光の歌��
最終更新：ID:ZRxRdm/PaA 2011年04月06日(水) 23:50:02履歴
「受け取ってくれるか？ランカ」
「こんなタイミングで、しかもこんな大勢の前で言うなんて・・・」
「やっぱり、意地悪すぎるよぅ・・・アルトくん」
光の唄��
あれからまた、三ヶ月が過ぎた
「しかし、すさまじいねぇ・・・たった三ヶ月で倒れる前と同じくらいまで回復するとは」
「何言ってんのよ!!ここまでしか回復できなかったのよ、私は不満よ」
ミシェルは苦笑いをした、以前も何度か護衛についていたが、倒れて回復した後は以前にましてパワーアップしているようだ
『これは、あいつとの決着をつけたからなのか・・・・それとも・・・』
ちらりと隣に立つもう一人の護衛に目をやる、この男も騒動の後から心なしか視線が柔らかくなった気がする、隙がまったく無いのは相変わらずだが
『・・・まさかね』
一瞬自分の頭の中に浮かんだ考えをミシェルは打ち消した
「シェリルさん!!」
「ランカちゃん」
『おや・・シンデレラと王子様のお出ましか』
スタジオの廊下をランカがこちらに向かって走ってきた。後ろには護衛についているアルトが続く
「どうなんですか?調子は」
「まぁまぁね、なんとか倒れる前と同じくらいのレベルには戻ったけど、少し不満よ、もうちょっと体力付いてもよかったと思うんだけど」
「ハハハ・・」
「ランカちゃんこそどうなの？仕事最近忙しいんでしょ？」
「そうですね、でも、元々体力はあるほうなんで、これくらいへっちゃらですよ」
「あまり無理はするな、いくら丈夫でも体を壊したら元も子もないぞ」
「わかってるよ、ブレラお兄ちゃん」
三ヶ月前
「帰ろう、俺たちのフロンティアへ」
『アルト、一つお願いがあります』
「え？」
『彼を・・・共に連れて行ってください』
そう言うとクイーンは体内からエネルギーシールドで包まれた繭のようなものを目の前に差し出した
「!!!・・・コイツは・・・」
「お兄ちゃん・・・・」
見間違えるはずも無い、あの時、自らインプラントを断ち切りバトルフロンティア内にいるギャラクシーの面々に向けて特攻した。ブレラ・スターンだった
『私と融合した機械の中でかろうじて彼は生きていたので、私の中で保護していました。私の力で傷の治癒は出来たと思いますが・・』
確かに目立った外相は無い、しかし、ブレラはサイボーグだ、生身以外の機械の部分は戻ってルカたちに診てもらわないとわからない
「わかった・・・つれて帰る」
『お願いします』
その後、フロンティアに戻った後、ブレラをLAIで調べ、故障した機械の部分の修復などを施した結果としてブレラは無事回復し、シェリルの護衛として復帰した。シェリルからすれば、「自由になった今は、ランカちゃんと今までの空白の時間の埋め合わせをしたら？」といったらしいのだが「俺の任務は、お前を警護することだ。それは操られていたこととは関係ない、俺に与えられた命令だ」といって聞かなかったらしい
「それと、早乙女アルト」
「なんだよ？」
「俺はまだお前とランカのことを認めたわけではない、一連のことに感謝はしているが、それとこれとは別問題だ」
「なっ!!」
「アハハハハ、オズマを何とか説得できても、ブレラがこの調子だと先が思いやられるわね」
「まったくだ、アルトもとんでもないやつを敵に回したな」
「くっ・・ミシェル、シェリル、お前ら笑いすぎだ!!!」
「ア、 アルトくん落ち着いて!!」
「そうだ、ランカちゃん、この前言ってたアレ、できたわ」
そういってシェリルはポケットからディスクと端末を取り出した
「本当にいいんですか？こんなこと、してもらって」
「いいのよ、ランカちゃんにはいくら感謝しても足りないくらいだし、これくらいのサービス当たり前よ」
