第一話

その一

「うーん…なんかこう、違うのよねー」
最近、姫海棠はたてはここ数日自分の机で首を捻っていた。
苛立ちからとんとんとペンを机にぶつけ、ああでもないこうでもないと頭を働かせる。
新聞大会も近くなり、周りの天狗達も色めきたっている。はたても遅れまいと原稿を用意したのは良いが、中々進まない。
携帯向けの記事を作るのではなく、新聞を作る。そのせいではたてはカンが取り戻せずにいた。
「文法が違うような、いやここを変えたら全部おかしくなるし…あーもう、進まない!」
かつかつかつと何度かペンを叩いた末、諦めたはたてはペンを放り投げベッドに体を預ける。
頭の隅でライバルが『時に休むことも大事ですよ』とにやけ面で笑っていた。
「何よ、達観しちゃって。私だって配分くらいは考えてまーすー」
いないライバルにそう愚痴りながら、はたてはしまっていた携帯を何となしに開いた。

その二

携帯は便利だ。
外にでなくても情報が得られるし、足も使わなくてすむ。
既存の情報をかき集めるならば、こちらの方がやりやすい。はたて自身はそう思っている。
勿論突撃取材もするのだが、未だに自分なりのスタイルを捨てられずにいた。
「ふーん…『幻想郷に異変!?博麗神社が謎の大盛況』…げっ、これ文の記事じゃないの」
しかし記者としての性分か、気分転換で見た携帯もライバルの新聞ばかり覗いてしまう。
相変わらず相手を貶す最低の記事だが、相手は既に形が出来ている以上現在中途であるはたての焦燥を促した。
「はあ…やめよ、違うの検索しよ」
ごろんと仰向けになりながら、はたては最初の検索ページに戻った。
ボタンを一つ押すと、何を検索しますかという無機質な催促が画面に出てくる。
さてどうしようかと悩むはたてに、ふと思いつくものがあった。
「…そういや、他の人ってどうやって処理してるんだろ」

その三

太股を擦り合わせ、『自慰』と打ち込んでみる。
「う…最近外出てないから肉ついてきてるなあ…」
むちりとした肉の感触に頬を顰めつつ、ふうと息をつく。
思えばひたすら新聞に打ち込んでいた分、最近性欲も発散させていなかった。
ちょっとすっきりした方が良いかもな、と自身のスカートの下のモノを僅かにもたげつつ、携帯を見直す。
そもそもこれと何を組み合わせるのかと疑問を抱きながら、はたては適当に最近取材した場所で検索することにした。
『キーワード:神霊廟 自慰』
「え…うわ、マジ…?」
すると少々時間がかかった後、何と一枚の写真が表示されてしまった。
はたての念写は新しく撮るのではなく、いわば二番煎じの写真となる。つまり誰かがこの行為を撮影したことがあるのだ。
出てきた一枚の画像は少々ピンボケこそ出ているが、神霊廟の主である豊聡耳神子の艶姿とはっきり分かった。
「悪趣味よ、こんな出歯亀な写真撮ったやつなんて」
はたてはそう毒気つくが、一方で初めて見る他人の自慰姿に胸を高鳴らせる。
もしかしたらとんでもない発見をしたのではないか、と。

その四

暫く神子の画像をまじまじ見ていたはたてだったが、ふとあることに気づいた。
夢中になり右手で肉竿を擦っている神子のふやけた視線が、左を向いていることに。
そしてその画面端には、僅かに白と緑の衣装が写されている。その衣装ではたてはぴんと来た。
画面を戻し、新たに『布都 屠自古 自慰』と打ち込む。
しかし、検索結果は出てこなかった。
「…で、ですよねー。さすがに出ないよね」
はたてはほっと安堵しつつ、自身が知らず知らずの内に市松模様のスカートの膨らみを撫でていたことに気づき、顔を紅潮させた。
まさか、盗撮画像で興奮している?
もこりとスカートを持ち上げ勃起したそれを、右手で棒を回すように撫でる。
「ん、はっ…。…!」
ぴくりと腰を浮かせながら撫でていると、突如はたての中に一片のピースが浮んだ。
天啓を得たはたては、左手でその言葉を打ち込み検索する。
今度の画像はすぐに表示された。

その五

その画像は、まるで動画の一部を切り取ったようだった。
自慰に耽る神子の左。そこにいた布都と屠自古は、紛れも無く『性交』をしていた。
M字に開かれた布都の脚の間から、屠自古の霊竿が深々と布都に沈んでいる。
布都の秘裂からは入りきれなかった半固形の白い汚液が噴き出ており、カメラのレンズまで飛び散っていた。
浮きつつ小さな彼女の体を後ろから抱いて、肉欲と射精の快感にきつく歯を食いしばり目を閉じている屠自古。
だらしなく開かれた脚から伸びている肉棒を跳ねさせ、一本の線のような精液を出して極上の悦に浸る布都。
画像から臭いが立ちこめそうな程生々しく鮮明な写真に、はたては軽い吐き気と興奮を覚えた。
「う、やばっ…こんなの見せられたらっ…」
直視してはいけないはずの情事なのに、まじまじと細部を眺めてしまう。
布都の充血した陰部、屠自古の火照った顔、二本の肉棒、肉欲、肉。
はたての膨らんだスカートの先端に、じわと薄黒い染みが染み出た。

