倒産法

１．出題年度　　２００６年度秋学期
２．科目名　　　倒産法
３．担当教員名　加藤　哲夫先生
４．問題文　　

１　次の事項から一題を選んでそれを説明しなさい。解答するにあたっては選択した事項の番号を明示してから論述しなさい。なお、両方を解答した場合には採点の対象になならないので注意してください。　配点３０点

①　抵当権の破産手続き上の地位
②　詐害行為否認の存在理由

２　次の設例一およびニを読み、Ｘの相殺の可否を論じなさい。解答にあたっては、設例一とニの区別を明示しなさい。

設例一
Ｘは洋品メーカーであるＹ株式会社に対して５００万円の貸付金債権を有している。Ｙ社は業績が悪化してその振り出した手形が不渡りになり、その後破産手続開始の申立てをなした。Ｙ社につき手形の不渡りがあった後に、ＸはＹ社の業績の悪化を奇貨として、Ｙ社が製造した３００万円相当の衣服を買い受け、その代金債務は後日払うとの約定をＹ社との間でなした。その後にＹ社が破産手続開始の決定を受けたために、Ｘは管財人甲に対して、ＸがＹ社に対して有する貸付金債権を自動債権として、Ｘの負担する売買代金債務を受動債権として、相殺する意思表示をなした。

設例ニ
Ｘは洋品メーカーであるＹ株式会社に対して５００万円の貸付金債務を負っている。Ｙ社は業績が悪化して、その振り出した手形が不渡りになった。その後、ＸはＹ社に対して３００万円の売掛債権を有しているＺから自分の債権を買ってくれないかと相談を持ちかけられた結果、ＸはＺからその債権を譲り受けた。その後にＹ社が破産手続開始の申立てをなし、破産手続開始の決定を受けたために、ＸはＺから譲り受けた債権を自動債権として、Ｙ社に負担していた債務を受動債権として、管財人甲に対して相殺する意思表示をなした。
〔解答するにあたっての注意〕
この試験の解答に当たっては配布する資料を除いて、一切の文献を参照することはできません。

２の参考規定
破産法７１条と７２条が載っている。
ちなみにこの試験は六法が持ち込み可でした。

１．出題年度　　2004年度　秋学期
２．科目名　　　倒産法　
３．担当教員名　加藤哲夫
４．問題文

一　次の事項から一題を選んで、それを説明しなさい。解答するに当たっては、選択した事項の番号を明示してから論述しなさい。　【配点30点】

　１　破産手続開始の効果
　２　破産財団
　３　破産管財人の役割

二　次の説例を読み、Ａ株式会社のＸ銀行に対する弁済行為についての否認の可否を論じなさい。この場合に、新破産法（2005年1月1日施行）と旧破産法における否認制度の異同を明らかにし、それを前提とした上で論じなさい。　【配点70点】

　【説例】
　　繊維製品の製造業を営むＡ株式会社は、2003年12月1日に、その全額を2004年6月1日に返済する約定で、Ｘ銀行から1,000万円を借り入れた。2003年3月頃からＡ社は売れ行き不振に陥り、資金繰りが次第に苦しくなりつつあった。
　　その後、2004年5月中旬頃には、Ａ社の従業員に対する給料の遅配やＡ社と取引のある原材料納入業者に対する代金決済の滞留が生じていた。しかし、Ａ社は、資金繰りがきわめて苦しい状況にあったにもかかわらず、これまで長い間にわたって取引先銀行であったＸ銀行に対しては、今後の運転資金の貸し出しをも期待して、借り入れた1,000万円を、約定の返済期日である2004年6月1日に、約定の通り返済した。
　　その後、Ａ社の資金繰りはさらに悪化し、同年6月20日にＡ社振出しの手形が不渡りになり、その翌日である21日に、Ａ社は、破産手続開始の申立てをなした。
　　2004年7月10日に、Ａ社につき破産手続開始の決定があり、甲が破産管財人に選任された。破産管財人甲は、Ａ社が破産手続開始前の2004年6月1日になしたＸ銀行に対する弁済行為について、否認権を行使すべく調査を始めた。

