一話

1

純狐と名乗るその人は、最近外からやってきたらしい。
どこに住んでいるのか分からないけど、よく里に来て
買い物をしたり、往来で遊ぶ子供達を微笑ましそうに見ている。
両親の手伝いで店番をしている事の多い僕にとっては、
よく店に買い物に来て、僕を気にかけてくれる上客、という程度の認識なのだけど。
いや、ごまかしはよそう。正直、憧れていないといえば嘘になる。
あまり人付き合いの多い方ではないのか、
純狐さんはいつも一人で里に来ていて、他の人、友達のような誰かと
一緒にいるのを見たことがない。
それは奇妙に思えた。失礼な言い方だが、社交性が無いようにも見えない。
話せばとても優しくて、穏やかで、いい人なのに。
確かにどこか人と深く関わるのを避けている節があるけれど。

2

だがそれでも、あるいはだからこそか、
僕はそんな謎の多い純狐さんに密かに思いを寄せていた。
純狐さんは自分の事を話さない。中にはそれとなく聞き出そうとする人もいるが
いつもうまいことはぐらかされているようだ。
だから純狐さんの個人的な事を誰も知らないし、最近は諦めたのか
わざわざ探ろうとする者もいなくなっていた。
それでも里の人から危険人物扱いされることも無く問題も起きていない。
ときどき子供達の遊び相手をする純狐さんは、とても危険な存在には見えないからだ。

だけど、子供達を優しげに見守る純狐さんの瞳が
時折、ぞっとするほど暗く、悲しく沈んでいく事に
僕だけが気付いていた。

3

その日は閉店まで店番を一人でやっていた。
両親は商品の仕入れ元と話をするとかなんとかで、明日の夕方ごろまで帰って来ない。
日が沈み、辺りを夕暗がりが覆い始め、そろそろ店じまいかと準備を始めたころ
一人の来客があった。
「あら、今日はもう店じまい?」
いつもと変わらぬ様子で純狐さんが話しかけてくる。
「おいしそうなお野菜…幾つかもらえるかしら。」
慣れた手つきで、半ば自動的に店番としての任をこなす僕の体とは裏腹に、
心の中はとてもざわついていた。
一人で店番をするのはこれまでも何度かあったことだが、親がいない時に、
こうして純狐さんと一対一で話すのは初めての事だったからだ。

4

僕は世間的にはまだまだ子供の範疇に収まるのだろうけれど、
もう幼くはない。
人は成長につれて、己の内に抑えがたき情動が芽生え始め、
やがてその正体を知る。
こうして純狐さんと近づくと、形容できない良い香りがして、
豊満な体が嫌でも目に入る。
それは僕の本能に訴えかけるのに十分なほどで、
僕はこんもりと盛り上がった股間の膨らみを隠すように前かがみになり、
さっさと純狐さんが帰ってくれるのを望んでか、あえて少し他人行儀な応対をしていた。
そんな僕の苦悩を知ってか知らずか、純狐さんは変わらず
いつもの様子で聞いてくる。
「今日はご両親はいないの?」
事情を話すと予想外の言葉が帰ってきた。

5

「ふふっ、ねえ、じゃあ、今日はうちに泊まっていかない?」
予想だにしなかった提案に少したじろぐ。
嬉しい提案なはずなんだけど、こんな状態で行くと、
むしろ一晩中悶々として苦しむのではないかと思う。
それに、純狐さんの家は里の外れにあるらしい。
この時間帯に里の外にでるのは危ないと言うと
純狐さんはいつも一人で帰ってるから大丈夫だと言う。
結局最後は、好奇心とわずかな下心から、家に泊めてもらうことになった。
こんなに暗くなってから里の外に出たことは無く、不安にも思ったが、
しかしそれが杞憂に過ぎない事は、純狐さんの家に向かう道中、里のはずれで
餌と見てか近づいてきた、身の丈の三倍はあろうかという恐ろしい妖怪が
純狐さんが睨んだだけで、怯え竦み、脱兎の様に逃げて行ったことで
良くわかった。
それは頼もしさと同時に、この得体の知れない女性への
底知れない不安感と不気味さ覚えさせるものだった。

