2023年8月26日
プロ
ジャンル ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2023
公開年月日 2023/8/25
上映時間 133分
製作会社 映画『春に散る』製作委員会（ベンチャーバンクエンターテインメント＝TBSグロウディア＝ギャガ＝平成プロジェクト＝朝日新聞出版）（制作プロダクション：ツインズジャパン）
配給 ギャガ
レイティング 一般映画
アスペクト比 シネマ・スコープ（1：2.35）
カラー/サイズ カラー／シネスコ
メディアタイプ ビデオ 他
音声
上映フォーマット デジタル
ＳＴAＦＦ
監督 瀬々敬久
脚本 瀬々敬久
星航
原作 沢木耕太郎:(『春に散る』（朝日文庫／朝日新聞出版刊）)
エグゼクティブプロデューサー 木村麻紀
製作 鷲見貴彦
園田憲
依田巽
益田祐美子
河内真人
チーフプロデューサー 麻生英輔
松下剛
プロデューサー 星野秀樹
共同プロデューサー 佐治幸宏
スーパーバイザー 池田朋寛
撮影 加藤航平
美術 井上心平
装飾 櫻井啓介
音楽 田中拓人
主題歌 AI:(「Life Goes On」(ユニバーサルミュージック))
録音 高田伸也
音響効果 岡瀬晶彦
照明 水瀬貴寛
編集 早野亮
衣裳 纐纈春樹
ヘアメイク 那須野詞
キャスティングディレクター 元川益暢
ラインプロデューサー 及川義幸
制作担当 馬渕敦史
助監督 副島正寛
スクリプター 江口由紀子
VFXスーパーバイザー 立石勝
題字 池田樂水
ボクシング指導／監修 松浦慎一郎
ボクシングアドバイザー 田中繊大
内山高志
ＣＡＳＴ
佐藤浩市 広岡仁一
横浜流星 黒木翔吾
橋本環奈 広岡佳菜子
坂東龍汰 大塚俊
松浦慎一郎 山下裕二
尚玄 都司
奥野瑛太 原田
坂井真紀 黒木和美
小澤征悦 翼会長
片岡鶴太郎 佐瀬健三
哀川翔 藤原次郎
窪田正孝 中西利男
山口智子 真田令子
解 説
沢木耕太郎による同名小説を原作に「ラーゲリより愛を込めて」の瀬々敬久が映画化。40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一と、不公平な判定負けで心が折れていたボクサー・黒木翔吾。偶然飲み屋で出会ったふたりは、やがて世界チャンピオンを共に目指すことになる。出演は「Fukushima 50」の佐藤浩市、「流浪の月」の横浜流星、「キングダム」シリーズの橋本環奈。
あ ら す じ
40年ぶりに故郷の地を踏んだ元ボクサーの広岡仁一（佐藤浩市）。引退を決めたアメリカで事業を興し成功を収めたが、不完全燃焼の心を抱えて突然帰国。かつて所属したジムを訪れた彼は、当時広岡に恋心を抱き、今は亡き父から会長の座を継いだ令子（山口智子）に挨拶し、今はすっかり落ちぶれたというふたりの仲間に会いに行く。一方、広岡と同じく不公平な判定負けで心が折れていたボクサーの黒木翔吾。そんなふたりは飲み屋で偶然出会い、広岡に人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、翔吾は広岡にボクシングを教えて欲しいと懇願する。そこへ広岡の姪の佳菜子（橋本環奈）も加わり、不思議な共同生活が始まった。やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、翔吾だけでなく一度は夢を諦めた周囲の人々をも巻き込んでゆく……。
7．その他
2023年9月号
REVIEW 日本映画＆外国映画:「春に散る」
UPCOMING 新作紹介:「春に散る」
2023年8月号
巻頭特集 ALL ABOUT MOVIES:ALL ABOUT MOVIES 01 ボクシング映画に賭けた夢 「春に散る」 対談 佐藤浩市×横浜流星
巻頭特集 ALL ABOUT MOVIES:ALL ABOUT MOVIES 01 ボクシング映画に賭けた夢 「春に散る」 インタビュー 瀬々敬久[監督]
８．
これはボクシングの快感、熱狂の映像だ。私の杞憂したイメージを斃した。
沢木耕太郎のノンフイクション物では、「敗れざる者たち」や「一瞬の夏」に夢中になった。
描かれた人物に惹かれた。また、それを取材しストーリーにした作者のさばき、視点、力量に魅
