トピック解説レポート １１
｢共同受注グループ立ち上げ顛末｣
有元 舜治
平成９年６月、定年まであと１年を残して退職。現在、区役所の相談員として中小零細企業を訪問しています。
私は、現在「ＣＩＭ研究会」の会員のほか、中小企業診断協会東京支部の「化学系診断士懇話会」「マイコン研究会」の世話役と千葉地区に住んでいる中小企業診断士の情報交換会である「なのはな会」の世話役をやっています。
私の担当している企業は旋盤やフライス盤を使って金属を加工する、従業員１人から１０数人の零細企業がほとんどです。
コストを度外視した価格競争の影響が下請け製造業に最も厳しくしわ寄せされている感じがします。どうやったら仕事（受注）を増やせるのかを考えたとき、現在の仕事がくるのを待っているやりかたでは先の見通しがたちません。打開策として「共同受注のグループづくりを提案しました。仕事の忙しいところほど危機感が強く、共同受注のグループ作りに積極的でした。
企業約１５社ほどで共同受注グループをつくるための準備会をはじめました。
これまでの親会社を傘にした系列下請関係が崩壊して、新しいアウトソーシングの関係に変わっていくことに対応しなければ生き残れないと説得しています。
お互いの信頼関係をつくることが第一と、飲み会から始めることにしました。金属加工にくわしい中小企業診断士に話題提供など協力をしてもらっています。たまたま、情報交流をするためのグループに区から助成金が出る制度ができたので、これを使って比較的安い会費で懇親会を開催、講師にも謝礼をすることができるようになりました。最初は半信半疑で参加していたメンバーも忘年会や新年会を積極的に提案するように変わってきました。
知り合ったメンバーで工場を相互訪問することも始まり、お互いに仕事のやり取りをするケースもみられるようになりました。回を重ねるごとにメンバーの意識が少しずつ変わっていくのがはっきりわかります。これまで敬遠していた大手からの受注にもチャレンジするところもでてきました。
メーカーのイコールパートナーになるよう、いくつかの企業が集まって知恵と汗を出し合い、メーカーと対等に議論できる力をつけなければなりません。少しでもそのお手伝いができればと思っています。コストダウン、情報インフラの整備などがこれからの課題です。ＣＩＭ研究会などの仲間が大きな支えです。
私が担当している企業は規模が小さく、一社でコンサルタントを雇えるところはほとんどありません。このままではコンサルタントの市場にはなり得ないのです。しかし１０社か２０社集まれば十分コンサルタントを雇えるだけの規模になります。グループ化が成功し、収益が向上すればコンサルタントの市場が拓けてきます。市場や商品は“育てる”もの、と確信しています。これからはできるだけ、お客さんに喜んでもらえる仕事をしたいと思っています。
2008年04月13日(日) 10:48:57 Modified by mifken