りてたのよ〜!私は上の命令で備えを用意されてあなたの後備えに尾行してた訳」
「そしていいとこ取りですか…でも…助かりました…うぅ…うえええ…」
「あららら怖かったのね」
緊張の糸が切れると普段の凛々しさはどこへやら
依姫は刀を落とすと姉にすがりつき臆面もなく嗚咽し涙を流す
泣きながら姉の背後を見るとバンミの下半身が両足を上げた反動で起き上がり傷口の断面を蠢かしている光景が目に入った

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急に泣き止み抱きついたままガタガタ震えだす妹の様子に豊姫は緊急を察知し振り返る
「ちょっと!嘘でしょおッ!?」
汚らしい粘液にまみれた上半身がグバッと生えては何事も無かったかのように首の骨を鳴らし腕を回すバンミ
「あ…頭の塊はなんなのよっ!」
「適当言ったんやなw今のは流石にダメかと思ったんやなw何とかなったんやなwww」
その瞬間バンミの顔面から無数に眼鏡が射出され姉妹目がけて降り注いだ
依姫は反応が遅れ眼鏡を喰らってしまう
「ああああっ!ここでバンミの眼鏡がっ!うあああ!!」
顔面を抑え強烈な度数による立ちくらみでうずくまる依姫
豊姫は地面を転がりながら回避し依姫の刀を拾い己に迫る眼鏡を全て斬り落とし冷や汗を流す
何をしてもこの化け物は死にそうにない
「残念ね…殺すのは諦める事にするわ!――フェムトファイバー!!」
豊姫がバンミに対し解説に295字程必要そうな強力な拘束紐をけしかける
「む…無駄ですお姉様!そいつは小さな隙間さえあれば抜け出せてしまいます!拘束は不可能です!!」
叫ぶ妹を尻目に豊姫は自信満々に微笑む

15

全身を容赦なく縛り上げるというよりも絞り上げられたバンミがボトボトと大便を垂れ流す
激しい異臭を放つそれには既に消化された清蘭の体毛や骨のような白い物が所々に見受けられる
「殺せないならこのまま封印します」
紐の隙間から抜け出すのも時間の問題かと思われたその時
豊姫は封印術が得意な神々から預かっていた封印球を放っていた
バンミが紐の間から抜け出しつつも小さな球の中へ吸い込まれていく
「あなたには殺害命令で結界装置…私には無理だった時の封印装置が用意されていたのよ」
「あの素粒子扇子は…?」
「あれはね?…あれで殺せたら儲けものかと思って」
しかしバンミを吸い込みきった封印球が空中で胎動し肥大化を始める
「あら…?ちょっとこれ…霊力が足りないんじゃないかしら」
慌てて自前の霊力を送り込み強引に封印を試みる豊姫
「ちょっ…とぉ!?なんなのこいつ!?6柱分の神様よりもまだ妖力が強いわ!信じらんない!!弱ってるはずなのに…馬鹿なのッ?!」
みるみる霊力を吸われ息を荒げだす豊姫
「――桃!…桃ォ!!!じゃんじゃん食べさせて!!」

16

後ろから抱きつき残る霊力を振り絞り姉に送る依姫と必死に豊姫の口に桃を運ぶ荷物持ち玉兎
桃が全て無くなりもう駄目かと思われた所でギリギリ封印が完了する
「ちぬかとおもったわ…」
霊力を奪われすぎて舌足らずな幼女になった豊姫がダボついた服の袖を振り回し青ざめている
「お姉様…これ…」
「あーこりぇわにぇ!とじこめたたいちょ…ちゃいしょうをたいかさしぇちぇ…させちぇ…しゃいごにはちょうめちゅしゃせちゃうもにょにゃんだって」
無言の間を置いて
「消えると思います?あれが?」
「むりでちょうね」
「よしんば退化して弱らせられるとしても…何処まで弱りますかね…?殺せるようになっていたとしても私は絶対開けたくないです」
「たいかしちぇるほちょうもないちね…ちょれにじりきででてくるかもちれないわ」
話し合った結果この封印球は地上目がけて破棄する事になった
サグメ様に倣い月の羽衣で括り大きく肥大化したそれを依姫に丸投げする
「さ!すしゃのおしゃまでもみょうおうしゃまでもにゃんでもいいわ!ちからのちゅよいかみちゃまをおろちてぶんにゃげちぇちまいにゃちゃい!」
月での決戦はギリギリ綿月姉妹へ軍配が上がり幕を閉じた

17

「清蘭…また死んじゃったか…また裏ルートで新しい清蘭を作ってもらわなきゃ…」
清蘭の耳を拾い綿月姉妹とは離れた場所で何やら鈴瑚が呟いている
鈴瑚の無事を確認し依姫は幼女姉を手探りで探し当てる
「お姉様?あの球…変な感触と形でしたが…どうなってるんです?何やら甘い匂いも…」
「あはは!きにちない〜きにちない!」
視力を奪われたままの依姫には殆ど何も見えていない
これから外科手術でバンミ眼鏡の切除手術も必要だ
「封印は…大丈夫でしょうか?地上で誰かが刺激してアレを起こしたら…大惨事になるでしょうね」
バンミを封じた球は地上を目指し飛び立ち既に豊姫の肉眼では見えなくなっていた
「だいじょ〜ぶ!ありぇはかにゃりちかりゃのちゅよいかみちゃまにちかとけないふういんにゃの」
続けながら袖を振り回し飛び跳ねながら救助に来た玉兎を呼び込む幼女姉
「よっっっぽどアホでマヌケにゃかみちゃまでもにゃいかぎりあんにゃのひらかにゃいわよ」
「…禍々しい…妖気…ダダ漏れ…でした…もんね…」
精根尽き果て満身創痍の依姫は強烈な睡魔に見舞われ意識を遠のかせる
「まったく…とんでもにゃいうらちまたろしゃんでちたこと!」

18

むかしむかし
幻想郷のあるところに
ちょっと間抜けな秘神と愉快な二童子が住んでいました
秘神の翁…もとい隠岐奈は山にしばかりに
二童子は川に洗濯に出かけると
大きな桃が
どんぶらこどんぶらこと川上から流れて来ました
「何アレ!?凄いわ舞!これは良いおみやげになるわ!」
「誰が運ぶのさ…?」
「洗濯かごは私が持つから舞が桃ね?」
「げー!嫌だなぁ」
二童子は大きな桃をひろいあげて家に持ち帰る事にしました

桃太郎編もやるかも

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