インボイスに関するメモをＱ＆Ａ形式で適宜、追加しています。
売手のＱ＆Ａ 
（買手のＱ＆Ａへ）
| 質 問 | 回 答 |
|---|---|
| インボイスとは、一定の記載事項を満たした請求書のことですか インボイス記載事項チェックシート（国税庁） | どの書類をインボイスとするかは事業者の判断に任されています。一般的には、請求書や領収書をインボイスとすることが想定されます。納品書に必要な記載事項の全てが記載されていれば、その納品書をインボイスとすることも可能です。 トラブルを回避するために、どの書類をインボイスとするかについて取引先と事前に協議しておくことが望まれます。 |
| インボイスの交付義務について | 売手は、取引先の求めに応じて、適格請求書等（インボイス）を交付する義務があります。 値引・返品・割戻により売上対価の返還をした場合（販売数量、販売高等に応じて販売奨励金を支払う場合を含む）には、適格返還請求書等（返還インボイス）を交付する義務があります（但し、売上値引処理をするための要件とまではなっていない。）。 適格請求書等と適格返還請求書等を１枚の書類（例えば、請求書 兼 販売奨励金計算書）にしても問題ありません。この場合、継続適用を条件に、譲渡対価額から返還額を控除した差額を「税率ごとに区分した対価合計額」として記載することも可能ですが、当該対価合計額（差額）に基づいて「税率ごとに区分した消費税額」を計算・記載する必要があります。 |
| インボイスの交付義務の免除について | 主に以下の取引について、インボイスの交付義務が免除されています。 ・従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当 ・3万円未満の公共交通機関（船舶、バス又は鉄道）による旅客の運送 ・3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等 ・郵便切手類のみを対価とする郵便、貨物サービス （参考）21-10-28 適格請求書−交付義務の免除と保存義務の免除 |
| 取引先がインボイスの交付を求めない場合の対応 | BtoCがメインの小規模小売店などは、レジの改修をせずに従来どおりのレシートを交付し、インボイスの交付を求められた時だけ、（インボイスの記載事項を満たす）手書き領収書で対応することも可能です。 BtoBがメインの事業者は、相手方がインボイスの交付を求めるか否かに係わらずインボイスを交付するという対応が想定されます。 |
| インボイス制度導入前にインボイスを交付することの可否 | 可能です。 現在は、区分記載請求書の交付が求められていますが、インボイスの記載事項を満たした請求書は、区分記載請求書として扱われます。 |
| 一の請求書に税抜価額と税込価額が混在する場合 | 従来、次のような請求書が散見されました。 請求名目Ａ（税抜） 1,000 請求名目Ｂ（税込） 220 消費税 100 請求額（合計） 1,320 適格請求書では、税率ごとに区分した対価の合計額（税抜き又は税込み）及び消費税額を記載する必要があるため、例えば、次のような記載に変更する必要があります。 請求名目Ａ 1,000 請求名目Ｂ 200 10％対象 1,200 消費税 120（※） ※この消費税120は、100＋20で計算するのではなく、1200（税抜対価合計）×10％で計算する必要があります。 |
| 軽減税率対象商品を販売していない場合の記載事項の注意点 | 当事者間では消費税率10％が適用されることが当然のこととして認識されていたとしても、対価の合計額（税抜き又は税込み）及び消費税額に「10％対象」と明記する必要があります。 |
| 返還インボイスの記載事項の注意点 | 適格返還請求書等（返還インボイス）においては、次の2つの取引年月日を記載する必要があります。 ・値引き等を行う年月日 ・値引き等の基となった売上の年月日（「〇〇月分」などの記載も認める） 適格簡易請求書と同様に、「適用税率」「消費税額等」はいずれか一方の記載で足ります。 |
| 買手が売掛代金から振込手数料を控除して振り込んできた場合 | 対応方法として、�’禺蠅領�替金として処理する方法と��売手の売上値引として処理する方法が考えられます。 �，六�前の合意に基づいて、振込手数料の実際負担額が控除される場合のみ採用できる方法です。事前の合意に基づくケースは少なく、多くは買手による「勝手値引き」であると思われます。したがって、�△稜箴綯涌�として処理する方法が現実的です。 �△鮑陵僂靴疹豺隋�売手は返還インボイスを交付しなければなりません。こんな面倒なこと出来るかという声が聞こえてきそうですが、メールで済ます方法などが紹介されています。 【メールによる返還インボイスの文例】（税務通信3682号参照） ●月●日付の請求に関して▲月▲日に19,120円のお振込みを確認しました。なお、請求書記載の20,000円との差額880円（消費税10％）については、振込手数料相当額として○○の価格からの値引きとします。 （株）ＡＢＣ 登録番号：T123456… |
