マクロスFのキャラクター、早乙女アルトとランカ・リーのカップルに萌えた人たちのための二次創作投稿所です。




If:Aの内側 BYアヤ




戦争の「せ」の字も知らずに、空を飛ぶことに夢中になっていた。
家から、歌舞伎の世界から逃げて。
高度六千で行き止まりの空であろうと、飛ぶと言う事には変わりない。
息苦しいこの世界から、一瞬でも解放されるのだから。
そしていつか本物の空を、と望んでいた。
そんな俺が、バルキリーという戦う為の力を手に入れた。
それは、二人の少女との出会いが切欠。
今やスターダムを駆け登った、超時空シンデレラ「ランカ・リー」。
銀河で圧倒的人気を誇る、銀河の妖精「シェリル・ノーム」。
二人を、皆を守る為に俺は飛んだ。
そして、平和を取り戻す為に、命を懸けた。
気付けば、バジュラと共に銀河を巡っていた。
フォールドに次ぐフォールドで、もうフロンティアははるか遠く。
無性に寂しくなるときもあった。
そんな時に限って、歌が聞こえた気がした。
暖かいぬるま湯に浸かった様な、安心感。
その歌をどこかで聞いた事が・・・。
そんな事を考えていたからだろうか。
俺は、皆が待つ惑星に戻ることが出来た。





「これから、初めての銀河ツアーに出発します。二人で仲良くね。行ってきます。」
そんなメールだけを残してランカは、俺とシェリルの前から姿を消した。
メール一つで!なんて怒れないのは、胸に残る罪悪感からだろうか。
俺は、ランカではなくシェリルを選んだ。
それでも、俺やシェリルの為に力になってくれたこと。
あいつの笑顔にどんなに助けられたか。
感謝しても仕切れないだろう。
だから、ランカに報いる為には俺たちが幸せで居ること。
それしか出来ないから。
「頑張ってこいよ。」
そうメールを送ることしか出来なかった。
あれから半年後。
ランカが仕事の為に、フロンティアに一度戻った。
前と変わらない笑顔で、元気な姿に安心した。
ぴんと伸びたその背中が、力強くて。
ランカが眩しかった。
隣のシェリルを見れば、その瞳が輝いていた。
妹の様なランカを見る目ではなく、プロのシンガーとしてライバルを見る目だったと思う。
完全復帰を目指すシェリルの良いカンフル剤になるだろう。
ノンキにそんな事を考えていたんだ。





「何時かランカちゃんの事を、特別に想う時が来る。」
シェリルが言ったその意味が、まだよく分からない。
「ホントに鈍いんだから。」
そう苦笑するシェリル。
そんな彼女と、顔を合わせたのは何ヶ月ぶりか。




「イヤリング、返して欲しいの。」
その意味が、分からないわけじゃない。
二人の距離が離れたんだって事、どこかで分かってた。
シェリルが完全復帰して、仕事に全精力を注ぐようになって。
俺も、仕事に没頭した。
こうなる事は、覚悟してたはずだった。
だけど俺達は、離れている時間を埋める努力を怠った。
否、俺が悪かった。
彼女のサインを見逃していたんだ。
強がってても、寂しがりやなシェリルのサイン。
いつの間にか、恋人ごっこに変わってた。
もう、戻れない。
だけど、俺達の間にある絆は「恋」だけじゃないだろ。
恋人でなくなったって、力にはなってやりたいと思う。
偽善的な考えだったとしても。
「当たり前よ。あんたは、私のド・レ・イ。こき使ってやるんだから!」
シェリルはそう笑って、俺に背を向けて駆けていった。




