相続法　米倉先生

※旧科目名

２００１

相続法　米倉先生-

　次の二問中、一問を選択して答えなさい。両問に解答した場合には、両問とも採点されません。

一、甲が死亡し、AB２人の子が相続したが、Aは相続を放棄した。Aは無資力とする。
（ア）Aの債権者Xは、Aの放棄は詐害行為取消の対象となると主張している。
　　　この主張は成り立つかどうか、答えなさい。
（イ）ABとも相続放棄せず、遺産分割協議の結果、Bに甲の全財産を集中させ
　　　ることにした。Xはこの分割協議につき、（ア）と同様の主張をしている。
　　　この主張は成り立つかどうか、答えなさい。
（ウ）右の（ア）で肯定（否定）の立場をとるのであれば、（イ）についても、
　　　それと歩調をあわせて、肯定（否定）の立場がとられるべきだという
　　　見解は的を射ているといえるか、吟味してください。

二、Aは受取人を「A死亡後は相続人とする」と指定した生命保険契約（保険金額三千万円）を締結し、保険料を支払ってきた。次いでAは血縁関係のないXに対し、公正証書証言で、全財産を与えた。続いてAは死亡し、相続人としてはB（兄、全血）C（姉、半血）の二名がある。
（ア）AにはBCのほか、全血の弟で、Aの生前にAと血縁関係のないYの
　　　特別養子になったDがある（離縁にはいたっていない）。
　　　保険金をAの相続人の間で分けるとすると、各人の取り分はいくらに
　　　なるか。
（イ）Xは保険金は全額Xに支払われるべきだとして、次のように主張している。
　　　(1)(2)それぞれ吟味しなさい。
　(1)Xは遺贈の結果、相続人となった（九九〇条）。Xが全財産を取得した
　　　ので、Aの相続人は何も取得できず、X１人が相続人である。Aの相続人
　　　には遺留分がなく、かえって、Aの相続人となったXこそが遺留分を有する
　　　くらいである。
　(2)受取人を相続人と指定したからには、Aの死亡により、保険金はAの
　　　相続財産に帰属し、次いで、相続人たるXに移転する。