▼Character Story - 025 (Case of NEFFY)

『なにカン違いしてんの? アイツ』『痛いんだよねー』
やめて……
『ヘラヘラして、余裕ぶってるけど、マジテンパってるし』
やめてやめてやめて!
なんであいつらのこと思い出させるの!?
あんな惨めな気持ちを思い出させるの!?
もうやだ!!
——まだ足りません。さあ、思い出すのです。あなたの傷を。
『トモダチ欲しいんだってさ』『あー、だからなんでもするんだ』
やだって言ってるのに! なんで!!
——これが代価ですよ。力を得るための。
『誰もアイツのことなんか、興味ないのにな』
やめて……! これ以上やったら……ココロが、こわれる……!

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▼Music
「共感覚おばけ」
作曲・作詞:ササノマリイ (sasanomaly)
https://youtu.be/gwyrPARCd8g

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:名司生 https://twitter.com/720nk

▼Character Story - 026 (Case of NINA)

力を望む者は、月食の夜、真夜中0時にステージへ——
その場に集まったのは、5人。
時計の針が2本とも頂点を指し示す、その直前。
「わたしも……お願いします!」
現れたニナは小走りで、少女達の作る輪の中に入った。
仲間達はそれぞれの表情で、ニナを迎える。
微笑み、苦笑、力強いうなずき。
その先に、どんな過酷な運命が待ち受けるとも知らずに。
「時間です」
ソートはどこからともなく取りだしたステッキを、高々と掲げた。
「では皆々様、成り果てましょう——『ホンモノ』に」

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▼Music
「ねぇ、どろどろさん」
作曲・作詞:YASUHIRO (康寛)
https://youtu.be/DOCy49mTGTE

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:まくらくらま https://twitter.com/ohg_m3

▼Character Story - 027 (Case of VITTE)

「ヴィッテだって、歌えって言われたら、あの子みたいにも歌えるもん!」
ライブで見せつけられたのは、圧倒的な『輝き』
かわいくて、歌がうまくて、声もよくて。
みんながキャーキャー言って。
あんな風に歌ったら、きっとみんな褒めてくれる。あんな風に、キャーキャー言ってくれ——
「それは、あの少女のニセモノでしかありません」
——団長の言葉が、突き刺さる。
痛い、いたい、イタイ。
突き刺さった言葉が、じくじくと痛む。
「そこにあなたはいませんよ、ヴィッテ」
じゃあヴィッテは……どこにいけばいいの?

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▼Music
「なんで生きてんだろうってすげえ思うんだ」
作曲・作詞:ヘルニア
https://youtu.be/ctGh_DCBeqM

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:でん https://twitter.com/naluse_flow

▼Character Story - 028 (Case of RARA)

いつものちょっとしたイタズラだと思った。
お気に入りのアクセサリーボックスに、見慣れないイヤリング。
どうせネフィあたりが入れたに決まってる。
「それ……いつも付けてたじゃない」
ミューまで珍しく乗っちゃって。こんなの知らないって言ってるし。
「でも、お父さんからもらった大切なものだって……」
お父さん? パパから、もらった……?
「ララ……なんで泣いてるの?」
鏡を見ると、そこには無表情のまま、涙を流してる自分の姿があった。
「……え?」
分からない。このイヤリングも、なんで自分が泣いているのかも。

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▼Music
「サイノウサンプラー」
作曲・作詞:koyori (電ポルP)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm1284...

