未定7
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やや沈黙があってから、彼女の口が開いた。
「私 田舎に帰らなくてはいけなくなったの」
「えっ何で又!」
「父が脳梗塞で倒れてしまって・・」
「それで命は大丈夫やったん?」
「命助かったけど、寝たきりやし、ははひとり
では・・・」
「そうかー折角友達になってもらったのに残念
やなー」
「時々電話してもいいかな」
「いいけど・・あまりにも遠くやから・・」
「今迄ほんとにありがとうございました」
「いや 僕こそありがとうございました」
初秋の風が冷たかった。
俺も30歳。彼女さえよければ結婚も考えはじ
めていた。世の中なかなかうまくいかないもの
だ。
冒頭の電話は無事故郷に着いた報告のメールだっ
た。
本当は私に少しでも愛情があったのか確かめた
かった。こういう結果になっても少しは救われる
感じがするが今となってはわからない。
2年程して結婚しましたというはがきが届いた。
ウエディングドレスの中で彼女はしっかりと
笑顔だった。
2006年10月24日(火) 15:07:30 Modified by abc160409