刑法総論　高橋先生

１．出題年度 2006年度秋
２．科目名　刑法Ⅰ
３．担当教員名　高橋則夫先生　
４．問題文

次の３問中、１問を選択して解凍せよ。

１.
スキューバダイビング指導者である甲は、補助員乙と共に、Ｘら６名の受講生(初心者)に対し、夜間潜水指導を実施していたが、不用意に移動して受講生の傍から離れ、経験の浅い補助員乙と受講生６名を見失った。その間乙は、Ｘらに水中移動という不適切な指示をして、これに従ったＸはタンク内の空気を使い果たして恐慌状態に陥り、自ら適切な措置を採ることができないまま溺死するに至った。甲・乙の罪責を論ぜよ。

２．
甲は、自宅で飲酒していた際、妻Ｘと口論となり、Ｘの頭部などを殴打していたが、その後も飲酒し続けた結果、複雑酩酊による心神喪失状態に陥り、この状態でＸの頭部をさらに殴打し、これが致命傷となってＸは死亡した。甲の罪責を論ぜよ。
右の事案で、甲が、Ｘを殴打する目的で、その勢いをつけるため多量に飲酒して帰宅し、心身喪失状態でＸの頭部を棒で１回殴打したら、Ｘが死亡した場合、甲の罪責はどうなるか。

３．
甲は姪のＸに生命保険をかけ、事故死に見せかけて保険金を詐取しようと考え、Ｘの静脈内に空気を注射し、空気栓塞を起こさせて殺害することを計画した。甲はＸを騙して注射を承諾させ、Ｘの両腕の静脈内に空気30～40ccを注射したが、空気栓塞による致死量は70cc～300ccであったことから、Ｘは死亡するに至らなかった。甲の罪責を論ぜよ。
右の事案で、Ｘが、空気注射されたことによってその場でショック死した場合、甲の罪責はどうなるか。

１．２００２年度
２．刑法
３．高橋則夫
４．
　次の三問中、一問を選択して論ぜよ。
（１）医師甲は、患者ＸとＹを殺害するため、毒の入った注射器を二つ用意し、情を知らないＸ担当の看護婦ＡとＹ担当の看護婦Ｂに命じて、それぞれ注射させようとした。まず、看護婦Ａは、注射を準備する際に毒に気づき注射器を廃棄したため、Ｘは助かった。次に、この機会にＹを殺害しようとの意思が生じ、そのままＹに注射をした結果、Ｙは死亡した。甲の罪責を論ぜよ。
（２）誤想防衛について論ぜよ。
（３）①甲は、愛人Ｘが邪魔になり、殺害するためＸに青酸カリを飲ませ、その結果、Ｘは死亡した。しかし、実は、Ｘは甲に殺害されることを承諾していたことが後で判明した。甲の罪責を論ぜよ。
　　　②乙は、愛人Ｙが殺してくれというので、Ｙに青酸カリを飲ませて殺害した。しかし、実は、Ｙの冗談であったことが後で判明した。乙の罪責を論ぜよ。

２００１

刑法総論B（高橋則夫）-

次の三問中、一問を選択して論ぜよ。

１、スキューバダイビング指導者である甲は、補助員三名と共に、Xら六名の受講生（初心者）に対し、夜間潜水指導を実施していたが、経験の浅い補助員乙と受講生六名を見失った。その間乙は、Xらに水中移動を指示し、これに従ったXはタンク内の空気を使い果たし溺死した。甲の罪責を論ぜよ。
２、①甲は、Aを殺害しようとAに向けてピストルを発砲した。しかし、弾は、Aの腕を貫通して負傷させ、さらに、そばにいたBの心臓に当たり、Bが死亡した。甲の罪責を論ぜよ。（甲にはBに対する未必の故意はないものとする）②乙は、Aを殺害しようとAに向けてピストルを発砲した。弾は、Aの心臓を貫通しAは死亡したが、さらに、Aの背後にいたBの心臓にも当たり、Bも死亡した。乙の罪責を論ぜよ。（乙にはBに対する未必の故意はないものとする）
３、原因において自由な行為について論ぜよ。