本家保管庫の更新再開までの暫定保管庫です。18歳未満立ち入り禁止。2013/2/15開設

例のロリコン疑惑の一件から、古市は日々の不当な扱いの不満を持て余し気味だった。
だからつい、ラミアを見かけたその時から喧嘩口調のように絡んでしまったのだ。

「……ふざけんじゃ無いわよ!童貞の癖にっ!」

そして事の発端はラミアのほんの些細な一言からだった。

「ほーう」
「…な、何よ…」

先程までムキになっていた古市は、その一言から態度を急変させてニヤニヤとラミアを見回す。

「お前、俺を童貞扱いするって事は相当な経験をお持ちって事だな」
「そ、そんな、う…」
「きっとそうだろうなーじゃないと言えないよなー」

外堀を埋めるように、確実に追い詰めていく。
見るからにラミアが経験豊富には見えなかったが、面白半分に、日頃の鬱憤を晴らすように古市はネチネチ絡み続けた。

「な、によぅ……」
「ほーう、ふーん、へぇーえ」
「むぅ……」

たまり兼ねたように、ラミアの瞳からは涙が溢れ始める。

「……そこまで追い詰めること無いじゃない!……ばかっ!」

げ。ヤバイぞと一瞬焦ると同時に、涙は簡単に決壊して頬を流れ伝う。
あちゃーと古市は頭を軽く押さえつけた。

「お、おい泣くなよ……」
「ふぇーん、ぐすっ、…見ないでよバカぁ」

兄妹喧嘩でも、妹に泣かれたら折れてしまう古市は、正直女の子の涙が嫌いだ。
泣かれると煩いし、困るし、何よりもラミアは笑顔の方が可愛い、と心の端で思う。

「あのさ、悪かったよ」
「ふん…」
「…ちょっと意地悪してみただけだからさ」

涙で重みを増した長い睫毛が伏せるように瞬く。
何度もポロリと零れる涙を、無意識のうちに古市は指で拭った。

「そんな顔するなよ」
「………!!」

ふと見上げた古市の顔が、思いの外近くてラミアは赤面する。
優しく涙を拭う手は、大きくておもわずドキドキと心拍数を上昇させた。

「ごめん。俺が悪かった。……なっ?」
「……しょーがないわね」

許してあげる、とまたそっぽを向くラミアに古市はこいつ…!とまた頭に青筋を浮かべかけてやめた。
もう涙は流れて居ない変わりに、顔を真っ赤にして制服のズボンの裾を掴んでいる小さな存在が、やたらと可愛く思えたからだ。

「……俺はロリコンじゃねー…」
「?…どうしたの?」

これは妹的な?保護者的な?意味でやましい気持ちは一切無いっ!
一人の男の心境など知らず、ラミアは古市の手を引っ張るように歩き出す。



「ねぇ、またゲームセンターでぬいぐるみとって!」
「しゃーねーなぁ」

歩幅を合わせるように古市も歩き出した。
そんな二人の姿は、兄妹と言うより恋人同士のデートに近いものであったと言う。




END

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