マクロスFのキャラクター、早乙女アルトとランカ・リーのカップルに萌えた人たちのための二次創作投稿所です。

24話のあの「ランカァァー!」までのアルトの気持ちの流れ
こうだったらいいな!的なSS。ちなみに小説4巻はまだ読んでません。
ちょっと長めですが、切るには中途半端なので一括投下。
台詞がちょっと違うとかは許容してくれると助かります↓


宇宙空間に響き渡る歌声を、アルトが聞き間違えるはずもなかった。

「この声……!?」

次の瞬間、フロンティア船団の前に出現したのは翡翆色の髪をした少女。
白いワンピースは、彼女がフロンティアを去ったあの日に着ていたものだ。
わかっていた、覚悟していたこととはいえ、アルトは憤らずにはいられない。
なぜ彼女は、自分達を攻撃してくるのだろうか。

バジュラに怯えていたはずの少女。自分は、その恐怖から
少女を守ってやりたいと望んでいたのに。それなのに、なぜ彼女は
バジュラを守り自分の下を去ることを選んだのか。
次々と溢れ出る悲しさにも悔しさにも似た名付けがたい感情に、
アルトの心が悲鳴をあげる。
アルトが彼女に向けた最初の想いは、こんな苦いものではなかった。
彼女を守るという決意の裏側、本人さえ気付かぬほどに
仄かに彼の心をあたためていた気持ち。
それは恋と呼ぶにはあまりに味気無く、けれどただの庇護欲と言うには
あまりにも甘かった。今ではアルトもその事実を十分に自覚している。
あの時の甘さは苦さに変わってしまったが、それでも根本にある想いは
同じ質のものであることも。
仄かだったはずのあたたかさは、今やアルトの胸を焼けつかせるほどの熱になっていた。
もはや認めない訳にはいかない、逃げることなどできない。
ひとりの男としてランカを愛しているという事実、
しかし彼女を殺さなければならないという現実。

(好きだというのなら、なぜ俺を選んでくれなかった――!)

ずっと一緒にいたかったと涙したランカ。
行くなと言ったのに行ってしまったランカ。
人の死に人一倍怯えていたランカ。
人を殺す歌を歌っているランカ。
矛盾する彼女の行動、しかしそのどれもが事実で現実だった。
ランカの歌声が一際美しく響き、バジュラの一斉攻撃がフロンティア船団を、
アルトを襲う。

「どうして……っ、なんでお前は、俺たちを滅ぼそうとする!?」

ランカに対する疑念が膨らみ、もはや彼女を信じたいとは思えても
信じることはできないアルト。
互いに互いを想う気持ちは同じであるはずなのに、
それが嘘のように遠く離れた二人の心。
ほんの少しのすれ違いが、大きな時の流れが生んでしまった二人の間の深い溝。
その溝を埋める術に辿り着けず、けれど立ち止まることも許されないアルトは
行き場のない感情の渦にただぎりりと奥歯を噛み締め、咆哮する。

「ランカァァ――ッ!!」

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