なのはStS×SIREN4話

 ―Lylycal Nanoha StrikerS × SIREN 〜Welcome to Hanyuda vil〜― part4

 ルーテシア  羽生蛇村小学校折部分校/校庭
         初日/1時07分17秒

「ガリュー……来ないのはなぜ……」
 何度も召喚を試みても……ガリューは全く姿を現さず、何事も無かったかのように魔方陣は消滅……。
 アギトにガジェット、さらにはジライオウやハクテンオウを召喚しようとしても……結果は同じ。
 アクスレピオスが反応して、魔方陣が発生するものの……すぐに消滅……。

 今までこんなことは無かった。
 正直……戸惑うばかりだった。
 あたしはただ、内心おろおろしながら、その場に立ち尽くすだけだった。

 思えば……始まりはあのサイレンだったかもしれない。

 機械が発する音とというよりか、何かしらの獣が発する咆哮に似ている気がした、あの音が鳴り出してから……。
 空に浮いていたあたしの体は、なぜか下に向かって落ちていった。

 ウーノの妹達も同じように……地面に向かって墜落していったみたい。
 そして、あたしはそのままどこかの木の茂みに突っ込み……気絶していたみたい。

 目を覚ますと、前には2階建ての建物。
 この世界ではよくある建物のようだが……所々の窓が木の板で塞がれているみたい。
 さらには耳を澄ますと……何かを打ち付ける音が聞こえる。

 誰かいるの……?

 一人でいるのは……どこか不安だった。
 あたしはすぐさまガリューを召喚しようとしたが……結果は先程のようになったというわけ。

 そういえば……ウーノの妹達もどこかにいるのだろうかとも思い、反応を探ったが……今のところ近くにいる気配は無い。

 あたしはため息を一つついて……どうしようかと思っていた……その時。

「はるみちゃん、こっち!」
「うん……怖いよ……」
 そんな話し声とともに、人影が二つ――大人と子供らしい?――が、建物の中に駆け込むのが見えた。
 表情までは見えなかったが……何か異変がこの周囲に起こったのが多少なりともうかがえる。

 一体何が……と、思ったその時だった。

 ……はぁはぁはぁ……。
 背後から荒い息の音がした。
 慌ててあたしは振り返った。

「……うひひひひひぃぃぃ!」
 そこにいたのは……
 息を荒げて……鑿を手にした……
 服はボロボロで……
 顔は青白く……目から赤い液体を流している……

 ……生きているとは思えない……不気味なにやつきを見せている……人間……!

 鑿には赤い液体が滴り落ちている……!?

 な、何?
 あたしは思わず、目の前の異様な人影に身じろいだ。

「……よそものは……出て行けぇぇぇ!」
 同時に……鑿が勢いよくあたしに向かって振り下ろされた!

 咄嗟に横に見をそらした直後、背後にあった木箱に鑿が深々と突き刺さる!

 こ、殺す気なの……こいつは……?
 あたしはほんの一瞬、そいつが懸命に鑿を抜こうとしているのをじっと眺めていたが……

 ――このままでは……やられる!

 あたしはすかさず、魔法をそいつに向けて放った。

「ぐああああああ!」
 人間が発するとは思えない、甲高い絶叫を上げて、そいつはその場に蹲った……。
 が……。

 ――!?
 魔法を放った途端に……やけに胸が苦しくなった。
 息苦しくなり、思わずその場に倒れそうになる。

 こ、こんなことって……?
 これまでなら何事もないはずなのに……何故こんなに疲れるの……?
 あたしの体を襲った突然の疲労に、戸惑いを隠せない。

 ふと、目の前で蹲っている、あたしを襲った人間を目にする。
 動く気配はまったく見せない。

 今の一撃で、普通の人間なら重症を負うのは間違いない。
 ひょっとしたら、絶命したかもしれないが……それはそれでやむを得ない。

 やがて、激しい動悸が収まりかけ、その場を離れようと背を向けた。

 その時!

「……よそ者は……出て行けぇぇぇぇ!」
 まるで獣の雄叫びのような絶叫をあげ、そいつは何時の間にか立ち上がっていた。
 そして、あたしに鑿を振り下ろそうとしている!

 すかさず、背後に飛びのき、再び魔法を放とうとするが……
 ――アスクレピオスは何の反応も示さない!
 ただ、沈黙したままだった。

 ど、どうなっているの……!?

 今この場で起こっている事態が……あまりにも信じられなかった。
 やけに混乱してしまい、思わずその場に立ちすくむ。

 逃げなきゃ!
 警鐘が頭の中で鳴り響いているものの、体がまったく動かない!
 頬を冷汗が……ゆっくりと伝わるのが感じられた。

 そうしている間にも……そいつはあたしに鑿を振り下ろし出して……!

 ―to be continiued―

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2007年07月27日(金) 17:31:06 Modified by beast0916




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