東大受験完全攻略法【第2章】理科
最終更新：
ishiidaichi_library 2010年02月28日(日) 10:24:14履歴
理科 
《物理》基本の理解にはイメージを大切にしろ
物理の苦手な人は、物理現象をイメージで理解することができていない場合が多い。公式を見せられても、その公式がいったいどういう現象を説明しているのかが分からないために、式を見た時点で脳がハングアップしてしまうのである。
しかし、物理は基本的な公式を理解した上で問題演習を積めば、かなりの高得点が狙える科目である。生物や化学に比べ、覚える内容も圧倒的に少ない。そこで、「物理は難しくてよくわからない」という人は、まず物理をイメージで理解することから初めよう。
例えば、乗っていたバスが急ブレーキをかけたところを想像しよう。バスは止まろうとするのに、身体は前のめりにつんのめってしまう。身体はバスが急ブレーキをかけても前に進もうとするからこそ、このような事態になる。これが慣性の法則、すなわち「物体は外部から力を受けない限り、静止しているものは静止し続け、運動しているものは等速直線運動を続ける」ということを示しているのである。
このように、日常の現象にあてはめながら、公式を一通り理解してしまえばはやい。中には惑星の運動など、日常レベルで実感のわかない話もあるが、これも小学校・中学校で習った「惑星の公転」といった内容と照らし合わせれば、理解しやすくなるだろう。
物理を基本的なイメージから理解させてくれる参考書は、実は結構多い。東進ブックスの『はじめからていねいに』シリーズや、語学春秋社の『実況中継』シリーズなどを用いるといいだろう。学研の『橋本流 解法の大原則』を使ってもいい。それでも分からない場合は、塾や予備校の基本的な講義を受けてみるのもいい。もちろん、どうしても物理が嫌いな人は、他の科目を選択すればいいだけの話だ。
まとめ：物理の基本はイメージを用いて“体”で理解せよ！
《物理》標準問題を１５０題覚えれば満点が取れる
前にも述べたように、物理は覚えるべき事項が非常に少ない上に、数学ほど高度な論理性も必要ない。受験で点を取るために必要なことは、公式や定理を覚えた後に、ある程度の問題のパターンを身に付けるだけでいい。
物理の問題パターンは非常に限られていて、大体どんな大学でも同じような問題が出る。早い話が、東大の物理も東北大の物理も、問題のレベルやパターンという意味では大差ないのである。
なので、大学名に関係なく、物理ではよく出る標準的な問題を一定数こなして完全に解ききれるようにしてしまえば、入試ではかなりの高得点が狙える。東大入試で満点を取ることも十分に可能だ。
ではどの程度の問題数をこなせばいいのか？ 結論から言うと、私は１００〜１５０題程度で十分だと思う。これは、難関大受験生ご用達の問題集である、ニュートンプレスの『難問題の系統とその解き方』に出てくる例題の数に等しい。これくらいの量の問題を完璧に理解して覚えるだけで、ほぼ十分だ。私も『難系』は３〜４回以上繰り返して学習したが、そのおかげで本番では見事に合格点をたたき出すことが出来た。
ただし、『難系』はそれなりにレベルが高いので、人によってはもう少し下のレベルから学べるような問題集を使っても良いだろう。私が見たところでは、『難系』の他に数研出版の『物理�機Ν興斗很簑蟒検戮發いぬ簑蠅�揃っていると言える。これは難系ほど難しくないが問題数は１５０問ほどなので自習に最適だ。これをしっかりこなすだけでも入試でそれなりに点を取ることができるようになるが、一冊終えた後に他の入試用問題集を使って演習量を増やすと心強いだろう。
いずれにしても、合計で１５０〜２００問程度の頻出問題を徹底的にこなせば、入試ではきちんと得点できる。物理の場合、少ない問題数をいかに完璧に極めるかが重要なのである。
まとめ：１５０問を目安に問題をこなし、物理をカモにせよ！
《物理》難問対策に微分積分は使うな
駿台やＳＥＧなどの大手塾の物理教材には、しばしば微分積分を用いた問題の解法が出現する。確かに、そもそも物理学の理論は微分積分に支えられているわけであるし、そうした解法は本質的ではある。
しかし、こと受験に関して言えば、難解な微分方程式を羅列したような解答はまったく不要だ。それどころか、式が煩雑になるだけで、記述式の答案では評価が落ちることにもなりかねない。
