旧地獄街道から大きく外れた荒れ地の高台。人目を避けるようなその場所に、街道を取り仕切る鬼が住んでいる。
僕はその鬼の側仕えとして、炊事洗濯をはじめ家事全般を担っている。…というより、今ここで働いているのは僕一人だった。
朝食を作ったら、彼女を起こすのも僕の役目だ。一声かけて反応がないことを確認したら、障子を開ける。
豪快に掛け布団を蹴り剥がしたまま、空の一升瓶を片手に一糸まとわぬ姿で寝息を立てているこちらのお方こそ、かつての鬼の四天王の一人。星熊勇儀その人だ。
豪放磊落と言えば聞こえはいいが、あまりにもはしたない姿だ。
おまけに――今朝も、勃起している。
どういうわけか彼女の股間には、それはそれはご立派な逸物が鎮座ましましており、毎朝のように勃起する。
一度寝付いたら殴ろうが蹴ろうが起きない彼女を効率よく起こすには、まずこの逸物に奉仕して鎮めるのが最善だったりする。
かくして、僕はそっと赤銅色の肉竿を両手で握り、ゆっくりと上下にこすりながら。
たっぷり唾液をまぶした唇で、挨拶がわりに尖端へ口づけるのだった。


第一話 [#r072e74a]

その一 [#a27c2fc9]

こぶとりじいさんという昔話がある。
鬼の宴会に行き会った老人が、命惜しさに歌や踊りと見せる。
その代わりに、生来より頬にできていた大きなこぶを不思議な力で取ってもらって云々、というものだ。
それを知ってからずっと、僕は鬼に会ってみたいと思っていた。
何故と言うに、僕は女の子になりたかったのだ。
齢が十を数えるより前に女装に手を染め、一月もする頃には寺子屋の友達はみんな離れていった。
両親は僕のことで喧嘩ばかりするようになった。
そういうことがあって、僕は死ぬ覚悟をした。
家の裏山にある、誰も近寄らない不気味な洞穴。なだらかなその下り坂は、噂では地獄に通じているという。
鬼への直訴状と、父が隠していた上物の酒一升だけを携えて、僕は底深き闇の中に踏み入った。

長い長い時間が過ぎ、這いずる力も使い果たして死を待つばかりだった僕を拾ったのは。
正真正銘の、地獄の鬼だった。

その二 [#d8a08bbf]

「なるほど、女にねえ…」
額から角を生やしたその女性は、幾日かぶりの食事を終えた僕の顔と、僕が持っていた書状を見比べた。
「まあ、アンタに覚悟があることも、誠意があることもわかった」
片手の一升瓶を逆さにして、最後の一滴を舌で受け止める。
女性らしさの欠片もない仕草であるにもかかわらず、僕は彼女を美しいと感じていた。
「ただし、簡単な条件がひとつある」
切れ長の双眸が僕を見据える。物凄い迫力に心臓が止まりかけた…のに、僕はやっぱり彼女の眼を綺麗だなと思っていた。
「今日から私と暮らすこと。私に仕えるためにね。…どうだい?」
仕えるということは、たぶん家事や炊事をやらされるのだろう。
両親が留守がちだったから心得はある。僕は一も二もなく承諾した。
彼女はうっすらと目を細めると
「星熊勇儀。それが今からアンタをさらう鬼の名だよ」
どういうわけか、その豊満な胸の中に僕を抱き締めて。
物凄い柔らかさと、汗とお酒の混じったような甘い匂いに、僕は強い目眩を覚えた。

その三 [#b97124bf]

「それじゃあ、アンタを女の子にする儀式を始めようかね」
彼女のお屋敷に着くなり、僕は閨房に放り込まれた。
後ろ手に障子を閉めた勇儀さまは、何だか顔が赤くなっていて、息も荒くなっている。
「そのためには、教えることが山積みだ。アンタ、閨の作法は?」
僕は首を振った。言っている意味がよくわからなかったからだ。
「ああ、今じゃもう童の内から教えたりしないんだね。なら、まずはアンタに男の悦びから教えてこうか」
するすると布擦れの音が耳をくすぐる。
勇儀さまの素肌があらわになるたびに、かつてないほど胸が高鳴り、おちんちんが痺れるように熱くなる。
「おや、いっちょまえに勃ってるじゃないか。…ほら、もっと近くで見せてやるよ…」
猫のようにしなやかな動作で、布団の上の僕に這い寄ってくる。
大きな胸がたぷたぷと揺れる度に、僕の視線はその谷間に釘付けとなり、おちんちんが痛いほど固くなった。
「まずは剥けなきゃ話にならないねえ。ほら、大人にしてやるからおとなしくしてな」
あまりの妖しい迫力に腰を抜かして尻餅をついた僕の股間に、ゆっくりと彼女が顔を埋めた。

その四 [#p9b5b1e9]

ぬるぬるとした何かが僕のおちんちんを包み込み、やはりぬるぬるとした何かがおちんちんを撫で回す。
その度に痛いような痒いような、よくわからない痺れが僕の腰から背中へ走り抜けていく。
「ふぅ……どうやらちゃんと剥けたようだね。痛くなかったかい?」
明確な痛みはなかったので頷くと、勇儀さまは安堵の溜め息をついた。
「うまくいったかい。ならよかったよ…」
僕の倍近く大きな手が、僕の頭を撫で回す。柔らかくて、いい匂いだ。
「じゃあ続きだ。動くんじゃないよ、優しくしてやるから」
もう一度、おちんちんを咥え込まれる。
さっきより少し強く舌を押し当てられ、少し強くしゃぶられ、少し強く唇を絞められるうちに、
だんだんとお腹の下が熱くなって、何か熱い塊がおちんちんの中を昇って
「ぢゅぅっ、ぢゅるるるるっ!!」
合わせるように、それをおちんちんから直接吸い出される。
お腹の中が全部吸い出されて飲み込まれそうな錯覚とともに、目の前が暗くなり
「ん、こく、こくっ……。おやおや、気絶するほどよかったのかい」
枕に頭が乗っかると同時に、僕は気を失った。