6

たどり着いた小さな家の中の様子は、想像とかなり違っていた。
部屋数は少ないどころか、布団が数枚引ける程の広さしかない部屋と、
狭い調理場、それから人が一人やっと入れる程度の脱衣所と風呂場だけ。
いや、それはまだいい。それより変わっているのは、
あまりにも物が少なすぎる事だ。
家具が不自然なほど少なく、装飾品の類は殆どない。
女性の住処というにはあまりに殺風景な部屋の内装。
一言でいうなら、生活感がない、というやつだろうか。
まるで日々の生活を豊かにすることに関心が全く無く、
ただ生きる為だけ寝泊りしているような……。
「歩き疲れたでしょう?ごはん、作ってあげるから、ちょっと待っててね。」
落ち着きなく待つ。改めて見ても、何もない部屋。
壁は寂しいほどに彩りなく真っ白で、
目に入るのは生活に必要最低限な収納具や、調理器具類のみ。

7

狭い机に簡素な椅子を二つ並べ、料理が運ばれてくるのを待つ。
幸いこの机と椅子の分を除いても、二人分が寝られるスペースは十分にあるようだ。
そうこう思っている内に、これまた簡素な食器に乗って料理が運ばれてくる。
「うふふ、できたわよ。今日あなたのお店で買った野菜と
 あり合わせのものだけどね。」
しかしその料理が、この家に入ってから二度目の驚きになった。

こんなに美味しい料理を食べたのはいつぶりだろうか。
「ごめんなさいね、あまり立派な料理でもないけれど…」
と純狐さんは申し訳なさそうに言うけれど、とんでもない。
こうまでおいしい物を御馳走されると逆にこっちが申し訳なくなってくる。
本当に美味しい。里の高めの飯屋と比べても負けない程に。
純狐さんの真意は分からない。ただ美味しく食べる僕を嬉しそうに見ている。
しかし、だからこそ、これほどの純狐さんの料理の腕前と、
あまりに不釣り合いなこの殺風景な部屋の差が、不気味ですらあるのだ。

8

「片づけるから、先にお風呂に入っていて?えっ?手伝う?
 ありがとう、でもいいのよ、気にしなくても、ね。ふふっ♪」
さっきからやけに上機嫌だ。言われる通り、流されるままに脱衣所に立つ。
やはり相変わらず殺風景で洒落っ気のない脱衣所で服を脱ぐ。
風呂場の仕切りを開け、体を流し、いつの間にか湯の張ってあった狭い湯船に浸かる。
薄い扉一つ隔てただけとは言え、一人になり、状況を振り返る余裕がやっと生まれる。
最高の料理と、異様に殺風景な部屋の様子と、そして異様な親切さの不調和に、
僕は恐怖をすら感じ始めていたが、いまさら後戻りはできなかった。

純狐さんと同じ風呂、純狐さんが肌身で触れた浴槽に自分も肌身で触れる。
元気な事で、恐怖の割には自分と同じ湯船に浸かる純狐さんの事を想像し、
お湯の中でむくむくと陰茎が膨張する。
こんなところで勃起させても仕方がない。
脳裏に浮かぶ情景をかき消し、さっさと体を洗って風呂を出てしまおう。

9

部屋に戻ると布団が二枚、綺麗に並んで敷かれていた。
そして寝着に着替えて布団に潜り込むのと入れ替わりに
純狐さんが脱衣所に入っていった。
……眠れない
静かな部屋の中、脱衣所の方から、薄い扉一枚隔てて音が聞こえてくる。
服を脱ぐ音、仕切りを開ける音、水を流す音、風呂桶を床に置く音、湯船に浸かる音。
頭の中に入浴する純狐さんの姿がありありと浮かんでくる。
静まったはずの陰茎に再び血液が集まる。と同時に気付く。
脱衣所の扉が僅かに開き、そこから光が漏れている事に。

10

いけないことだと分かっているのに、邪な心を抑えることができなかった。
そろりそろりと、水音に紛れて気付かれないように移動し、
光の漏れる隙間をそっとのぞき込むと、
立ち姿で桶から湯を浴びる純狐さんの後姿があった。

綺麗な背中だ。腰まであろうかという長い金色の髪の、隙間から覗く綺麗な背中の肌。
視線を下げると、女の人らしい男の人より大きめのお尻、そして太ももの付け根の隙間から
僅かに見える、成熟した大人の女性である事が容易にわかる、
生まれて初めて見る女性のお股の毛。
僕の下半身は、いまだかつてない程にガチガチに勃起し、
笑ってしまうぐらい寝着の下腹部を膨らませながらその後姿に見とれていた。

11

そして、そういう時に限って致命的な失敗をするのだ。
湯浴びをを終え、風呂を上がろうとする純狐さんが振り返らんとするその瞬間、
見とれていたせいで、一瞬反応が遅れる。油断と反応の遅れが焦りを生む。
覗いていた隙間は狭い。たとえ純狐さんが正面に向き直ったとしても、
落ち着いて退散していれば気付かれずに済んだかもしれないのに。
焦って扉の前から動こうとする足がもつれ、ガタンと大きな音を立てると共に
扉の前で盛大に転び倒れる。
終わった……

