第９６章
南の楽園タオ島、最後の夜だったんだ。
浜辺に座って僕らは語り合っていた。
満天の星空、微かな波音、果てしなく続く海の向こうの世界。
いつだってそうさ。
旅の終わりは、どうしようもなく感傷に浸りたくなる。
１つの旅を終え、またいつもの日常に戻る前に、
今ここにいることの意味を問いかける。
そして答えなんて全くなくて、でも確かにそこにあるような気がするんだ。
翌朝、というより夜明け前の早朝。
僕らは２棟別々のコテージに泊まっていたが、
僕のコテージの方、ドアをドンドン叩く音がした。
「…大変だ！」
入ってくるなり、あっちのコテージに泊まっていたシノダ君が慌ててコトバを置く。
何事かと思って、あっちに向かったら、
メンバーの１人が呻き声を上げて、ベットで苦しんでいる。
事態はなんとなく深刻。
「どうしたん？」
「３時くらいに突然起き出してトイレに向かってゲーゲーしてたんだよ。
それからずっとこんな感じ」
食中毒？大丈夫かい？
「足がしびれる…」
これはマズーイぞ、よからぬ展開だ。
大都市バンコクならまだしも、こんな島に適切な医療を受けられる場所はあるのか？
しかも我々は今日の午前中にこの島を船で出発してバンコクに戻らないと帰国便の時間に間に合わない。
この島でサーファーショップを経営してる日本人の人たちのところへ相談にいく。
「船着場の前の診療所の看護婦さんは正規な資格を持ってるから、そこに行きなさい。」
ありがたい。こういうときこそ人の力というものは偉大だと実感する。
小さな診療所ではあったが、清潔感もあり、室内が涼しい。
看護婦さんに、昨夜からの症状がどうであったかを話す。
こういうとき英語が使えないと、正確に伝えられないので困る。
しかし和英辞書機能を持つ電子辞書は便利だ！！
「It's gastritis」
what？？
gastritis ＞ 胃炎
おー！電子辞書すげー！！
そして病名という「名前」が与えられると我々はとても安心する。
「点滴を打って、安静にすれば大丈夫でしょう。」
注射を打とうとした瞬間、病人よーすけクンは待ったをかける。
「is this new？？」
とっさに出てきた英語に我々大爆笑。
感染症を心配した妥当なセリフだった（文法も決して間違いではない）が、
タイ旅行が生んだ「ベスト台詞大賞」はこうして産まれた。
日本に戻っても「is this new」は語り草となった。
点滴を打ち、クスリも飲んで、症状はだいぶ落ち着いた。
でも彼のグッタリした体調不良はカンタンには戻らない。
もう一晩この島に泊まれればベストなのだろうけど、
我々はこれから「バンコクに戻る」という船＆深夜バスの強行軍に出なくてはいけないのである。。
つづく
浜辺に座って僕らは語り合っていた。
満天の星空、微かな波音、果てしなく続く海の向こうの世界。
いつだってそうさ。
旅の終わりは、どうしようもなく感傷に浸りたくなる。
１つの旅を終え、またいつもの日常に戻る前に、
今ここにいることの意味を問いかける。
そして答えなんて全くなくて、でも確かにそこにあるような気がするんだ。
翌朝、というより夜明け前の早朝。
僕らは２棟別々のコテージに泊まっていたが、
僕のコテージの方、ドアをドンドン叩く音がした。
「…大変だ！」
入ってくるなり、あっちのコテージに泊まっていたシノダ君が慌ててコトバを置く。
何事かと思って、あっちに向かったら、
メンバーの１人が呻き声を上げて、ベットで苦しんでいる。
事態はなんとなく深刻。
「どうしたん？」
「３時くらいに突然起き出してトイレに向かってゲーゲーしてたんだよ。
それからずっとこんな感じ」
食中毒？大丈夫かい？
「足がしびれる…」
これはマズーイぞ、よからぬ展開だ。
大都市バンコクならまだしも、こんな島に適切な医療を受けられる場所はあるのか？
しかも我々は今日の午前中にこの島を船で出発してバンコクに戻らないと帰国便の時間に間に合わない。
この島でサーファーショップを経営してる日本人の人たちのところへ相談にいく。
「船着場の前の診療所の看護婦さんは正規な資格を持ってるから、そこに行きなさい。」
ありがたい。こういうときこそ人の力というものは偉大だと実感する。
小さな診療所ではあったが、清潔感もあり、室内が涼しい。
看護婦さんに、昨夜からの症状がどうであったかを話す。
こういうとき英語が使えないと、正確に伝えられないので困る。
しかし和英辞書機能を持つ電子辞書は便利だ！！
「It's gastritis」
what？？
gastritis ＞ 胃炎
おー！電子辞書すげー！！
そして病名という「名前」が与えられると我々はとても安心する。
「点滴を打って、安静にすれば大丈夫でしょう。」
注射を打とうとした瞬間、病人よーすけクンは待ったをかける。
「is this new？？」
とっさに出てきた英語に我々大爆笑。
感染症を心配した妥当なセリフだった（文法も決して間違いではない）が、
タイ旅行が生んだ「ベスト台詞大賞」はこうして産まれた。
日本に戻っても「is this new」は語り草となった。
点滴を打ち、クスリも飲んで、症状はだいぶ落ち着いた。
でも彼のグッタリした体調不良はカンタンには戻らない。
もう一晩この島に泊まれればベストなのだろうけど、
我々はこれから「バンコクに戻る」という船＆深夜バスの強行軍に出なくてはいけないのである。。
つづく
2007年12月28日(金) 11:17:47 Modified by c037022g