その五 [#m3a67439]

お尻を這いずる異物感で目が覚めた。
僕は体を丸め込まれ、後頭部と両膝を布団につけられた状態で勇儀さまに抱きすくめられ、その上でお尻の穴を舐め回されている。
「気がついたかい? 根性あるねえ。根性のある奴は大好きだよ」
ずぶ、と舌が直腸まで挿し込まれる。気絶している間に、いったいどれだけ舐めていたのだろうか。
「ん、んっ、んぅ、んっ…」
柔らかくてぬるぬるの舌が抜き挿しされる度に、お尻の穴がじんじんと熱くなる。
腰が骨から溶けてしまうような感覚に、自分でも驚くほどの甘い声が口を衝いて漏れていく。
「ふふ、本当に女の子のような声で喘ぐじゃないか…。何度も穴に出し入れされる、女の悦びを味わった気分はどうだい?」
気持ちいい。気持ちいい気持ちいい気持ちいい。体の真ん中をほぐされ溶かされ、もう気持ちいいことしか考えられない。
「ふふ…正直でいいねえ。正直者は大好きだよ」
言うと、勇儀さまは、ようやく僕を横向きに寝かせてくれた。
「初めは驚くだろうけど…すぐに気持ちよくなるさ。大丈夫、鬼は嘘を言わないよ」
隣に寝そべった勇儀さまのの指先はおちんちんを通り過ぎて、お尻の穴の中を何度も何度も、何度も何度も

その六 [#y710f149]

溶ける。腰ではなく脳みそが溶ける。気持ちいい。気持ちいい。きもちいい、キモチイイ。
狂う狂うくるくるくるくる視界が意識が頭がくるくると狂い狂って溶けてしまう。
「あんっ! …ふふ、三発目だよ」
もう何度、お尻の穴を指が往復したことだろう。百から先は覚えていない。
「……さて、改めて聞こうじゃないか。男と女、アンタがどっちを選ぶのか」
僕は迷わず女の子を選んだ。
元々そのつもりだったが、こんなキモチイイことを知ってしまったら、もう戻るこなんてできっこない。
「それじゃあ、少しおとなしくしてるんだよ。目を閉じて、ゆっくり息を吸って…吐いて…」
つややかな声に従って、微睡みにも似た安堵の淵に意識が落ちる。
「これでいい…。明日の朝からアンタは立派な女の子だよ」
男としての最後の夜、意識を失う瞬間に僕が見たものは
「ふふ、こいつは私がもらっとくよ」
勇儀さまの掌に載った、ぼくのおちんちんとたまたまのふくろだった。

その七 [#h2ac1d5a]

目を開けると、視界が霞がかっている。
…違う、意識が戻りきっていないのだ。僕は頭を振って、無理矢理意識を覚醒させた。
そして、真っ先に股間の様子を確認する。
…………。ない。
おちんちんも玉袋も、綺麗さっぱり傷跡ひとつ残さずに消え失せている。
僕は、念願の女の子になったのだ。
勇儀さまに仕えることにはなったものの、元々帰る場所も友達も失ってここに来たのだ。今さら何の後悔もなかった。
ここで第二の人生を始めようという希望で、僕の小さな胸はいっぱいに満たされ……って、何?
ふと見ると、胸元にほんのわずかながら膨らみが見て取れる。
しかも女の子になった副作用か、おっぱいまで膨らんできたようだった。
触ってみると、ふにふにと柔らかく、中にしこりのような手触りを感じられる。夢や幻の類いではない。
と、なると…。

僕は部屋の隅の手鏡を持ち出すと、早速そこを映してみた。

その八 [#r34f36b1]

薄灯りの中、鏡に目を凝らす。
ぷっくりとした股間には一本の筋がくっきりと見え、触るとぴったりと閉じているのがわかる。
試しに片方だけ押し広げる。
ぽってりとした肉の向こうに生々しい赤を帯びた肌色が、ねっとりとした湿り気を帯びてきらきら光っているのが見えた。
これが、女の子……。
触ってみるとやはり湿っていて、その指を触ると、ちょうど精液と似たような具合にぬるぬるとしている。
――その時、お尻をぬるぬると攻められたことを思い出して、急激にお尻が疼き始めた。
あのぬめりが欲しくて股の割れ目から粘液を掬い取ろうとした直後、お尻と似て非なる感覚が股間から脳天まで突き抜けた。
い、今のは…?
指で擦ると、擦れば擦るほど、紅肌色の粘膜はとろとろと粘液を垂らし。
僕はいつしか片手で股間を擦りながら、片手の指でお尻の穴をかき回して、
その両方からぐちゅぐちゅと生々しい音を立てながら終わりのない快楽に耽り続けた…。

その九 [#o1df1d98]

「もどかしいだろう? 女の体ってのはさ」
僕がすっかり消耗した頃、見計らったようなタイミングで勇儀さまが戻ってきた。
見ればだらしなく着崩した浴衣姿で、体からは湯気が立ち上っている。僕が寝入ったところで入浴しに出ていたようだ。
「一人でいくら慰めたって、女はなかなか満たされないんだ。何しろ本当に気持ちいいところは」
どさりと隣に胡座をかくと、僕の下腹につう、と指を這わせる。
「この中なんだからねえ」
そんな、そんな、そんなそんなそんなそんな。
せっかく気持ちいいのに、気持ちいいだけだなんて。高まるだけ高まって、一人では果てることも叶わないなんて。
「そんな顔しなさんな。ほれ」
つい、と浴衣の裾をたくしあげる勇儀さま。
その股間には、はっきりと見覚えのあるおちんちんが、ぴこりと精一杯の自己主張をしている。
「さっき、私がしたように。…できるね?」
僕は頷くと、勇儀さまの股間に顔を埋めて、先走りの涙を流す剥けたてのおちんちんに、そっと口づけた。

