リリカル龍騎11話

「カード復活!?おま、そんなの有りかよ!?」
「目には目、歯には歯、反則には反則だよ」
 デストワイルダーがガイを捕らえる。そしてタイガの方へと引きずっていった。
その当のタイガはデストクローを構えている。腹に突き立てるつもりだ。
「くそ…殺られてたまるかよ!」
 だが、ガイも黙ってやられはしない。一枚のカードを取り出し、バイザーへと放り込んだ。
『ADVENT』
 メタルゲラスが再び現れ、デストワイルダーを弾き返す。そして、メタルゲラスがデストワイルダーとの戦闘を始めた。
「く…あれ?あのライダーは?」
 ガイがいない。どうやら逃げたようだ。
「帰ったのか…ま、いいや」
 タイガはそう言うと、ミラーワールドを出て現実世界へと戻っていった。

「ったく、こいつまだ寝てるよ」
 翌朝、眠っている真司の部屋にヴィータが現れる。どうやら起こしに来たようだ。
「さぁて、今日はどうやって起こすかな?」
 いや、あの…頼むから穏便な起こし方にしてくださいね?
そしてヴィータは何かを思いついたらしく、物置へと向かう。
1分ほど後、一枚の布をマントのように身につけ、ヴィータが戻ってきた。
そして真司の部屋にある椅子や鞄などを積み、その上に乗る。
次の瞬間、ヴィータが跳んだ。そして落下までに布をドリルのように纏い、回転を始める。
どこからどう見てもナイトのファイナルベント技『飛翔斬』だ。起こすのにこんな大技使うなと言いたい。
回転をし始め、真司に向かって落下していき、そして…
「起きろぉ!」「ごはっ!」
 直撃である。
「起きねーとギガントで潰しちまうぞー…あれ?真司?おーい…」
 少しおかしいと思い、ヴィータが真司を見ると…白目をむいて痙攣していた。泡まで吹いている。
さすがにやばいと思い、青ざめる。そして、
「シャマルゥゥゥ!真司が大変だ!早く来てくれぇぇぇぇ!!」

第十一話『完全復活』

「ヴィータ、さすがにあれはやりすぎやと思うで」
 現在の状況を簡単に説明しよう。
真司を起こそうとしてあれだけの状態にしたことは、すぐに八神家全員の知るところになった。
で、正座したヴィータに向かってはやてが説教をしている状態である。
ちなみにシャマルは真司の手当てをしている…あ、目を覚ました。
「…あれ?俺…」
「あ、気がついたのね。えっと…実はかくかくしかじかで」
 これで通じるのだから物語とは便利である。
そして事情を理解した真司がはやてを止めに入った。
「まあまあ、はやてちゃん。ヴィータも反省してるみたいだし、その辺で…」
「…せやな。被害受けた真司君もいいって言ってるみたいやし、もうええやろ。
ヴィータ、ちゃんと謝っとき」
 そう言われ、ヴィータが真司に向き直る。
「…真司、さっきは悪かった」
「ごめんなさいは?」
 横からシャマルが口を出す。
「…え?」
「『ごめんなさい』は?」
「…ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
 どう見てもモモタ○スです。本当にありがとうございました。

 その数時間後、アースラ食堂。
「しっかし、平和だねぇ」
「確かにな…モンスターはたまに出ることさえ除けばの話だが」
 クロノとエイミィは、平和を享受しながら昼食を取っていた。
ちなみに、クロノはきつねうどん、エイミィはカレーを食べている。
「それはそうだけどさ、でも今ならモンスターくらい、結構簡単に倒せるでしょ?なら問題ないって」
「それはそうだが…」
 ヴィー!ヴィー!ヴィー!
 アラートサイレンが鳴り響く。何かが起こったようだ。
「エイミィ!」
「分かってるよ、クロノ君!」
 二人揃って艦橋へと急ぎ向かった…
と思ったら、クロノが戻ってきて代金を払って行った。どうやら代金を払うのを忘れていたらしい。
そして艦橋にて。エイミィがすぐにオペレーター席につき、オペレートを始める。
「この反応…モンスターじゃない!傀儡兵が多数出現!」
「傀儡兵だって?迂闊だった…最近出ないから忘れていたな」
 そう、どういう訳かミラーモンスターが出始めた頃、それに反比例するかのように傀儡兵の出現が減っていったのだ。
そしてここ最近は全く出ないので、みんな忘れていたようだ。
「…と、とにかく、なのはさん達に連絡して傀儡兵の迎撃を!」
 指示を出すリンディ。それまでに多少間があったことから、彼女も傀儡兵を忘れていたのだろう。