最早無駄なあがきもできず恐る恐る耳を澄ませていると、ガラガラと扉を開け
体に大きな布を巻いた純狐さんが出て、僕の前に屈みこんできた。
きっと怒らせてしまった。薄々気付いていたが、純狐さんは人間ではないのだろう。
純狐さんにとっては僕は吹けば飛ぶほどの存在に違いない。
自分の浅はかさを後悔しながら僕は声も出せずにいた。
「もう、悪い子ね♪」

12

怯える僕を安心させるように、あえて少しふざけた様な口調で言ってくれているのだろう。
その優しさに、勝手に覗いて、失敗して、震えている自分が馬鹿らしいと思えた。
「いいのよ、怒っていないから、ね?」
「そもそも、最初にごっこ遊びにつき合わせてしまったのは私だもの。」
とぼとぼと布団に向かいながら話す。……………ごっこ遊び?
「だって…あなたが…似ているから…本当に…あの子に……っ…。」

やっぱり純狐さんはあまり詳しいことは話してくれなかったけど、なんとなくだけ掴めた。
僕は、似ているらしい。顔の各部と、そしてなにより声が。
純狐さんにとって最も愛しかった者に、まるで、呪われているように。
純狐さんはだから、僕をその最愛の人と重ねていたらしい。
いつかの、幸福な日々を再現する為に。

13

最初は信じられなかった。あの憧れの純狐さんが……。
軽蔑や嫌悪などなかった。ただ心は深海の様に暗く沈んでいた。

「あなたの声、本当に似ていたの、初めて聞いた時は本当に、あの子が蘇ったみたいに…。」
「だから、ごめんなさい……こんな…家族ごっこに…付き合わせてしまって。」
「……軽蔑しているでしょう?」
___そんなことはない……けど…でも…よく分からないです……
小さな明かりのみになった暗い部屋の中で、布団に入りながら、
気持ちの整理がつかない子供らしく、不明瞭で無責任な言葉を返す。
いままで自分が生きてきた世界とはあまりにも遠い世界の話。
昨日の自分に言って信じてくれるだろうか、憧れの人の、こんなに苦しい話を。

14

どうして自分はこんな所に来てしまったのだろう。泊まりを断っておけば、
何も知らずに、淡い叶わぬ初恋の思い出になっていたかもしれないのに。
若くて経験も浅く、能天気に生きてきた少年には荷が重すぎる。
「……でも……だから……もう…やめにしましょう?」
「こんなこと……いつまでしても……悲しいだけだから……ね?」
優しい笑顔、そしてぞっとするほど暗く悲しい瞳で隣の布団から語りかけてくる。
悲しそうに、それでも僕を気遣う純狐さんについ、そんなのは気にしてないと、強がる。

「ふふっ………ありがとうね……嬉しい……。」
「………………っ…。」
「…なら最後に、一つだけ、お願いがあるの…お願い…一度だけ、一度だけでいいから……。」

  「お母さんって………呼んで………。」

僕はもう半泣きになっていた。

二話

1

…………………………
僕がそれを言うと、純狐さんはしばらく固まる。
「……………」
「……………」
しばらく静寂が続く。
目の前にいる人が、何を思い、何を感じているのか、遠すぎて、僕には到底分からない。
それでも、やがて沈黙に耐えかね、僕が声を発する。

_…………あの……
すると純狐さんも返してくれた。

「………ええ………。」
「………うん……もう…大丈夫よ………。」
「大丈夫………ふふっ……ありがとう…。」
目の端に涙を溜めて純狐さんが微笑む。

2

僕は、半泣きになりながらも至福を感じていた。
純狐さんの心に空いた穴を僕がこうして、少しでも埋められた…かもしれない事に。
憧れの人の心を多少は癒す事が出来た事に。
「大丈夫」
純狐さんはそう言ってくれた。やっぱりここへ来て良かったと、そう思えた。
「今日はもう寝てしまいましょう………?ね♪」
再びさっきまでのように上機嫌になった純狐さんが言う。
涙を溜めた純狐さんを見ているのが急に恥ずかしくなり、
寝返りを打った振りをして、純狐さんに背中を向ける。
「おやすみなさい………。」