その十 [#y3d5847b]

瞬間、忘れようのない快感が背筋を走った。あの、おちんちんを初めてしゃぶられた時の快感だ。
「気付いたようだね。そう、私とアンタは、このちんぽの感覚を共有してる。だからアンタはこいつに奉仕する度に、二人分の快感を得て」
勇儀さまはおもむろに僕の後頭部に手を添えると
「私も、奉仕される度に二人分気持ちよくなるってことさ」
勃起しきったちんぽの先を、僕の口に勢いよくねじ込んだ。
「ホラ、口の中を犯されてるのに気持ちいいだろう。今にも吐きそうなのに、二人分の快感でふたつの肉穴が疼くだろう?」
お尻の穴を、指が出入りし始める。すっかり病み付きになった快感に腰をよじる僕に反応したのか、ちんぽはさらに固さを増す。
「ああ、たまんないよ……ッ、出る! あああ、出るぅっ!!」
生臭い粘液が喉の中で弾ける。どくん、どぷんととめどなく噴き出し、僕は同時にのけぞりながら絶頂した。
「ふああ…。ホラ、くたばるにはまだ早いよ。次が本番なんだからさ」
僕を押し倒した勇儀さまが、そのまま僕の股間に体ごと割り込んで来た時、ちんぽはすでに回復していた。

その十一 [#s86fd006]

ちゅぷ。激烈な痛みに思わず吠える。
痛い。痛いとか痛くないとかそういう問題じゃないくらい痛い。なのに
「ふぁ、んはぁあ…っ! 気持ちいい、気持ちいいよおお!」
お構いなしに、勇儀さまは腰を振り始める。溢れる粘液に混じって、時折り鮮血が飛び散っているのが、妙に印象的に映る。
「気持ちいいだろ? 隠してもわかるよ。私とアンタは繋がってるんだから…」
ぴた、と。急に腰が止まる。二人の鼓動だけが耳に響く。
…そして、膣内にちんぽを絡めとる圧迫感が快感に塗り替えられるのと、快感を覚え始めた肉襞に締め付けられるちんぽの感触が、
下腹でないまぜになりながら頭のてっぺんへ突き抜けていく。
「ひあああぁぁ! イク、イクうう! アンタのちんぽとおまんこでいっぺんにイッちゃううぅっ!!」
最後の最後のひと突きが、膣の最奥を叩いた衝撃で、腰から背中が宙に浮かぶような感覚に襲われて
「うぁぁ、またイクぅ…飛んじゃううあぁぁ……っ!」
思いきり抱き締められる。むちむちの胸の谷間に顔が埋まる中で
生まれて初めての膣内射精で、僕はせめぎあうふたつの快楽にすっかり溺れていたのだった…。

その十二 [#e5080567]

ひょい、と体が宙で反転させられる。
四つん這いになった僕のお尻に、何の下準備もなく指が挿し入れられ、何の下準備もなしにその指をどんどん呑み込んでいく。
「おやおや、せっかくのおまんこを放ったらかしにして、お尻でよがってるのかい? いけない子だねえ…」
じゅぷ、と膣にも指が挿し込まれてくる。
「ホラ、ホラ、こんなのは、どうだい? ホラ、ホラホラ」
交互に指を出し入れされて、ふたつの肉穴が喜悦のあまりにはしたなく涎を垂らして悶え狂う。
腰の中身がどろどろに溶けて、そのまま体まで溶けてなくなりそうだった。
「今からどっちかにちんぽが入るとしたら……どっちが気持ちいい?」
ぐり、と指を反転されて快楽にむせび泣く僕のお尻に
「こっ、これ…凄い……中が熱くてねっとりしてて…凄く狭い……っ」
指よりひと回り太いちんぽが挿入されて、裏から子宮を刺激しながら射精され。
もはやどれが自分の快感なのかも曖昧なままに絶頂した。

その十三 [#z4a4a029]

「…それにしても、だ」
ぴん、と乳首を弾かれて、僕は小娘のような悲鳴を上げた。
「よく見たら、胸が膨らんでるじゃないか。おかしいねえ…っと」
弾かれた余韻の残る乳首を指の腹で下からさすられ、思わず爪先立ちになるほど背中が突っ張る。
閃光が弾けるような下半身の快感とは異なり、乳首がもたらす快感はさざ波のように小刻みで、しかも尾を引くのだ。
「おや敏感だ。じゃあ、こうしたらどうなるのかねえ?」
出し抜けに乳首に吸い付かれ、悲鳴にも似た嬌声を上げる。
もちろん力で引き剥がせるわけもなく、僕は為す術もなしに舌で乳首を凌辱され続けた。
「小さいほど敏感って話は本当らしいねえ。ホラ、ボチボチこいつが欲しいんじゃないのかい?」
ビンビンになった、僕のものだったちんぽに、のろのろと舌を這わせる。
「ホラ、どっちの穴に欲しいんだい? 大きな声で言ってみな?」
お尻と、おまんこと、交互に口にしながら、僕は大股を開いて両方の穴を広げながら哀願していた。

第二話 [#y8ebde3d]

その一 [#fcd81362]

