マクロスFのキャラクター、早乙女アルトとランカ・リーのカップルに萌えた人たちのための二次創作投稿所です。

「熱にはキスのおまじない」byアヤ

「母さん・・・」

額と頬に冷たくてでも柔らかい感触。
不思議と幼い頃に亡くした母親を思い出した。
熱を出して寝込んだ時、病弱であったのに母は他の誰にも任せる事無く
一晩中看病をしてくれていた。
薄く目を開けば微笑んで火照った額と頬を両の手の平で包んでくれた。
そう今の様に。
(今・・・?)

「あっアルト君。起こしちゃった?」
控えめな聞き覚えのある声に薄く目を開くと紅い瞳が至近距離で自分を
覗きこんでいた。
白い両の手の平に額と頬を包まれて。
「ランカっ!!」
「きゃっ!」
自室のベッドサイドに居るはずのないランカの姿に驚いて勢い良く上半身
を起こした。
ランカとぶつかりそうになったがその前に視界が廻りそのまま枕に頭を
埋めた。
「駄目だよ!まだ熱が高いんだよ?」
(熱?)
確かに身体が鉛のように重く感じられて吐き出す息でさえも熱かった。
「びっくりしちゃったよ。声かけたら倒れちゃうんだもん」
曖昧な記憶を探ると確かSMSの前でオズマ隊長の差し入れに来たランカ
と合ったのは覚えている。
ランカに話し掛けられていたもがくらくらと
はっきりしない頭で曖昧に相槌を打っているとシャツを引っ張られた。
ふいに血の気が下がって後は闇の中。
ランカがSMSにちょうどいた医師でもあるカナリアに連絡して何とか俺を
自室のベッドに放り込んだらしい。
「あ〜何か悪かったな。迷惑かけちまって」
「ううん。いつも助けて貰ってるし気にしないでほしいな。」
「・・・ああ。」
だらしない姿を見せてしまったと恥ずかしいやら情けないやらで頬が熱く
なるけれど熱の為か誤魔化せてるようだ。
ランカの可愛らしい笑顔で少しホッとした。
「勝手に部屋に入っちゃってごめんね。カナリア先生には許可貰ったんだけど。」
「いや構わないさ。」
更にホッとした。
どんな事情があろうとも隊長の妹であるランカを部屋に連れ込んだのがバレた日には
(連れ込んだわけでは無いのだが)命の保証は無いかもしれない。
ホッとした顔の俺を見てくすくすとランカが笑った。
「カナリア先生がお兄ちゃんには内緒にしてくれるって!そういえばカナリア先生
怒ってたよ〜何で怪我診せに来ないんだって!」
「はっ?怪我?」
怪我と言われて右腕に鈍い痛みがはしる。見ると白い包帯が巻かれていた。
昨日の訓練中に軽いヘマをして切り傷を負ったが怪我の内にも入らないと放置した
のだった。
「傷から細菌が入って発熱したんだろうって。さっき注射してってくれたから熱も
今夜中には下がるって。」
「熱なんて子供の時以来だな」
「化膿したりしたら大変なんだから今度からはちゃんと診て貰わないと!」
ランカが翡翠色の髪をぺたりと沈ませて心配したんだからと目線をおくってくる。
「わかった。次は気を付ける。」
そう言って手を伸ばすとランカの頭に置いた。
沈んだ髪の毛がふわっと膨らみランカは赤くなる。
「そうだっアルト君ご飯どお?お腹空いてる?」
「そうだな・・軽くなら」
「おにぎりで良い?」
はいっと白いおにぎりが二つのった皿を出された。
「具が無くてただの塩おにぎりだけど」
「ランカがにぎったのか?」
「そうだよ。料理は得意だもん」
感心しながら上半身を今度はゆっくりと起こした。
「服も着替えた方が良いね。」
ランカの言葉に目線を降ろすと学校帰りだった為に制服のままだった。
汗でべたついて少し気持ち悪い。
(着替えるか)
と重い身体をベッドから起こしシャツのボタンに手をかける。
ふと目線を下げるとおにぎりの皿を持ったままランカがじ〜っとこちらを見ていた。
「そんなに俺の着替えが見たいのか?」
「でっでかるちゃあぁぁ。ちっ違。そう何か飲み物買ってくるね。」
顔をこれでもかと赤くしてあわあわと部屋を出て行くランカを見て、くっくと笑いが
込み上げてきた。
制服からスウェットに着替えるとランカがにぎったおにぎりに手を伸ばした。
一口食べると口の中でほわっとほどけ程よい塩味が美味しかった。
母親がにぎってくれたものに似ているなと思った。
(ん?母さん・・って。さっき)