「ん?なんか外が騒がしいな。真司、お前ちょっと見て来い」
「あ、はい。分かりました。じゃあ行ってきます」
 そう言うと真司は、鞄を持って外へと駆け出していった。
そして外が見えたとき…驚きで鞄を落とした。
「何だよこれ…鎧?」
 傀儡兵がいる。それも大量に。そして、そのうちの一体が真司へと向かってきた。
「くっ、このっ!」
 とりあえず向かってくる傀儡兵を蹴り飛ばし、鏡を探す。だが、それより先に傀儡兵が真司へと迫る。
やられる。真司がそう確信した次の瞬間、向かってきた傀儡兵数体が両断された。
傀儡兵が崩れ落ちた向こう側には、それを行った張本人、フェイトがいた。
「真司、大丈夫?」
「あ、ああ。こいつら一体何なんだ?」
「これは『傀儡兵』。魔力で動く鎧みたいなものかな」
「そうか…こいつらは敵ってことでいいんだよな?」
 黙ってうなずくフェイト。それを見た真司は編集部へと駆け戻る。
「遅えぞ真司。で、どうだったんだ?」
「と、とにかく隠れてください!」
 真司のただならぬ様子に、ただ事ではないと察する一同。
「まさか…モンスターが出たの?」
「似たようなもんです!じゃ、俺はそいつらと戦ってきますから!」
 そして編集部の窓ガラスにカードデッキをかざし、右腕を左上にピンと伸ばす。そして、
「変身!」
 Vバックルにカードデッキを装填し、龍騎へと変身。そして窓を開け、一枚のカードをバイザーに装填した。
『SWORDVENT』
 窓からドラグセイバーが飛来する。それをキャッチした龍騎はこう言った。
「じゃ、行ってきます」
 そう言うと、その開いていた窓から飛び降りた。驚いてその窓に駆け寄る一同。
そこから見えた光景は、傀儡兵の集団と、それを片っ端から両断するフェイト。
そして飛び降りてから着地までの間に傀儡兵をなぎ払う龍騎の姿だった。
「準備はいいね?じゃあ行くよ!」
 フェイトが着地した龍騎にそう言い、そして傀儡兵の集団に飛び込んだ。

 その頃、翠屋では。
「何て数なの?これじゃキリが無いよ…」
「確かに。これは少し骨だ」
 なのは・ライア・ユーノが同じく集団を相手に戦っていた。
この日は偶然翠屋にアリサとすずかが来ていて、この二人となのはの家族を守りながらの戦いとなっている。
それぞれが傀儡兵よりはるかに上の実力があるといっても、数が数。さらに家族や友人を守る必要がある分、多少不利だ。
まあ、それでもかなりの数を減らしたのだが。
 パリィィン
翠屋の方から窓が割れる音。傀儡兵が入り込んできたのだ。
「まずいよ!あそこにはまだアリサ達が残ってるのに…」
 だが、次の瞬間、その傀儡兵が何かに貫かれた状態で飛び出してきた。
その傀儡兵を貫いている物体に、なのはとライアは見覚えがあった。
「あれは…オメガゼールの杖?何でこんな所に?」
 そう、かつて戦ったモンスター『オメガゼール』が使っていた杖だ。
そして、他の傀儡兵の数もどんどん減っていっている。それを遂行しているのはモンスターの群れだった。
「どういう事だ?なぜモンスターが傀儡兵を…」
「…お見事。いい腕ね、佐野さん」
 中から聞こえたアリサの一言が、その疑問を解消することになった。
それを言った時、近くから人影が現れる。
「アリサちゃんを守るように、って念を押されてますからね」
 その人影が姿を現したとき、モンスターとその『佐野』の関連が分かった。
その佐野とは、銀の仮面に茶の鎧、そして二本の角を持つライダー、『インペラー』だった。
「じゃ、俺も行くか」
 そう言うと、インペラーは飛び上がり、数体の傀儡兵を蹴る、蹴る、蹴り飛ばす、蹴り壊す。
着地後、カードデッキから一枚のカードを取り出し、足のギガバイザーに装填した。
『SPINVENT』
 そして大きな二連ドリル『ガゼルスタッブ』を手に、さらに片っ端から穿つ。
「ユーノ君、手塚さん、私達も負けてられないよ!」
 そう言ったなのはが、レイジングハートを構える。
『Load Cartridge.』
「ディバイィィィン…バスタァァァァァァ!!」
『Divine buster. Extension.』
 特大のディバインバスターが、傀儡兵を一気に消し去った。
よくロボットアニメなどで、特大のビームで敵の群れを蹴散らす演出があるが、今のはちょうどそんな感じである。

 それから30分ほど後、あらかた片付いたので一度全メンバーが合流していた。
「しかし、久しぶりに現れたと思ったらこの大群、一体何が起こってるんだ?」
 クロノが率直な疑問を口にする。その直後、エイミィから念話が入った。
『どうも、その原因が出てきたみたいだよ。
海鳴市の近くの海に、大きな魔力反応。その近くには大物モンスターの反応もある』
「何だって?分かった。すぐに…」
『待って!その魔力反応、そっちに近づいてる。多分戦うことになるんじゃないかな…気をつけて』
「そうか…分かった。みんな聞いたな?」
「いや…俺には何のことだか…」
 そう言って手を上げる真司。
「…そうか、ライダーとはいっても、魔力があるわけじゃないんだったな」
 そしてクロノが真司に今の念話の内容を説明した。
多分手塚や佐野にも聞こえていなかったのだろう。二人ともその念話の内容を今聞いたような表情をしている。

『大きな魔力反応、来るよ!』
 そのエイミィの言葉とともに、翠屋付近の空間が歪んだ。
そして、その歪みから現れたのは…P.T事件の関係者なら知っている、しかしこの場にいるのが信じられない存在だった。
「母…さん…!」
 そう、現れたのはプレシア・テスタロッサだった。

   次回予告
「プレシアァァァァァ!!」
「勘違いするな、俺はそのライダーを倒しに来ただけだ」
「傀儡兵呼んでたのこいつだったのか!」
「それじゃあ…死になさい」
仮面ライダーリリカル龍騎 第十二話『プレシア・テスタロッサ』

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2007年06月15日(金) 17:43:51 Modified by beast0916




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