僕が女の子になって、初めての朝。
昨夜の内に教わっていた寝室の障子を開けると、勇儀さまは布団を蹴りはがして高いびきをかいており、
乱れた寝巻きからは大きな乳房がまろび出てしまっていた。
そして、めくれあがった裾からは、昨日まで僕のものだった、小さな小さなおちんちん。
鬼の力は本当に不思議なものだ。
僕を女の子にしたばかりか、僕のおちんちんを自分にくっつけるなんて芸当もできるらしく、昨夜はこれで…何度も何度も……
ぴくり、とおちんちんが震えた。僕にも身に覚えがある。朝勃ちだ。
気が付くと、僕はそのおちんちんを口に含み、吸ったり舐めたりしゃぶったりしていた。
たったの一晩で、僕はすっかりおちんちん中毒のいやらしくてはしたない女の子にされてしまったのだ。
勇儀さまが起きる気配は全くなく、僕はいよいよ熱心におちんちんを唇でしごき立てる。
その快楽は僕のお股にも直接伝わり、僕が舌をうねらせる度に絶頂ものの甘い痺れが僕の割れ目をずぶ濡れにしていく。
やがて、自分の口にもたらされた強烈な射精感に浸りながら、僕は一滴も残さないようおちんちんに吸いついた。

その二 [#d3f5f167]

「おはようさん。朝から尺八の練習とは感心だねえ」
精液の匂いと射精の余韻で夢見心地だった僕は、勇儀さまのひと声で反射的に正気を取り戻し、平謝りに謝った。
「まあいいさ。飯は作れたかい?」
ありあわせだったので質素になったが野菜炒めと、味が薄い分だけ出汁をきかせた吸い物を作った。
「へえ…いけるじゃないか。酒のつまみにゃならないけど、こういう味なら毎日でも食えそうだよ」
勇儀さま曰く、鬼は決して嘘を言わないのだとか。だからだろう。彼女の賛辞は素直に胸に響いた。とても嬉しかった。
「けど……ちょっと作り過ぎだね」
流石に十人前は多かったらしい。鬼はよく食べるという先入観があったのでと説明すると、それで理解してもらえたらしく、
「じゃあ、せっかくだから宴会でもして皆にも振る舞ってやろう。さあさ、忙しくなるよ!」
何故かそういうことになった。

その三 [#a5cd6e46]

「いやー、飲んだ飲んだ。アンタ、つまみを作らせてもなかなかじゃないか?」
乱暴なことを言ってしまえば、大抵のものは火を通して塩辛くするか甘辛くすれば酒のつまみになってしまう。
そういう考え方の僕が作ったつまみが全て捌けたのは、ひとえに皆が好き嫌いをしないからだ。
「地底は人の出入りがないから、新しい飯屋が出来たりすることもない。どいつも他人の手料理が珍しいのさ」
余った酒をラッパ飲みしてから、どこか楽しそうに勇儀さまは言う。
「おまけに私がメイドを雇ったってんで、みんな更に珍しがってたねえ。どいつも言ってたよ? あんな可愛い娘、どっからさらって来たんだってね」
そう言ってもらえたなら悪い気はしない。
勇儀さまがどこからか調達してきたこの裾の丈が妙に短いメイド服も、頑張って着た甲斐があった。
「さて、片付けもひと段落しただろ。こっちおいで」
エプロンで手を拭きながら駆け寄ると、縁側で胡座をかいた勇儀さまが、隣に座るよう手振りしていた。
「二人で飲み直すよ。ホラ、座んな」
言われた通りに座ると、肩がぴたりとくっつく。僕は首を傾けて、彼女の腕に頭を預けた。

その四 [#f414f4bf]

「今日はアンタ、全然呑めなかったろ。よく働いた褒美だ、私自ら注いでやるよ」
瓶を片手に勇儀さまは陽気に笑っている。しかし、そうは言っても杯がなければどうしようも
「いらないよ、そんなもん」
言いながらぐいっと口に含んだ酒を、口移しで呑まされる。
甘ったるい香りと柔らかな唇の感触で、顔が急速に熱くなり、気が遠くなっていく。
「そら、もう一杯だ」
もう一度。今度は酒の次に舌が侵入してきた。
まるで水飴を練るような動きで、僕の理性が口の粘膜ごととろけていく…溶け失せていく…。
「おや、生意気にも乳首が立ってるじゃないか。ていっ」
服の上から固い乳首をひっかかれると、それだけで快楽の波紋が指の先まで拡がっていく。
スカートを握りしめ、繰り返される爪弾きに必死で堪える。
「ふふ、次はどうして欲しいのか…態度で示してごらん?」
僕は酔いと羞恥で真っ赤になりながら、握りしめていたスカートの裾を、ゆっくりとたくし上げた。

第三話 [#p2506f2e]

その一 [#fa6eb16b]

「いやあ、アンタもすっかり側女が板についてきたねえ。どうだい、この部屋の綺麗さときたら。チリひとつ落ちてないじゃないか」
今日は夕方まで勇儀さまは留守にしていたため、じっくり掃除に取り組むことができた。
背丈が足りず苦労する局面もあったが、知恵を絞る時間さえあればどうにでもなる。
……それに、密かな息抜きも見つけた。だからだろう、今は働くこと自体が楽しくてならなかった。
「昨日の宴会もそうだったけど、アンタなかなかの働き者じゃないか。こりゃあ、また褒美のひとつもやらないとバチが当たるねえ」
あけすけな笑顔を向けられて、少しだけ胸が痛む。これではまるで、僕が褒美を目当てに働いているようではないか。
「ホラ、ご託はいいからさ」
両手を腋に差し込まれ、そのまま抱き上げられる。いわゆる高い高いだ。
その瞬間、すっかり作業着として馴染んだメイド服のスカートが
「…おやぁ?」
まずい。これは非常に不味い。一人密かに愉しんでいたのに
「この子と来たら……下着も穿かずに、どんな褒美を期待してたんだい?」
欲望のまま滴る熱い雫が落ちた口元に、勇儀さまは真っ赤な舌を這わせた。

