1

薄暗い照明が照らす、甘い臭いで満ちた部屋。
その中で、するすると服を着替えていく亡霊の嬢。
「ホントは道教の私にゃ関係ないんだけどね…ま、別にいっか。メリークリスマス」
そういってベッドにばふりと座る彼女。いつも相手して貰う時はリュウイーソウな服装の彼女だが、今日は特別赤と白を纏っていた。
今日だけ、となんとかお願いしたサンタカラーの水着。その無防備な腋のラインや大きな胸から、霊体だからだろうか、人間よりも薄い透き通るような肌が主張している。
地味な色合いの帽子があった場所には、ふかふかのサンタ帽。つり目の彼女にアンバランスな可愛らしい服装が、また欲情をそそらせてくれる。
「しっかしあんたも可哀想にねぇ…世間じゃ女といちゃついて、甘いもん食べて酒飲んで一発ヤって…なんて日だろうに」
…否定はできない。こんな日にわざわざSMクラブに出向くくらいしかやる事が無いなんて、冷静に考えたら孤独で死にたくなる。
「ん、そんな悲しい顔するなって…ほら、今日は時間いっぱいお前のサンタさんになってやるからさ…♪」
耳元で囁く彼女の言葉に期待を膨らませて、僕達はプレイの用意を始めた。

2

「それじゃ始めるけど、いいって言うまで動いちゃ駄目だぞ?動いたらおしおきだからな」
そう言って、マットの上に仰向けになった僕の腹を撫でる。空いた片手は、布袋の中で何かを探っていた。
取り出したのは、料理に使うような大きなクリーム搾り。
クリスマスケーキを飾るためのそれより一回りも二回りも大きいビニールに、みっちりとクリームが詰まっている。
「今からお前を、こいつで飾り付けてやんよ♪」
にゅるりと白い塊が鉄色の先端から押し出されるのが見える。それは静かに、乳首を覆うように落ちていった。
そのまま淡々と、乳首の周りにちょんちょんとクリームを乗せていく。
こそばゆい感覚が胸全体に広がり、じんわりとした心地よさが広がってしまう。
しかし、食べ物を肉体に乗せられる感触と、その何とも言えない背徳感に、思わず声が出てしまいそうになる。
「…恥ずかしいなら目を閉じててもいいぞ?…目ぇ開けた時の衝撃が大きくなっちゃうかもしれないけど…♪」
言葉のままに彼女のデコレーションとやらが終わるまで目を瞑る。羞恥の感情は堪えられたが、視覚を防いでいる分、作業が下半身に伸びていく感覚が余計に艶めかしく感じられた。

3

「…ぷっ♪…か、完成したぞ…くくっ…♪」
抑えきれていない笑いを無理矢理ごまかす彼女の声を合図に、恐る恐る目を開く。
そこにあったのは…見るも無残な、恐らくは自分の肉体であるものだった。
腹全体を蛇腹に往復するクリームのライン、それを割るように刺さる”Merry Christmas”のチョコプレート。
そのくらいならまだ良かったが…もっと酷い部分があってしまった。
それは、乳首に小学生の大好きなアレのように盛られたクリーム。そのてっぺんには苺が鎮座している。
いつの間にか勃起したペニスには裏筋に沿ってクリームが塗られ、亀頭の先端にこれでもかと言うほどの量のクリームがてんこ盛りになっている…。
「…もーだめ!!くっくっくっ…あーっはっはっは!!」
堪えきれなかった彼女が、とても楽しそうに笑っている。その張りのある凛とした声で罵られる事の快感を、僕は壊れるほど叩きこまれていた。
「可愛いクリスマスケーキに仕上がったじゃないかぁ♪…でもケーキのくせに勃起なんてしちゃうんだなぁ?…このっ…変態!!」
…その言葉に、もはや無意識のレベルで、ペニスが跳ね上がる。

4

「さて、苦労して作った変態ケーキ…頂いてみようか♪」
そう言うと、クリームの乗った僕の体に、水着の彼女がのしかかって来た!
潰れるクリームの感触が全身に広がるが、霊である彼女の重量はまるで感じない。
弾力の強い胸でクリームを下から押し広げていき、それはとうとう肺の当たりまで到達する。
彼女の顔が、僕の乳首の前で止まった。
「いっただっきまーす♪」
ちゅぷり、と苺ごとクリームにかぶりつく。
クリームで覆われた乳首を唐突に舐められる感触。そのままちゅうちゅうと吸い付きながら、突起を丹念に掃除する感触に、また股間が反応する。
しかし、その感触は空を切らず、ぺちんと何かにぶつかった。
そこは、彼女のお腹だった。仄かな人肌に敏感な部分が当たり、背筋が仰け反ってしまう。
「こーら、動くなって言っただろう?我慢、我慢…♪」
乳首を丹念に舐めながら、体をくねらせクリームの感触をより一層押し付けてくる彼女。
そのすらりと細い腹では跳ねるペニスの裏筋を丹念にこすり刺激する。
乳首とペニスを重点的に、そしてそれ以外をクリームで満遍なく。
そんな隙のない責めを受け、動くなと言うのはとても無理な話だった…。