その六

「――ぉ、おあぁっ、屠自古、屠自古ぉ!もっと優しく、うあぁっ!?」
「っく、うくっ!布都が、布都が悪いのよ!私らまでこんな変なモノ生やさせてっ!」
「ひぅ、は、ひっ!だ、だからっ、我が悪かったといっておるだろ、おぉぉっ!?う…ぁ…♪」
「そうは言うけど、布都のここは絡みついて離さないみたいね…?じゃあこうしたらどう、よっ!」
「おがっ♪おお…♪魔羅が突き刺さって、えぐれぇ…♪ひゃうっ♪ひゃめ、ひゃめろぉ…♪」
「これが消えるまで、出させてもらうんだからっ…♪ひ!?ひぅっ…♪でぇ…♪〜〜っ♪♪」
「はひぃっ♪かはっ…♪とじこの不浄が我の中でびゅるびゅる爆ぜてぇ♪お、おっ♪あ、あ、あああぁ…っ♪♪」
びゅる、ぶびゅるっ、びゅ、びゅるるるっ!
「は、ふ…♪二人の切なげな欲が伝わってきましたよ…」
「ふ、ふーっ…た、太子様、すみませっ…くぅうっ♪こら布都、きつく締めんなぁっ♪」
「ぁう、ぅ…♪しょんなこと言われても…おぁっ♪屠自古もどくどくしおって、歯止めがきかんみたいではないか…♪」
「はいはい、二人ともそこまで。次は私も…混ぜてもらえるかな?」

その七

「…はー」
精液に濡れた肉棒をティッシュで拭きながら、はたては一息つく。
念写とはいうが、あの画像には強力な思念が篭っていた。
それにあてられ思わず自慰にふけってしまったはたてだったが、頭を麻痺させる心地良さに逆に罪悪感を覚える程だった。
びくんと余韻に震える肉棒をしまいつつ、はたては先程の行為を誰が撮っていたか探ろうとした。
とはいっても、性的描写を載せた新聞を作る天狗ははたての記憶に無く、何よりこれほど鮮明な写真を写せるカメラの持ち主は非常に少ない。
何より画像の三人は、誰もカメラを意識していなかった。
盗撮出来る程気配が薄いのか、或いは無いのか。
結局その条件に該当する人物はおらず、はたてはひとまず考えることをやめた。
自分の交友関係の狭さに絶望しながら、はたてはベッドを見る。
あちらこちらにべっとりとくっついた半固形の精液が、シーツで生臭い臭いを放っていた。

第二話

その一

「…よし、出来た!」
あの出来事から数日後。はたては新聞に打ち込み記事を完成させていた。
休憩も忘れ時々仮眠をとりながら出来た作品なので、所々粗が見える。
しかし、ひとまず完成させた。その充実感ははたてに喜色満面な笑顔をさせるには十分だった。
「なーんだ、私だってやれば出来るじゃん」
徹夜明けのテンションで調子の良いことを言いつつ、はたてはベッドに潜る。
あれからシーツはちゃんと洗ったので、もう栗の花のような臭いはしない。
しないはずなのだが。
鼻孔の奥につんとすえた臭いがした気がして、はたては布団に顔を埋めるのだった。

その二

それからはたては校正を何度か繰り返し、原稿を提出した。
今回の出来は見直すとそれなりだったが、後はお偉い方がどう見るかである。
一仕事終えたはたてはそれなりに仲の良い椛を引きずり、屋台へと赴いていた。
「いっえーい!かんからぱーい!」
「…あの、飲み過ぎじゃないですか?」
「なーにいってんのよぅ、久しぶりに紙媒体の花果子念報を出したのよ。もう私すっきり、ちょー嬉しいの!」
「なるほど、私はちょーうるさいです」
「言うたなこのやろー」
はたては無邪気に椛に抱きつくと、朱に染まった頬ですりすりと椛の頬とぴったんこした。
椛としては迷惑だが、手を払うことはない。
文よりかはまだ可愛らしい酔い方だったので、椛もじゃれてくるはたての頭を撫でる。
まるで子犬のようだ、と微笑みながら。

その三

「おかみさーん、お酒おかわりね!ツケで!」
「はいはーい…って、お客さんツケはやめてよ!?」
そう言いながらお酒をつぎ、はたての前に置くのは屋台の店主であるミスティアである。
普段の茶けたワンピースの上に白いエプロンを付け、せわしなく手を動かしていた。
はたては明るい笑顔を振りまく彼女を見て、働いてるのっていいなあとぼんやり思った。
「じょーだんじょーだん。ちゃんと払うからさ、一番いいお酒くださいな」
「それより良い酒といえば、雀酒くらいしかないけど…」
「じゃあそれも!椛も飲むよね、ねっ!」
「まあ、ちょっと興味はありますけど」
「やっりー!じゃあワリカンで頼もーっと」
楽しみだなーと公の場では見せない顔で喜ぶはたての傍で、椛は焦るミスティアにそっと耳打ちするのだった。
「適当なお酒で大丈夫ですよ。良いお酒は今度一人でじっくり飲みたいですから」
「あはは…ありがと、椛さん」