入試の物理問題は、高校学習内容できちんと解けるようにできている。基本的な公式や定理を組み合わせて適切な計算を行えば、無理なく答えを導きだすことができるのである。それを、下手に微分積分を使って解こうとすると、確実に時間がかかる。「○○の定理より、〜」と書けばいいところを、いちいち微分積分で計算しなければならないわけだから、明らかにタイムロスだ。
物理が得意な受験生がよく使う、駿台文庫の『新物理入門問題演習』なども、解法が難解なので、かなりの物理オタク以外は使う必要性は薄いだろう。下手に手を出して物理嫌いになっても仕方がない。
前項で紹介した『難系』や『重要問題集』も、教科書に出ている定理や法則を用いて解くような、きわめてオーソドックスな解法を載せている。こうした解法に触れていた方が、受験生としてのまっとうな感覚が身につくだろう。
数学や物理は、ちょっと得意になると、調子に乗って「オタク的勉強」に走りがちだ。しかし、私の周りにいた「数学オタク」や「物理オタク」は、一部の超秀才を除いて、思ったよりいい成績を取れていなかったように思う。
いくら得意であっても、オーソドックスな内容を完璧に身に付けた方が、変な誤解や独りよがりな専門崇拝に陥ることなく、無難に受験を乗り切れることは間違いない。
まとめ：難解な道を選ぶより、オーソドックスを完璧にせよ！
《化学》分厚い解説書を捨てよう
私は高校時代、学校の授業をまったく聞いておらず、定期テストは一夜漬けで赤点ぎりぎりの状況だった。高３の半ば以降は化学を重点的に攻略する予定だったので、合格体験記や受験情報本などを参考にして、東大受験生の中でも非常に人気の高い三省堂の『化学�毅臓Ν兇凌係Φ罅戮鮃愼�した。そして、かつて理�靴帽膤覆靴神菁擇�していたように、『新研究』の通読を始めた。
しかし、もともと化学がさっぱり分かっていなかったせいか、読んでも読んでも内容が頭に入らない。そして２〜３ページほど読み進める頃には眠気が押し寄せ、そのまま机に突っ伏してしまう。『新研究』のページ数は、優に７００ページを超える。「この調子ではいつまで経っても勉強が進まない」と思い、それ以降、『新研究』の通読をすっぱりとやめた。
『新研究』のような分厚い解説書を買って読み始めると、なんとなく勉強になったような気がしてしまう。特に東大受験生のような「バカ真面目」な受験生は、こうした勉強法を無意識のうちに「正攻法」だと勘違いしがちだ。
だが、入試は点を取ってはじめて合格する。読んで分かった気になる勉強よりは、問題を解きながら必要な知識を付けていく方が、効率がよく、かつ、実践的だろう。
入試においては、そこまで専門的な内容を問われることはなく、知識自体は教科書レベルの基本で十分だ。マニアックな内容が出題されたときでも、基本的な知識を組み合わせれば解けるし、そうでなければどうせ誰も解けないのである。
私の場合、知識的なことで言えば、ごくごく基本的な教科書内容を、学研の『照井式解法カード』シリーズを使って一気に覚えただけだ。やり方は、通学の電車内で読みまくり、３冊を２回ずつ通読した。あとは問題演習をこなす過程で徐々に知識を拡充していったのだが、結果的にはこのやり方で、入試では満点近くを取ることができた。
まとめ：分厚い解説書よりも、よくまとまった基本参考書を極めろ！
《化学》一冊極めて合格点！メイン参考書の選び方
化学はとにかく演習量をこなすことが即得点につながる。問題を解きながら、必要な知識をどんどんインプットしていくのがもっとも効率的だ。
そこで、教科書レベルの基礎が大体わかっているという前提でまずは一冊、メインとして使う問題集タイプの参考書を選び、徹底的にこなすことをオススメしたい。理科のように問題のパターンが限られる科目は、とにかく良質な問題集を一冊完璧にすることが大切だ。これは物理でも同じである。
選ぶ基準は、
１．分野ごとの偏りが無い
２．入試標準レベルの問題が揃っている
である。
特に問題集のレベルは重要で、入試レベルに比べて簡単すぎるものをいくらやっても、まったく実践力が身につかないので注意したい。あくまで「本番レベルで解く」ということを念頭においてメイン問題集を選んで欲しい。
| 参考書 | 出版社 | 難易度 | コメント |
|---|---|---|---|
| 実戦 化学�機Ν興斗很簑蟒� | 数研出版 | ★★★★☆ | 難関大受験生の定番問題集。問題数が多く良問が選び抜かれている。レベルもほどよく、メイン参考書にはもってこい。解説はそこまで詳しいというわけではないが、各章の冒頭に簡潔なまとめがついているので、不便というほどではない。 |
