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寄 稿 ホウレンソウと腹の虫



関東農政局農村計画部 部長 植田 勉


皆様方には、日頃から農業農村整備の推進にご尽力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、この原稿は新任挨拶をということでしたが、4月も遠くなりましたので、雑感を書かせていただきます。
私の住居の近くに、ビルの建設現場があり、幾つかの看板が掲げられています。その中の一つに「安全十訓」があります。

一 いつも元気に、ほがらかに
二 互いに仲よく、協力し
三 指示や注意は、よく守り 
四 身支度きちんと、整えて
五 整理整頓、第一に
六 機械や器具は、よく調べ
七 作業は正しく、順序よく
八 連らく合図は、あわてるな
九 無理と油だんは、ケガのもと
十 わからぬことは、さしず待て


というもので、本物では一から順番に一行ずつに書かれています。必要最小限のことを、七五調でもって平仮名やカタカナも入れて、誰でも分かるようにされています。
これらは我々の仕事にも当てはまるようです。われわれの中では、よく「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)といわれます。「耳タコ」かも知れませんが、実行が結構難しく、未だに自省の連続です。されど、仕事の基本中の基本であることは間違いありません。
しかし、このホウレンソウを料理するには、食客の好みを知る必要もあるとも言われるところが厄介です。茹で時間に個人差が出てしまうからです。食べなければ、栄養価が高まらず、ポパイのようには組織が強くなりません。
組織に関係するものでは、宮大工棟梁であった西岡常一氏の著書「木に学べ」に、棟梁の心得として、つぎのように書かれています。

塔組は、木組み
木組みは、木のくせ組み
木のくせ組みは、人組み

人組みは、人の心組み
人の心組みは、棟梁の工人への思いやり
工人の非を責めず
己の不徳を思え


また近年よく、目標、計画、実行、成果等が言われますが、5、6年前に北つくば農協に「夢」と題して掲げられていたものを見ました。

ロマンなき者に目標なし
目標なき者に計画なし
計画なき者に実行なし
実行なき者に成果なし
成果なき者に幸福なし


されど、世の中はロマンが溢れずにイライラすることが多いようで、いろんな事件が起こっています。頭に血が上ることもあります。その様なときに、15年前に金沢市の立像寺の門前に書かれていた言葉を思い出します。

殺しても 罪にはならぬ 腹の虫


器を大きく、ゆったりと参りたいものです。黒田如水に水五則があります。

一 自ら活動して他を動かしむるは水なり
二 常に己の進路を求めて止まざるは水なり
三 障碍に遭いてその勢力を百倍し得るは水なり
四 自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せて容るるの量あるは水なり
五 洋として大海を充し、発して雲となり雨雪と変じ霧と化す
凝りては玲瓏たる鏡となり而もその性を失わさるは水なり

水は、誰でも羊水の頃から馴染んできているものですし、体の組成からも極めて重要で、DNAに刻み込まれている最深部分ではないかと思います。これは人間に限らず、稲でも、植物でも、動物でも同じだと思います。そして、ふる里回帰とか、田舎志向とか言われますが、田園風景とともに、絶えず小川のせせらぎが聞こえているのではないでしょうか。だからこそ、水を核とした資源を守っていかなければなりませんし、伝えていかなければならないのです。
田舎といえば、葉月はお盆でもあります。団塊の世代は皆んな田舎に行くのでしょう。帰省し、地域の伝統慣習等に触れ、懐かしさをおぼえ、心洗われる時でもあります。
都市と農村の交流が盛んになり、混住化の中で新たな協働が始まること等も含め、いま薄らいでいる感謝の念を込めて合掌。 そういえば、金沢の西方寺にありました。

叱られた 恩を忘れず 墓参り


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