その四

「…うぃく、たらいまー」
あれから数時間後、はたては自分の部屋まで戻ってきた。
一人で大丈夫ですかと心配する椛を振り切り、酩酊寸前の状態で空を帰ったのである。
ととと、と軽い千鳥足を踏みながら、はたてはおもむろに下着を脱いでいく。
するとぶるんという空をきる音と共に、勃起しきった肉棒が姿を現した。
酒のせいか竿の血管が太く脈打ち、寒中に晒されたからかびくんと一震えする。
酒に強い天狗は精力も絶倫である。特にはたては酒で性的興奮を分泌する方だった。
「もーたいへんらったよぉ、おちんぽ勃ちっぱなしでさー」
ひっくと酔いながらはたてはベッドに腰掛け、左手で紅色の亀頭を弄くる。
ぐりぐりと先端から刺激を何度か加えると、とろりとした甘露が鈴口から垂れ始めた。
「ふぁ、あんっ♪ん、んっ…♪」
ぶるると体を震わせると、ぴゅ、ぴゅっと先走りが噴き出す。
その先走りを指ですくうと、ぷちゅと口に含んだ。
まるで他人に犯されているような感覚を覚え、はたてはくぐもった矯声を上げる。
酸っぱいような塩辛いようなその臭いに、はたての熱い体はさらに暴走を促していった。

その五

「ふは、ぅ♪んはぁ…♪」
暗闇の中で、すりすりと肉が擦れる音が響く。
それは暫くは単調な音を繰り返していたが、やがて水音が混じり始める。
包皮を亀頭までずり上げ、一気に剥くとはたての沸騰した頭に閃光をちらつかせた。
「ん、ん…♪びくびくしちゃって、すけべなおちんぽ…♪」
包皮がカリ首まで剥かれると、ぴゅると新たな露が押し出される。
切なげにひくつく肉棒の上に掌を乗せ揉んでやると、ねばっとした濃い淫水が糸をひいた。
あの元気なおかみさんだって、乱れるのだろうか。
ふとそう思ったはたては、手探りで枕元の携帯を探す。
やがて固い機械の感触を見つけると、手早くキーワードを入力した。
『ミスティア 秘密 身体』
少しすると、念写された画像が一枚出てくる。
そしてその結果は、はたての顔をゆるやかに綻ばせた。

その六

「あは…♪なあんだ、おかみさんもなんだ…♪」
その写真は、いわゆるスキャンダル写真だった。
はたてらがいた屋台の裏の木々の間で、ミスティアが誰かと交わっている。
暗闇の中で開いた彼女の幼穴から、とろりとした精液をこぼしていた。
そしてミスティアが咥え込んでいた肉棒は太く、また逞しかった。
その肉棒が跳ね、饂飩のような精液を断続的に吐き出している。
にち、と皮で亀頭を擦りながら、はたては息を呑む。
上に乗っていたミスティアの様子と、彼女に生えた肉棒が快感を物語っている。
女を感じざるを得ないその情景に、いつしかはたては興奮しきっていた。
ミスティアの肉棒は勃起しても剥けない重度の包茎のようで、先端まで茶けた薄皮で覆われている。
皮が突っ張り狭い出口から射精しているせいか、ぷりぷりとした若い精がエプロンを犯していた。
お酒を笑顔で振る舞ってくれた、あの人の艶姿。
「おかみさん、服の下でこんなのぶらさげて…♪ズリネタにしちゃおっ…はう♪んくっ♪っ…♪」
思いがけない彼女の裏での姿に、雰囲気にあてられたはたては竿をしっかと握り締めた。

その七

「――ぴゃっ!うぁ、うあぅっ♪」
「ここ、気持ちいいですか?」
「あはぁ…♪おなかつんつんしないでぇ、ひぅっ♪はぁあ…♪」
「全くミスティアさんたら。何をツケにするかと思えば、初めからこうしたかったんじゃないんですか?」
「ぉ♪ひゃうっ♪ふぇっ…♪ちが、わたしは…あぐっ!?…おへっ…♪」
「ほら、こうしてぐりぐりするだけで締め付けちゃって。したかったんですよね?交尾…♪」
「はっ、はいぃ♪わたし今こーびしてるっ♪ちんちん上下に揺れるくらい程腰振っても、こーふんして辛いのっ♪」
「後ろからでもよく見えますよ、勃起したちんぽからぴゅるぴゅる汁噴いているのを…♪私も少し、高ぶってきましたから…っ♪」
「あ、あぁ♪あっ♪ちんちんどくどくしてるっ♪せーえき注入されちゃうよぉっ♪射精、射精、射精っ…♪ひううぅっ♪ひぃ♪ひいぃぃいんっ♪♪」
「わぅっ♪そんなされたら、出ちゃぁっ…♪ひゃん♪んぐっ♪くうぅぅっ…♪♪」
どぷ、びゅぶぶっ!ぶび、ぶびゅっ、びゅびび!びゅるるるっ!
「ぁふぅ…♪ありがと、……さん…♪」

その八

「はー…はー…ふぅ」
はたては一息つくと、たぷと精液で膨らんだ包皮を揺らす。
射精する直前に指で皮の先端をつまみ、精液を中に出したのである。
シーツを濡らさないことを目的にした苦肉の策であったが、皮が伸びたりしないだろうか。
そんなことを思いつつ、はたては掌に精液をこぼす。すると真っ白い線が滴り落ちた。
ぷるんと手の中で揺れる姿は、まるで甘粕の入った甘酒のよう。
「んむ。…う、にっが…」
意を決して精液を飲むと、瞬く間に苦味が口内に広がり顔を渋くするはたて。
やっぱり空想のようにはいかないかと弱々しく笑うと、そのまま服を脱ぎ風呂場へと歩いて行く。
ベッドの上に無造作に投げ捨てられた携帯が、ごろりと転がった。

