憲法　戸波先生

２００２

憲法Ｂ　戸波江二教授

〔問１〕次の１～３のうちから、１題を選択して答えよ
１．県立高等学校Ｙの女子生徒Ｘは、体育の水泳実技の必修授業で、男子生徒の前で水着になることに強く羞恥心・反発心をもち、水泳実技の授業の参加を拒否した。そこで、体育教師は実技不参加の理由でＸの体育の評点を低く評価し、その結果、Ｘは原級留置となった。そこでＸは、原級留置処分が権利侵害であるとして裁判で争った。
以上の事例に含まれる憲法問題について説明し、Ｘの主張の当否について論ぜよ。

２．中学教師Ａは、通勤途中の車内で痴漢行為を行ったとして逮捕され、容疑を否認したにもかかわらず、起訴された。この間新聞社Ｂは、Ａの痴漢行為による逮捕・起訴について、実名・顔写真入りで報道した。そこで、Ａは、Ｂ社に対して、名誉・プライバシーが侵害されたとして損害賠償を請求して出訴した。
　また、こののち罰金の有罪判決を受けたＡが教師を退職して平穏な生活を送っていたところ、事件から１０年を経て、週刊誌Ｃが「痴漢教師の１０年後」という記事でＡの痴漢行為を記事にしたので、Ａは、Ｃ社に対して損害賠償を請求した。
この事例で問題となる憲法問題について説明し、ＡのＢ社およびＣ社に対する請求の当否について論ぜよ。

３．伝統的な議会制のもとで、議会による政府のコントロールのために考えられていた制度をいくつかあげてその仕組みを説明せよ。また、それらの議会による政府の統制という思想が現代においてどのように変容しているかについて説明し、現代議会制の特質と問題点について論及せよ。

〔問２〕次のことばのうち２つを選んで簡潔に説明せよ。
（１）平等違反の審査における「中間審査」
（２）教科書検定の「検閲」性
（３）日本国憲法における国民主権と直接民主制の関係