| 化学�機Ν局現猝簑蠕差� | 旺文社 | ★★★★☆ | 難易度が高めだが、解説が詳しい。例題だけでも十分だが、それだと問題数が不足するので、余裕があれば実戦問題にもチャレンジしたい。合計１５０題ほど収録。 |
| 化学�機Ν挟霑談簑蠕差� | 旺文社 | ★★★☆☆ | 「基礎」と謳っているものの、内容は文句なしの入試レベル。標準問題精講と同じ形式の本だが、レベルが若干易しくなっている。化学は最低限の得点でしのぎたい人や、中堅以下の大学を志望する人なら、これをメインにもってきてもいい。 |
| 理系標準問題集・化学 | 駿台文庫 | ★★★☆☆ | 「解説が詳しい」のがウリらしいが、他の問題集に比べて不親切。しかし基礎的な知識を確認する設問も多いので、基本の見直しを兼ねたい人は使うと良い。 |
| 化学�機Ν兇凌訓藹� | 三省堂 | ★★★★★ | 問題数が２５０題越えと非常に多い。質が高い問題集だが、問題のレベルが高いので、時間が余っている化学オタク向け。下手に手を出して挫折しないようにしたい。 |
前頁の表は、メイン問題集として使えそうなものを比較検討し、リストアップしたものだ。各自の目的に応じて書店などで見比べた上、使うといい。個人的には数研出版の『重要問題集』がオススメだ。基本的なことから完全な難関入試レベルまでの問題がすべて揃っていて、メインで使うにはうってつけだ。問題数は２７０題以上あるが、基本的な問題はサクサクと解き進められると思うので、１日平均５〜６題のペースで進めれば、２〜３ヶ月以内には終わるだろう。
また、この中で私が使っていたのは旺文社の『標準問題精講』だが、精講シリーズらしくそつのない内容で良かったと思う。こちらは問題数が絞られているので、私のように入試まで時間が無い人が、一気に高校化学全範囲で入試レベルまで実力を上げるのに使える。ただし、解説を熟読し復習を徹底的にやるなど、少ない分量を完璧にする必要が出てくる。
メイン問題集の使い方はこうだ。まず、「１日５題」というようにペースを決める。問題を解き、５〜１０分考えても解けそうも無い問題の場合は、すぐに解説を読んで解き方の道筋を理解した上で、もう一度さらっと解いてみる。解けなかった問題には印と日付をつけておき、翌日にもう一度解きなおす。それでも出来なかった問題には再び日付と印をつける。こうして、一通りの範囲が終わったら、今度は「翌日の解きなおし」でも出来なかった問題をもう一度見直す。このやり方で、一冊をかなり使いこなすことが可能だ。
このあとは分野ごとに多量補強してから過去問で本番さながらの演習を積めばバッチリだ。
まとめ：メイン問題集を徹底攻略し、底力をみっちり養成せよ！
《化学》有機化学にリソース重点配分
大学受験の化学では、有機分野にかなり高い配点が与えられている。東大でも、６０点中２０点が有機化学である。
有機範囲の問題は、ある程度の知識と典型的な問題の解法を覚えておけば、どんな大学の問題でも８割〜満点が狙える。基本的な構造式や反応をしっかり覚えるだけでもかなりの高得点が取れるし、たまに出題される計算も、ほとんどが式量がらみの設問なので、定石通りに解いていくことができる。
したがって、有機化学範囲の演習量を多めにとって、確実な得点源に変えることが得点を効率的に上げることにつながる。
私は駿台文庫の『有機化学演習』の例題を完璧にすることで有機の補強とした。わからないところは前述の『照井式解法カード』を参考にしながら、ひたすら『有機化学演習』の例題を解きまくった。
間違えたところに印をつけながら全問を２回ずつ解き、２回とも間違えたような問題は徹底的に復習する。例題数は６０題弱だし、有機範囲の問題は１題解くのにそれほど時間がかからないので、１日４題ペースで２週間ちょっと。全問２回解いても１ヶ月強しかかからなかった。余裕がある人や、逆に例題だけで不安な人は練習問題にも挑戦すると良い。それでも、問題数は合わせて１２０題もないので、短期間で有機化学を攻略することができる。
このやり方で私はそれまでまったく手がつけられなかった有機範囲を得意科目にすることができ、東大入試本番でも完璧に解ききり、満点を取ることができた。
有機範囲の補強教材としては、やはり『有機化学演習』がオススメだが、有機が苦手な人や、基本的な知識の抜けが目立つような人は、Ｚ会の『実力をつける化学 無機・有機編』で知識を整理しながら学習すると効果的だろう。
まとめ：有機化学集中攻略で確実に点をもぎ取れ！
コメントをかく