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結界の六十二妹

概要

キュトスの姉妹の66番目。『未知なる』クラニス、『無貌』クラニス。

必ず人間に転生し、普通に老いて普通に死ぬ。転生前の記憶は微塵も受け継がれない。
持ってる魔力は人間並み。
クラニスという名はキュトスの姉妹としての名前であり、転生毎に親に付けられた名と、親から得た容姿と、環境に因る性格を持っている。

転生と言うより、人間に混じってキュトスの姉妹が生まれてくると言った方が正しいかも知れない。

人間なので人間との間に子供も作れるし、生まれてくる子供は殆どの場合キュトスの姉妹ではなく、人間である。普通の人間と同じように暮らし代替わりしてきたので子孫が結構な数存在する。

人類のエミュレータ。

詳細

クラニスについては、其の性質や、特に容姿について殆んど知られていなかったが、近年になって、統学者クセノス博士?ヘリステラを上機嫌にした上で頼み込み、此れを繰り返す事数度に拠ってクラニスについて訊き出したとされる。

此処では其れについて記す。

彼女は奇妙な不死の仕組みを持っていて、何と、女性の胎を経て其の女性の子供として生まれ、成長し、老い、甚大な病気や怪我や老衰で、死に至るというのである。
死んだ彼女は、其れまでの生の記憶の一切を失って復た別の女性の胎を経て今度は其の女性の子供として生まれる。
転生している様なものである。

転生する度に一切の記憶を失い、容姿も親となった女性と男性に似る為、普通の人間として育てられる。
性格も育った環境に因って異なる為、代々のクラニスは容姿も性格もバラバラであったらしい。

彼女は此の転生と呼ぶべき特性と、キュトスの姉妹であるという自覚以外に此れといった特別な能力を持たず、身体能力も魔力も人並みである。
ヘリステラや他の姉妹達によって姉妹の一員である事は保証されるものの、自ら正体を明かさない限りは自身がキュトスの魔女である事はばれないだろう。
そういった意味では、幸せな存在なのかも知れない

累卵の記述項

累卵の記述項
1-66
【未知充ちる果ての道】【無貌の殺戮者】

何故人が人を愛するのか理解できない。
まず、そのプロセスが理解できない。人に関心を傾け、交流を重ね、理解を深め、時に献身し時に支え時に叱咤しつつ自らの存在を相手に委ねるというその行為の意味がわからない。
理解できないものと知りつつ知り抜こうとするその姿勢が許容しがたい。
与えること事と、与えられることを同時に行えるものとして無条件に信頼しあう事が気持ち悪い。

クラニスは愛を・・・それは例えば不滅の愛だとか永遠の愛だとか、あるいは無償の愛、憎しみと共にある愛、代償としての愛などあらゆる愛をだ・・・信じているが、信じているが故に、それが存在する事が無性に腹立だしく憎らしい。
クラニスは愛を疎んじる。
故に彼女は眼前の愛を駆逐する。一切の容赦無く。

ヘリステラがクラニスを見出したとき、彼女が生まれ育った平穏な都市は彼女自身の手によって壊滅していた。
さしたる理由は無かった。ただ、そこに愛が満ちていた。故に壊したのだ。
彼女が殺害する相手に、クラニス自身はさしたる興味は無くまた悪意も無い。
クラニスは愛があれば理由無くそれを壊す。生を謳歌し、生を志向する者たちを殺害していく。
クラニスは妹への無償の愛情を抱くヘリステラに出会うや否や、姉を縊り殺しにかかった。

そのあまりに容赦の無い、他者に害なす躊躇というものをどこかに置き忘れてしまったかのような瞳を見たヘリステラは、クラニスを姉妹として自覚させ、迎え入れることを諦めた。

かの長姉をして一瞬で諦めさせてしまうほど、その瞳はどんよりと濁っていた。

クラニスには多くのことが理解できなかった。
生命が生きる理由。子を成す理由。連綿と続く、輝かしい生への営みがまるで理解できなかった。
彼女は独り歩き続けた。目の前の愛と希望を粉砕しながら、果ての無い道を延々と歩き続けた。

やがて彼女はあることに気がついた。
自分が平均的な女性よりも優れた面貌をしていることに。そしてその美しい容姿は、他者に自分を愛させるのだと。
気づいた瞬間、クラニスは躊躇うことなく自らの顔の皮を剥がし、その高く美しい鼻と形のいい耳、ふっくらとした頬を削ぎ落とした。

自分の顔が愛を生むというのなら、それもまた破壊されるべし。
愛はすべからく壊れてしかるべきだ。クラニスは、ただそうとだけ信じていた。

こうして顔を無くしたクラニスは、たった一人で幽鬼のように大陸を彷徨っているのだと言う。

もし。
あなたが恋人や家族といる時に顔の無い女が現れたなら、即刻その場で相手の頬を打つといい。
彼女に愛がそこにあると知られたならば、あなたはその愛しい相手共々引き裂かれてしまうだろうから。

邪神ヤグヴブク

死は与えるもの、授けるもの、振りかざすもの。
けれど、己の周囲に殺意無き死を齎すならば、それは世界を死で満たしたいという願望の発露に過ぎない。
己に意味を、あらゆる行動に意図を用意できない時点で、それは意味的に死んでいる。
死したものが死をまき散らす理由は単純だ。
あらゆる生を破綻させ、その証明を失わせ、何もかもを否認するため。
デストルドーは現実からの逃避すら内包するから、際限なき逃避は全てを殺す。
希死念慮は無理解と拒絶と無意味さによって生れ落ちる知性的な情動だ。

人に定められた死の運命を人は知り、酷く恐れる。
そして一度、人は死と未知と恐怖を混同させる。
決して死が未知だとは限らないのに。
決して死が恐怖とは限らないのに。
未知なるものとて必ず恐怖を運ぶわけではない。
けれど人は容易く倒錯して支離滅裂にわめきたてる。
滑稽な事だ。
それはそれとして、多くの生を歩むクラニスは様々な死の経験をする。
その甘美な味わいが、おそらく我々を引き寄せたのだろう。

表記ゆれ

クラニース、クラナ、クラニスフィア、クラニティア

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