第三話

その一

「…そっか、そりゃあ良かったね!」
「そうなのよー、ホント椛の次の言葉が怖くってさー。読唇術でも使えそうなくらい唇を雁見しちゃったわよ」
「あはは、はたてらしいや」
屋台に行って三日後。新聞の許可を得ることが出来たはたては、プライベートで渓谷の研究所に来ていた。
今彼女が話している河童、河城にとりは修理等をよく依頼する数少ない友人である。
にとりは機械に精通しており、相棒である携帯も格安で直してくれるのだ。
「でさ、にとり。ちょっと携帯見てほしいんだけど」
「んぅ、どうかした?故障とかしたの?」
「私の能力のせいかもしれないけど、ちょっと気になることがあってね」
「分かった!そういうことならこの河城博士にお任せだよ!」
胸を叩くにとりの頼もしい言葉に、はたても安心して任せることが出来るのである。

その二

「…んー…レンズに異常無し、ストロボもきれるし写りも上々、と…」
ぱしゃ、と遠くで外を見ているはたてを撮影しつつ、にとりは首を傾げる。
意気込んで携帯を分解したはいいが、特に異常は無い。
細かい埃等は払ったものの、まさかこれが問題ではあるまい。
「何がおかしいのかな…おっ?」
再起動させぴこぴこと設定画面をいじると、『新しい念写』というフォルダから画像がずらりと表示された。
そのフォルダはつい数時間前まで更新されており、容量を大きく喰っていた。
これが原因かと踏んだにとりは、軽い気持ちでボタンを押す。
しかし表示された画像は、彼女の想像を大きく裏切ることとなった。
「えっ?これって…」
明らかに取材用ではない、少女達の艶姿が画面に写し出されたのである。
にとりははたてが向こうを向いているのを確認した後、次の画像のボタンを押した。

その三

「う、うわー…はたてったら…」
映されていたのは霧の湖とその妖精、人里、冥界、竹林、天上、地底、ありとあらゆる少女達の姿。
その誰もがあられもない姿を晒し、女の顔を見せつけている。
画像の中でいくつか知人の姿を見つけたにとりは、頭を強く殴られたような衝撃を受けていた。
くわくわと意識を朦朧とさせながら、ふとあることに気づく。
「そういえばこれ…私が写ってないや」
年頃の少女であるにとりも何度かしたことがあるのだが、フォルダには無かった。
果たしてこれは偶然なのだろうか。
そう思っていたにとりの肩がぽんと叩かれると、にとりは自分の身長の半分程飛び上がってしまった。
「にとり、終わったー?」
「ひゅい!?…う、うんっ、終わったよ、終わった終わった!」
「ホント?じゃあちょっと見てみよっと」
あ、とにとりが声をあげるのを無視して、はたては取り上げた携帯を開く。
そして、びしりと固まった。まずいかなと固唾を呑むにとり。
しばしの静寂が場を支配した後、にとりは本当に強く殴られてしまったのだった。

その四

「ん…う、うんん…」
十分は気絶していただろうか。にとりは小さく頭を振り、意識を取り戻す。
ちゅぱ、ちゅぱと水音が響き、先端が茹だるように熱い。
にとりは気だるく視線を動かすと、はたてのつむじと自身の肌色を見つけ、大きく目を見開いた。
「ちょ、ちょっとはたてっ!?なにして、ひゃうっ!?」
「あ…やっと起きた?にとりの乳首、大分浮いちゃってるわよ」
ちゅ…とはたてが唾液をまぶしながら口を離すと、にとりの尖った乳首が震え、ぴんと主張している。
さらにそこから乳首の周りを舌でなぶられ、にとりの体は羞恥でかっと燃えた。
「ひゃ、やだ、はたてっ、どうしてこんなこと…」
「…見ちゃったんでしょ。私が今まで何してたくらいにとりにだって分かるでしょ」
「はた、て」
「ここまでしたからには、もう。ごめんね…」
はたては一瞬だけ目を伏せると、にとりに向けて体と唇を重ねていった。

その五

「んむ、んっ…!ちゅるる、ちぅっ…」
「んー!?ん、んんぅ…!」
何度かキスを交えながら、はたてはスカートを脱ぎ隆起した肉棒を露出した。
瞬間、にとりの丸い瞳に驚愕の色が灯る。
彼女が考えていたモノよりはたての肉棒は遙かに大きく、また異質なモノに見えた。
「ぷあ、は…にとり、これ分かるわよね?」
「わかっ、分かるけどっ。ほ、ほんとにしちゃうの?は、はたてぇっ」
暴れるにとりを押さえ、はたては亀頭と秘部を合わせる。彼女の下着の中に籠もった温度が、温くて心地よかった。
やられちゃう。
半ば諦めからの覚悟を決めたにとりは、目を閉じ体を硬直させる。
しかし永遠のように長い時間の末、はたてが動くことはなかった。
「はたて…?」
「…やっぱり、私なんかが奪っちゃいけないよね…」
恐る恐るにとりが見上げた彼女は、とても小さく見えた。

