会社法Ⅱ 鳥山先生

１．出題年度　２００５年度春学期集中
２．科目名　会社法Ⅱ
３．担当教員名　鳥山恭一先生
４．問題文

取締役の第三者に対する責任に関して、その性質と責任の内容（主観的要件、賠償される損害の範囲などの内容）を説明しなさい。そのうえで、つぎの問いに答えなさい。
会社の業績悪化により株価が低下し、その会社の代表取締役にはこの業績悪化について悪意または重大な過失による任務懈怠が認められる場合に、株主は株価の低下により自らに生じた損害の賠償をこの代表取締役に求めることはできるか。

１．２００３年度
２．会社法Ⅱ・前期
３．鳥山恭一教授　　（六法持込不可）

　株式会社甲社では、５人の取締役Ａ～Ｅが選任されており、そのうちの２人の取締役ＡとＢが代表取締役に選任され、その旨の登記もなされていた。

（１）ただし、取締役Ｃは、「甲社社長」の肩書きが付された名刺を用いており、甲社でもそれが黙認されていた。
　第三者である乙は、Ｃのこの肩書きをみて、Ｃに甲社の代表権があるものと信じ、甲社に商品を販売する売買契約を締結した。この契約にもとづく代金の支払を乙が甲社に請求した場合に、甲社は、Ｃには甲社の代表権がなかったことを理由にして、この乙の請求を拒むことはできるか。

（２）甲社の代表取締役であったＢは、代表取締役を退任し、Ｂの退任登記もなされた。しかし、退任後も、Ｂは「甲社代表取締役」の肩書きが付された名刺を用いており、甲社でもそれが黙認されていた。
　第三者である丙は、Ｂのこの肩書きをみて、Ｂに甲社の代表権があるものと信じ、甲社に商品を販売する売買契約を締結した。この契約にもとづく代金の支払を丙が甲社に請求した場合に、甲社は、Ｂには甲社の代表権がなかったことを理由にして、この丙の請求を拒むことはできるか。

　まず、問題の所在を、商業登記の効力とそれとの関係も含めて述べたうえで、うえの（１）と（２）のそれぞれについて答えなさい。

1.2003年度学年末
2.会社法ⅡB
3.鳥山恭一先生

参考文献などの使用不可

株式会社の新株発行に関する会社法の規制の趣旨と内容について、まず説明しなさい。そのうえで、つぎの設問について(1)から(3)のそれぞれに解答しなさい。

　株式会社A社には、Bとその夫C、Bの妹Dとその夫Eの4人の株主がおり、各人が250株ずつ有していた。すなわち、A社の発行済株式総数は1000株であり、また、発行予定株式総数4000株であった。
　A社の代表取締役はBであり、Bが中心になって事業を営んでいた。Bは、F社から営業譲渡を受けてA社の事業を拡大させようとしており、Cもその計画に賛成していたが、DとEはそれに反対していた。そこで、その計画を実現させるために、Bは、新株発行事項は官報に掲載してDとEには秘密裏に、A社新株500株の発行を行い、250株ずつBとCに割り当てた。そのうえで、翌年、F社から営業譲渡を受けることにした。
　この新株発行に気づいたEは、新株発行の効力を争うことはできるか。

(1)A社の定款に株式譲渡制限の定めがあるか否かで、結論またはその理由付けは異なるか。異なるとしたらそれはなぜか。

(2)本件の新株発行の発行価格が時価であったかまたはそれを下回っていたかで、結論またはその理由付けは異なるか。異なるとしたらそれはなぜか。

(3)Eが新株発行に気づいたのが発行の日から6ヶ月を経過する以前であったか経過した後であったかで、結論またはその理由付けは異なるか。異なるとしたらそれはなぜか。

２００１

★会社法２B　鳥山恭一教授★

Aは自ら発起人となって、株式会社を設立しようとしている。
その会社の定款には、設立費用として30万円を成立後の会社は負担する旨が記載されていたが、それ以外にいわゆる変態設立事項の記載はなかった。

1・Aは、成立後の会社の事業に用いるために自動車をBから購入した。しかし、会社が成立した時点で、代金の支払いはなされていなかった。その場合、Bは誰に対して代金の支払いを請求することができるか。
　また、会社が成立した時点で、自動車がいまだ引き渡されていなかった場合、会社は代金を支払って自動車の引渡しをBに要求することはできるか。できるとしたら、そのために何らかの手続きは必要か。

2・Aは設立の事務のために、Cから20万円で事務所を賃借し、Dに18万円を支払う約束をして設立事務を手伝ってもらった。しかし、会社が設立した時点で、CとDに対する支払いはなされていなかった。その場合会社が設立したあとにCとDは誰に対して支払いを請求することができるか。

株式会社の設立における発起人の権限について論じた上で、上の1と2のそれぞれに答えなさい。