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:治癒 https://twitter.com/null1040/media

▼Music
「未確認少女進行形」
作曲・作詞:カンザキイオリ
https://youtu.be/5Na4F98SHLk

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:治癒 https://twitter.com/null1040/media

▼Character Story - 029 (Case of CHINO)

ニナが入れてくれたココアをすすりながら、団長の言葉を思い出す。
——『ホンモノ』になるためには、力が必要です。それも、圧倒的な。
——ただ、相応のものを頂戴しないと釣り合いません。
「何を奪われるのかわからない。こんな取引、普通はしない」
「だよね」
そう言って苦笑いするニナ。
チノは、自分の頭についた獣の耳を優しくなでた。
「でも、わたしたちは、もう普通じゃない」
自虐的な笑みを浮かべ、空を見る。
不気味なほど大きな月が、まるでひとつ目のように、ふたりの少女を見下ろしていた。

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▼Music
「自堕楽」
作詞・作曲:コメダワラ
https://youtu.be/zQ58S43lkP0

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:水溜鳥 https://twitter.com/mizumizutorisan

▼Character Story - 030 (Case of MYU)

「ララ達はまだ本当の実力を出し切ってない!」
不本意な形でのライブで不完全燃焼のララが口火を切る。
それに次々と続く仲間達。
さっきまでの落ち込んでいた空気がウソのよう。
そうだ、わたしの大好きな仲間達は、まだまだこんなものではない。
「ヴィッテの歌声をもっと披露できれば、みんなもっと褒めてくれる」
ミューにしては珍しく、団長に意見する。
素敵な、仲間達と歩む輝かしい未来があると信じて。

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▼Music
「プロトディスコ」
作曲・作詞:ぬゆり
https://youtu.be/rkkZYzXsxPA

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:AS4KLA https://twitter.com/AS4KLA

▼Character Story - 031 (Case of NEFFY)

「今日もウケたね〜! 歓声最高!」
「えー!? 昨日の方がよかったし!」
「にしても、分身の能力ってヤバくね? あたしがこんなにたくさんとか!」
「でも暴走して勝手に増えちゃうのはねー」
「最近じゃ楽屋の空気が重すぎだし、話し相手がいていいじゃん」
ネフィ達の中で、ひとりだけ膝を抱えて俯いているのに向かって、誰かが言った。
「でもこいつってさ、もともと話し相手とかいなかったじゃん」

こいつと呼ばれたネフィは、うつむいたまま考えていた。
(あたしは……いつから間違えたの?)

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▼Music
「ゴーストダンス」
作詞・作曲:Aqu3ra
https://youtu.be/oJlmclcLD74

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:でん https://twitter.com/naluse_flow

▼Character Story - 032 (Case of NINA)

“力”を手にしてから、みんなおかしくなっちゃった。
「変化こそは成長の証! 喜ばしいことです」
でも、ずっと空気が重くて、疲れてるみたいだし。
「心の問題です。大丈夫、いつしか疲れを感じることもなくなります」
そんな……そんなのおかしい! だって、わたし達は!
「獣の力を手にしたのに、ヒトらしいことをしたい?」
…………。
「結局あなたは、どうなさりたいのですか?」

わたしは……本当は、なにがしたかったの?

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▼Music
「エバ」
作詞・作曲:柊キライ
https://youtu.be/z_RmuScgWOQ

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:水溜鳥 

▼Character Story - 033 (Case of VITTE)

彼女の持つ『力』で、夜の空に浮かぶヴィッテ。
その瞳は星空と、禍々しく赤い月を映している。
赤い月の強さと比べて彼女自身の瞳の光は、弱い。
虚空に向かって手を伸ばしてから、ぽつりとつぶやく。
「なんか、つまんないな」

この力のおかげで、ショウはとっても盛り上がって。
みんな、よろこんでくれる。いっぱい「いいね」をくれる。
なのに、なんでだろう。

——このまま、空に消えちゃっても、いいかも。

そんな風に、思っちゃうのは。

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▼Music
「少年少女カメレオンシンプトム」
作詞・作曲:Neru
https://youtu.be/HvFsRQ2X9-4

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:治癒 https://twitter.com/null1040/media

▼Character Story - 034 (Case of RARA)