その六

狼狽えるにとりを光の灯らない目で見つつ、はたては呻く。
「携帯見られたからって、相手の同意もなしでやったんじゃ、ただの強姦魔じゃん…」
はたては文のように自信満々な鴉天狗ではない。最近まで籠もりきりの一少女だった。
故に度胸もない。にとりを無理矢理奪う覚悟が持てない。
そんな理性というにはほど遠い罪悪感が、はたての心を急速に冷やしてしまったのだ。
「ま、待って!」
ふらふらと渓谷を出ようとするはたてを、にとりは放っておけなかった。
幽鬼のように振り返るはたてに、にとりはぷるんと柔らかく長い筒状の物を取り出す。
それはにとりが外の世界の雑誌を見て作った、俗に言うオナホールというものだった。
「そうだ!はたてにはこれのテスターになってもらうよ!」
「それ、何…?」
「え、えっとー…そう、おちんちんを気持ちよくするやつ。だから今日来たのは私の実験に協力してくれるからだよね?ねっ?」
上目遣いで見てくるにとりに、はたては呆気に取られる。
そして友人の機転の効いた言い回しに感謝しつつ、小さく頭を垂れるのだった。
「…うん」

その七

つぷ。にゅりり…こぷん。
「ひっ…♪うぅ、つめたっ…!」
「具合はどう?私はおちんちん生えてないし、よく分かんないんだけど」
にとりがはにかみながら樹脂製の筒で肉棒を包むと、はたての腰が引く。
硬い肉棒がぷるぷるに包まれ、冷たい粘液に犯される感覚。
竿をびくつかせて悶えるはたてに、にとりは思い出したかのように挿入口を僅かに開く。
途端にソフトな吸い付きがハードな締め付けに変貌し、はたての体は綿のように弾けた。
「そうそう、ここを開けると空気が抜けるんだって」
ぐぽんっ!ぎゅち、ちゅうぅっ…!
「ひぃ♪〜っ♪これしまるっ♪おちんぽちゅーちゅーされるよぉっ♪」
にとりは視線をオナホールに向けつつ、そこから手で肉棒を擦りあげる。
すると先端の小さな穴から先走りが噴き出し、扱くにとりの手を汚していった。
「どうかな…っていっても、その分だとだいじょぶそうだね」
「は、はへっ♪ひぃぃ…♪にゅるにゅるなのっ♪つぶつぶが亀頭を擦って、じんじんしてぇっ…♪はおっ♪ぅ♪うぅぅ〜っ…♪」

その八

このオナホールは、空気の他に後二つ仕掛けが施されている。
一つ目は入り口の襞。挿入してきた亀頭を大雑把にカッティングされた壁で竿の根元まで優しく包み込む。
そして二つ目は筒の中にびっしり敷き詰められた数の子天井。
隙間無く作られた小さな粒状の集まりが、余すこと無く快感を直に伝えるのだ。
しかも仮性包茎であるはたての肉棒は皮が剥け、弱い亀頭を直接扱かれている。
何度か筒を上下するだけで、はたてはこみ上げる射精欲に逆らえなくなってしまった。
ぼぷん、くぽっ。にゅぷ、ぷぽっ。
「いっぢゃ、いっぢゃうっ♪おちんぽいくっ♪うあ♪あんっ♪あぁ♪ひゃうぅっ…♪」
すると、暫く無言で手を動かしていたにとりが、恥ずかしそうに頬を染めて告げる。
その言葉は、射精を堪えるはたての理性を無情にも焼き切った。
「はたて。その、実はこれ…ね?」
「やぅっ♪ぃ♪あっ♪ふあぁっ♪な、なによぉ…っ♪」
「…私の、おまんこの形をとってるの…」
「っ♪♪」
ぶ、びゅるるっ!ぶびっ!びゅくっ、びゅくっ!びゅーっ!

その九

「ひゃあっ!?おちんちん、びくびくってして…!?わ、わ…いっぱい出てる…」
「ひぃん♪しごっ、しごかにゃいでっ♪ちんぽ♪またちんぽいくのっ♪お♪おほおぉぉっ…♪♪」
どぴ、どぴっ!ぶっ!ぶびゅっ、びゅぷびゅぷっ…!
「…オナホール、どうだった?」
「え、ええ。とっても良かったけど、にとりの…」
「わーわーっ!それ以上はやめてっ、嬉しいような恥ずかしいようなよく分かんない気持ちになるからっ!」
「ご、ごめん」
行為が終わり衣服を整えた二人は、視線を合わせられずに赤面していた。
実験と銘打ったものの、結局やったことは疑似性交である。
両者枕に顔を埋めたい気持ちだったが、生憎ここにそのようなものは無い。やがてにとりが今回の原因である携帯を指さすと、さらに頬を朱に染めた。
「えっとー…はたて」
「な、何よ」
「今度からは画像履歴、ちゃんと消そうね?」
「…はい」
彼女からのごもっともな指摘に、はたては再び小さく頷くのだった。

第四話

その一

ちちちと小鳥のさえずる声で、はたては重い頭を起こした。
思えば念写にかまけすぎて、ここ一週間机に着かないまま。
起きる度に毎回自慰をしているので、とても新聞に取りかかれるような状態ではなかった。
「なんていうか、新聞書いた自分へのご褒美?みたいなー」
誰に言うまでもない言い訳を部屋の隅でぼやきつつ、はたてはふにとスカートの下に存在する陰茎をつついた。
ここ数日はベッドに仰向けになるだけで、股間に意識が集中してしまう。
勝手に持ち上がり始める膨らみを弄りながら、はたては検索欄に『文』と打ち込んでみた。
はたてがライバル視する、彼女。
果たして文は、今一体何をしているのだろうか。
身内は検索すまいと密かに決めていたはたてだったが、今日ついに検索の封を解くのだ。

