696 :夜が来る!(1):2005/09/12(月) 17:37:41 ID:5aWH4b1M0
 空に現れたもう一つの月…「真月」と呼ばれるその月の出現はいろいろの憶測を呼んだ。
真月の出現から3年が経ち、真月の浮かぶ夜はもはや日常となっていた…

 羽村亮は進学して2年目の春を迎えていた。
羽村は物の動きを予測して、それに動きを合わせることができる少年であった。
小さい頃、後ろから来るボールに感づくことができると友達に話したことから、苛めらたこともあった。
自分が皆とは違うと知っていたからか、部活には入らず燻った毎日を過ごしていた。
色づく生活を期待してか、羽村は部活動の見学に赴く。
そこで羽村は、強引だが不思議な雰囲気の七荻鏡花という女性に出会う。
鏡花は羽村を天文部に勧誘し、今晩の部会への参加を命令する。

 羽村と鏡花は夜の学校で出会う。他の部員はまだ来ていないようだ。
何を思ったか鏡花は、誰かを守る為に戦うか逃げるかを羽村に問うた。
羽村はぼんやりと自分なら逃げてしまうだろうと答えた。その時、羽村と鏡花の前に覆面をした2人の男が現れる。
最近急増する「ルシファー」による犯罪と直感した2人は階段を駆け降り逃げる。
1階まで降りて来た所で鏡花は転んでしまう。逡巡する羽村だが、女の子を置いて逃げられないと覆面男と戦う。
物の動きを予測する能力のおかげで覆面男を倒す羽村であったが、覆面の男達は天文部の人間であった。
腹を立てた羽村は部長を殴ってやると鼻息を荒くする。
部長は火倉いずみという赤い瞳の大人しそうな女性であった。

 いずみは羽村に詫びると共に、天文部が夜を護るために戦っていること、そして羽村にも一緒に戦って欲しい旨を伝える。
冗談だろうと思ったが、羽村は赤い瞳の女性を知っていたような感覚に襲われる。
自分は「ルシファー」に襲われたことがあり、この赤い瞳の女性に助けられたことがあると思いだす。
 いずみは羽村に、この街が光狩という存在に蝕まれていることを話す。
突然青くなる夜空に気色ばむ天文部員。いずみに連れてこられた公園で、凍夜と呼ばれる青い夜の意味を知る羽村。
 その場はなし崩し的に戦ってしまった羽村だが、提示されてしまった昨日とは違う世界観に思うところもあり、光狩と戦う決心をする。

697 :夜が来る!(2):2005/09/12(月) 18:35:22 ID:5aWH4b1M0
 近隣の放火事件や、校内での殺人未遂事件等を解決していく天文部。
その戦いの中で、皇位の術を使える三輪坂真言美、能力者では無いが気合と根性で頑張る百瀬壮一、いずみと旧知の仲である祁答院マコトを仲間に加える。

 数日前まではチンピラだった男も、鏡で真月の光を集め、光狩としての力を増幅した。
ハイジという男は、人間であることを止め、身も心も光狩となることで強大な力を手に入れた。
力を付けてきた光狩に、いずみは危機感を抱くと共に、外部から糸を引く存在を疑いはじめた。

 10月に入り、学園祭の準備を始めることとなる。天文部は催しの為に天体撮影をすることになった。
夜の学校の屋上で天文部は、強い青い光に包まれる。
閃光が収まった後は特に何か異変があった訳では無いが、いずみやマコトは心にしこりを残すのであった。

 天体撮影から数日、真言美が攫われるという事件が起こる。
ミズキという心の優しい光狩から真言美の居場所を聞き出し、救出に向かう天文部の面々。
真言美のいる館で対峙したソウジという男を「兄さん」と呼ぶいずみ。鏡花もソウジと面識があるようだ。
ソウジに敗北を喫する天文部だが、コウヤという光狩の気まぐれのような言葉によって羽村達は殺されずに済んだ。

 次の朝を迎え、部室では重い空気が漂っていた。いずみの口からはソウジとの関係が語られた。
一時は不信を抱く部員だったが、ここまで戦ってきた絆を信じ、部長についていくことをそれぞれに決心する。
 再び、結束したかに見えた天文部であったが、コウヤの仕掛けた罠は、その発動を今か今かと待ってた…

 以前からいずみに心寄せていた新開健人は、心の隙に付け込まれ光狩の罠によって、いずみを襲ってしまう。
我に帰り、自己不信に陥った新開は逃亡してしまう。
 新開を追いかける羽村達の前にコウヤが現れる。コウヤは思わせぶりな口調で、鏡花の記憶はいずみによって改竄されたものだと言った。
いずみが否定しないことに鏡花は絶望する。
 コウヤの策略によって天文部は崩壊してしまう。

 翌日、部室に行くといずみは羽村を校庭のベンチに誘う。羽村はいずみが独りで戦うと決心したように感じた。
程なく羽村はいずみの企みに気づいて、ここから立ち去らねばと思うが、赤い眼から逃れられずに記憶を消されてしまう。

699 :夜が来る!(3):2005/09/12(月) 19:12:38 ID:5aWH4b1M0
 戻って来た日常…
廊下で出会う見知った気がする人…何故か切ない気分になる体育館裏…
思い出せそうで、思い出せない。大切な何かを忘れてしまったような気分。
 少年の気持ちになんか構わずに朝と夜が繰り返されて…

 心に穴が開いて何回目かの夜…空がこれまで見たことも無いほど青くなるのを羽村は見た。
突然、窓ガラスを割って襲ってきた怪物。命これまでと思った羽村だが、怪物の攻撃を何故かかわせてしまう。
怪物の攻撃を何度かかわしている内に、羽村の色褪せた夢が元の色を取り戻していった。

 最終章 夜が来る! A night comes.

 自分が光狩と戦ってきたこと、天文部の皆、そして恐らく今は一人で戦っているいずみさん…
光狩を倒して、外へ出るとマコトがバイクでやって来た。部室に変わる新しい本拠地を用意していてくれたらしい。
 青い夜の中、一人で戦ういずみさんと再会した羽村達は、この夜についていずみさんから話を聞くのであった。
天体撮影の日の青い光は、夜の女王降臨の儀式によるものだという。
儀式失敗の原因を探る為に言霊使いの真言美をさらったらしいこと。
コウヤ達が終わらない夜を呼ぶつもりであること。

 夜を護る者としての覚悟を新たに、最後の戦いに望む羽村達。
今までとは比べ物にならないような力の光狩やソウジ等を撃破し、コウヤの元へ辿り着く羽村達。
ソウジを光狩の側に引き込んだのは、自分の仕業であることがコウヤの口から語られた。
目の当たりにするコウヤの強大な力。勝てないかもしれない。
でも、勝てるからここまで戦って来た訳じゃない。夢を見る為の夜を望むよりも、夢を叶える為の朝を望むから…



 羽村達はコウヤを倒した。夜は護られたのだ。
あれから数ヶ月が経った。今も羽村はあのメンバー達と光狩を退治している。皆が安心して眠る為に。

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