5

彼女の舌が、左右の乳首をせわしなく往復する。
ちゅぱちゅぱと赤子のように吸い付き、その突起をちろちろと刺激する。
すでに胸周りのクリームは無くなりつつあった。
そして、僕の股間に募る快感も限界が近づいていた…。
「んふふ…美味し♪…でも、お腹のほうも食べなきゃねぇ…♪」
蛞蝓のように這いながら下半身へ向かう彼女。
同時にクリームまみれの胸が、ペニスを押し潰すように移動する。
粘り気を帯びた弾力が股間を挟み込むように通った瞬間…まずい、と思ったのだったが…手遅れだった。
「こっちも頂きまー…?」
彼女がへそ周りのクリームを舐めんと口を開けた瞬間、股間の快感が爆発した。
彼女の胸の中で始まった射精。その精液は、クリームの為に開けられた口に元気よく注がれていく。
焦らされた分、留まることすら忘れたように吐き出される粘液。
温かいクリームでべちゃべちゃの双丘に包まれながらの吐精は、オナニーとは違う、不思議な心地よさを伴っていた。
…その快感とは裏腹に、彼女の表情は亡霊らしい恐ろしいそれに一変していた…。
「…そんなにおしおき、されたいかぁ…じゃ、干からびるまでおしおきしてやらなきゃなぁ…♪」

6

「動くなって言ったのに、動いて、その上射精までして…女の口に勝手に射精するような駄目ちんぽは、徹底的に搾り取ってやらなきゃなぁ?」
拘束器具で壁に大の字で拘束され、残ったクリームを全て、股間へ勢い良く塗り付けられる。
向かいの鏡で、白く染まった自分の体と、クリームに覆われた下半身が主張していた。
彼女はその白の中に手を突っ込み肉棒を掴む。そのまま乱暴な早さで、手コキを始めたのだった。
「ほらほらほらぁ!イけっ!その節操の無いちんぽ、金玉からっぽにして使い物にならなくしてやんよぉっ!」
クリームの中に1度、2度、3度、4度、5度、許しを乞うてもただただ射精させられ続ける。
最後の方はペニスがクリームと同化してしまったようで、最早股間の感触を失っていた。

7

それでも、彼女の怒りは収まらない。
「何本入るかなぁ…もう1本行けるかなぁ♪」
クリスマスツリーの飾りに使われるようなプラスチックの飴の杖を、彼女の調教で緩み切った尻穴に挿入されていく。
まるで生花のように広がる杖を、ちんぐり返しの体勢で嘲笑う彼女の反応が心地よくて、股間が反応しそうになる。
しかし先ほどの行為のせいでぴくりとも反応しないペニス。それが、恨ましい。
「何勝手に感じてんだ…気持ち悪い声上げてんなよ?」
尻に刺された杖をぐりぐりとねじられ、前立腺を突かれる。
その度にまた体を仰け反らせ、罵られてしまうが、それすら。

8

「さて…こっからがメインディッシュだ…霊体ちんぽ、たっぷり食べてくれよ?」
緩みきった尻穴に、彼女の霊体で拵えた男根が挿入されていく。
飴の杖では届かなかった場所をごりごりと擦られていくのが、恐ろしく気持良い。
「すっかりケツ穴緩んじまって…ちんぽなんて、もう要らないよなぁ?ここでだけヨガれればいいよなぁ?」
顔面から流せる全ての体液を垂れ流しにして、彼女の言葉を受け入れる。
雌のようにだらしなく腰を振り彼女の肉棒を受け入れていくと、自分が本当に雌になったような、そんな気がした。
「ほらイけよっ…汚いクソ穴で、壊れるまでイキ狂っちまえ!!」
彼女の叫びと同時に、視界にまばゆい光が飛び散って…僕は意識を失った。

9

穿たれた尻穴と、力ずくで何度も擦られた股間がひりひりする。
「ホントごめん…スイッチ入ると、止まんなくてさぁ…」
申し訳無さそうに謝る彼女。このギャップも、彼女を嬢として好きな理由だったりする。
…正直にあのくらいされた方が気持いい、なんて言った日には次からのプレイがもっと肉体的にきつくなりそうなので言えず、
でも少しだけ興味があるとも言えず、小さく気にしないで、と呟いた。
それでも、まだ気まずそうな彼女。
僕は少しの間の後、かばんに入っていた物を思い出す。
それを、メリークリスマス、という言葉を添えて手渡した。
「…へっ?これ、貰ってもいいの?」
彼女の手には、小さなスノードーム。知人から余り物を貰ったはいいが、男には似合わない。
「そっか、ありがと。…へへっ…可愛い♪」
…そんな子供のようなあどけない顔をされたら、嬢といえど、本気で惚れてしまうかも分からない。
スノードーム片手にまたねと手を振る彼女に見守られ、嬢への片思いという破滅的な考えに苛まれながら冷たい帰路に付いたのだった。

END

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