その二

ぽちとボタンを押すと、一枚の鮮明な写真が写し出される。
舞い散る紅葉で包まれた九天の滝をバックにして、後ろ姿の文が勝ち気の表情でこちらを見ている。
誰が撮影したのだろうか、取材モードではない天狗としての彼女。
折れてしまいそうな程細い腰は、飛ぶスピードを速めるためらしい。
艶やかな漆黒の羽とスカートがふわりと舞う中、隠された文の下着が僅かに見えている。
黒のストッキングの下に雪のように白いクロッチがちらと見えており、むんとした大人の色気が漂った気がした。
「文って、こうして黙っていると綺麗なんだけどな」
はたての脳内での文は些か想像で補填されていたらしく、写真という形で改めて彼女の美しさを再確認した。
そして触っていた陰茎が硬くなり、ぐぐっと指を押し返していることに気づき、深く嘆息した。
ぴくぴくとライバルを見て勃起する、無節操な男根。
しかし湧き出る性欲には勝てず、また自慰しようとしている。
何だかそれが空しくなり、はたては携帯をぽいと投げた。
「何やってんだろ、わたし」

その三

「…ん」
明かりの無い部屋の中で、はたては肉の薄い裸体を晒して立つ。
既に陰茎は真上に向き、びくんと性欲の掃け口を求めていきり立っていた。
冬の肌寒さに体を凍らせながら、はたては先端の皮を優しく指で剥いていく。
「う、さむぅっ…」
皮が剥け、ぷりんとした亀頭が露出する。
瞬間、綺麗なピンク色をしたそこから粘水が溢れた。
エラの張ったカリ首には所々白い恥垢が目立ち、先走りと混じり腐臭を放つ。
ひくひくと鼻を動かし臭いを吸い込むと、頭の内側から腐っていくような錯覚を感じた。
「はぁぁ…勃起きっつい…♪」
両手を後ろ手でぎゅっと握る。自分が抵抗出来ないように。
つんと胸を張る。勃起した乳首がよく見えるように。
肛門を締め上下に肉棒を振る。『目の前の相手』に屈服したかのように。
目を閉じたその瞬間、瞼の裏で『文』が嘲罵して笑っていた。

その四

「はたて?何かしらこれは?」
「そ、それはっ…あぅっ♪」
「分かってるわ。はたてがここ最近ずうーっとちんぽしごいて、猿みたいにしまらない顔晒してたんでしょ?」
文が透明な手を肉棒に手をかけると、びくんっと手の中で肉が跳ねる。
にぢ、と先走りが手に引っ付くと、文が肉棒を叩いた。
「はぁうっ♪」
「はたてー?私の手に何ひっかけてるのかしら。盛ってるんじゃないわよっ!」
ばちんっ。ばしん。…ぴゅるっ。
「いぅ♪ふぐっ♪う、ううぅっ…♪」
「あはっ、何よそれ♪ちんぽ叩かれて汚い汁こぼしちゃって、あなたは天狗の面汚しね。いやもう、ちんぽ狂いの犬?」
「記者、だもの…。私は犬なんかじゃ、きゃひぃんっ♪」
「あんたねえ、こんな皮だるだるの引きこもりちんぽおっ勃てといて、私と同じ記者?馬鹿にしないでほしいわねぇ」
苛立った文が滑るはたての包皮を乱暴に掴むと、ごしごしと洗い物をするように扱き上げる。
ぴゅ、ぴゅ、ぴゅと規則よく先走りを飛ばすはたての脳内は、さらに深い泥濘にはまっていった。

その五

「はい、おねだりのポーズ。うんうん、いい子ね」
はたては床に寝転がり、手と足を上に向ける。
服従の体勢になった彼女に満足した文は、スカートをたくし上げてしゃがみ込んだ。
「ほら、わんちゃんにご褒美あげるわ。好きなだけ見てもいいわよ」
程良く肉の付いた文の太股の終着点で、純白の下着がはたての顔の前で踊っている。
汗が一筋顔に垂れると、興奮したはたては肉棒から先走りを暴発させた。
「い、いれ…いれ、させて…」
「あや?」
「おまんこに入れさせてくださいっ…♪卑しいダメな犬に天狗のお情けをくださいっ♪」
文ははたてを見下ろすと、んーと困った顔をする。少しして、笑顔で臀部をはたての顔面に落とした。
「ダ・メ♪」
「んむぐっ!?ん、んんんっ♪ぷむっ♪んふー、んーっ♪」
「犬が天狗におねだりなど千年早い。…ん?ちんぽが嬉しそうにびくびくしてるわね。別におまんこしなくていいじゃない♪」
顔が甘酸っぱい匂いに覆われ、息苦しさに頭を白くさせながら、血液が肉棒に集中する。
瞬く間にがちがちになったはたての陰茎を見ながら、文は獲物を狙うように舌なめずりをしていた。