その二 [#c7ebf13d]

胡座をかいた勇儀さまに後ろから抱きすくめられ、耳元で囁かれる。
「いつからこんなに濡らしてたんだい? 正直に言ってみな…」
飴玉のように耳を舐められ、首まで痺れを感じながら震えた声で喘ぐ。
「おや、少し膨らんだかい? そういや人間には成長期があったか」
力の勇儀なんて二つ名に全くそぐわない絶妙の力加減で揉まれ、それだけで軽く絶頂しそうになる。
「しかし大層な濡れっぷりだよ。この調子じゃ明日には全裸かねえ?」
押し殺した笑い声が耳を擽る。
勇儀さまの艶っぽい声色が、僕の耳を奥の奥まで愛撫し、その度に僕の割れ目はしとどに濡れそぼっていく。
「ふふ、もう指が二本入るようになったよ。まだ童の癖に、ずいぶん小馴れたねえ。…そら!」
中で指を曲げられたと同時に、僕のおまんこがいきなり潮を噴いた。強い快楽が熱となり、腰だけが宙に浮いているかのようだ。
「余興はここまで。さ、本番だよ」
勇儀さまのスカートから現れたちんぽもまた、やはり成長していた。

その三 [#d3345758]

内臓の、ことに膣の圧迫感が、昨夜までとは段違いに強くなっていて、僕は思わず喘ぎ声を呑んだ。
「うあっ…! この狭さ、たまんないよ…。胸は膨らんでも、こっちは小さいままらしいねえ…」
軽く突かれただけで、早くも子宮に先端が届く。
根元まで呑み込んだ途端、襞が昨日より押し広げられるのがわかる。
猛り狂ったちんぽの熱が、粘膜を通して僕の臓腑を温める。
「はは、こりゃあとんだ名器だよ…。出来るならずっと、こうしていたいほどの……ねっ!」
どしん。衝撃が子宮を通して胃腸や心肺にまで響く。
気持ち悪さと気持ちよさが僕の体を掻き回し、あっという間に思考を奪う。
「アンタも感じてるんだね。いっちょまえに腰使ったりして……ふふ、私も気持ちいいよ」
ずりゅりゅ。
昨日より太いカリ首が襞に引っ掛かり、子宮ごと引きずり出される錯覚に僕の混乱は深まって、僕の理性は次第に裸にされていく。
「ああぁ……出る、イッちまうよぉ……ぅ、んあああっ!!」
僕のちんぽが絶頂し、射精されながらおまんこが絶頂して、僕の意識は完全に焼き切れた。

第四話 [#w180af15]

その一 [#be5fdae5]

驚くべきことに、勇儀さまが同道した買い物は、全くと言っていいほどお金を使わない。
というのも、どの店もお金を受け取ろうとしないからだ。
「私がここらのまとめ役だからってんで、みんなあの調子さ。私としちゃ普通に払いたいんだがねぇ」
大量の荷物を一手に持ち、おまけに僕を肩車しながら、勇儀さまは下駄を鳴らして旧地獄街道を闊歩する。
「ん、今日も旧地獄は平和だね」
満足そうな勇儀さまに、すれ違う人達が威勢よく挨拶していく。
みんな顔は怖いが気持ちのいい人ばかりで、僕のこともあっさりと受け入れてくれたのだった。
これも勇儀さまの人柄というか人徳のなせる業だろう。
「さ、帰ろうか。今夜は何だい?」
八百屋さんがカレー粉をオマケしてくれたので、今夜はカレーだった。
「その…あんまり辛くするんじゃないよ」
ちょっと意外だった。普段は味の濃いつまみばかり食べるので、てっきり激辛か、辛口あたりにすると思っていたのに。
「べ、別に辛いのがダメってんじゃないよ? 舌がヒリついたら酒の味がわからなくなるだろ?」
珍しくそっぽを向いた勇儀さまの尖った耳が、先まで赤くなっていたのを、僕は見逃さなかった。

その二 [#i9e48de9]

「ふぅ…食後の風呂は最高だねぇ。飯は旨いし酒も旨い。言うことなしってヤツだ」
湯船に浸かり、僕を後ろから抱っこしたまま勇儀さまは機嫌よさそうに鼻唄を唄っている。
最近はすっかりここが僕の定位置になってしまったが、背中に当たるふたつの凶悪な弾力には未だに慣れない。
「コイツが気になるかい? 別に触ったっていいんだよ?」
耳元で挑発的なことを囁かれ、心臓が爆発しかける。
肉体的には完全に女の子になったにもかかわらず、僕は未だに勇儀さまのおっぱいを直視出来ずにいた。
「女同士で恥ずかしいもないモンだ。ほら、触って慣れな」
くるりと向い合わせにされ、胸の谷間に頭を抱き込まれる。
…むっちりとしていてふにふにと柔らかく、それでいて肌はきめ細かくて張りがある。
「ど、どうだい?」
やや遠慮がちに勇儀さまが訊ねてくるが、息が苦しくて感想を述べる余裕はない。
僕は呼吸を確保するため、何とか脱出しようと頭をでたらめに振り始める。
「あんっ! は、ちょ、や、待っ…」
勇儀さまが喘ぐとともに、僕の下腹部に何やら熱くて固いものが、少しずつ押し付けられてきた。

その三 [#w7e92ce2]