「……もう、ほっといてよ」
背を向けて、ネフィがぽつりとつぶやく。
「ほっとかないよ。ネフィみたいな、さみしがり屋」
「そんなわけ……」
「じゃあなんで、楽屋にずっといるの? ひとりになりたくないからでしょ」
「…………」
「ほっといてって言うくせに群れたがる、さみしがり屋」
ララはふっと息を吐き、苦笑とも、微笑みともとれる表情を見せた。
「ララとおんなじ」
「え……」
誰にも弱さを見せてこなかったララが、はじめて見せた顔だった。

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▼Music
「アスクライコミュニティ」
作曲・作詞:YURAGANO
https://youtu.be/HpaaWEmjVFI

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:でん https://twitter.com/naluse_flow

▼Character Story - 035 (Case of CHINO)

ララとニナのじゃれあいで少しほぐれかけた楽屋の空気が、
「うっさい」
というネフィの言葉で再び凍り付く——はずだった。

が、次の瞬間には、ドスンという音と共にネフィは床に尻餅をついていた。
「痛った……!」
その横には、ネフィが座ってたはずの椅子を手にしているチノの姿。
「時間を止めておいて椅子を引いてしまう……我ながら愉快な“力”の使い方だ」
チノはそう言いんがら、自分がこんなにも能動的に動いていることに驚いていた。
まだ諦めたくないのは、ララだけではなく自分も同じなのだ。

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▼Music
「イドラのサーカス」
作詞・作曲:Neru
https://youtu.be/u6lHwB3e-z8

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:名司生 https://twitter.com/720nk

▼Character Story - 036 (Case of MYU)

ミューは片手に持ったブラシでヴィッテの髪を梳きながら、もう片方の手のひらをくるりと回す。
と、手のひらの上に、おいしそうなカヌレが現れた。
彼女の“力”のひとつだ。
「ヴィッテ、好きだったでしょう?」
彼女の口元にそれを持っていく。

——だが、反応はない。
かつてのヴィッテなら、髪を梳かれている間はずっと足をぱたぱたとさせ、カヌレを前にすれば飛びつくほどの勢いで食べていたのに。
自動人形のような今のヴィッテを前に、しかしミューは気丈にも微笑んだ。
「いらないなら、わたしが食べちゃおうかな」

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▼Music
「ワールド・ランプシェード」
作詞・作曲:buzzG
https://youtu.be/028kKwwcJu8

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:治癒 https://twitter.com/null1040/media

▼Character Story - 037 (Case of NEFFY)

ララと口論になって、アタマ冷やしに屋根に上がったら、ニナが瞬間移動してきた。
いやその能力、マジでビビるから。

「ガチケンカなんじゃないかって? そんなわけないでしょ。あたし達、いまさらカッコつけても意味ないぐらい、ダッサいところや恥ずいところ、お互い全部知ってるわけでしょ」
「それは……そうかも」
「だからどんなに口げんかしても気にしないし。おまえが言うな! って」

あたしの言葉に、ニナが少しだけ笑った。安心してくれたみたい。

「ていうか久しぶりじゃない? ニナが笑うの」

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▼Music
「Crazy ∞ nighT」
作詞・作曲:ひとしずく×やま△
https://youtu.be/M7O11PAcAw4

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:水溜鳥 https://twitter.com/mizumizutorisan

▼Character Story - 038 (Case of NINA)

「ニナ、あなたって、本当に変わらないわねぇ……」
ララのあきれ顔を見ながら、わたしはきっと、すごく驚いてた。
ここ最近は悩んで、ずっと悩んで、ふさぎこんで。
悩みすぎてボーッとして、レッスン中にミューとぶつかっちゃうぐらいだったのに。
『でも、楽しいからいいよ!』
そんな言葉が、自然と出るようになって。
ララにあきれられた。

そっか、いいんだ。
悩みとか不安とか、そういうのが胸やお腹でグルグルしてても、わたしはわたしのまま。
これが、わたしなんだ。

「えへへ〜! ごめん」

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▼Music
「ガランド」
作詞・作曲:ピコン
https://youtu.be/SXC2wO1XdMI

Mix:山下智輝

▼Movie
Illustration:治癒 https://twitter.com/null1040/media 

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