その六

「はーい、どうですかー?ちんぽ気持ちいいですか?」
「むぅぅ♪んうっ♪むぉ♪ふぅっ、ふー♪ふーっ♪」
はたてはマシュマロのように弾むお尻に顔を塞がれながら、ストッキングで肉棒をしごかれる。
薄く足にはられたストッキングが竿を圧迫し、足指が擽るようにカリ首をなぞると、先走りが竿へと垂れた。
「どうかしらって言ってるんだけ、どっ!」
しゅく、ごしゅごしゅ、しゅにしゅに。
「おっ♪むおぉっ♪おふ、むうぅ〜っ♪おぉ♪ふぅーっ♪」
「何言ってるか分からないわねー。おまんこには熱い息がかかってるけど…♪」
文の土踏まずが竿を捉えると、指を曲げ亀頭ごと強引にしごく。
陰茎がまるごと引っ張られるような感覚に耐えられなくなったはたては、屈辱に汚れた精液を吐き出した。
「も、もぅうっ♪ふご♪ほおぉぉっ♪♪おっ♪ぶふっ♪んんんぅぅっ♪♪」
びゅる、びゅくっ!びゅっ、ぶびびっ!ぶびゅるるっ!
「あらまあ。わんちゃんかと思ったらぶたさんだったのね。ぶたちんぽよく射精出来ましたー♪」
はたてが射精の悦楽に身を委ねる中、くすくすと嘲笑う文がいつまでも脳内にこびりついていた。

その七

びゅ、どくっ…どくっ…。
「あぁう…♪ちんぽ…♪ちんぽいっちゃうのぉ…♪せーえきくさぁ…♪」
文がかき消え一人きりの部屋の中で、はたてはとろけた顔で射精する。
びくんと肉棒が跳ね、どろりとした精液がこぼれる。
ここ最近のはたては手を使わない無刺激の射精に、すっかり心酔してしまっていた。
全身を弛緩させ、陰茎だけに集中する。どくどく射精する様も愛おしく見えた。
周りの景色が歪み、水に漂ったような心地よさ。
はたてはこの浮遊するような享楽に取り込まれ、一生こうしていたいとさえ思った。
ぱしゃ。
しかしその夢想は、一枚のシャッター音で警鐘へと変わった。
冷や汗がうなじを伝い、熱を帯びた体が現実に馴染んでいく。
「ふんふん…これを記事にするなら、『行方不明の新人記者、嬌態姿で発見さる』ってとこですかね。しませんけど」
久しぶりに聞く、何度も聞き慣れた声。
「お久しぶりね、はたて」
伝統の幻想ブン屋こと本物の射命丸文が、そこにいた。

最終話

その一

「な、なんであんたがここにいるのよ、文っ」
「と言われましても…はたてが心配だったといったら私の株が上がる?」
「むしろ今ストップ安なんですけど」
はたてが動揺の色を隠せないでいると、文はずけずけと部屋に上がり込む。
そして暗い部屋と立ちこめる淫臭を嗅ぎとると、呆れた様子で窓を開けた。
「ちょ、土足はやめてよ!というか私裸なんだけど!?」
「臭うからよ。はたては気づいてないかもしれないけど、引きこもりの臭いがするわ」
文はベッドの上に座ると、まるで自室のように悠々と欠伸をする。
慌ててタオルケットを体に巻いたはたては、恨めしげに文を見た。
「さて、どこから話しましょうか」
「…出ていったら聞いてあげるわ」
「私がそう言われて出ると思う?ま、聞いて損の無い話よ」

その二

「簡単に言えば、はたて。誰が念写する元の写真を撮ってたと思う?」
文から投げかけられた質問に、はたては惑う。
思えば最初の内は誰が撮影していたのかと躍起になっていたが、今は見る影もない。
ライバルの前で分かりませんと言うのもプライドが許せず黙っていると、文が答えた。
「保身のために言っておくけど、私じゃないわ」
「え?」
「…ちょっと傷つく反応しますねえ。さすがにそんな趣味はないわ、アポとって堂々とやるわよ」
「アポとってもやろーとすんなっ!」
苛立たしげにはたてが枕を投げると、文は笑いながら右に避ける。
こうしておちゃらける文の態度が、はたては気に食わないのである。
「じゃ、誰よ。誰が犯人なのよ」
「私にも分からないわ。ただ画像を放置したままだとあれだと上層部が見たんで、私らに調査してほしいと」

その三

文が一呼吸置くと、さらに言葉を続けた。
「それで、はたてに協力してもらいたいのよ。犯人探しにね」
「…何で?他にもっと顔が広い天狗がいるじゃない」
「それはねー。ちょっと携帯借りるわね…あ、やっぱり。ほら」
はたての許可も得ずに文が携帯を手に取ると、ぽちぽちと何度かボタンをいじる。
また勝手に、とはたてが頬を膨らませていると、文が携帯をこちらに見せてきた。
その画像にはたては驚愕する。紛れもない自分自身の姿だったのだ。
「え、な、なんで?」
「さすがに自分を撮る趣味は無かったみたいね。見ての通りはたての画像も広まっちゃってるのよ」
はたては検索欄に戻し、念を込めて自分の名前を検索する。
…すると、居酒屋に行った後の姿が映し出された。
自分の姿が。
誰かに流出されている。
はたては突きつけられたその事実に、膝を戦慄かせることしか出来なかった。

