行政法　首藤先生

１．2006年度　春学期
２．行政法IB
３．首藤重幸先生
４．
（1）以下の、3つの行政法上の概念について、2～3行で簡単に説明して下さい。（配点各15点）
　①法規
　②警察
　③行政処分

（2）以下の文を読んで、その問いにつき論述して下さい。
　Aは市街化調整区域に所有する農地をBに売却する契約を締結した。契約書を作成した日に手付金を支払い、農業委員会の「許可」をまって残金を支払うとともに、移転登記を行うこととした。契約書には、所有権の移転時期に関する特約は記されていなかった。その後、この「許可」がなされるまえにAが死亡するところとなった。このような場合、Aの相続人が相続する相続財産は、農地か、それとも残代金請求権という債権であろうか。（配点55点）

参考資料（条文は簡略化してある）：
農地法3条（農地又は牧草放牧地の権利移動の制限）
1項　農地について所有権を移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
4項　第1項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。

（3）余裕がある者は、行政法の学習や用語にかかわる川柳を作成してください。（加点要素10点）

１．出題年度　２００５年度春学期
２．科目名　行政法ⅠＢ
３．担当教員名　首藤重幸先生
４．問題文

Ａ法は、刑罰をって刀剣類の所持を禁止しているが、美術品や骨董品として価値がある刀剣類については、関係行政庁の許可を受けて所持できると定めている。２０００年１０月、甲は外国旅行で高価なサーベル（外国製の刀剣）をイギリスの骨董商人乙から購入する契約を締結し、帰国後に日本に配達されるように依頼して購入代金を全額支払った。
　同年１１月に日本に帰国した後に甲は、Ａ法やＡ法の実施規則等に何らの規定がないにもかかわらず、関係行政庁から、Ａ法で美術品等として許可対象となるのは日本製の刀剣類のみであるので留意されたいと書かれた通達があるのを発見した。
　以上のような事例のもとで、以下の問いに答えなさい。
（問１）通達は法規ではないといわれるが、行政法において「法規」とは、どのように定義されるか（配点１０点）。
（問２）通達の法的性質の特徴を、墓地埋葬関係通達に関する最高裁判決などを思い出しながら、記述してください（配点２０点）。
（問３）本件のような場合、サーバルの保管を外国の骨董商に依頼する一方で、日本国内で本件通達の違法性を裁判で争うことは可能であろうか（配点４０点）。
（問４）通達作成の事前手続きというようなものは考え得るであろうか（配点１０点）。
（問５）Ａ法に定める刀剣類の所持の許可を、あえて伝統的行政法学の行政行為論に従って、許可と特許のいずれかに分類しようとすれば、いずれの分類になるであろうか（配点１０点）。
（問６）そもそも、所持が認められる美術品・骨董品は日本製に限るというような通達を作成できるのであろうか（配点１０点）。

※本事例は、サーベル登録拒否事件（最判平成２．２．１・民集４４－２－３６９）を参考にして作題しているが、内容は完全に作り変えてあるので留意されたい。

１．出題年度　2004年度
２．科目名　行政法B
３．担当教員名　首藤重幸
４．
（試験時間90分、持ち込み一切不可）

以下の事例を読んで、その後に設定した問題に答えて下さい。解答用紙への記述については、各問題の番号を最初に明示してから、その回答をおこなって下さい。
（事例）A会社は、B市が管理する広大な都市公園の一部に、B市の許可を得てゴルフ場を建設し経営していた。B市は、この許可をおこなうについて、当市の近時の急速な人口増加や環境の悪化を考慮して、ゴルフ場部分を市民が一般的に利用できる広場にすることが必要になるかも知れないと考え、次のような条件を付けていた。すなわち、許可の期間は5年間とし、その許可期間の更新については、そのときの事情を総合的に勘案して検討するという条件である。その後、許可は1度は更新されるところとなったが、2回目の更新許可申請についてB市は更新を認めず、2回目の更新許可申請については拒否処分をおこなうところとなった。しかし、A会社はこの拒否処分を不服として、拒否処分がなされた後にもゴルフ場の営業を続けていた。

(問題)

(1)
行政法における行政行為としての「許可」という概念は、伝統的にどのような内容をもつものかを、行政行為としての「特許」との差異に着目しながら300字以内位で記述して下さい（配点15点）。

(2)
事例で登場する「条件」という表現は、行政法学の附款論における分類論でいえば、どのような類型に該当するであろうか。100字以内位で、その理由を述べて、類型を記述して下さい（配点10点）。

(3)
B市は、拒否処分の後も営業を続けるA会社に対して、都市公園の土地の所有権や管理権を基礎としてゴルフ場の明け渡しを請求した。しかし、A会社は明け渡しに応じなかったことから、行政代執行を行うことを検討し始めた。このB市の検討については、行政法学上、どのような問題があるかを200字以内位で記述して下さい（配点20点）。

(4)
拒否処分がなされた後も営業を続けるA会社は、都市公園の管理者の許可を受けないで営業をおこなうことを禁ずる都市公園法に違反するものとして起訴され、刑事裁判が開始された。この刑事裁判では、行政法学における「行政行為の公定力」の概念とその刑事裁判への射程距離をめぐって激しい議論が展開されるところとなった。
①
行政法学における「公定力」とは、どのような考え方なのかを300字以内位で説明して下さい（配点20点）。
②
この公定力は、本件の刑事裁判にどのような影響を与えるであろうかを300字以内位で記述して下さい（配点20点）。

(5)
A会社は、本件拒否処分が違法である根拠の一つとして、ゴルフ場の建設には多大な資本が投下されており、経営を開始してから10年では、その投下資本を回収できないとのことを主張していた。この主張を、憲法や行政法の一般理論の観点からどのように評価すべきかについて、これについての規定が都市公園法上にあるか否かに関係なく、考えるところを200字以内位で記述して下さい（配点15点）。

１．２００３年度　後期
２．行政法B
３．首藤重幸先生

(1)　以下の２つの用語を、簡単(解答用紙２～３行以内)に説明してください。
①　｢法規｣概念
②　行政強制におけるバイパス理論

(2)　以下の３題のなかから１題を選んで、詳細に論述してください。

①　行政行為の公定力が刑事裁判や国家賠償裁判に、どのような影響をおよ　　ぼすであろうか。

②　行政行為の附款論は、実際の行政領域において、どのような具体的事件　　のなかで、問題として登場するのだろうか。

③　行政刑罰における｢過失｣をめぐって、どのような問題が存在しているの　　であろうか。