控えめに尖った乳首を一心不乱に舐め回す。しこりにも似た独特な舌触りが、何だか癖になりそうだ。
「は、んぅ、ふあ…ひぁあ…」
普段から艶のある勇儀さまの声が一段と色を増していく。
僕は焦燥にも似た興奮に駆られながら両方の乳房を寄せ、両方まとめて吸い付いた。
「ひぁっ! ちょ、こら、調子に……ん、や、ぃっ、ああああああああっ!」
僕の臍に押し付けられていたちんぽの先端から、熱いものが叩きつけられる。
それはやがて凝固して、湯船に浮かび上がってきた。
「こ、この子は……やってくれるじゃないか……って、ちょ――」
勇儀さまの返答を待たず、未だに固いままのちんぽに跨がり、割れ目の中に呑み込んだ。
「う、あああ……ふ、かいぃ…」
みっしりと、体内に肉棒が詰め込まれる。最も締め付けの強い膣口には湯の染み入る隙間さえない。
「やあっ! 入れながら吸っちゃ…刺激、強すぎぃ……ひんっ!」
初めて勇儀さまを攻める新鮮さと、自ら腰を腰を揺さぶる興奮は、あっという間に僕らを昇り詰めさせた…。

その四 [#a0cb36ba]

上気した頬にしどけなく貼り付く金髪が、何だかとても美しく、そしていやらしく見える。
「はぁぁ……あ、あぁぁ……ぁ…」
射精の余韻に小さく震えて喘ぐ勇儀さまは、まるで普通の女の子のようにも見えた。
…僕はどうだろう。
子宮に精液を浴びせかけられる愉悦と、子宮に亀頭を押し付けながら射精する快楽の板挟みになりながら絶頂する。
その時の僕は、果たして女の子の顔をしているだろうか?
未だにおっぱいすら直視できない僕は、ひょっとして心まで女の子にはなれていないのでは…
「…どうしたんだい?」
僕の表情から苦悩を察したのか、勇儀さまが気遣わしげに訊いてくる。
…僕は悩みを打ち明けてみた。怒られるかもしれない。呆れられるかもしれない。相談にさえ乗ってもらえないかもしれない。
それでも、黙って呑み込んでしまうには、僕にとってこの悩みは大きすぎた。
「…ま、話はわかったよ。なら、いっぺん男に戻ってみればいいさ」
勇儀さまの出す解は単純明快だが、下手な助言よりずっとたやすく腑に落ちた。

その五 [#e6c7c7f1]

「…これでいい。さ、目を開けな」
白い湯気の中に勇儀さまの裸身が見える。何度見ても見惚れてしまうほど豊満で、奔放で、しなやかで、美しい。
「…気分はどうだい?」
どうやら大丈夫らしかった。勇儀さまの股間にあったちんぽは、無事に僕の股間に戻って、元気よく勃起している。
「…心配するこたあなかったかね」
以前よりひと回りほど大きくなった僕のちんぽを、勇儀さまは少し荒っぽく握り締める。
と、数日前に味わったあの甘やかな痺れが、瞬時に腰から脳天に突き抜けた。
「ふふ、しっくり来てるようだねえ。やっぱ自然が一番だ」
――ああ、そうか。そういうことか。不自然で倒錯的だからこそ、女の子の体はあんなに気持ちよくて。
自然じゃないから、僕は一抹の疑念を振り払えなかったんだ。
「ふふ…いい顔してるじゃないか。まだ童だけど、男らしいよ」
その口づけは、今までのどの口づけよりも、感じるものがあった。

その六 [#z39f5ea7]

「こいつは元々ここにブラ下がってたんだ。紛い物のおまんこなんかより、ずぅっと気持ちいいだろ?」
気持ちいい。きもちいいきもちいい。キモチイイキモチイイイイキモチイイ。
後ろから抱き付かれる例の体勢で勃起したちんぽをしごかれ、それだけで僕は狂いそうなほど感じている。
「ふふ、いい反応だよ。アンタは本当にいぢめ甲斐があるねえ」
両足をばたつかせ、首を振りながら、子犬の鳴くような甲高い声で恥も外聞も捨てて喘いでいる。喘いでいなければ却って狂いそうなのだ。
「そうだ、もっとイイコトしてやるよ。そらっ」
あれよあれよと言う間に仰向けに寝かされる。いつもながら惚れ惚れする器用さと怪力だ。
「さっきの続きだよ。おっぱいに慣れなきゃ、私の従者は務まらないからねえ。…よっと」
ぱふっ。むちむちですべすべの、それでいて温泉のお湯で若干ぬるぬるのおっぱいに、僕のちんぽが挟まれ、その狭間に埋まっていく。
「我慢は体に毒だよ。久々の射精体験だ、景気よくイキな…よっ!」
みっちりとした肉の海に溺れながら、ちんぽが根元から抜けそうな勢いで、あり得ない量の精を噴き出した。

その七 [#m9adc305]

「いやー、ホント派手に出したねえ。見所あるよ、アンタ」
ぐにぐにと乳房を波打たせ、根っこから搾り取る。まだ敏感なところを左右から圧迫され、思わず腰が跳ね上がった。
「私のおっぱい、気に入ったのかい? 女としちゃ素直に嬉しいねえ。それじゃ、少しオマケしてやるよ」
射精直後に刺激を受け、半勃起で真っ赤にひくついているちんぽが、あっという間に勇儀さまの口の中に丸呑みにされた。
下半身の力が一気に抜け失せて、腰だけがガクガクと情けなく動いてしまう。
「そのまま少し我慢すりゃ、また勃つよ。ちと痛いけど、男だったら我慢しな」
挑発的な笑顔を見せて、再びちんぽを咥え込まれる。
喉まで使われると敏感なちんぽに過剰な刺激が走り、精液の通り道が鈍く痛み出す。
…耐えないと。だって、僕は……男の子なんだから。
「…ふぅ。よく頑張ったねえ。それでこそ私の側仕えだよ」
ガチガチに復活したちんぽの先端を人差し指で優しく撫でられ、僕はようやく理解した。
僕は、男であることから逃げていただけで、本当は誰かから男と認めて欲しかったんだと。