3

……………
純狐さんに背中を向けて眠る。
いや、眠れない。
純狐さんの吐息が聞こえてくる。もう眠ってしまったのだろうか。
薄暗い部屋の中、背後の純狐さんを意識すると、
陰茎が硬くなり、悶々としてしまう。
仕方ない、一晩ぐらいは我慢していよう。
最初はちょっとした好奇心と下心からこの家へ来た。
だけどまさかこんな展開が待っていようとは夢にも思っていなかった。
動揺し、後悔した。だが今は違う。
純狐さんの心の傷を癒し、僕はもう落ち着いて純狐さんともう向き合える。
なんだか一回り成長したような、そんな満足感を僕は感じていた。

まだ自分の考えの甘さに気付かずに。

4

「眠れない……?」
背後で衣擦れの大きな音が立つ 続いて、床が僅かにきしむ音
直後にばさりと、布団の上に布が落ちる音
背後、もう薄扉の境も無い。何の音か、はっきり分かる。
自分の後ろで、布団に横になっていた者が、立ち上がり、
体を覆っていた衣を脱ぎ去った音だ。
話に圧倒されて意識する余裕がなかったが、そうだ…思い出してみると
純狐さんは裸の上に大きな一枚布を包み、、帯のようなもので留めただけの恰好だった。
つまり、純狐さんは今……
緊張で縮こまる。振り返ることができない。
背後で衣を脱ぎ捨てた音の源は、その後
キシ…キシ…と僅かなきしみ音と、足が布団を擦る音を立てながら、
こちらに近づいてくる。やがて音は、僕のすぐ背後、
肘から先程の距離もないすぐ後ろで止まる。

5

再び大きな衣擦れの音が立つと同時、
僕の体に被せてあった掛け布団が、背後から少し持ち上げられ、
ごそごそ…ごそごそ…と布が擦れる音を立てながら、
布団の中に、音の主が入ってくる。
そして僕の体の後ろ、いや、「耳の後ろ」と言った方が適当だろう、
そのくらい近い距離、内緒話をするために耳を近づけた程のすぐ後ろで、囁くように
「んっ……」
「一緒のお布団に入っちゃった…♥」
その声と同時に、背中全体を柔らかくて、温かい、布団とは別のもので覆われた。

6

頭の両脇からにゅるっと…僕のものではない両腕が伸びる。
その両腕は僕の胸の前で交差し、僕の上半身を後ろへと引き寄せる。
引き寄せられた先、後頭部が柔らかくて大きい……僕の体にはついてないものに
むにゅっ……と押し付けられる。
「ふふっ……お礼……♥」
動揺した僕は、悟られまいと背中を丸めて無駄な抵抗を試みる。
そんな努力を笑うかのように僕を拘束していた腕の片方が僕の胸の上を滑り下り
胸から腹、そして下腹部へと下っていき……
「あらあら……♥これは……どうしちゃったのかしら♥」
「ふふっ♥こんなにしちゃってるから……眠れなかったのね……♥」
純狐さんの白くて綺麗な手が、パンパンになった僕の陰茎を優しく掴み、
_あぅぅ……
情けなく声を上げる僕の男性器が優しく擦られ始めた。

7

くちっ……くちっ……と
布団の中で、小さな音を立てながら、
純狐さんの手で男性器を擦られる。何もできずに背中を丸め、快感に耐え続ける。
すると突然純狐さんの手が止まり、自由になっていた僕の片腕を掴むと、
「あなたの手も……ね…?♥」
そう言って僕の腕を引き連れていく。
純狐さんの手に導かれるまま、僕の片腕は、僕の背中、お尻の後ろ、
ちょうど男性器の反対側辺りまで連れてこられ、そこで、何かに触れた。
そこはさらさらとした毛のようなものに覆われ、その一部、指先の触れた場所が
ぬるぬると湿っていた。
「そのまま……指を…曲げてみて……♥」
ぬぷり………と柔らかく湿った穴の中に指が沈み込んだ

8

再び純狐さんの手が僕の男性器を擦り始める。
僕は僕で、純狐さんの中で夢中で指を動かす
暖かく、とろけるようなぬかるみの中に沈み込んだ中指に全神経を集中させて。
ぬるぬるのその狭い穴の中は、侵入してきた僕の指を優しく迎え、程よく締め付けてくる。
ただ触っているだけで気持ちがいい。
指の動きに合わせ、僕の頭のすぐ後ろから、甘い甘い声が漏れる。
男性器はパンパンに膨れ上がり、純狐さんも僕の陰茎を優しく擦りっていく。
やがて下半身の快感は一定の敷居を越え…射精の予兆が出始めた…ところで…
純狐さんの手が止まった。
「えいっ♥」
純狐さんが僕の寝着の結び目を器用に解くと、寝着は一枚の布となり、
するりと僕の体から抜けていき、いとも容易く僕は純狐さんと同じ姿になった。
「じゃあ……ね?♥」