ぱたぱたと足音がして部屋の前で止まった。
「アルト君。もう着替え終わった?」
「ああ。入って良いぞ。」
くっくと笑っているとランカが相変わらず赤い顔でスポーツドリンクのボトルを渡して
くれた。
「もうっいじわるだね。アルト君。」
頬をぷくっと膨らませたランカがベッドサイドに腰を下ろした。
熱の発汗のせいで喉が渇いているのに気付きボトルに口をつける。
「なぁ。さっき目が覚めた時・・・。」
「さっき?ああ「お母さん」って?」
「格好わりぃ」
「え?」
やっぱり口に出してしまっていたらしい。母さんだなんて。
「17の男が女々しいだろ。マザコンかって。」
母親との思い出に未だにすがり付いているようで・・・否離れられずにいるのだから。
「どうして?格好悪い事なんて無いよ?家族を大切に出来る人って素敵だと思うけどな。」
ランカの言葉に柔らかな笑顔に少し安心してしまった。なぜかランカには誰にも言わない
ような話まで出来てしまう。
彼女の側にいると不思議と穏やかになれる。
「子供の頃に熱を出すと母さんが手の平で顔を包んでくれたんだ。冷たいはずなのに何か
暖かくて。安心した。さっきランカがしてくれてた様に。」
「そっか。良かった。お兄ちゃんも私が熱出してると同じ様にしてくれてたから。」
「そっか。」
「うん。」
二人してふふっと笑みがこぼれた。
同じ様な思い出を共有してる感じがくすぐったい。
「アルト君。そろそろ身体休めないと。熱上がるよ?」
「そうだな。」
幾分か熱が落ち着いてきた気はしたが寝る事にした。
「私もそろそろ帰るね。一人の方が身体休めれるでしょ。」
「悪かったな。色々してもらて。」
「気にしないでって言ったでしょ。助けてもらってる分少しは返せて嬉しいし。」
俯きながらそう言うと部屋の照明を少し落とした。
「冷やしたタオル額にのせとくね」
「ああ。サンキュ」
目を閉じると額にかかった髪を梳かれて暖かくて柔らかいものが一瞬触れた。
小さくチュッと音がするとそれがキスであるとわかった。
「早く熱が下がるおまじない。・・・おやすみ」
俺の額に冷えたタオルをのせるとランカは足早に部屋を出て行った。
ちらっと見えた横顔は耳まで赤かった様だった。
自分の頬も熱のせいではなくカッと熱くなる。
(不意打ちだろ)
あまりの驚きにおやすみも言えなかったけれど今夜は良い夢でも見られそうだ
と思い目を閉じた。
熱にはキスのおまじない。

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初めて書いた小説なのでかなり読みずらいとは思いますが最後まで読んで貰えたら
幸いです。

このページへのコメント

すいませ〜ん。リンク繋げていただいてありがとうございました。
コメントも凄く嬉しいです!また新しい妄想が産まれたら投稿させていただきますね〜

0
Posted by アヤ 2009年03月01日(日) 23:48:59 返信

小説ページにリンクが繋がっていなかったのでこちらの方でリンク繋がせてもらいました。

お話すっごく良かったです!
ランカにちょっと甘えてる感じのアルト萌えーv
大胆にもキスのおまじないするランカがちょう可愛いです!すっごく萌え!
二人がすっごくラブラブで悶えましたv

0
Posted by まる 2009年03月01日(日) 20:08:15 返信

ラブラブなアルランの予感がします…v
続き楽しみに待ってますね!

0
Posted by まる 2009年03月01日(日) 00:19:40 返信

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