「あんたは何時も、ランカちゃんのこと眩しそうに見てた。」
だからかな、肝心なとこでアルトの事、諦めちゃったのかも。
シェリルは、そう言っていた。
そうだっただろうか?
SMSの宿舎で、寝転がって無機質な天井を見詰める。
ぴんと伸びた、ランカの背中を見て。
駆け上がってくランカに、置いていかれた様な、焦りにも似た気持ちになった。
俺も足踏みしているんじゃなくて、もっと高みに昇って行きたい。
いつの間にか、アイツの背中を追い駆けていた。
私なんかと言っていたランカが、いつの間にか俺を引っ張っていて。
「恋」なんかでは無いと、思ってた。
だけどふと思い出すと、ランカの怒った顔や照れた顔、向日葵のような笑顔が思い出されて。
ああ、そっか。
「お前は結局、ランカちゃんの事も好きだったんだよ。」
ミシェルが二段ベッドの上段から、俺を見下ろしていた。
俺の心を読むなよ・・・。
「まあ、良いんじゃないの。新しい恋。」
「当たって、砕け散ってこい。」
砕けること前提か?!
でも、まあそうだよな。
今更何だよって、話しだもんな。





「SMS所属、アルト早乙女中尉です。これより超時空シンデレラ、ランカ・リーの護衛任務に就きます。」
隊長に頼み込んで、貰った任務。
ランカは、大きな紅玉の瞳を見開いて驚いてた。
それも直ぐに笑顔に変わって。
久しぶりに見る生のランカは、綺麗になったと思う。
相変わらずの童顔だけど、幼さが消え始めた頬のライン。
長く伸びた髪だったり、雰囲気だったり。
自分の気持ちを自覚したら、胸の高鳴りってやつが勝手にやってきた。
シェリルには命を燃やす様な激しさがある。
彼女の様な熱さも良い。
だけど今の俺には、穏やかな温もりが合ってると思う。
ランカの穏やかな、ぬるま湯で良い。
だから、まずは伝えないことには始まらないよな。
もう、俺のことなんて何とも思ってないかもしれない。
だったら、もう一度好きになってもらうしかない。
「ここから、初めてみないか?」




「えっと・・・。私ランカ。ランカ・リー。あなたは?」
「・・・アルト。早乙女アルトだ。」
驚いたけれど、初めて会ったときを思い出す。
二人でくすくすと笑った。
見詰め合って、ランカが瞼を閉じたから、良いんだよな。
ランカのそれに、唇を寄せた。
さあ、ここから始まるんだ。



END

このページへのコメント

アルトには二人への思いがあるって感じで読ませて貰いました。
私もアルトには力強さより、ランカの暖かさが合ってるんだなと改めて実感させて頂きました。
しかしアルトは気持ちに気付くのが遅かったですね。

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Posted by 七海 2013年12月19日(木) 12:10:50 返信

こんばんは(-^〇^-)本当にAの内側が読めるなんてー
うっ、嬉しすぎますー゚(゚´Д`゚)゚ 本当に有難うございますm(__)m 私的には 自由で奔放で情熱的な一瞬で大きく輝く花火の様な光のシェリルに惹かれて恋だと思っていたけれど・・アルトの胸の底に
ずーっと灯っていたランプの様な暖かく優しいランカちゃんの光がだんだん大きくなっていって・・
本当に一番大事な人は誰なのかにやっと気づいた・
という感じでしょうかーも〜遅すぎですよ〜アルトさん!ランカちゃんの想いも実ってパッピーで
嬉しいです、いつもステキな小説をありがとうございます(=^0^=)

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Posted by アリア 2012年04月13日(金) 01:45:39 返信

こんばんは♪紫陽花です♪
まさかIfのアルトの内側が読めるなんて、とっても嬉しいです!!
なるほど、シェリルとはこう別れたわけですね。ランカちゃんがいなくなって、まさに三人の関係が変わり始めたんですね。歌姫両方とも好きだったとは(>_<)気づくのが遅いですね(~_~;)
ミシェルには当たって砕けろまで言われてますし(笑)
久しぶりの生のランカちゃんにアルトはドキドキしまくりですし(笑)オズマにお願いしまくって、よかったですね♪
無事、ランカちゃんと付き合えて、よかったです(*^_^*)まさか、ランカちゃんも二年越しに想いが叶えられるとは、思ってなかったでしょうね♪
アルト編を読めて、ホント、嬉しいです!!
ありがとうございましたm(_ _)m

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Posted by 紫陽花 2012年04月12日(木) 00:52:55 返信

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