その四

「分かった?まだ上層部は細かいとこまで見てないからいいけど、このままじゃその内これも提出されるわよ」
「じ、じょーだんじゃないわ!こんなの上に出回ったら私の記者人生がパーよ!」
「でしょう?ですから私と貴女で手分けして犯人を捜そうってわけ」
文の言い分に少々引っかかりを覚えながらも、はたては頷く。
写真として見る自分は新鮮で、またとんでもない変態のようで。
眺めれば眺めるほど、知らない自分が出回っている感覚に頭がかっと熱くなる。
その背徳感に一瞬でも興奮してしまったのか、いつの間にかはたてのタオルケットが膨らんでしまっていた。
それに目敏く気づいた文が、ベッドの上から一歩引く。
「…は、はたて。あんたまさか」
「だっ、ち、ちがっ!別にそんなんじゃないわよっ!」
「その勃起じゃ説得力も無いわ…。しょうがないわね」
文は小さく嘆息すると、自身の細い脚を広げてはたての体へと寄越す。
とふ、と下着が膨らみに当たると、はたてはさらに惑った。
「ん。そんなんじゃろくに調査も出来ないだろうし、一度抜いとくわよ」

その五

「あっ、文!?あっ、あんた何やろうとしてんの!?」
「何って、セックスよ。雰囲気で分からないかしら」
「あぅっ!やっ、やめっ!」
文の引き締まった体がくねると、同時にぐりぐりと膨らみを圧迫する。
ぅ、う、と小さな声を漏らすはたてに、文はにやあと意地の悪い笑みで尋ねる。
「…ははーん。はたて、あんた童貞ね?」
文のストレートな質問に、はたての心は綺麗に打ち抜かれた。
「へぇっ!?」
「ああ皆まで言わなくてもいいのよ。うんうん知ってた、文ちゃんずっと見てたからよく分かってますよー?」
「〜〜っ!この、馬鹿にしてっ!」
はたてが怒りに任せ文を押し倒すが、文は表情を崩さない。
しかし、雰囲気が変わった。女の顔になったのだ。
ちろと舌で口端を舐めながら、文は微笑む。その視線ははたてを捉え、挑戦的な目つきを離さない。
はたての喉が動いた。はだけたタオルケットから、ぬらりと液体にまみれた肉棒が突き出ていた。
「ほら、挿れるんでしょ?童貞君♪」

その六

「…い、挿れてやるわよ。突っ込めばいいんでしょこのばかあやっ!」
「そうそう♪…あら、意外とご立派じゃない」
器用に体を畳みながら、文は普段のように笑った。
勝手が分からないはたては文の白い下着に手を伸ばすと、びっという音と共に引き裂く。
初めてじっくり見る他人の秘部は、鬱蒼とした黒い茂みに覆い隠されていた。
「あ、そうだ。はたて、どこに挿れるか分かる?」
「ふ、ふ、ふざけるのも大概にしなさいよ!?分かるわよそんくらいっ!」
「それならいいの。いきなり後ろにハメられてもたまったものじゃないからね」
はたてが腰を浮かせ、はけ口を求め震える肉棒を秘裂に添える。
ぬち、とぬかるんだ水音がしたのは、果たしてどちらのものだろうか。
そんなことを考える余裕は、もう二人には無かった。
「…挿れるわよ、ばかあや」
「分かってますよ、おばかなはたて」

その七

…ぱん、ぱん、ぱんっ!
「ん、はっ…!は、うぅ、んっ…!」
「はたて、もう少し腰を落として?」
「ひっ、ひぃっ…♪こ、これなら、どうよっ…!」
「ん♪…そう、いい感じよ…」
ぱちゅっ、ぶちゅ、ぶちゅっ!
「は、はぁ、はあっ…!」
「ほら、初めてにしてはよくやったし、まずは出しちゃいなさい」
きゅっ。
「ひぁっ!も、だめ…でる、ぅ…っ♪」
…びゅ、びゅーっ!びゅくっ、びゅるるっ!どぶ、ぶぷっ…!
「んんっ♪…さ、もっかいしましょ?」
「ちょ、ちょっと休ませてっ…あっ♪うぁ、あぁあっ♪あぁあああ――っ♪♪」
ぶじゅ、どく、どくっ、どくん…!

その八

「…文のおなか、たっぷたぷね」
「ええまあ、誰かさんのおかげでね。はたても天狗の例に漏れず絶倫ってことねぇ」
文が悪びれずそう言う傍で、はたてはげっそり疲れた表情を隠せずにいた。
疲労が抜けない彼女に対し、文は明るい顔で手を叩く。
「さ、ひとっ風呂浴びて犯人探しといきますか!」
「えー…行きたくない」
「何言ってるの。これからも円満なオナニーライフするためには、早期解決が得策よ」
「そんな心配いらんわっ!全く、何であんたがやる気なのよ…」
「そうねー」
はたてがボサボサになったツインテールを手櫛で整えていると、脱衣所へ向かおうとしていた文が立ち止まる。
そして、全く悪意の無い顔でさらりとこう告げた。
「私のスポイラーになるんだったら、新聞出さないなんて許すわけないでしょ」
「!」
そのまま悠然と歩いていく文を見つつ、はたては布団に顔を埋め、声を出して誓うのだった。
「…すぐ追いついてやるっての、ばかあや」


(終)






おまけ

三日後。
「はたて、犯人見つけたわよ」
「わー捕まっちゃったー」
「誰だっけその子。古明地の妹のこいしだっけ?無意識がどうたらとかいう」
「そうね。無意識で椛の千里眼を拝借して周りを覗き、にとりの光学迷彩で念入りに姿を消し、私のカメラを使って撮影と。それに無意識だから、そりゃ接写も出来るわ」
「無意識だからしょうがなーい!」
「ねえこいしさん」
「うん」
「オナニーしてるところを撮らせてくれれば許してあげまますよ?」
「犯人にアポ取ろうとすんなこのばかあやーっ!!」

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