そういって自分の端末からデータをランカの端末に渡した
「ありがとうございます」
少しはなれてその様子を見ていたアルトの横にミシェルが立った
「んで？・・あれはランカちゃんに渡したのか？」
「まだ・・・」
「はぁ・・・まだタイミングがわからないとか言ってるんじゃないだろうな」
「いや、一応いつ渡すかは決めてる」
ポケットの中に入っている小箱を触りながらアルトはつぶやく
「俺なりのけじめだからな」
「ふーん・・・ま、やるんならしっかり決めろよ、ここで失敗するようなら、お前は姫に逆戻りだな」
「なっ!!・・」
「どうしたの？アルトくん」
二人のやり取りに気が付いたランカがこちらに視線を向ける
「ら、ランカ・・いや、別に何でもない」
「そう？」
「それより、そろそろ行かないと」
「え？あ!!こんな時間、シェリルさんそれじゃあ失礼しますね」
「ええ、がんばってね」
「はい」
ランカとアルトは足早に走り去っていった、その様子を見ながらシェリルが呟く
「あーあ、アルトってばあんなに顔が緩んで、綺麗な顔が台無しね・・・」
「やはり、まだ心残りか？」
「そんなんじゃないわよ、ただ、ちょっとあんなに自然体の顔のアルト、私あんまり見たこと無いなぁ・・・って」
「フッ」
「なっ・・ブレラ、あんた今笑ったでしょ!?」
「何のことだ？」
「っ〜〜〜〜」
『ありゃま・・なんだこの子供のケンカみたいなやり取り』
少し離れてミシェルは様子を見ることにした
「それで、お前のほうは大丈夫なのか？」
「平気よ、コンサートまでには万全の体調に戻すから、それより・・・」
「・・・」
「体調よりも、いまさら私の歌を聴いてくれる人がいるのかって不安はちょっとあるけどね」
「問題ない」
「え？」
「ギャラクシーは消えた、お前の罪も利用されていたということで処理されて消えた。今更、問題も無いだろう」
「・・・・そうかもしれないけど」
「それにお前を守るのが俺の使命だ、それにそむくつもりは無い、だから安心してお前は歌え」
シェリルの頭に軽く手を置きブレラは言った
「っ!!」
『おやおや・・・さっきの俺のカンはどうやら当たりだったらしい』
「そういえばさっき、お前シェリルから何もらってたんだ？」
エルモが運転する車の中でアルトはランカに聞いた
「あれは、曲のデータなの」
そういってランカは端末からもらったデータを取り出す
『ホシキラ 作詞、ランカ・リー シェリル・ノーム 編曲シェリル・ノーム』
「この曲、一番しかなかったんだけど、シェリルさんに歌詞を追加で書かせて欲しいって言われて、それでお願いしてたの」
「ふーん・・」
シェリルが新たに紡いだ歌詞をプレイヤーで流すとシェリルの声に乗ってメロディが流れる
『何度でも また会おうね こうして今 会えたように つのるこの想い 冷たい風に揺れないように守り続けると誓うよ』
これって・・・
ランカは聞きながら少し動揺していた・・・
『生まれ変わっても この銀河に君を見つける』
『何度でもまた会おうね こうしていま 会えたように』
『君を想うことが生きる意味だと 確かに触れた それを抱きしめた』
「・・・ランカ？」
曲が流れ始めてからランカの様子が少しおかしかった
「・・・・この歌、シェリルさんが眠ってたときにずっと歌ってた歌なんだ」
「!!!・・・」
「最初に歌詞を書いたとき、アルトくんとシェリルさんのことを思って私なりにシェリルさんの気持ちを書いた曲だったの」
「・・・・」
「だから、あの後、ずっと歌えなくて・・発表もして無かったんだけど」
曲が終わると、同時にシェリルからのメッセージが再生される
『ランカちゃんとアルトの気持ちが通じ合った時のランカちゃんの気持ちを私なりに歌詞にして見たの、私はこの歌に救われた、だから、私からのこれは恩返しのつもり、あなたが私の気持ちを歌詞にしてくれたように、私もあなたの気持ちを歌詞にした、だから、ちゃんとこの歌にこめられた二人分の気持ちをみんなに届けなさい』