了された。対象となる人物とその場にいるような描写にぐいぐいと惹きこまれたのだ。
ボクサーとセコンドの物語といえば、我々の世代は、「あしたのジョー」だ。漫画雑誌が社会
現象となり、力石徹が死んだときには、寺山修司主宰の劇団天井桟敷が葬儀を行い話題にもなっ
た。とにかく熱く語られた漫画のヒーロー物語であり、どん底の山谷から這い上がったヒーロー
の漫画描写は、一枚、一枚、一コマ、一コマ描写が熱かった、そして、燃え尽き、最後に灰とか
すのである。
「私はただの貧しい少年、自分の事など滅多に話さないと」と歌いだし、故郷を捨て、家族を
離れての人生を語りだす。貧民街を徘徊し、這い上がる、スポットを浴びる場所をみつける、そ
こはリングのうえ、戦うことが職業であり、俺はやめる、もうやめるんだと言いながら戦士のよ
うに闘っている。この曲は、サイモンとガーファンクルの歌、「ボクサー」である。
ボクシングと人生を交差させると上の三つのイメージが沸き上がる。
そして、この映画は、沢木耕太郎が小説としてまとめ上げた「春に散る」の映画化作品である。
沢木の一人の内面を描く鋭さや漫画の瞬間を停止する衝撃、終わった後の戦士の休息ともいえる
余韻を残すメロデイ―、これを超えることは、映画で可能であるのかと思い描き映画館に入った。
居酒屋での出会い、喧嘩によるパンチのクロスから始まる映像は、リング上での闘いシーンと
観客席での熱気同様に、心揺らがせる。失うものが何もない挑戦者ながら、挑戦することで失う
選手生命の危うさ、生家は消滅し、命のカウントダウンを意識するボクサーとセコンド。そして、
取り巻く仲間たちの一途さやトレーニングの河川敷、こどもたちが集うジム、それを映し出し、
包んで行く四季の風景と、映像だからこそできるものがそこにあった。「春に散る」のタイトル
を映像化したような倒れるシーンは、戦士の休息なのだろう。リング上のドキュメンタリーシー
ンかというような役者、演者、配役を突き抜けたなりきり感が凄まじかった。これはボクシング
の快感、熱狂の映像だ。私の杞憂したイメージを斃した。
プロ 
ジャンル ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2023
公開年月日 2023/8/25
上映時間 133分
製作会社 映画『春に散る』製作委員会（ベンチャーバンクエンターテインメント＝TBSグロウディア＝ギャガ＝平成プロジェクト＝朝日新聞出版）（制作プロダクション：ツインズジャパン）
配給 ギャガ
レイティング 一般映画
アスペクト比 シネマ・スコープ（1：2.35）
カラー/サイズ カラー／シネスコ
メディアタイプ ビデオ 他
音声
上映フォーマット デジタル
ＳＴAＦＦ
監督 瀬々敬久
脚本 瀬々敬久
星航
原作 沢木耕太郎:(『春に散る』（朝日文庫／朝日新聞出版刊）)
エグゼクティブプロデューサー 木村麻紀
製作 鷲見貴彦
園田憲
依田巽
益田祐美子
河内真人
チーフプロデューサー 麻生英輔
松下剛
プロデューサー 星野秀樹
共同プロデューサー 佐治幸宏
スーパーバイザー 池田朋寛
撮影 加藤航平
美術 井上心平
装飾 櫻井啓介
音楽 田中拓人
主題歌 AI:(「Life Goes On」(ユニバーサルミュージック))
録音 高田伸也
音響効果 岡瀬晶彦
照明 水瀬貴寛
編集 早野亮
衣裳 纐纈春樹
ヘアメイク 那須野詞
キャスティングディレクター 元川益暢
ラインプロデューサー 及川義幸
制作担当 馬渕敦史
助監督 副島正寛
スクリプター 江口由紀子
VFXスーパーバイザー 立石勝
題字 池田樂水
ボクシング指導／監修 松浦慎一郎
ボクシングアドバイザー 田中繊大
内山高志
ＣＡＳＴ
佐藤浩市 広岡仁一
横浜流星 黒木翔吾
橋本環奈 広岡佳菜子
坂東龍汰 大塚俊
松浦慎一郎 山下裕二
尚玄 都司
奥野瑛太 原田
坂井真紀 黒木和美
小澤征悦 翼会長
片岡鶴太郎 佐瀬健三
哀川翔 藤原次郎
窪田正孝 中西利男
山口智子 真田令子
解 説