| インボイスの写しの保存義務について | 売手は、交付したインボイスの写しを保存する義務があります。保存期間は、事業年度末から7年と2ヶ月間です。 ここでいう「写し」とは、交付したインボイスのコピーに限られません。インボイスの記載事項に係る一覧表などを保存することで足ります。但し、電子インボイスを交付した場合には、法人税法上、電子インボイスそのものの保存が求められるため、一覧表の保存のみでは足りません。 |
| インボイスに記載する消費税額に関する端数処理のルールとは | 一のインボイスにつき（※）、税率ごとに合計した取引額を元に消費税額を算出し、1円未満の端数処理を1回だけ行います。従来、請求明細ごとに端数処理を行っていた会社はシステム改修が必要です。 ※複数書類でインボイスの記載事項を満たす場合には、「税率ごとに区分した消費税額等」を記載する書類ごとに端数処理を行います。 �〃郤＼禅畚顱塀駝漫法槐蕊塀顱塀駝漫法ΑΑη蕊塀颪瓦箸望暖饑燃曚涼漆�処理をし、月次請求書の消費税額はその合計額に過ぎないという対応が可能です。 ��月次請求書（書面）＋EDIデータ・・・EDIデータの１レコードごとに消費税額の端数処理をし、月次請求書の消費税額はその合計額に過ぎないという対応が可能です。（税務通信3701号参照） |
| インボイスの再交付を求められた場合の対応 | �’禺蠅�らインボイスを紛失してしまったので再交付して欲しいとの申出があった場合、再交付しても問題ありません。この場合、「 請求書＜再交付＞ 」などとして交付し、当初インボイスの写しと再交付インボイスの写しの両方を保存しておく必要があります。 ��買手からインボイスの不備（記載事項の不足や誤り）を指摘された場合、売手には修正したインボイスを再交付する義務があります。この場合、「 請求書＜修正＞ 」などとして交付し、当初インボイスの写しと修正インボイスの写しの両方を保存しておく必要があります。ただし、買手が正しい内容を記載した仕入明細書を作成し、売手がその内容を確認した場合には、当該仕入明細書を修正インボイスとすることができます。この場合、売手は修正インボイスを再交付する義務はありません（税務通信3708号参照）。 |
| 家賃やリース料など、契約書等で毎月の支払額が定められおり、従来、請求書等が毎月交付されていなかった取引の対応（複数書類でインボイスの記載事項を満たすケース） | インボイスの記載事項の全てが一つの書類に記載されている必要はありません。相互に関連が明確な複数の書類で、貸主（売手）から借主（買手）にインボイスの記載事項の全てが伝達されていれば足ります。 不動産賃貸であれば、賃貸契約書に�．ぅ鵐椒ぅ紅�行事業者（貸主）の氏名又は名称、��登録番号、�Ｄ鷆，気譴襯機璽咼垢瞭睛董↓づ�用税率ごとの取引合計額と消費税合計額、�ダ芭─↓Εぅ鵐椒ぅ垢慮鯢佞鮗�ける事業者（借主）の氏名又は名称が記載されており、通帳等に�Р板造凌狭�日（取引年月日）が記載されていれば、賃貸契約書と通帳をもって、貸主から借主へインボイスの記載事項の全てが伝達されていることになるため、貸主は従来どおり、毎月の請求書を交付する必要はないということになります。 このように契約書等と通帳を合わせてインボイスの記載事項を満たす場合、借主（買手）は、契約書等と通帳の両方を保存していない限り、仕入税額控除が認められません。複数の書類でインボイスとする場合には、取引先との事前協議が特に重要になると思われます。税務通信 図解でわかる！インボイス制度（第12回）参照 |
買手のＱ＆Ａ
（売手のＱ＆Ａへ）
| 質 問 | 回 答 |
|---|---|
| 新たな取引を開始する場合の対応 | 取引先に登録番号（番号取得の有無も含む）と、どの書類をインボイスにするかを確認しておく必要があります。登録番号の有無は、取引価格の決定にも影響を及ぼします。 なお、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトは、登録番号から事業者名を検索することはできますが、事業者名から登録番号を検索することはできません。 ※ 既存の取引先に対しても、インボイス制度が開始するまでに登録番号（番号取得の有無も含む）と、どの書類をインボイスにするかの確認が必要です。 |