「・・・シェリルさん」
「よかったな・・ランカ」
「うん・・・私・・・この歌を歌える」
それから一週間後
『シェリル・ノーム復活ライブ』本番直前、シェリルはステージに上がるリフトの下で目を閉じていままでのことを思い返していた
『やるべきことはやった、あとは、すべてを出し切るだけ・・・少し不安だけど』
イツワリノウタヒメとしての彼女の罪は彼女の中で消えてはいない、スパイだとか、裏切りの歌姫と呼ばれ蔑まれる覚悟はしている
『もしかしたら、誰もいないかもしれないけど・・・・それでも、私は歌う・・・歌って見せる』
ステージがゆっくり上昇し本番の幕が上がる、そのとき彼女の目の前に広がったのは
会場を埋め尽くす観客の盛大なシェリルコールだった
『・・・・・・みんな』
思わず視界が少しぼやけて、一度目を閉じた
『さぁ・・・シェリル・・・歌って・・私のかわいい妖精』
「っ!!」
耳元で消えるように聞こえた声に目を見開く・・そして、観客席の中に、あの時・・リベンジライブのときのバジュラの襲撃の中、自分の歌を館内に放送したときと同じように親指を立ててうれしそうに笑う・・
『グレイス!!』
グレイスを見た気がした・・・・・が次の瞬間には、彼女の幻はそこには無かった
「・・・・ありがとう」
本当に誰にも聞こえない声で呟く
『ここが私の再スタート、見ててグレイス、また銀河中を貴方がいる所まで、私の歌で震わせて見せる!!・・・だから!!!』
「あたしの歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
アンコールになってもシェリルコールは止まなかった、それどころかどんどん勢いをましているような気さえする
それを舞台袖でアルトとランカはただただあっけに取られてみていた
「すごい・・・」
「やっぱり・・・・あいつはプロだな・・銀河の妖精・・・いや、銀河の歌姫か・・・」
「・・・・大丈夫かな？こんなところに私出て行っちゃって」
「シェリルの希望だろ？アンコールでシークレットゲストっていうのは」
「うん」
「大丈夫だろ、多少驚くだろうけど・・・それとも不安か？」
「そんなことは無いけど、やっぱりすごいもん、圧倒されそう・・・」
「確かに・・・」
「やっぱり、遠いねシェリルさんは・・・」
「ランカ？」
「あの時より、私も少しはシェリルさんに近づけたと思ったけど、やっぱり、すごく遠いよ・・・でも」
「でも？・・・・」
「でも、遠いからこそ、あそこまで行きたいって思うの」
「そっか」
歓声が上がる・・・曲が始まりシェリルが出てきたんだろう、ランカが出てくるのはその途中だ
「そろそろ出番だな」
「うん」
「しっかりな」
「ありがとうアルトく・・・」
振り向きざまに口をふさぐ
「失敗しないようにおまじないだ」
「もうっ!!!//////////・・・いじわるだよぉ」
「誰かさんにだけ・・・な」
余裕があるフリをしても内心は不安でいっぱいだ、実はランカにも内緒でシェリルの協力の元あるとんでもないサプライズを仕掛けてある、それが成功するのかどうか・・・ポケットの中の小箱を確認するように触る・・・下手をすれば、ブレラどころか観客にも殺されかねない・・・それだけのプレッシャーはあった
「じゃあいってくるね」
そういってランカは階段を登り始めるが途中で足を止めた
「？・・・ランカ？」
ランカは振り向かない
「アルトくん、私・・・シェリルさんには負けないよ、歌も・・・」
「愛も!!」
「・・・・あぁ」
それだけ言ってランカは光り輝くステージに向かう階段を力いっぱい駆け上がっていった
