カンボジア記 No.6
田舎町シェムリアップから、首都であり大都会であるプノンペンへ。
バスで約５時間、料金は４ドル。
バスを降りるとバイクタクシーとゲストハウスキャッチの大洗礼を受けた。
人も車もバイクも建物もシェムリアップとは桁違いで、
その喧騒とした街の様子に、早くもグワッと疲れてしまった。
真面目なカンボジアの歴史の話。
１９７６年から７８年まで、ポルポトという凄まじい政治家の政権の下、
カンボジアは暗い時代に包まれていた。
自分が生まれる６〜７年ぐらい前の話だ。
このポルポトという男、毛沢東の思想に被れていたということらしいが、
とにかく「完璧な国家」というものを作ろうとしたらしい。
「完璧な国家」。それは反逆者のいない国家。
それを目指した彼が行なったのは、史上まれに見る大規模な粛清であった。
嘘か本当かは問わず、ほんの１ミリでも疑いをかけられた者は、次々に収容所に放り込まれた。
その収容所の一つが、現在「ツールスレン博物館」というものになっており、訪れることができる。
なんの変哲もない元々学校であった建物が、ポルポト時代、悲惨極まりない地獄となった。
建物の中には独房がたくさん作られていた。
国家とはなにか。
正義とはなんだ。
この世に生を受けた意味とはなんなんだ。
☆ ☆ ☆
ポルポト時代には、伝統的な文化も破壊された。
クメール文化の華「アプサラの踊り」。
９世紀に生まれた宮廷舞踊だ。
「地球の歩き方」によると、
＞踊り子は王室古典舞踊学院で養成されていたが、ポルポト政権時代に、３００人を超す先生や踊り子のうち、９０パーセントもの人々が処刑の対象となってしまった。振り付けが記録された書物も、このときにはほとんどが消失した。
とある。
人々の営みとは、文化や伝統の継承という歴史の連続性があることに意味がある。その縦糸をドス太いはさみでポルポトは断ち切ろうとした。
しかし現在、喜ばしいことに、そのアプサラが少しずつ息を吹き返している。
プノンペンの「ヴァイヨ・トンレ」という小さなレストランで、そのダンスショーを鑑賞できるという話を聞いて、足を運んだ。
踊りや動きや衣装の一つ一つの意味は詳しくは分からないけれど、
伝統舞踊が受け継いできた歴史というものを強く肌で感じることができた。
文化観光とは、遠い国の古い人々との対話であるのかもしれない。
アプサラはまだ再び立ち上がったばかりの不安定な状態ではないだろうか。
若い世代に継承していくことが、いまここで必要なことなんだと思う。
人がいない、すぐやめてしまう、伝統舞踊や伝統文化は常にこの悩みにさいなまれている。
しかしそれでも子供たちが一生懸命に踊る姿に、この国の希望を見た。
つづく。
バスで約５時間、料金は４ドル。
バスを降りるとバイクタクシーとゲストハウスキャッチの大洗礼を受けた。
人も車もバイクも建物もシェムリアップとは桁違いで、
その喧騒とした街の様子に、早くもグワッと疲れてしまった。
真面目なカンボジアの歴史の話。
１９７６年から７８年まで、ポルポトという凄まじい政治家の政権の下、
カンボジアは暗い時代に包まれていた。
自分が生まれる６〜７年ぐらい前の話だ。
このポルポトという男、毛沢東の思想に被れていたということらしいが、
とにかく「完璧な国家」というものを作ろうとしたらしい。
「完璧な国家」。それは反逆者のいない国家。
それを目指した彼が行なったのは、史上まれに見る大規模な粛清であった。
嘘か本当かは問わず、ほんの１ミリでも疑いをかけられた者は、次々に収容所に放り込まれた。
その収容所の一つが、現在「ツールスレン博物館」というものになっており、訪れることができる。
なんの変哲もない元々学校であった建物が、ポルポト時代、悲惨極まりない地獄となった。
建物の中には独房がたくさん作られていた。
国家とはなにか。
正義とはなんだ。
この世に生を受けた意味とはなんなんだ。
☆ ☆ ☆
ポルポト時代には、伝統的な文化も破壊された。
クメール文化の華「アプサラの踊り」。
９世紀に生まれた宮廷舞踊だ。
「地球の歩き方」によると、
＞踊り子は王室古典舞踊学院で養成されていたが、ポルポト政権時代に、３００人を超す先生や踊り子のうち、９０パーセントもの人々が処刑の対象となってしまった。振り付けが記録された書物も、このときにはほとんどが消失した。
とある。
人々の営みとは、文化や伝統の継承という歴史の連続性があることに意味がある。その縦糸をドス太いはさみでポルポトは断ち切ろうとした。
しかし現在、喜ばしいことに、そのアプサラが少しずつ息を吹き返している。
プノンペンの「ヴァイヨ・トンレ」という小さなレストランで、そのダンスショーを鑑賞できるという話を聞いて、足を運んだ。
踊りや動きや衣装の一つ一つの意味は詳しくは分からないけれど、
伝統舞踊が受け継いできた歴史というものを強く肌で感じることができた。
文化観光とは、遠い国の古い人々との対話であるのかもしれない。
アプサラはまだ再び立ち上がったばかりの不安定な状態ではないだろうか。
若い世代に継承していくことが、いまここで必要なことなんだと思う。
人がいない、すぐやめてしまう、伝統舞踊や伝統文化は常にこの悩みにさいなまれている。
しかしそれでも子供たちが一生懸命に踊る姿に、この国の希望を見た。
つづく。
2006年06月19日(月) 12:40:37 Modified by c037022g
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