| インボイスの保存義務について | 買手は、交付を受けたインボイスを保存することが仕入税額控除の要件となっています。保存期間は、事業年度末から7年と2ヶ月間です。 なお、輸入消費税については、インボイスではなく、輸入許可書を保存することが仕入税額控除の要件となっています。 |
| インボイスの保存義務の免除について | 主に以下の取引について、インボイスの保存義務が免除されています。 ・3万円未満の公共交通機関（船舶、バス又は鉄道）による旅客の運送 ・3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等 ・郵便切手類のみを対価とする郵便、貨物サービス ・従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等（出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当） （参考）21-10-28 適格請求書−交付義務の免除と保存義務の免除 |
| インボイスの不備（記載事項の不足や誤り）を見つけた場合の対応 | 不備のあるインボイスでは仕入税額控除ができません。不備のあるインボイスの交付を受けた買主は、売主に適正なインボイスの再交付を求める必要があります。 この場合、当初インボイスと修正インボイスの両方を保存しておく必要がある点に注意が必要です。 なお、継続的な取引先ではなく、且つ、その取引先が非協力的であったり、事務処理能力に問題がある場合には、こちらで作成した仕入明細書を取引先に送付するという対応も考えられます。 ※ 「受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、当該書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。」多く寄せられるご質問（令和5年11月13日更新分） 問�Α頁禺蠅砲茲訶�格請求書の修正） |
| 買手が作成した仕入明細書を、売手の確認を受けた上で請求書として保存していた場合の対応 | その仕入明細書がインボイスの記載事項を満たしたものであり、売手の確認を受けたものであれば、インボイスとして扱われます。 売手の確認については、例えば「送付後●週間内に誤りのある旨の連絡がない場合には、確認があったものとします。」と仕入明細書に記載し、連絡がないことをもって確認を受けたものとすることが認められます。 売手の登録番号を仕入明細書に記載する必要があるため、事前に売手への確認が必要です。 |
| 仕入明細書に仕入金額から控除する配送料等を記載していた場合の対応（仕入明細書と、配送料に係る適格請求書を一の書類で交付するケース） | 仕入明細書における売手（取引相手）と、配送料に係る適格請求書における売手（自分）の両方の登録番号を記載する必要があります。 仕入明細書に記載すべき仕入金額と、適格請求書に記載すべき配送料の請求額は相殺して表示することはできません。税務通信 図解でわかる！インボイス制度（第11回）参照 |
| 買手が販売奨励金請求書を作成していた場合の対応 | その販売奨励金請求書がインボイスの記載事項を満たしたものであり、売手の確認を受けたものであれば、返還インボイスとして扱われます。この場合、売手は改めて返還インボイスを交付する必要はありません。 売手の登録番号を販売奨励金請求書に記載する必要があるため、事前に売手への確認が必要です。 仕入明細書と販売奨励金請求書を一の書類で交付する場合には、いずれも売手が作成すべきインボイス（及び返還インボイス）を買手が代わりに作成する書類であることから仕入金額を相殺して表示することができます。税務通信 図解でわかる！インボイス制度（第11回）参照 |
| 複数の事業者で分担する費用を一の事業者が立て替えた場合の対応 | 立替払いをした事業者は、売手から交付を受けたインボイスのコピーと立替金精算書を他の事業者に交付します。 他の事業者が仕入税額控除を行うには、（売手が作成し、立替事業者に宛てた）インボイスに加えて（立替事業者が作成し、他の事業者に宛てた）立替金精算書の両方が必要ということです。税務通信 図解でわかる！インボイス制度（第12回）参照 |
| 外貨建取引におけるインボイスを受取った場合の仕入税額控除額の計算 | 外貨建取引であっても、適格請求書に記載が必要な事項は同じですが、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」以外の記載事項は、外国語や外貨により記載されていても問題ありません（令和4年11月版 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問59）。言い換えれば、消費税額だけは円換算額が記載されている必要があります。 買手の仕入税額控除額について、請求書等積上げ方式で計算する場合には、インボイスに記載された消費税額等（売手による消費税等の円換算額）に拘束されますが、帳簿積上げ方式・割戻し方式で計算する場合には、買手による消費税等の円換算額を使用して差し支えありません。T&A master No.955参照 |