完
あとがき
「こんなタイミングで、しかもこんな大勢の前で言うなんて・・・」
「やっぱり、意地悪すぎるよぅ・・・アルトくん」
光の唄��
あれからまた、三ヶ月が過ぎた
「しかし、すさまじいねぇ・・・たった三ヶ月で倒れる前と同じくらいまで回復するとは」
「何言ってんのよ!!ここまでしか回復できなかったのよ、私は不満よ」
ミシェルは苦笑いをした、以前も何度か護衛についていたが、倒れて回復した後は以前にましてパワーアップしているようだ
『これは、あいつとの決着をつけたからなのか・・・・それとも・・・』
ちらりと隣に立つもう一人の護衛に目をやる、この男も騒動の後から心なしか視線が柔らかくなった気がする、隙がまったく無いのは相変わらずだが
『・・・まさかね』
一瞬自分の頭の中に浮かんだ考えをミシェルは打ち消した
「シェリルさん!!」
「ランカちゃん」
『おや・・シンデレラと王子様のお出ましか』
スタジオの廊下をランカがこちらに向かって走ってきた。後ろには護衛についているアルトが続く
「どうなんですか?調子は」
「まぁまぁね、なんとか倒れる前と同じくらいのレベルには戻ったけど、少し不満よ、もうちょっと体力付いてもよかったと思うんだけど」
「ハハハ・・」
「ランカちゃんこそどうなの？仕事最近忙しいんでしょ？」
「そうですね、でも、元々体力はあるほうなんで、これくらいへっちゃらですよ」
「あまり無理はするな、いくら丈夫でも体を壊したら元も子もないぞ」
「わかってるよ、ブレラお兄ちゃん」
三ヶ月前
「帰ろう、俺たちのフロンティアへ」
『アルト、一つお願いがあります』
「え？」
『彼を・・・共に連れて行ってください』
そう言うとクイーンは体内からエネルギーシールドで包まれた繭のようなものを目の前に差し出した
「!!!・・・コイツは・・・」
「お兄ちゃん・・・・」
見間違えるはずも無い、あの時、自らインプラントを断ち切りバトルフロンティア内にいるギャラクシーの面々に向けて特攻した。ブレラ・スターンだった
『私と融合した機械の中でかろうじて彼は生きていたので、私の中で保護していました。私の力で傷の治癒は出来たと思いますが・・』
確かに目立った外相は無い、しかし、ブレラはサイボーグだ、生身以外の機械の部分は戻ってルカたちに診てもらわないとわからない
「わかった・・・つれて帰る」
『お願いします』
その後、フロンティアに戻った後、ブレラをLAIで調べ、故障した機械の部分の修復などを施した結果としてブレラは無事回復し、シェリルの護衛として復帰した。シェリルからすれば、「自由になった今は、ランカちゃんと今までの空白の時間の埋め合わせをしたら？」といったらしいのだが「俺の任務は、お前を警護することだ。それは操られていたこととは関係ない、俺に与えられた命令だ」といって聞かなかったらしい
「それと、早乙女アルト」
「なんだよ？」
「俺はまだお前とランカのことを認めたわけではない、一連のことに感謝はしているが、それとこれとは別問題だ」
「なっ!!」
「アハハハハ、オズマを何とか説得できても、ブレラがこの調子だと先が思いやられるわね」
「まったくだ、アルトもとんでもないやつを敵に回したな」
「くっ・・ミシェル、シェリル、お前ら笑いすぎだ!!!」
「ア、 アルトくん落ち着いて!!」
「そうだ、ランカちゃん、この前言ってたアレ、できたわ」
そういってシェリルはポケットからディスクと端末を取り出した
「本当にいいんですか？こんなこと、してもらって」
「いいのよ、ランカちゃんにはいくら感謝しても足りないくらいだし、これくらいのサービス当たり前よ」
そういって自分の端末からデータをランカの端末に渡した
「ありがとうございます」
少しはなれてその様子を見ていたアルトの横にミシェルが立った
