雑誌で、何年か前に「岩を砕き、鉄を曲げる<気功法>の驚異」という記事を書いたことがある。記事そのものは小さなものだったが、思ったより読者の反響を呼んだので、これに意を強くして翌年、その実際のトレーニング法を「鉄人気功法入門」と銘打って実用特集で紹介してみた。
ただ、気功法という言葉が、当時の日本ではそう馴染みのあるものではなかったので、それほどウケるとは期待していなかったのだが、反響は大変なもので、とうとう、その年の「読者グランプリ」の一般記事部門の1位まで戴いてしまった。どうやら、著者が考えていたより、気功法は、読者諸君の興味をさらっていたのである。
それから1年ほど経って、著者、編集部のどちらからともなく単行本にしては、という話が持ち上がった。著者としても、先の『秘法!超能力仙道入門』で書き切れなかったこの分野(仙道の内功法に対して外功法という)を、なんとか早く読者に紹介したいと思っていたので、渡りに船と引き受けた。ただし、ちょっとした構想があり、すぐには手を付けることができなかった。
というのは、どうせ気功法の本を書くなら、その一部でしかないパワーの気功法だけでなく、いま、中国で大々的に行われている気功法のすべての分野を紹介し、併せてそれらの実用トレーニングをも書いていこうという欲張ったことを考えたからだ。
それ以後、今まで蓄積してきた資料のほかに、気功法に関する資料は、日本語、中国語を問わずに目につく限り集めていき、実際にやってきたトレーニングに対しても、さらに分析を加えていった。
今年(85年)になって、特集で「超人気功家列伝」を書き終わり、ようやく全ての準備が整ったので、夏の暑いさなか、馬力をかけ、一気に本書を書いていった。
自分でいうのも何だが、本書は、前の仙道の本以上に内容的に幅広いものを含んでいる。特に実用部分において、それは際立っている。なにしろ、医療・健康用のごくありふれた気功法から始まって、かなり超能力的な趣のある発射型・接収型の気功法、さらには武術的なパワーの気功法までをも、その対象としているのである。欲張りといえば欲張りだが、中国の気功法の実態がこうなのだから、これもまた仕方がないのである。
もちろん、1冊の本にこれだけ載せたわけだから、全てに関して万全の紹介ができたとはとうてい言えない。それは、特に実用のうちの応用部分においていえる。
それでも、その基礎的なものは余すところなく書いてはいるので、多少、工夫してもらえば、全てに応用が利くはずだ。気功法などという言葉がまだ知られていない時代、著者もそうやってこれをマスターしてきたのである。
とにかく、今回も、日本語の資料が少なかったので、前回の『秘法!超能力仙道入門』以上に、翻訳部分では苦労した。それだけに、まだ日本ではお目にかかれない、目新しい気功法のトピックスが載せられたと自負している。
また、少し先になると思うが、独習者用に気功法のビデオをつくる予定もある。ご期待いただきたい。
最後になったが、『秘法!超能力仙道入門』に引き続き、編集を担当して頂いた青木彰氏ならびに編集部の方々に感謝の意を表して筆を置きたい。