債権総論　藤岡先生

１．出題年度　2005年度秋学期
２．科目名　民法Ⅱ(債権総論Ⅱ)
３．担当教員名　藤岡康宏先生
４．問題文
二問必答
問題１　不動産会社ＡはＢの依頼によりマンションを建てたが、残代金1000万円(甲債権)の支払をまだ受けていない。ところが、マンション完成前後からＡの経営は悪化し、年明け早々には、いまにも倒産しそうだとの風説が流れた。Ａに対し1000万円の融資をしているＣ及び500万円の売掛債権を有する仕入先メーカーＤは、この風説にあわて、急ぎ債権回収を図ることにした。ＣもＤも、ＡのＢに対する甲債権に目を付け、譲渡してもらうことにした。Ａは、この要求を断りきれず、ＣとＤに対して、相前後して、甲債権を譲渡した。ＡはＢに対して、Ｃへの債権譲渡については、1月10日付確定日付で通知し、Ｄへの債権譲渡については、1月11日付確定日付で通知した。

(1)Ｃへの債権譲渡とＤへの債権譲渡について、通知がＢに同時に到達したとする。この場合、Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ間に、どのような問題が生じるか。
(2)Ｄへの債権譲渡の通知が先に到達したとする。Ｂは、何かの間違いと思い逡巡していたところ、翌日にはＣへの債権譲渡の通知が届いたので、ＢはＣに対して弁済した。この場合、どういう問題が生じるか。

問題２　保障は危険な契約だといわれることがある。保証人保護のためにどのような措置が講じられているか。保証人保護の立場からみた保証契約の問題点について論じなさい。また、連帯債務における相互保証性とはどういう問題か。これについても、説明しなさい。

２００２　学年末

問題一　和風ファーストフード店で成功したAは早稲田界隈に新店舗をオープンするためBの空き地に目をつけ譲ってもらうことにした。売買契約のさいAの強い希望でCにBの保証人になってもらったが、Bは履行期が過ぎてもこの土地を引き渡そうとしなかった。Aはこの土地の取得をあきらめて契約を解除し、既払い代金の返還と損害賠償を請求した。Aに融資していたD銀行はこの事情を知り、このうちの一部500万円の債権を譲渡してもらってた。この債権譲渡についてBは（実は200万円分については既にAに弁済していたのであるが）Aから通知があったときなんらの異議を留めることなく承諾した。そこでD銀行は保証人Cに対して500万円の支払いを求めてきた。CはBの土地引渡を督促するのが保証人としての自分の義務だと考えていたから、D銀行からいきなり金銭を請求されてあわてた。
　CはD銀行の請求をはね返すためにどのように反論し、どのような手立てを講ずることができるか。このケースをめぐって検討されるべき問題点を指摘し、それを通じて保証法の特色の一端を説明しなさい。（50点）

問題二　債権に基づく妨害排除請求権について考えてみたい。物権に物権的請求権が認められることに誰しも異論を挟まないが、債権になぜ妨害排除請求権を認めることができるのか。その発生根拠および適用範囲について検討し、妨害排除請求権の展開の可能性について論じなさい。（債権侵害による不法行為の問題とも対比すること）　（50点）

２００１

～債権総論～（藤岡康宏）
　二問必答

　１．Ａは自己所有の土地をＢに譲渡したが、売買代金1000万円を受け取らないうちに死亡した。ＡにはＣ，Ｄの子がいるが、ＣはＡが生前土地を手放したことに不満をもち、Ｂから所有権移転登記請求に応じるつもりはないし、自営業を営むＤは倒産寸前の状況にある。Ｄはこの苦境を脱するためにＡから相続した売買代金債権500万円分を債権者Ｅに譲渡したが、その直後にもう一人の債権者Ｆにも同一の債権を譲渡し、いずれの譲渡についてもその旨Ｂに通知した。このような事実関係において、ＥないしＦは譲り受けた売買代金債権の回収を図ることができるであろうか。問題点をあげて検討しなさい。

　２．詐害行為取消権の制度趣旨と法的性質について検討し、この制度はどのようなものとして運用されるべきものであるのか、問題点をあげて論じなさい。