「んで？・・あれはランカちゃんに渡したのか？」
「まだ・・・」
「はぁ・・・まだタイミングがわからないとか言ってるんじゃないだろうな」
「いや、一応いつ渡すかは決めてる」
ポケットの中に入っている小箱を触りながらアルトはつぶやく
「俺なりのけじめだからな」
「ふーん・・・ま、やるんならしっかり決めろよ、ここで失敗するようなら、お前は姫に逆戻りだな」
「なっ!!・・」
「どうしたの？アルトくん」
二人のやり取りに気が付いたランカがこちらに視線を向ける
「ら、ランカ・・いや、別に何でもない」
「そう？」
「それより、そろそろ行かないと」
「え？あ!!こんな時間、シェリルさんそれじゃあ失礼しますね」
「ええ、がんばってね」
「はい」
ランカとアルトは足早に走り去っていった、その様子を見ながらシェリルが呟く
「あーあ、アルトってばあんなに顔が緩んで、綺麗な顔が台無しね・・・」
「やはり、まだ心残りか？」
「そんなんじゃないわよ、ただ、ちょっとあんなに自然体の顔のアルト、私あんまり見たこと無いなぁ・・・って」
「フッ」
「なっ・・ブレラ、あんた今笑ったでしょ!?」
「何のことだ？」
「っ〜〜〜〜」
『ありゃま・・なんだこの子供のケンカみたいなやり取り』
少し離れてミシェルは様子を見ることにした
「それで、お前のほうは大丈夫なのか？」
「平気よ、コンサートまでには万全の体調に戻すから、それより・・・」
「・・・」
「体調よりも、いまさら私の歌を聴いてくれる人がいるのかって不安はちょっとあるけどね」
「問題ない」
「え？」
「ギャラクシーは消えた、お前の罪も利用されていたということで処理されて消えた。今更、問題も無いだろう」
「・・・・そうかもしれないけど」
「それにお前を守るのが俺の使命だ、それにそむくつもりは無い、だから安心してお前は歌え」
シェリルの頭に軽く手を置きブレラは言った
「っ!!」
『おやおや・・・さっきの俺のカンはどうやら当たりだったらしい』
「そういえばさっき、お前シェリルから何もらってたんだ？」
エルモが運転する車の中でアルトはランカに聞いた
「あれは、曲のデータなの」
そういってランカは端末からもらったデータを取り出す
『ホシキラ 作詞、ランカ・リー シェリル・ノーム 編曲シェリル・ノーム』
「この曲、一番しかなかったんだけど、シェリルさんに歌詞を追加で書かせて欲しいって言われて、それでお願いしてたの」
「ふーん・・」
シェリルが新たに紡いだ歌詞をプレイヤーで流すとシェリルの声に乗ってメロディが流れる
『何度でも また会おうね こうして今 会えたように つのるこの想い 冷たい風に揺れないように守り続けると誓うよ』
これって・・・
ランカは聞きながら少し動揺していた・・・
『生まれ変わっても この銀河に君を見つける』
『何度でもまた会おうね こうしていま 会えたように』
『君を想うことが生きる意味だと 確かに触れた それを抱きしめた』
「・・・ランカ？」
曲が流れ始めてからランカの様子が少しおかしかった
「・・・・この歌、シェリルさんが眠ってたときにずっと歌ってた歌なんだ」
「!!!・・・」
「最初に歌詞を書いたとき、アルトくんとシェリルさんのことを思って私なりにシェリルさんの気持ちを書いた曲だったの」
「・・・・」
「だから、あの後、ずっと歌えなくて・・発表もして無かったんだけど」
曲が終わると、同時にシェリルからのメッセージが再生される
『ランカちゃんとアルトの気持ちが通じ合った時のランカちゃんの気持ちを私なりに歌詞にして見たの、私はこの歌に救われた、だから、私からのこれは恩返しのつもり、あなたが私の気持ちを歌詞にしてくれたように、私もあなたの気持ちを歌詞にした、だから、ちゃんとこの歌にこめられた二人分の気持ちをみんなに届けなさい』
