本家保管庫の更新再開までの暫定保管庫です。18歳未満立ち入り禁止。2013/2/15開設

何でオレはこんなトコにいるんだろう。
古市はふと考えたが、元々深い思索をするたちではないので、すぐに忘れた。
目の前にはゲットした変なぬいぐるみを持ってはしゃいでいるラミア。そもそもの目論見とは全然
違うし、こんなことしてる場合じゃないのにと思いながらもつい言いあぐねている。
「ねー、次あれ。あれ取ってよ!」
ラミアはそんな古市の気も知らず、別のぬいぐるみを見つけて指をさしている。
「あのなあ、何でオレがお前に付き合わなきゃなんねーんだよっ」
本当なら今頃はヒルダの側にいる筈だったのに、どうしてラミアとゲーセンにいるんだろう。元々
流され体質だからだということに気付かないのは古市の不幸でもあるし、ある意味幸福なこと
でもある。結果的には良かったと都合良く変換出来るからだ。
「ふーん、アンタがヒルダ姉様に見向きもされないから、こうして付き合ってやってんでしょ。感謝
しなさいよ」
「何だとコラ」
ラミアの口調はあくまでも憎らしいが、こうして楽しんでいるところを見る限りは悪くない気分にも
なってくる。
「…ま、いいや。どれが欲しいんだ」
「えーとねえ、アレとぉ、コレ」
よりにもよって、山積みされたぬいぐるみの中で一番難しい位置にあるものを欲しがっている。
「げっ」
一瞬怯んだものの、ラミアの言葉で奮い立った単純な古市だった。
「こーいう時に勝負強い人って、ヒルダ姉様は好きかもよ」
「そ、そうか?」
「うんっ」
乗せられているのは分かっていたが、やっぱり悪い気はしない。同時にこんなに喜んでいるなら
もっと喜ぶ顔が見たい気がした。
こいつ、ちょっと可愛いんじゃね?
端から見ればデートとしか思えない場面だったが、それならそれでいいかとも思えている。

そんな二人のいるこのゲーセンが、石矢魔のダメンズ勢揃いの様相だと知るのはそれから間も
ない話。



終わる

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