【解答をするに当たっての注意】
　この試験の解答に当たっては、配布する資料を除いて、一切の文献を参照することはできません。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上

※この問題文のほかに、以下のような参考条文が配布されました。
【問題２に関する参考条文】
①旧破産法の条文	※旧破産法　第72条1号～5号までの条文を掲載
②新破産法の規定	※新破産法　第160条～第162条までの条文を掲載

１．２００３年度　後期
２．倒産法
３．加藤哲夫先生
※破産法の規定の一部を資料として配布。

一　次の事項から一つを選んで、説明しなさい。なお、解答にあたっては、選択した番号を明示した上で、論述しなさい。　【40点】

1　破産免責
2　流動比率と当座比率
3　破産原因
4　否認権

二　次の設例から一題を選択して、授業での内容をふまえて、その設例における倒産法上の問題点を提示した上で、その問題点についての自説を明らかにしなさい。なお、解答にあたっては、選択した番号を明示した上で、論述しなさい。　【60点】

設例1
　Aカントリー株式会社は、資本金1億2000万円のゴルフ場会社である。まだオープンしていないが、会員権（個人会員1口7000万円）を販売しており、すでにこれを500人が購入している。しかし、同社の代表取締役甲が納金された金員を個人目的のために消費したため、資金繰りが悪化し、ゴルフ場の造成資金さえも支払える状態にはなかった。負債額は120億円で、資産額は80億円程度である。倒産した時点ではバブルが崩壊し、ゴルフ場業界の先行きは必ずしも良いとはいえない状況にあった。また、ゴルフ場の造成は六割方終わっている程度で完成までにさらに追加の資金が必要であると考えられる。会員権購入者も、会員権の販売に詐欺があるとして支払った金銭の返還を強く求めている。

設例2
　XはY電器との間で冷蔵庫一台を10万円で売買契約を契約した。Xは売買契約の手付金として1万円を支払っただけで、冷蔵庫の引渡は受けていなかった。そうこうしているうちに、Yは支払停止となり、破産申立ての後に破産宣告を受けた。

※解答にあたっては、配布した資料を除いて一切の文献を参照することはできない。

２００２年

倒産法（加藤哲夫教授）

一、次の事項から一つを選んでその事項の内容を説明しなさい。なお、解答にあたっては、選択した番号を最初に明示しなさい。【配点四〇点】
①支払停止
②破産における相殺制限
③別除権
④Debtor In Posession

二、次の事例のうちから、一題を選択して、その事例について考えられる問題点を提示し、提示した問題点に関する自分の考え方を述べなさい。なお、解答にあたっては選択した事例の番号を最初に明示しなさい。【配点六〇点】

■事例番号①
Xは、自宅の改築を考え、大工Aに改築を依頼し、Aとの間で建設請負契約を締結した。工事見積額の初回金（一割相当額）二〇〇万円をAに支払い、建築工事が開始された。ところが、家屋の基礎工事が終了した段階で、Aが破産宣告を受け、裁判所により管財人にYが選任された。

■事例番号②
X銀行は、その取引先である甲株式会社代表取締役であるAより、運転資金として五〇〇万円を融通してもらいたいとの依頼を受けた。審査の結果、申し込みのあった資金を融通することとしたが、甲会社の先行きが不透明な所もあったため、X銀行は、A個人が右会社の債務の保証人になれば融資したいと提案したところ、Aはこれに同意した。それを受けて、X銀行は、甲株式会社に融資を実行した。その後、Aは個人的な株式投資の失敗から、破産宣告を受け、Yが管財人に選任された。相前後して、甲株式会社も経営の失敗から破産宣告を受け、Zが管財人に選任された。
なお、甲株式会社は、Aの親族が取締役になっている、いわゆる同族会社である。