最終話 [#j4df6dbb]

その一 [#eff4d1a3]

勇儀さまは縁側で酒を飲む。僕は彼女の掻いたあぐらの上に腰掛け、後ろから抱き込まれながらうっとりと目を閉じていた。
「どうだった? 男に戻って一日過ごしてみた感想は」
さすがに女の体でいるより動きやすい。
もっとも僕は、力も背丈もそこらのおなごと大して変わらない。
だからこそ、女の子になりたいなどという幻想を抱いたのかもしれない。
「ふふ、成長したじゃないか」
杯を置いて勇儀さまが微笑む。
「男は男、女は女。それでいいのさ。中には両方に生まれつく奴もいるそうだけどね。ま、普通が一番ってこった」
するりと、僕を抱いていた手が懐に滑り込み、そのまま股間へ。
「私だって、こんな性格だけど……ホントはちゃんと男と添いたいんだよ」
僕は――僕も、勇儀さまと添い遂げたい。でも、僕に出来るだろうか。
「やってみれば、わかるさ」
覆い被さられるようにして口づけを交わしながら、僕は勇儀さまの首に手を回して抱き寄せた。

その二 [#x0be91c8]

僕たちは閨に移ると、どちらからともなく服を脱がせ合い、やがて素肌をさらけ出すと、何となく布団の上で差し向かって正座した。
「……な、何だか照れるね?」
勇儀さまは暗がりでもはっきりわかるほど赤面している。
思えば今まで襲われっぱなしだった。ひょっとしたらこの人は、まともに閨を過ごしたこともないのかもしれない。
「ふ、ふつつか者だけど……優しくするんだよ?」
僕は膝立ちになると勇儀さまの肩を両手で掴み、返事の代わりに唇を重ねた。
「んっ……ぷぁ、優しい……んむ」
柔らかく、ゆっくりと。唇を吸い合い、甘く噛み合い、舌を吸っては舐めて、絡め合ってはまた唇を重ねて。
「んっ、むちゅ…こんな優しい口づけ…初めてだよ…ちゅ…もっと、もっとしよう……れる、ちゅっ…」
舌に絡まった唾液が、お互いの口を行ったり来たりして。
「ぁん……っ」
僕は、いつしか酔っ払ったかのように朦朧となりながら、勇儀さまを押し倒していた

その三 [#l641a3c9]

まだまだ小さい僕の手に、勇儀さまのおっぱいは大きく余る。
いや、大人の手にも余るだろう。僕はそれをゆっくりと撫で回す。
「ひんっ…! あ、はぁ…」
最初はこそばゆそうにしていた勇儀さまの吐息が、次第に熱っぽく、艶を帯びていく。
「あん、はっ、ふぁあ……ああ…」
ああ、感じている。
もっちりとしていながらぴんと張り詰めた柔肌は、少しさするだけでぴく、ぴくという反応を見せる。
「ひゃうんっ! ち、ちくびぃ……ああ、そんな…舐め、あ、あああ…」
まるで芯があるかのように尖った乳首は、舌で舐めるところころと転がり、その度に煽情的な喘ぎが勇儀さまの口から溢れ出す。
何だか、まるで楽器でも奏でているような気分だった。
「さ、そろそろ…私の番だよ」
息を荒げた勇儀さまが、僕の腰をひっ掴んだ。
ぐい、と引き寄せられ、あっという間に僕のビンビンになっていたちんぽは彼女の口腔に。
「ここで一度出しときな。後で…大事なとこ、たっぷり愛してもらうんだからさ」
口づけとおっぱいの興奮で真っ赤に充血していたちんぽは、彼女の口を便器にでもするかのように、容赦なく喉奥に射精した。

その四 [#e7f87d83]

ごくり、ごくりと蠢く喉が、射精しながら痙攣する亀頭をさらに刺激する。
腰から下の力が一瞬で抜けて、上体をのけぞらせると、反動でちんぽが抜けた。
「ふふ…無理矢理呑まされた…♪」
口に残った精液をくちゃくちゃと舐め回している。それも、まるで花が咲いたような少女の貌で。
…何とも言えない背徳感に、僕のちんぽは途端に息を吹き返す。
「おやおや…。私なんかを見て、興奮してくれたのかい?」
腰の抜けた僕に四つん這いで近寄ってくる。想い人に寄り添う少女のように。
「嬉しくなっちまうよ。今まで私をこんなに優しい目で、女として見てくれた奴はいなかったからね…」
…ああ、そうか。
彼女もまた、己の性別に疑念を抱いていた。
だからこそ僕の願いを聞き届け、その上で僕に男の悦びを教えたのだ。
「それじゃ、本番といこうか…。私のココが、アンタが欲しいって泣いてるよ…」
どさりと、勇儀さまが倒れ込んでくる。
「なぁ……愛してるよ」
その不意討ちに心底驚愕した瞬間、僕は初めて勇儀さまとひとつになった。

その五 [#te79c45c]