「・・・シェリルさん」
「よかったな・・ランカ」
「うん・・・私・・・この歌を歌える」
それから一週間後
『シェリル・ノーム復活ライブ』本番直前、シェリルはステージに上がるリフトの下で目を閉じていままでのことを思い返していた
『やるべきことはやった、あとは、すべてを出し切るだけ・・・少し不安だけど』
イツワリノウタヒメとしての彼女の罪は彼女の中で消えてはいない、スパイだとか、裏切りの歌姫と呼ばれ蔑まれる覚悟はしている
『もしかしたら、誰もいないかもしれないけど・・・・それでも、私は歌う・・・歌って見せる』
ステージがゆっくり上昇し本番の幕が上がる、そのとき彼女の目の前に広がったのは
会場を埋め尽くす観客の盛大なシェリルコールだった
『・・・・・・みんな』
思わず視界が少しぼやけて、一度目を閉じた
『さぁ・・・シェリル・・・歌って・・私のかわいい妖精』
「っ!!」
耳元で消えるように聞こえた声に目を見開く・・そして、観客席の中に、あの時・・リベンジライブのときのバジュラの襲撃の中、自分の歌を館内に放送したときと同じように親指を立ててうれしそうに笑う・・
『グレイス!!』
グレイスを見た気がした・・・・・が次の瞬間には、彼女の幻はそこには無かった
「・・・・ありがとう」
本当に誰にも聞こえない声で呟く
『ここが私の再スタート、見ててグレイス、また銀河中を貴方がいる所まで、私の歌で震わせて見せる!!・・・だから!!!』
「あたしの歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
アンコールになってもシェリルコールは止まなかった、それどころかどんどん勢いをましているような気さえする
それを舞台袖でアルトとランカはただただあっけに取られてみていた
「すごい・・・」
「やっぱり・・・・あいつはプロだな・・銀河の妖精・・・いや、銀河の歌姫か・・・」
「・・・・大丈夫かな？こんなところに私出て行っちゃって」
「シェリルの希望だろ？アンコールでシークレットゲストっていうのは」
「うん」
「大丈夫だろ、多少驚くだろうけど・・・それとも不安か？」
「そんなことは無いけど、やっぱりすごいもん、圧倒されそう・・・」
「確かに・・・」
「やっぱり、遠いねシェリルさんは・・・」
「ランカ？」
「あの時より、私も少しはシェリルさんに近づけたと思ったけど、やっぱり、すごく遠いよ・・・でも」
「でも？・・・・」
「でも、遠いからこそ、あそこまで行きたいって思うの」
「そっか」
歓声が上がる・・・曲が始まりシェリルが出てきたんだろう、ランカが出てくるのはその途中だ
「そろそろ出番だな」
「うん」
「しっかりな」
「ありがとうアルトく・・・」
振り向きざまに口をふさぐ
「失敗しないようにおまじないだ」
「もうっ!!!//////////・・・いじわるだよぉ」
「誰かさんにだけ・・・な」
余裕があるフリをしても内心は不安でいっぱいだ、実はランカにも内緒でシェリルの協力の元あるとんでもないサプライズを仕掛けてある、それが成功するのかどうか・・・ポケットの中の小箱を確認するように触る・・・下手をすれば、ブレラどころか観客にも殺されかねない・・・それだけのプレッシャーはあった
「じゃあいってくるね」
そういってランカは階段を登り始めるが途中で足を止めた
「？・・・ランカ？」
ランカは振り向かない
「アルトくん、私・・・シェリルさんには負けないよ、歌も・・・」
「愛も!!」
「・・・・あぁ」
それだけ言ってランカは光り輝くステージに向かう階段を力いっぱい駆け上がっていった
完
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