沢木耕太郎による同名小説を原作に「ラーゲリより愛を込めて」の瀬々敬久が映画化。40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一と、不公平な判定負けで心が折れていたボクサー・黒木翔吾。偶然飲み屋で出会ったふたりは、やがて世界チャンピオンを共に目指すことになる。出演は「Fukushima 50」の佐藤浩市、「流浪の月」の横浜流星、「キングダム」シリーズの橋本環奈。
あ ら す じ
40年ぶりに故郷の地を踏んだ元ボクサーの広岡仁一（佐藤浩市）。引退を決めたアメリカで事業を興し成功を収めたが、不完全燃焼の心を抱えて突然帰国。かつて所属したジムを訪れた彼は、当時広岡に恋心を抱き、今は亡き父から会長の座を継いだ令子（山口智子）に挨拶し、今はすっかり落ちぶれたというふたりの仲間に会いに行く。一方、広岡と同じく不公平な判定負けで心が折れていたボクサーの黒木翔吾。そんなふたりは飲み屋で偶然出会い、広岡に人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、翔吾は広岡にボクシングを教えて欲しいと懇願する。そこへ広岡の姪の佳菜子（橋本環奈）も加わり、不思議な共同生活が始まった。やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、翔吾だけでなく一度は夢を諦めた周囲の人々をも巻き込んでゆく……。
7．その他
2023年9月号
REVIEW 日本映画＆外国映画:「春に散る」
UPCOMING 新作紹介:「春に散る」
2023年8月号
巻頭特集 ALL ABOUT MOVIES:ALL ABOUT MOVIES 01 ボクシング映画に賭けた夢 「春に散る」 対談 佐藤浩市×横浜流星
巻頭特集 ALL ABOUT MOVIES:ALL ABOUT MOVIES 01 ボクシング映画に賭けた夢 「春に散る」 インタビュー 瀬々敬久[監督]
８．
これはボクシングの快感、熱狂の映像だ。私の杞憂したイメージを斃した。
沢木耕太郎のノンフイクション物では、「敗れざる者たち」や「一瞬の夏」に夢中になった。
描かれた人物に惹かれた。また、それを取材しストーリーにした作者のさばき、視点、力量に魅
了された。対象となる人物とその場にいるような描写にぐいぐいと惹きこまれたのだ。
ボクサーとセコンドの物語といえば、我々の世代は、「あしたのジョー」だ。漫画雑誌が社会
現象となり、力石徹が死んだときには、寺山修司主宰の劇団天井桟敷が葬儀を行い話題にもなっ
た。とにかく熱く語られた漫画のヒーロー物語であり、どん底の山谷から這い上がったヒーロー
の漫画描写は、一枚、一枚、一コマ、一コマ描写が熱かった、そして、燃え尽き、最後に灰とか
すのである。
「私はただの貧しい少年、自分の事など滅多に話さないと」と歌いだし、故郷を捨て、家族を
離れての人生を語りだす。貧民街を徘徊し、這い上がる、スポットを浴びる場所をみつける、そ
こはリングのうえ、戦うことが職業であり、俺はやめる、もうやめるんだと言いながら戦士のよ
うに闘っている。この曲は、サイモンとガーファンクルの歌、「ボクサー」である。
ボクシングと人生を交差させると上の三つのイメージが沸き上がる。
そして、この映画は、沢木耕太郎が小説としてまとめ上げた「春に散る」の映画化作品である。
沢木の一人の内面を描く鋭さや漫画の瞬間を停止する衝撃、終わった後の戦士の休息ともいえる
余韻を残すメロデイ―、これを超えることは、映画で可能であるのかと思い描き映画館に入った。
居酒屋での出会い、喧嘩によるパンチのクロスから始まる映像は、リング上での闘いシーンと
観客席での熱気同様に、心揺らがせる。失うものが何もない挑戦者ながら、挑戦することで失う
選手生命の危うさ、生家は消滅し、命のカウントダウンを意識するボクサーとセコンド。そして、
取り巻く仲間たちの一途さやトレーニングの河川敷、こどもたちが集うジム、それを映し出し、
包んで行く四季の風景と、映像だからこそできるものがそこにあった。「春に散る」のタイトル
を映像化したような倒れるシーンは、戦士の休息なのだろう。リング上のドキュメンタリーシー
ンかというような役者、演者、配役を突き抜けたなりきり感が凄まじかった。これはボクシング
の快感、熱狂の映像だ。私の杞憂したイメージを斃した。
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