| 所有権移転外ファイナンスリース取引 | 原則：一括控除（リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入として処理） 例外：分割控除（リース料を支払うべき日の属する課税期間の課税仕入として処理） リース資産の引渡日に、リース料の全額についてインボイスが交付されると考えられますが、そのインボイスを保管することにより分割控除に係る仕入税額控除の要件を満たします。 ※令和5年10月1日以前に締結された所有権移転外ファイナンスリース取引については、区分記載請求書を保存しておけば、同日以降に行う分割控除に係る仕入税額控除の要件を満たします。 |
| 短期前払費用 | 当該前払費用を支出した日の属する課税期間の課税仕入として処理できますが、支出した日の属する課税期間にインボイスの交付が受けられなくても、事後にインボイスの交付を受けられるのであれば差し支えないとされています。 ※令和5年10月1日以前に支払った短期前払費用については、同日以後に役務提供がある場合でも区分記載請求書を保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たします。 |
| 前払費用（短期前払費用を除く） | 役務提供を受けた日の属する課税期間の課税仕入として処理します。 ※令和5年10月1日以前に支払った前払費用については、同日以後の役務提供に係る部分については、インボイスを保存しなければ、仕入税額控除の要件を満たしません。 |
| 経過措置の適用要件 | �…∧蹐法�80％控除対象」など経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載する。 ��区分記載請求書を保存する。 したがって、免税事業者から区分記載請求書の交付が受けられない場合には経過措置は適用できません。なお、区分記載請求書は「軽減対象資産の譲渡等である旨」と「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込額」を買手自ら補記することが認められています（注：インボイスについて、売手に確認をとることを条件に買手自らインボイスの内容を修正することが認められていることから、区分記載請求書についても売手に確認をとれば補記だけでなく内容の修正も可能と思われます。多く寄せられるご質問（令和5年11月13日更新分） 問�Α頁禺蠅砲茲訶�格請求書の修正））。 一方、出張旅費特例などインボイスの保存義務が免除されている取引については、帳簿に一定の事項を記載するだけで足ります（区分記載請求書の保存も不要です）。  ※軽減税率の適用対象となる取引がない場合には、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載は不要であり、課税資産の譲渡等の対価の額（税込価格）の記載があれば、結果として「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」の記載があるものとなります。消費税の軽減税率制度に関するQ＆A（個別事例編）問113 |
| 仕入先に振込手数料を負担させた場合（勝手値引き）の処理 | （例）仕入代金3万円、振込手数料660円の場合 仕入高（課税仕入） 30,000／買掛金 30,000 買掛金 30,000／現預金 30,000 で良いと思います。 厳密には、以下の処理も必要かもしれませんが... 支払手数料（課税仕入） 660／現預金 660 現預金660／支払手数料（課税仕入の返還） 660 |
| 屋号について | �…∧蹐冒蠎衒�の「屋号」を記載した場合でも、相手方が特定できれば仕入税額控除の要件を満たします。質疑応答事例「帳簿に記載すべき氏名又は名称」 �▲ぅ鵐椒ぅ垢傍�載する名称は屋号も認められます。適格請求書等保存方式に関するＱ＆Ａ |
| 銀行の手数料に係るインボイスの保存方法について | 窓口又はオンライン決済を行った際の手数料については、任意の一取引についてインボイスを保管しておけば、通帳や入出金明細の保管だけで足りるとのこと（多く寄せられるご質問 問23 参照）。なお、3万円未満のATM手数料は自動販売機特例によりインボイスの保存が免除されます。 |