熱くて、狭くて、ぬるぬるの膣内は、ちんぽがもぎ取られそうなほどの締め付けで、僕の腰が動くのを今か今かと待っている。
「あ、あのさ…重くないかい?」
少なくとも息苦しくはない。むしろ、心地よくて安心できる重さだ。
僕はそう言って勇儀さまの腰を抱き寄せると、小刻みに腰を揺すり始めた。
「うぁっ! あ、んぅ……あ、ああ、ん、んふ、ふ、ん…」
いきなりで驚かせたようだが、すぐに声が甘く切なく蕩けていく。
むっちりとした肌に全身を埋め、強く抱き締め、抱き締められて、僕は今、本当に勇儀さまとひとつになっている。
「気持ちいいだろ? 男として女とまぐわうってのはさ…」
気持ちいいなんてものじゃない。
ひと突きごとに、まるで肉襞ひとつひとつが別個の意思を持つかのように吸い付き、絡んで、擦れながら、搾り込んでくる。
奥の方にある固い部分に先端が当たるたびに、一連の膣の動きは激しさを増して、長持ちするはずのちんぽは、早くも
「ああっ! あ、ああ……あああああぁぁぁ…ああぁぁぁ………っ」
一番奥で盛大に白濁の熱をぶちまけ、勇儀さまを女の愉悦に、何度も何度も震わせた。

その六 [#a8a0f2dd]

「そういや…初めてだったね」
息も絶え絶えに勇儀さまが僕の横で呟く。
そう、僕がここに来てからというもの何度となく倒錯的な快楽に溺れたけど、勇儀さまを抱いたのはこれが初めてだった。
「ふふ…何だろうねえ。今更ながら胸がドキドキしてきたよ…」
手を取られ、胸に添えられる。確かに大きく速い鼓動が繰り返し感じられる。
「愛してるよ、アンタのこと」
僕は迷わず彼女の肩を抱き寄せ、唇を重ねた。これだけで頭が芯から蕩けてしまいそうなほど幸せだ。
「嬉しいよ…。みんなには、内緒だからね?」
意外な発言だった。彼女のことだから大っぴらに旧地獄街道に触れ回るものだとばかり思ったのに。
「バ、バカ! 恋愛は秘してこそ花ってもんだろ! わかったら返事!」
思いの外に古風な勇儀さまに思わず吹き出しながら、僕ははいと頷いていた。

その七 [#v5316f56]

それから、小腹が空いたという勇儀さまの要望もあって、有り合わせで夜食を作ることになった。
麦飯と、もやしの味噌汁。付け合わせは梅干しと、細切りきゅうりを刺したちくわ。メインは馬刺だ。
「ほう、こりゃいいじゃないか。あっさりしてて寝る前に胃もたれしないし、酒の肴にもなる」
地底は地上より食物の供給が行き届いていないため、必然的に手近なもので作れる献立を迫られる。
特にもやしは地底でもよく育つため重宝するのだ。
「ほうほう、アンタも随分と馴染んできたねえ。…でも、平気かい?」
そんな唐突に真剣な顔で見つめられても困る。何が平気なのか言ってくれなければわからない。
「決まってるだろ。地上に未練はないのかって話だよ」
それなら全くない。当時は僕もどうかしていたんだろうけど、それを差し引いても帰りたいとは思わない。
何より、僕は命を捨ててここに来たのだ。死ぬにしても、この地底に骨を埋めるつもりだった。
「死なないよ」
麦飯をかっ食らいながらの勇儀さまの言葉の意味が、すぐには理解できなかった。

その八 [#l869f126]

「ああ、間違えた。死なないんじゃないよ。死ねないんだ。少なくとも、老衰までには何百年もかかる」
何を馬鹿な。そんな、まるで僕が妖怪か何かみたいに。
「今は、まだ人間だよ。けどね」
残さず食べて手を合わせ、それから悠然と愛用の杯に白い濁り酒を手酌で注ぐ。
「地上の生き物が地底の食い物を食うと、輪廻の輪から外れるのは避けられないのさ。つまり、アンタは」
つまり、僕は。
「いつ死ぬかわからない恐怖に怯えながら、何百年も」
その間、ずっと勇儀さまと一緒にいられるということじゃないだろうか。
それは…ものすごく得をしたんじゃないだろうか?
「えっ。いや、ちょっと待ちなって。…アンタ、怖くないのかい?」
全くの素直な気持ちで、僕は首を横に振った。

その九 [#m6a56ac6]

「いや、だってアンタ、妖怪だよ? もし今妖怪になったりしたら、アンタ百年はかけないと背も伸びないし…」
もともと、そこらの童女にも劣るほど発育の遅い我が身のこと。
今さら過度な期待はしていないし、するつもりもなかった。
「それにホラ、人間が退治に来るかも知れないよ? 巫女に目をつけられたら、アンタなんか…」
その時は、勇儀さまの懐にでも隠れているとしましょう。
「………。めげないねえ、アンタも。普通なら妖怪になるなんて相当怖いんじゃないのかい?」
成長も、成仏も、ここに来て得たものにくらべたら些細な問題でしかなかった。
人として死ねないとしても、勇儀さまがいてくれるなら。僕はきっと何だって出来る。
「…ったく、この星熊勇儀が根負けするたあねえ…。大した子だよ」
がばっと、突然抱きすくめられる。いつもの後ろからではなく、真正面から。
「そんなに想われちまったら……どうあっても守ってやりたくなるじゃないか…」
勇儀さまは泣いていた。僕は出来るだけ背伸びをすると、彼女の頭を抱き寄せて、黄金色の髪をそっと撫でた。

その十 [#x340e1d8]

こうして、僕はずっと勇儀さまの側にいることになった。
結婚式を挙げたわけでも何でもないけど、僕達はどちらかが死ぬまで一緒だと誓ったのだ。
鬼は、決して嘘を言わない。つまり、この誓いこそが結婚式のようなものだろう。
ならばこそ、万一にも彼女を悲しませれば、その時こそが僕の寿命になる。
そう思うと、側仕えとしての仕事にも気合いが入るというものだ。

地底に来て、よかった。
男に生まれて、よかった。
勇儀さまに出会えて、よかった。

これからの僕は、自分にも勇儀さまにも、誰にも嘘をつかずに生きていけるのだから。


<終>

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