「こっち……向いて……♥」

9

ごろりと、言われるままに純狐さんの方に向き直る。
予想通りの光景。全裸になった純狐さんが僕と同じに、布団の上で横になっていた。
薄暗がりの中、少年の僕より長身な純狐さんの、豊満な乳房が僕の顔の前にさらけ出され、
視界の下に、わずかに見える女性器。綺麗な毛に覆われ、さっきまで触っていたせいか
布団の上に小さな染みを作り、糸を引いている。
生まれて初めて見る、僕にとってはあまりにも刺激の強い光景。
何も言えずに黙っていると、純狐さんは僕の背中に手を回し、両足を絡める、
「おいで………♥」
優しくそう微笑みながら僕の体を引き寄せると、むにゅっと
僕の顔面が純狐さんの乳房に押し付けられる。
同じように、胸板、お腹、下腹部まで純狐さんと、今度は正面からくっ付く。
反り返った僕の陰茎が、純狐さんの太ももの間に挟まれ
純狐さんの割れ目に擦られ、糸を引く。
もう限界だ。

10

「ねぇ…初めて……♥?」
声が出ない。豊満なおっぱいに顔を埋めながら、かろうじて首を縦に振り、肯定の意を示す。
「うふふっ♥そう……♥」
嬉しそうに僕を抱きしめる力が強まり、さらに体が正面から、
頭の先からつま先まで、僕より二回り程も大きな純狐さんと、むっちりと、隙間なく密着する。
今まで経験したことがないほど勃起し、ガチガチに硬くなった肉の棒が
ついに純狐さんの女性器の入口に触れ、くちゅりと小さな水音を立てる。
「筆おろし………しましょ……?♥」
僕を抱きすくめたまま僕の耳に口を近づけ、熱っぽい吐息で囁く。
先刻から想像していた……指先で感じるだけで気持ちよかった、あのぬかるみの中に……。

「しちゃお……♥?」

純狐さんのむっちりとした両足が、僕の下半身をがっしりと掴み、引き寄せ……
そのまま……僕のちんちんも、純狐さんの中へ、呑み込まれていった…。

11

またもや情けない声を漏らしながら、僕は初めての膣内へと
憧れの人の、純狐さんの中へ、ゆっくりと沈み込んでいった。
まるで待ちわびていたかのように純狐さんの膣内は、僕を優しく迎え入れる。
暖かい、ぬるぬるの液体が陰茎の表面をぬめり動きながら、膣内の肉が
純狐さんの呼吸に合わせて僕の陰茎を締め付ける。想像以上の快感に声が出ない。
男性器がぐんぐんと、体がもう射精の準備を始めてしまう。
このままじゃ…もう…持たない…
さすがの僕でも、行為の意味は知っていた。
だから、か弱く残った最後の理性が純狐さんの膣から男性器を引き抜こうとしたのだが、
純狐さんの足が僕の腰に絡みついたまま離してくれず…
「うふふっ…♥心配しなくても大丈夫よ」
「そう……そのまま……ゆっくり………腰の力を…抜いて……ね?♥」

「そのまま……中に……♥…出しちゃおっか……♥」

12

何もかもを純狐さんに委ねたまま、腰の力を抜いてしまう。
下半身にじんわりと熱が広がり、ほどなくしてそれは弾けた。

どくんっ……どくんっ……どくんっ……

一方的に導かれた末、最後は情けなく純狐さんの体にしがみ付き、
おっぱいに顔を埋めながら、純狐さんの膣内で射精した。

どくっ…………どくっ……………どくっ………

13

溜めに溜めた精液が、純狐さんの胎内に解き放たれる。
射精は人生で初というほど長く続く。
「はぁ……♥んっ……♥………♥」
脈動に合わせ、純狐さんが甘ったるい声を漏らす。
楽しむ余裕もなく純狐さんにしがみつきながら射精する僕の頭を純狐さんが優しく撫で続ける。
「出てる……♥私の中で射精してる……♥あぁ…可愛い……♥」
純狐さんの膣が、射精している僕の陰茎を、残さず飲み干そうとやんわりと締め付けてくる。

とくっ…………とくっ………

「……全部……出た?♥」
子供をあやすように囁きかける純狐さんに、おっぱいの中で頷く。
「そう…♥いっぱい出たね……♥」
深夜、遠くの方か虫の泣き声が聞こえてくる夜の闇の中、
僕は憧れの人に抱きしめられながら、震えていた。

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