1

八雲紫――かつてそれは賢者と知られた大妖怪を意味する名前であった。
如何なる境界をも操り幻想郷を作り出した妖怪。胡散臭くそれでいて知的な妖怪。
大妖獣である九尾狐を式とする強大な妖怪。その名前から連想されるのはそんな妖怪だった。
しかし、諏訪の神の祟りを受けたその時からその名前の意味が変えられてしまった。
八雲紫――それは今や九尾に買われる乳牛の名前である。
祟りは彼女の体を大きく変えた。その身に宿る膨大な妖力は今や境界を操ることはできず、
全ては彼女の乳房に流れ込んでしまうようになった。妖力は時に胸の肉に変わり、時に母乳に変わる。
今の彼女に出来るのはただ自らの乳房を肥え太らせ母乳を溢れさせることだけだった。
乳の噴き出る快感で顔が蕩け金沙の髪が乱れるままによがり狂う牝牛、それが今の八雲紫なのだ。

2

紫にとって運の悪いことに、彼女の式である八雲藍はこの事態を解決しようとはしなかった。
むしろ藍は牝牛に変えられた紫を甘んじて受け入れたのだ。
なぜなら藍は紫に惚れていたから。それこそどんな手段を用いても手に入れたかったほどに。
今まではその力の差故に式となる事で傍にいる事を選んでいたが、紫が力を失ったとなれば藍の“下剋上”は至極当然の結果であった。
嘗ての上下は逆転し、今や藍こそが紫の飼い主となったのだ。

3

「うふふ。今日もたっぷりと乳を搾ろうな、紫」
藍は日課となった搾乳に今日も勤しんでいた。機械には頼らず自らの手で搾る。
根元から奥へ軽く握るだけで、その頭より大きく熟れた乳房からはミルクがあふれ出る。
「うん、今日も乳の出がいいみたいだな」
「……藍、もう止めてぇ。気持ちよすぎて頭おかしくなるぅ」
紫は涙と涎で顔をぐちょぐちょに濡らしながら懇願する。けれどその言葉が叶うことはない。
「おいおい、牝牛は言葉など話さないだろ? 昨日言いつけたことをもう忘れたのか?」
「藍、お願いもう……」
「牝牛は『モウモウ』としか鳴かないだろ? それとも記憶力までまで牝牛になってしまったか?」
笑みを浮かべたままだが、藍の言葉には有無を言わせぬ力があった。今の紫には従う以外の選択などない。

4

「……モウゥゥ、ンモウゥゥ」
「うん? 乳の出はいいのに元気がないなぁ。ここは一つ元気づけてやらないと、なぁ!」
言うが早いが藍は紫の両の乳を思い切り搾る。軽く搾られるだけでも快感に痺れていた紫にはあまりにもキツイ一撃だ。
「ンモオォォォォ♡ンモオォォォォ♡」
「おぉ、随分元気になったな。いやぁ良かった良かった」
必死に泣き叫ぶ紫にも藍は飽くまでカラカラと笑うだけだった。

5

「それにしても……」
藍は乳搾りを続けながらもチラリと紫の体を見る。
胸が大きくなり続ける様にはなったが、彼女の体が醜くなった事はない。
むしろ日々の快感が刺激となっているのか紫の裸体はより美しくなったようにさえ見える。
絹を思わせるほど滑らかな白い肌には快感ゆえに赤みがさしており、
崩れたことのないくびれの下に続く腰から脚へかけてのラインも魅惑的としか言いようがない。
今や体液で濡れたその顔だって元は万人が思わず振り向きたくなる美しさを誇るからこそより魅力的なのだ。
傾国とまで言わしめられた自身を上回る美、それを前にしてムクムクと湧き上がるものが藍の中に、そして股間にあった。
「相も変わらずなんて美しいんだ紫。お前を見ているとなんだか……」
搾乳していた手を紫の胸から離すと藍はスクッと立ち上がる。そしておもむろに自身の股間を紫の前にさらけ出した。
そこには女性が持つとは思えぬほど太く暴力的な陰茎が勃起していた。

6

「ヒィィッ!」
「そんな生娘のような悲鳴をあげないでおくれよ。紫だって何度も味わったモノだろ?」
絹を裂くような悲鳴にも構わず藍は紫の背後へと歩み寄る。紫はもちろん逃げ出したいが、
あまりにも大きくなった自身の胸と四つん這いの姿勢を強制する枷のせいで動くことさえままならない。
「お願い、お願いやめて……」
「お前がいけないんだぞ紫。そんなエロチックな体で毎日誘うのだからこちらとて我慢ならんよ」
「ちが……そんな事してない……」
「どんな弁明をしようが下がこれほど濡れていては言い訳にもならないぞ」
搾乳の快感からか紫の女陰からは既に液体があふれ出ている。紫が逃げようと体を捩るたびに粘着質な厭らしい音が聞こえてくる。
紫の腰を両手でガシリと押さえると、藍は自らの魔羅を中へ挿入した。

7

「ヒギィィィィィッ!!」
「あはっ♥なんて締まりの良い女陰だ♥あんなにやったのにまだ私の魔羅に吸い付いてくる♥」
快楽に身を任せるまま藍が腰を振るたびに、紫の悲鳴に艶っぽいものが混じる。
「イヤッ! 藍お願い抜いてっ! 頭おかしくなっちゃうぅぅぅ♡」
「紫も♥素直になって♥欲しいものだな♥お前の♥ここは♥とってもいい子なんだから♥」
パンパンッと腰を打ち付けるたび藍の陰茎に込み上げてくるものがあった。
藍が早いのではない。彼女とて並みの女ならその魔羅で数人はいともたやすく失神させる剛の者だ。
そんな彼女でさえも出さずにいられないほど、紫は名器の持ち主だったのだ。
「あぐぅ♥そろそろ♥中に♥出すぞ紫ィ♥」
「やめてぇ♡中いやぁ♡私壊れちゃうぅ♡」
紫の願いも空しく、藍の陰茎は爆発したように射精した。
「おおおおぉあおぉおぉぉぉぉ♥♥」
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ♡♡」
藍は獣のような雄たけびをあげながら、紫は処女のように叫びながらそれぞれ絶頂した。

8

何度目かの射精ののち、藍はやっと陰茎を引き抜いた。ゴボォという音とともに精液が紫からあふれ出る。
あまりの量だったのか、紫の腹は妊娠したと思うほどに膨れ上がっていた。
「はぁはぁ♥やはり紫は極上だよ♥」
「いやぁ……♡もういやよぉ……♡」
満足気に息を荒げる藍とは反対に、紫はより一層涙を溢れさせていた。
「そんな事、言わないでおくれよ紫……」
今度は紫の顔の方へ周り込み、藍は紫の顎に手を添え顔を持ち上げる。
「私はお前を愛しているんだ。出会ったあの時からずっと。それは今でも変わらない。
 どうしたって傍にいたかった。だから式になる事に何の躊躇もなかったよ」
そう言うと藍は紫と唇を重ねる。恋人がするように優しく、それでいて激しいキスをする。
数分もしただろうか、藍は顔を離すとミルクの入った容器を掴んだ。
「疲れただろうから乳搾りは少し休んでからだ。流し入れた精が妖力に変わって腹が引っ込んだら再開しよう」
そう告げた藍は紫のそばを離れた。藍は幸せだった。愛した女性とこうやって共に過ごせるのだから。
しかし、紫の眼からは悲しみの涙が尽きることはないのだ。

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